「起業するのに、学歴って必要なんですか?」
そんな素朴な問いから、今回のインタビューは始まりました。答えてくれたのは、教育起業家でありNIJINアカデミー校長を務める星野達郎です。不登校の子どもたちのための学びの場をつくり続けてきたタツロー校長が語る「学歴と起業」の関係。それは、多くの大人が信じてきた常識を、静かに揺さぶるものでした。
起業家のあいだでも割れる「学歴」への意見
起業家や投資家のあいだでも、学歴の必要性については意見が分かれるとタツロー校長は言います。
中卒・高卒で起業した人からは「学歴は必要ない」という声が上がります。一方で、東京大学まで進んで起業した人たちからは「学歴は必要だ」という声も聞かれるそうです。
タツロー校長自身は、大学に進学したものの3週間で不登校になり、ほとんど通わなかったという経歴の持ち主。そんな自らの経験を踏まえたうえで、こう語ります。
タツロー校長分野にもよりますが、基本的には学歴は必要ないと思っています。
起業で成功した明治の実業家たちに、学歴はなかった
星野さんが根拠として挙げるのが、『明治実業家の知識見識胆識』という一冊の本です。


三菱を築いた岩崎弥太郎。
500以上の事業と600近い社会事業に携わった渋沢栄一。
ホテルニューオータニを創業した大倉喜八郎。
そして、パナソニックを興した松下幸之助。
日本の近代経済を築いた実業家たちの多くは、実は正規の学歴をほとんど持っていませんでした。渋沢栄一は、小学校にすら通っていない時期があったといいます。松下幸之助にいたっては、小学校を中退しています。



彼らが手にしていたのは、学歴ではなく「知識・見識・胆識」だった
とタツロー校長は言います。
地頭や感性を成功の要因に挙げる人もいますが、少なくとも学歴の有無が事業の成否を決めるわけではない。彼らの人生が、そのことを証明しているのです。
学歴が「通行手形」になる日本社会


とはいえ、日本では就職活動の履歴書に学歴欄があります。学歴が一種の「通行手形」として機能している側面も、たしかにあります。この仕組みが「学歴はあったほうがいい」という感覚を、多くの人に植えつけてきました。
タツロー校長は、これを頭ごなしに否定するわけではありません。



大企業や公務員として、決められた枠の中で力を発揮したい人にとっては、学歴を取りにいく生き方のほうが向いている
実際、既存のビジネスモデルを真似したり、有望な事業を買収したりするタイプの起業を目指すなら、学歴は武器になり得るといいます。
学歴の「本当の弊害」は、自分らしさが失われること
タツロー校長が強調するのは、学歴そのものの是非ではありません。



学歴を追い求める過程で、自分らしさが失われがちだ
という点です。
良い学歴を手にするためには、周囲に合わせる必要があります。
先生の言うことを聞き、決められた枠の中で高得点を取る訓練を、積み重ねなければなりません。
しかしタツロー校長が考える起業とは、
「人々の行動様式を、構造から変えること」。そこで武器になるのは、人と同じであることではなく、人との違いです。
タツロー校長自身、荒れた地域で落ち着いて学べる環境になく、高校では授業をほとんど受けず、独学で過ごしたといいます。大学は、わずか3週間で不登校になりました。当時は「自分のことが好きではなかった」と振り返ります。ですが、その学校教育になじめなかった経験こそが、後に不登校の子どもたちに寄り添う原点になりました。「自分自身のユニークさから思いが生まれ、それが起業という道につながった」と語ります。
大学の成績は「0.17」。それでも起業家として結果を出す


インタビューでは、意外なエピソードも飛び出しました。
タツロー校長が通っていた千葉大学時代の成績評価(4段階評価の平均値、いわゆるGPA)は、なんと0.17。
単位を取るための講義を、あえて大量に申し込んだそうです。ダブルブッキングだらけの時間割の中で、なんとか単位を積み上げて卒業しました。
それでも



