「いじめられる人には、共通の特徴があるの?」と心配になることがあります。結論から言うと、特定の性格や見た目だけで、いじめの被害を予測することはできません。国立教育政策研究所は、いじめの被害者・加害者が入れ替わり、どの子どもにも起こりうると説明しています。本人の「直すべきところ」を探すより、周囲で起きている行為と、安全に過ごせる環境を確認することが先です(国立教育政策研究所「生徒指導リーフ7」)。
この記事では、よく言われる「特徴」を根拠とともに整理し、子ども自身ができること、保護者が気づけるSOS、学校への伝え方を順にまとめます。大人の職場でのいじめについては後半の相談先と制度の違いをご覧ください。いま危険がある場合は、本文より先に安全を確保してください。
暴力・脅迫など差し迫った危険がある場合は110、けが、意識や呼吸など急な身体の危険は119へ連絡してください。いじめなど子どもの悩みは、文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」0120-0-78310でも相談できます。虐待が疑われる場合は児童相談所虐待対応ダイヤル189です。110、119、189は用途が異なります。
この記事でわかること
- 「いじめられる人の特徴」と言われるものを、被害者の責任にせず考える方法
- 子どもの様子に表れるSOSと、確認するときの声のかけ方
- 本人・保護者が残す記録と、学校に求める具体的な対応
- 学校外の相談先、学びの場を変える選択肢、大人の場合の窓口
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いじめられる人の特徴はある?「本人のせい」にしない見方
先に答え:被害に遭う人を性格・見た目・発達特性などでひとくくりにする根拠はありません。いじめを受けた子どもには、本人が変わることよりも、行為を止めることと安全を確保することが必要です。いま被害を受けている本人は本人向けの手順へ、保護者は家庭で気づけるサインへ進んでください。
国立教育政策研究所の生徒指導リーフ7では、深刻ないじめは特定の「いじめられっ子」だけに起こるものではなく、被害者と加害者が入れ替わることも示されています。「おとなしいから」「目立つから」といった説明は、ある出来事の口実を表していても、いじめを受けた側の責任を示すものではありません。
ただし、周囲が何を口実にしているかを把握することは、学校に具体的な対策を求める際に役立ちます。「本人の特徴を直す」ことと「周囲の行為を止める」ことは分けて考えましょう。次の表は、ありがちな決めつけを、確認すべき事実に置き換えたものです。
| よくある決めつけ | 確認したいこと | 周囲に求める対応 |
|---|---|---|
| 「おとなしいから」 | 本人が嫌だと感じる言葉や行為が、いつ・どこで続いているか | 本人に言い返すことを強いる前に、教員が行為を止め、見守る |
| 「見た目や持ち物が違うから」 | 何を口実に、誰が、どのような言動をしているか | 違いを変えさせず、からかい・排除を止める |
| 「発達特性があるから」 | 特性に関する誤解や、配慮が足りない場面があるか | 本人の希望を聞き、学校の環境と支援方法を調整する |
| 「一人でいるから」 | 一人でいたいのか、仲間外れにされているのか | 本人の望む距離感を尊重し、排除があれば止める |
| 「反応するから」 | 笑っていても、後でつらさを訴えていないか | 「冗談」と片づけず、本人の苦痛を聞き取る |
学校での「いじめ」は、相手との一定の人的関係がある児童生徒から心理的・物理的な影響を受け、対象になった児童生徒が心身の苦痛を感じているものと定義されています。ネット上の行為も含まれます。言った側が「遊びだった」と説明しても、受けた側の苦痛を見落とさないことが出発点です(いじめ防止対策推進法第2条)。
集団が苦手な子への支援は集団行動が苦手な子の特徴と接し方、学校での行為への対応は子どもがいじめられたときの親の対応でも詳しく整理しています。
いじめがつらいときは、学校を離れて学ぶ選択肢もあります
いじめから距離を取り、安心できる環境で学び直す子は少なくありません。NIJINアカデミーには、いじめや不登校を経験した子どもたちが全国から通っています。
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いま、いじめられている本人へ――あなたに原因はありません
ここからは、いまつらい思いをしている本人に向けて書きます。「いじめられる人の特徴」と検索したあなたは、おそらく「自分の何がいけないんだろう」と考えてきたのだと思います。先に答えを書きます。あなたの性格・見た目・話し方が原因なのではありません。
