「先生」というキャリアは、本当に社会で通用するのか?
そう悩む現役教員や元教員は少なくありません。
2025年9月18日に開催されたNIJIN社内ピッチで優勝したのは、先生コーチ事業責任者・菊地世恋(せれてぃー)さん。
元小学校教員として教育現場に立ち、その後はフリーランスとしてNIJINに参画し、オルタナティブスクール小中一貫校「NIJINアカデミー」での活動を続けながら、「先生コーチ」の事業責任者として挑戦を進めています。
先生の経験は言語化されず、評価されにくい。だからこそ市場価値に転換できる仕組みが必要だ
自らの転職の挫折と挑戦を通じて見えてきたのは、「先生の経験を社会的価値に変える」という使命でした。
インタビュー内容を記事にまとめました。
優勝の瞬間に感じたこと
—— まずは、社内ピッチ優勝おめでとうございます!どんなお気持ちでしたか?

社内ピッチは何度も出てきましたが、一度も優勝したことはありませんでした。だから最初は期待していなかったんです。でも、他の人のピッチとそれに対するフィードバックを聞いているうちに、“あれ、自分できてるかも”と思えてきて。発表の直前には“今回はいけるかもしれない”という感覚がありました。
そして発表の後、外部審査員から「需要あると思う」とシンプルに言われたことが、事業を進める決定打になったそうです。



これまで社内だけで壁打ちをしてきたけど、外部の専門家に“需要ある”と評価いただいたのは大きな自信になりました。『やるしかない』って腹が決まりましたね。
ピッチで伝えたかったこと
—— ピッチでは、どんなことを特に伝えたかったのでしょうか?



まだ事業化前で模索中ですが、軸として伝えたかったのは“先生の経験が市場価値に変換されていない”という課題です。教員時代に頑張ってきたことは定量化されにくいし、俗人的で伝わりづらい。だから転職のときに“経験が認められない”という壁にぶつかった。そこを言語化して社会的価値に変えることをやりたいと思いました。
教員を辞め、フリーランスとして活動
—— そもそも、先生コーチの事業責任者になった経緯を教えてください。



私はもともと小学校の教員でした。でも、やりたいことができない環境に違和感を抱いて、“学校の外から教育を変えたい”と思うようになったんです。
転職を決意し、大手教育企業や出版社に挑戦しました。しかし、結果は不合格。



出版社は“経験者じゃないから”と書類で落ち、ベンチャー企業では最終面接まで進んだのに『自信過剰で稚拙です』とまで言われました。あれはショックでしたね。
厳しいフィードバックを受け、転職活動に行き詰まった結果、「フリーランス」という選択肢に辿り着きました。



当時はやりたい仕事も見つからず、転職サイトを見ても心が動かない。そんなとき、Instagramでフリーランスとして働く人を見て“自分もできるかも”と思ったんです。楽しそうで、挑戦したくなりました。
NIJINとの出会いと「先生コーチ」への決意



フリーランスとしてNIJINにジョインして、最初は不登校オルタナティブスクール小中一貫校『NIJINアカデミー』を担当しました。とにかくその仕事が楽しくて、1年間夢中で取り組みました。
NIJINの業務に携わる日々の中でスキルも磨かれ、広報やSNS運用、デザインなどを活かしてNIJIN外の仕事にも挑戦。しかしそこで気づいたのは、「教育以外の仕事ではワクワクしない」という本質でした。



教育以外の仕事をやってみたら、全然楽しくなくて。“ああ、やっぱり自分は教育が好きなんだ”って強く実感しました。
そして、ある日、NIJIN代表・星野から先生コーチの授業責任者へのオファーが。
しかし、事業化前でマネタイズできないことに引っかかって部分が…
そんな中、学校教員を辞めたときの立ち返ることがあり、自分に問いかけたとのこと。



お金を考えずに一番やりたいことは何か?
その答えが『先生コーチ』でした。
その答えが出た瞬間と、「先生コーチどうなってる?」と意思確認の声をかけられたタイミングが偶然にも重なり、事業責任者になることを覚悟。



先生という仕事が好きだったのに辞めることになった。
教員を辞めるときに“いつか自分が働きたくなるように教育現場を変えて戻ってくる”と宣言。今、その言葉の実現に向けて動くことに。
現在も『NIJINアカデミー』に携わりながら、先生コーチの事業責任者として歩みを進めています。
現在直面している課題
—— 現在、どんな課題に取り組んでいますか?



課題は山ほどあります。特に大きいのは、教員が辞める理由の多様さです。ママになって家庭と両立できない人もいれば、長時間労働や保護者対応で心身を壊してしまう人もいる。中には“公教育の仕組み自体に限界を感じて辞める”人もいる。理由が複雑で構造的だからこそ、誰をターゲットに支援すべきかを見極めるのが本当に難しいんです
そのため、特に「辞めたいけれど辞められない先生」へのヒアリングを強化しているとのこと。実際の声を集める難しさを痛感していると語ります。
今後の展望
—— リリースの目標は?



教員が転職を考えるタイミングは6月と11月。そこに合わせて形にしたいと思っています。ただ、焦って不完全なものを出すのではなく、しっかりと仕上げたいです。
今、抱える想いとメッセージ
最後に、熱いメッセージを伺いました。



私はあれだけ教員の仕事が好きだったのに、今は“辞めて本当に良かった”と心から思っています。理由は辛かったからではなく、キャリアの広がりが想像以上だったからです。辞めた当時は“自分の社会的価値はこんなに低いのか”と絶望しましたが、今は堂々と挑戦できる。選択肢が一気に広がったんです。



先生を辞めたからこそ見える世界がある。これはもっと多くの先生に伝えたい。仕事への意識が変われば、先生の可能性も社会の可能性も広がる。そのために先生コーチを一緒に育ててほしい。ヒアリングでも、ボランティアでも、企業との連携でも、どんな形でもいい。ぜひ一緒に未来をつくりましょう!
インタビュー動画
記事に収まりきらない熱い想いは、ぜひ動画でもご覧ください。
ご協力のお願い
「先生コーチ」では現在、以下の形で仲間を募集しています。
- アンケートへのご協力
現役教員の声を募集しています。ぜひあなたが感じていることを聞かせてください。
👉 先生コーチのアンケートに協力する - ボランティアメンバー
ボランティアメンバーを募集中です。共に新しい「先生のかたち」をつくりましょう。
👉 先生コーチを一緒につくる - 民間企業のヒアリング協力
人事・HR・育成担当者のヒアリング協力者を募集しています。ぜひご協力ください。
👉 先生コーチに協力したい
先生の経験を社会的価値とキャリアに変える。
その信念を胸に進む菊地世恋(せれてぃー)さんの挑戦は、多くの先生や教育関係者にとって新しい希望になるはずです。
▼先生コーチHP
https://www.nijin.co.jp/senseicoach
▼先生コーチInstagram
https://www.instagram.com/sensei._.coach/
▼先生コーチYouTube
https://www.youtube.com/@先生コーチ
▼先生コーチnote
https://note.com/senseicoach