千葉大学出身の起業家としては、結果を出しているほうだと思う
と、タツロー校長は笑って振り返ります。
起業家・タツロー校長を支えた、吉田松陰の言葉


タツロー校長の生き方に大きな影響を与えたのが、高校時代に読んだ吉田松陰の言葉でした。
「世の中の多数派に迎合することは、自分をなくすことにほかならない」。この思想は、既得権や社会通念に抗いながら教育事業をつくってきたタツロー校長の、原動力になっています。
オンラインで先生同士が学び合う場をつくった時も、メタバースで不登校支援を始めた時も、「怪しい」と言われ続けてきたそうです。それでもタツロー校長は、



本当に意味のあることは、極端だと言われるくらいでなければ成し得ない
と前を向きます。
学校になじめないことは、弱さではなく可能性
タツロー校長は、学校という同調圧力の強い環境に拒否反応を示す不登校の子どもたちにこそ、大きな可能性を感じると語ります。



素直だからこそ、合わないものに合わないと言える。
それは弱さではなく、魅力であり才能だ。
NIJINアカデミーでは、出勤時間や上司の許可といった従来の職場の枠組みを、あえて手放しています。
まとめ:起業のタイプによって、学歴の意味は変わる
タツロー校長の結論はシンプルです。
既存のビジネスモデルを模倣したり、大企業の中で新規事業を担ったりする起業を目指すなら、学歴は有効な武器になる。一方、自分自身の志や人との違いを軸に、社会の構造そのものを変えていくタイプの起業を目指すなら、学歴の有無はさほど重要ではない。



起業に学歴は、あってもなくてもいい。
ただ、学歴を追い求める過程で、自分らしさや人との違いを失ってしまうことだけは避けてほしい
学歴という一つの物差しにとらわれず、自分自身のユニークさに目を向けること。それこそが、これからの時代に起業家として、そして一人の人間として生きていくための出発点なのかもしれません。
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不登校をめぐる情報は、体験談と一般論が混ざりやすい分野です。いま国が何を方針としているかを押さえておくと、学校や自治体とのやりとりで迷いにくくなります。とくに出席扱いの要件は、知っているかどうかで選べる道が変わります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」 | 全国84校。旧・不登校特例校の全リスト |
| 文部科学省「生徒指導提要」 | 学校の生徒指導の基本方針(改訂版) |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
学校に伝えるときの文例
言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。
毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。
「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。
③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。
ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。
④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。
口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
伝える相手の順番
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 学校を休ませてもいいのでしょうか?
A. 教育機会確保法の第13条は「個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ」と条文で明記しています。休むことは制度の外側にある逸脱ではなく、法律が想定している状態です。
Q. どこに相談すればいいですか?
A. まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)です。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。
Q. 学校以外に、どんな場所がありますか?
A. 教育支援センター(適応指導教室)は原則無料の公的な居場所、学びの多様化学校は特別の教育課程を組める正式な学校、ほかにフリースクールとオンラインがあります。
Q. 出席扱いにできますか?
A. 要件を満たせば校長の判断で可能です。通所する場合は別記1、自宅でICT等を活用して学ぶ場合は別記2の要件があります。令和6年度は学校外の機関等で42,978人、自宅ICT学習で13,261人が出席扱いになっています。
Q. この先どうなるのか不安です
A. 不登校の経験がその後を決めるわけではありません。不登校を公表した著名人12人のように、別の道で力を発揮している人は多くいます。いまは先を決めるより、目の前の回復を優先してよい時期です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
参考にした公的資料
本記事は公開資料と教育現場での実践をもとにした情報提供であり、診断・治療の代わりになるものではありません。(にじいろの編集方針・監修について)
つらい気持ちを今すぐ話したいとき(全国共通・24時間)
24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310
お子さんからでも、保護者の方からでも相談できます。お住まいの地域の教育相談センターにつながります。