文部科学省の令和6年度の調査では、いじめの態様でいちばん多いのは「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句」で48.0%でした。これは「される側の特徴」を表した数字ではなく、する側が選んだ行為の内訳です。相手が別の誰かを選べば、その人が対象になります。だから「自分を直せば終わる」という種類のものではありません。自分の落ち度を探す作業は、ここでいったん止めて大丈夫です。
いますぐできる3つのこと
| すること | 具体的に | |
|---|---|---|
| 1 | まず離れる | その場から離れていい。保健室、図書室、職員室、家。学校を休むのも「逃げ」ではありません。安全が最優先です。 |
| 2 | 記録を残す | 下の表のとおり、スマホのメモやスクリーンショットで十分です。あとから「証拠がない」と言われないために効きます。 |
| 3 | 誰か1人に言う | 親でも先生でもなくて構いません。電話やチャットの窓口でも大丈夫です。1人に言えたら、そこから動きはじめます。 |
記録の残し方(あとで自分を助けます)
つらいときに記録を取るのは負担ですが、「いつ・どこで・誰が・何を」のメモがあるだけで、学校や相談窓口の動き方が変わります。完璧でなくて構いません。
| 残すもの | やり方 | なぜ役に立つか |
|---|---|---|
| 日付と時間 | スマホのメモに「10/3 昼休み 教室」のように一行 | くり返し起きていることが示せる。単発の出来事として片づけられにくくなる |
| 言われた言葉 | 思い出せる範囲でそのまま書く(きれいにまとめない) | 「大したことない」と判断されにくくなる |
| SNS・チャット | スクリーンショットを保存。消される前に | ネットいじめは令和6年度に27,365件と過去最多。消えても手元に残る |
| 体調の変化 | 眠れない日・お腹が痛い日に印をつけるだけ | 心身への影響は「重大事態」を判断する材料になる |
| 相談した記録 | 誰に・いつ話したかをメモ | 対応が止まったとき、次の窓口へ進めやすくなる |
あなたが自分で相談できる窓口
| 窓口 | 連絡先 | 特徴 |
|---|---|---|
| 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省) | 0120-0-78310 | 24時間365日・無料。どの都道府県からでもつながる |
| こどもの人権110番(法務省) | 0120-007-110 | 法務局の職員・人権擁護委員が相談を受ける。受付時間は公式ページで確認 |
| チャイルドライン | 0120-99-7777 | 18歳まで。チャット相談もある |
| 違法・有害情報相談センター(総務省) | Webから相談 | ネットの書き込みを削除したいときの手順を教えてくれる |
学校に行かないという選択も、ちゃんとあります
いじめが続いている場所に通い続けることが、唯一の正解ではありません。文部科学省も、いじめから身を守るために学校を休むことや、学びの場を変えることを否定していません。実際に、学校以外の場所で学び直して進学していった子どもたちがたくさんいます。
いまの学校から離れたい場合は、フリースクールという選択肢や、自宅から顔や声を出さずに参加できるNIJINアカデミー(オンライン中心のフリースクール)もあります。在籍校と連携して出席扱いになる場合もあります。高校からやり直したい人にはニジ高という道もあります。
「どこに相談したらいいか分からない」という段階でも構いません。オンラインの相談・体験会やLINEでの相談から、話を聞くところだけ始められます。
いのちに関わるほどつらいときは、いますぐ 0120-0-78310(24時間子供SOSダイヤル)に電話してください。あなたが悪いのではありません。
公表済みの調査で見る、いじめの実態
文部科学省の令和6年度調査では、小・中・高等学校と特別支援学校のいじめ認知件数は76万9,022件でした。2026年3月公表の改訂資料では、重大事態は1,404件です。認知件数の増加は、アンケートや教育相談の充実などによって、従来見過ごされていた事案を把握しやすくなった影響も考慮する必要があります。数字を「子どもがいじめられやすくなった証拠」とは読み替えられません(文部科学省「令和6年度調査結果の概要・改訂版」)。
同調査で「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」とされた件数は2万7,365件です。対面の場だけでなく、本人が困っているメッセージや投稿がないか、本人の意向を聞きながら確認しましょう。スマホを取り上げることを先に決めず、まず安全と記録の残し方を一緒に考えてください。
令和6年度の調査で分かっていること(数字で見る)
| 項目 | 令和6年度 | 前年度 |
|---|---|---|
| いじめの認知件数 | 769,022件(過去最多) | 732,568件 |
| 児童生徒1,000人あたり | 61.3件 | 57.9件 |
| いじめを認知した学校の割合 | 83.9% | 83.6% |
