はじめて画面をつないだ日。
そこにいたのは、ママの隣で静かにタブレットを触る小学2年生の男の子でした。
カメラは見ない。
話すのはママを通して。
けれど1ヶ月後。
同じ子が、画面の前で「おはよう〜」と声を返し、自分の言葉で参加しています。
大きな出来事があったわけではありません。
特別な指導をしたわけでもありません。
ただ、少しずつ。
安心できる時間を積み重ねていきました。
これは、NIJINアカデミーのオンライン専任サポートで過ごした、1ヶ月の記録です。
はじまりは、ママの隣から
初回。担任のあいあいと一緒に挨拶をした時です。
画面をつなぐと、ゆづ君はママの隣でタブレットをしていました。
カメラを見る様子はありません。
話しているのは、ママと私たち。
ゆづ君は、ママに聞かれて、ママに答える。
まだ、直接こちらと話す距離ではありませんでした。
担任のあいあいが「ポケモン好きなんだよね」と話すと、
ママがゆづ君に「ポケモンが好きなんだって」と声をかけます。
そのとき、ふとカメラを見ると、あいあいはポケモンのぬいぐるみを手にしていました。
それを見たゆづ君は、すっと立ち上がり、隣の部屋へ。
少しして、ぬいぐるみを持って戻ってきます。
画面越しに見せてくれたそのポケモンを見て、あいあいが言いました。
「それ、ほしいやつ!」
ゆづ君は、少し照れた表情。
直接話すわけではないけれど、
同じ“好き”がつながった時間でした。
2回目|アバターという選択
2回目も、最初はママとの会話から始まりました。
ゆづ君がカメラの前に来る様子は見られません。
ママから、ポケモンのタイピング練習を始めたと聞きます。
パソコン操作には意欲的。
けれど、画面との距離はまだ遠い。
そこで、少し方法を変えてみました。
アバターになった私を、まず見てもらおう
キャラクターが画面に映ると、ゆづ君の様子が変わります。
パソコンの前に座り、アバターのやり方を聞いてくれました。
「顔が映らない」と分かった瞬間、声がはっきりする。
安心が、参加につながる。
その姿を見て、もうひとつやってみようと思いました。
「家にあるものでしりとり」
やり方が分かると、家の中を探しまわる姿が見えます。
「えんぴつ」「つくえ」
体を動かしながらの参加。
気づけば、時間はあっという間でした。
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3回目・4回目|少しずつ前へ

3回目から、景色が変わりました。
画面をつなぐと、ゆづ君はもうパソコンの前にいます。
「おはよう」と声をかけると、
「おはよう〜」
少し伸びた声が、画面越しに返ってきました。
それだけで、空気が違う。
話す場所も、ゆづ君が選びました。
あいあいクラスを選択。
自分で選ぶという小さな主体性。居心地のいい場所なんだろうな
ロブロックスを一緒にやる時間では、こんな場面もありました。
私が操作に戸惑うと、待ってくれる。
「こっち来て〜〇〇があるよ!」
今度は自信のある声で案内してくれました。
教えてもらう側から、教える側へ。
4回目には、画面を自分でONにする姿も。
時間が足りなくなり、週1回は1時間に変更することになりました。
リアル教室のことも、「楽しみ」と自分の言葉で話してくれます。
そして最後には、カメラに向かって手を振る姿。
ほんの少し前まで、
恥ずかしくて画面に映らないようにしていた子。
今は、画面の前で。
自分の声で。
自分のペースで参加している。
大きな変化ではありません。
でも、確かな一歩。
1ヶ月で変わったのは、できることの量ではなく、
安心していられる時間の質なのかもしれません。

専任サポートを通して、私が感じたこと
NIJINアカデミーに入ったばかりの頃、専任サポートのスタッフからこんな言葉を聞きました。
「NIJINは本来のあるべき姿に戻してから、ありたい姿へ。」
その考えを知ったとき、素敵だなと感じたのを覚えています。
専任サポートの一員としてゆづ君を担当し、少しずつ見えてきたのは、ゆづ君の本来の姿でした。
意欲的な子。
それでいて、相手に合わせて待ったり、レベルを下げたりできる思いやりのある子。
ロブロックスの時間に、私が戸惑えば待ってくれる。
教える立場になったときも、押しつけることはありません。
そして何より、回数を重ねるごとに感じるのは、
おしゃべりが好きなんだろうなということ。
最初はママを通してだった声が、
今は自分の言葉で返ってくる。
1ヶ月では、まだ見えていない姿がたくさんあるはずです。
これからどんな一面が見えてくるのか。
ゆづ君との専サポタイムを、私自身も楽しみにしています。
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不登校をめぐる情報は、体験談と一般論が混ざりやすい分野です。いま国が何を方針としているかを押さえておくと、学校や自治体とのやりとりで迷いにくくなります。とくに出席扱いの要件は、知っているかどうかで選べる道が変わります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」 | 全国84校。旧・不登校特例校の全リスト |
| 文部科学省「生徒指導提要」 | 学校の生徒指導の基本方針(改訂版) |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
学校に伝えるときの文例
言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。
毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。
「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。
③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。
ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。
④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。
口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
伝える相手の順番
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 学校を休ませてもいいのでしょうか?
A. 教育機会確保法の第13条は「個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ」と条文で明記しています。休むことは制度の外側にある逸脱ではなく、法律が想定している状態です。
Q. どこに相談すればいいですか?
A. まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)です。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。
Q. 学校以外に、どんな場所がありますか?
A. 教育支援センター(適応指導教室)は原則無料の公的な居場所、学びの多様化学校は特別の教育課程を組める正式な学校、ほかにフリースクールとオンラインがあります。
Q. 出席扱いにできますか?
A. 要件を満たせば校長の判断で可能です。通所する場合は別記1、自宅でICT等を活用して学ぶ場合は別記2の要件があります。令和6年度は学校外の機関等で42,978人、自宅ICT学習で13,261人が出席扱いになっています。
Q. この先どうなるのか不安です
A. 不登校の経験がその後を決めるわけではありません。不登校を公表した著名人12人のように、別の道で力を発揮している人は多くいます。いまは先を決めるより、目の前の回復を優先してよい時期です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
参考にした公的資料
本記事は公開資料と教育現場での実践をもとにした情報提供であり、診断・治療の代わりになるものではありません。(にじいろの編集方針・監修について)

