2022年度、全国の小中学校で不登校だった児童生徒は、過去最多の29.9万人を記録しました。
これは2020年から始まった新型コロナウイルス禍が影響したと見られています。
しかしそれだけなのでしょうか。
不登校の原因について、文部科学省が行った調査結果がとても興味深いものでしたのでご紹介します。
この記事では、文部科学省の調査から分かった「子どもと先生の不登校の原因に関する意識の違い」を紹介し、そこから考えられる「不登校の解決策」を考察したいと思います。
こちらの動画は、文科省が「学校側(先生側)に対して」行った不登校の原因の調査結果と文科省が「子どもたちに対して」直接行った不登校の原因の調査結果が食い違っていることについて解説しています。
6分で分かりやすく解説していますので、ぜひ見てみてくださいね!
不登校は教師が原因?子どもとすれ違う不登校問題の原因
文科省による学校への調査結果
まずは、文科省が「学校側(先生側)に対して」行った不登校の原因の調査結果を見ていきましょう。
結果は以下の通りとなりました。
1位:無気力・不安(51.8%)
2位:生活リズムの乱れ(11.4%)
3位:友人関係のトラブル(9.2%)
4位:親子関係などの家庭環境の問題(7.4%)
5位:学業不振(4.9%)
6位:入学・転入学時の不安(3.1%)
7位:家庭の生活環境の変化(2.6%)
8位:教職員との関係(1.2%)
令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果概要
教職員との関係は8番目という下位にあり、先生側から見た原因は、子供や家庭にあるとする傾向が強いようです。
文科省による子どもたちへの調査結果
次に、文科省が「子どもたちに対して」直接行った不登校の原因の調査結果を見ていきましょう。
結果は以下の通りとなりました。
1位:先生との関係(29.7%)
2位:体の不調(26.5%)
3位:生活リズムの乱れ(25.7%)
4位:自分でもわからない(25.5%)
5位:友人関係のトラブル(25.2%)
令和2年度不登校児童・生徒の実態調査
1位:体の不調(32.6%)
2位:学業不振(27.6%)
3位:先生との関係(27.5%)
4位:友人関係のトラブル(25.6%)
5位:生活リズムの乱れ・友人関係(25.5%)
令和2年度不登校児童・生徒の実態調査
小学生では、不登校の原因は「先生との関係」と回答した結果が1番目に挙がっています。中学生では、「体の不調」など他の原因が上位にあるものの、「先生との関係」も3番目に多い調査結果になっています。
どうして、先生側と子どもたちの間で、このような「不登校の原因の相違」が見られるのでしょうか?
不登校の先生は原因?なぜ子どもとすれ違うのか?
先生と子どもの間で、不登校の原因に対する意識に差が生まれてしまうのはなぜでしょうか。
その理由の一つは、先生と子どもの立場の違いにあります。
先生は学校運営や生徒指導の観点から不登校の問題を捉えがちです。
また、先生は多くの子どもを一人で見るため、一人ひとりの状況を正確に理解することが難しく、子どもの心の変化に気づけないまま表面的な行動だけで判断してしまうことが考えられます。
子どもは直接教員に向かって、「先生が怖いから学校に行きたくありません」とは言えないですよね。
そもそもとても怖がっているので、話もしたくないかもしれません。
そこで教員は何も気づいていない可能性があります。
先生と子どものすれ違いから考える不登校問題の解決策
教師と子どもの間に生じた不登校の原因の違いを、はっきりと認識することが大事です。
まず、先生は自分が子どもの不登校の原因になっているかもしれないと頭の片隅に置いて、子どもの話に耳を傾け、信頼関係を築いていくことが急務です。
スクールカウンセラーや専門機関とも連携し、先生全体の子どもの心のケアのスキルをレベルアップしていかなければなりません。
さらに学校全体として、不登校を防ぐ学校づくりが求められます。
子どもが安心できる居場所、さまざまな意見や個性を受け入れる多様性、絆を深める機会を与えるなど、時代にあった変革が必要です。
同時に、子どもは自分の感情を表現する力を身につけることが大切です。
自分の思いを言葉にし、周囲に伝えられるようになることは、問題解決への第一歩になります。
まとめ(すれ違う不登校問題は解決するのか?)
今回は、「不登校の原因は先生?子どもとすれ違う不登校問題は解決するのか?」と題して、文科省の学校側への調査結果と、子どもに直接聞いた調査結果の違いから、不登校の問題解決を考察してみました。
先生は子ども側の視点、子どもは先生側の視点といった、互いの視点を持つことで、互いに歩み寄り、問題解決のヒントを見つけてほしいと思います。
不登校の原因を正しく理解することが、不登校問題の解決にもつながります。
そして子どもたちが安心して過ごし、伸び伸びと学び成長できる場所として、学校が大切な役割を果たしてほしいものです。