| ネットいじめ | 27,365件(全体の3.6%) | 24,678件 |
| 重大事態の発生件数 | 1,404件(過去最多) | 1,306件 |
| いじめの解消率 | 76.1% | 77.5% |
実際に起きているいじめの「中身」
| いじめの態様 | 割合 |
|---|---|
| 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、いやなことを言われる | 48.0% |
| 仲間はずれ、集団による無視をされる | 19.6% |
| 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする | 13.9% |
| ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする | 9.3% |
家庭で気づける「いじめのサイン」チェックリスト
子どもが自分から「いじめられている」と言うケースは、実はそれほど多くありません。だからこそ、日常の小さな変化に気づくことが早期発見の鍵になります。実際、学校や自治体は「いじめ発見チェックシート」を公開しています(参考:福岡県「いじめの早期発見・早期対応の手引」)。そこで、以下は、それを参考にまとめたものです。
表情・態度の変化
- 笑顔が減り、元気がなく沈んでいる
- 視線を合わせようとしない、表情が乏しくなった
- イライラしやすくなった、些細なことで怒る
生活面の変化
- 朝になると「お腹が痛い」「頭が痛い」と言うことが増えた
- 食欲が落ちた、あるいは急に増えた
- 寝つきが悪い、夜中に何度も起きる
持ち物・お金の変化
- 持ち物が壊れている、なくなっている、落書きされている
- 服や上履きが汚れて帰ってくることが増えた
- 説明のつかないお金の使い方や、お金を欲しがるようになった
友人関係・スマホの変化
- 遊ぶ友達の名前を聞かなくなった、一人で過ごす時間が増えた
- スマホやSNSを見たあとに表情が暗くなる
- グループから外されたような会話の様子が見られる
一つひとつは些細なことでも、複数のサインが重なっている場合は注意が必要です。そのため、「最近様子が違うな」と感じたら、それだけで十分に話を聞くきっかけになります。
| 変化の領域 | 気づきたいサインの例 |
|---|---|
| 表情・態度 | 笑顔が減り沈んでいる/視線を合わせようとしない・表情が乏しい/些細なことで怒りやすい |
| 生活面 | 朝に「お腹が痛い・頭が痛い」と言うことが増えた/食欲が落ちた、あるいは急に増えた/寝つきが悪い・夜中に何度も起きる |
| 持ち物・お金 | 持ち物が壊れている・なくなる・落書きされている/服や上履きが汚れて帰る/説明のつかないお金の使い方やお金を欲しがる |
| 友人関係・スマホ | 遊ぶ友達の名前を聞かなくなった・一人で過ごす時間が増えた/スマホやSNSを見たあと表情が暗くなる/グループから外されたような様子 |
子どもから相談されたときの対処法
ステップ1:最後まで話を聞き、否定しない
「それは辛かったね」「よく話してくれたね」と、まずは気持ちを受け止めましょう。一方で、「あなたにも原因があるのでは」といった言葉に気をつけてください。なぜなら、励ますつもりでも、子どもを深く傷つけることがあるからです。場合によっては、二度と話してくれなくなる可能性もあります。
ステップ2:事実を整理する(誰が・いつ・どこで・何を)
いつ、どこで、誰から、どのようなことをされたのかを、できる範囲でメモしておきましょう。また、日付や状況を記録しておきましょう。これは、後で学校に相談する際にも、重大事態として扱う際にも、重要な資料になります。
ステップ3:すぐに学校に連絡し、対応を依頼する
担任や学年主任、スクールカウンセラーに連絡し、状況を伝えましょう。実際、いじめ防止対策推進法では、学校に組織的な対応をとる義務があります。つまり、いじめの相談を受けた場合は、必ず対応しなければなりません。もし学校の対応が不十分な場合は、教育委員会や下記の相談窓口も活用してください。
「子ども同士のことだから」と様子を見すぎることに注意しましょう。また、子どもに無断で加害者の家庭に直接連絡することや、子どもを責めるような言葉をかけることも避けてください。これらは状況を悪化させる可能性があります。そのため、まずは子どもの安全と気持ちを最優先にしましょう。なお、専門機関と連携しながら対応することが大切です。
| ステップ | 家庭でできること |
|---|---|
| 1. 最後まで話を聞く | 話を遮らず「それは辛かったね」「よく話してくれたね」と気持ちを受け止める。「あなたにも原因があるのでは」といった言葉は避ける |
| 2. 事実を整理する | いつ・どこで・誰から・何をされたのかを、できる範囲でメモ。日付や状況を記録しておく |
| 3. 学校に連絡する | 担任・学年主任・スクールカウンセラーに連絡し対応を依頼。対応が不十分なら教育委員会や相談窓口も活用 |
| 避けたいNG対応 | 「子ども同士のこと」と様子を見すぎる/子どもに無断で加害者の家庭に連絡する/子どもを責めるような言葉をかける |
相談先・専門機関の活用法
- 担任の先生・スクールカウンセラー:最初の相談先として、学校での様子や対応方針を確認しましょう。
- 24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310):文部科学省が整備する全国共通の窓口です。そのため、夜間・休日を含め24時間、通話料無料で相談できます(参考:文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」)。
- こどものSNS相談窓口:電話が苦手な子どもでも、LINEやチャットで相談できる窓口が各自治体で整備されています。
- 教育委員会・法務局の子どもの人権110番:学校の対応に納得できない場合の相談先になります。
- 児童精神科・発達外来:発達障害が背景にある場合は、専門医に相談することで、子どもに合った関わり方のヒントが得られます。
相談先は数多くありますが、「今どんな状態か」で使い分けると迷いません。下の早見表から、いまの状況に近いものを選んでください。
| こんなとき | 相談先 | 連絡方法 |
|---|---|---|
| まず学校での様子を知りたい | 担任・スクールカウンセラー・学年主任 | 連絡帳やメールで面談を申し込む |
| 夜間・休日にすぐ話したい | 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省) | 0120-0-78310/24時間・通話料無料 |
| 電話が苦手/子ども本人が相談したい | こどものSNS相談窓口(自治体・NPOが運営) | LINE・チャット。お住まいの自治体の窓口から |
| 学校の対応に納得できない | 法務局「子どもの人権110番」(法務省)/教育委員会 | 0120-007-110/平日8:30〜17:15 |
| 暴力・金銭要求など犯罪の疑いがある | 警察(相談は#9110/急を要するときは110) | 電話。記録や写真があれば持参する |
| 家庭の状況もあわせて心配 | 児童相談所虐待対応ダイヤル(こども家庭庁) | 189/24時間・通話料無料 |
| 発達障害が背景にありそう | 発達障害者支援センター(全国一覧)・児童精神科 | 各センターへ電話予約 |
いじめ防止の制度そのものについては、文部科学省「いじめ対策」に、法律や学校が取るべき対応がまとまっています。学校に相談する前に目を通しておくと、話がすれ違いにくくなります。
いじめがつらくて学校に行きたくない場合の選択肢
いじめが原因で「学校に行きたくない」という気持ちが強くなることは、決して珍しくありません。実際、文部科学省の令和6年度調査によると、小・中学校の不登校児童生徒数は35万人を超えました。これは、12年連続の増加です。つまり、学校に通うことだけが唯一の正解ではありません。
フリースクール・オルタナティブ教育という選択肢
フリースクールやオルタナティブスクールは、いじめなどで学校がつらくなった子どもの「居場所」になります。また、学びを継続する場としても機能します。さらに、学校長の判断により「出席認定」を受けられるケースもあります。なお、発達障害に合わせた個別カリキュラムを提供するオルタナティブスクールも増えています。そのため、合う環境を見つけることで、子どもが安心して過ごせるようになることもあります(参考:全国のフリースクールを探す|にじいろ、不登校に発達障害が多い理由とは?親ができる環境選び)。
実際に、いじめや不登校を経験して学校の外で過ごし始めた子どもたちが、どう変わっていくのか。オルタナティブスクールでの様子を動画でご覧いただけます。
クラス替え・転校という選択肢
同じ学校の中で距離を置くことが難しい場合もあります。その際は、学校に相談してクラス替えや席の配慮を依頼する方法があります。また、状況によっては、転校を検討するという選択肢もあります。いずれにしても、子どもの安全と心の健康を最優先に考えましょう。つまり、無理に元の環境に戻すことを目的にしない判断が大切です。
いじめがつらいときは、学校を離れて学ぶ選択肢もあります
いじめから距離を取り、安心できる環境で学び直す子は少なくありません。NIJINアカデミーには、いじめや不登校を経験した子どもたちが全国から通っています。
NIJINアカデミー
「ALL HAPPY」を掲げ、自分が幸せになる力・人を幸せにする力を育てる、日本最大級のオルタナティブスクール(小中一貫)。累計1,000名以上が入学。
無料体験・説明会を見る ▶入会前の相談・見学だけでも大丈夫です。まずはお子さんの様子をお聞かせください。
小学生のいじめは、学年によって形が変わります
「小学生のいじめ」とひとことで言っても、低学年・中学年・高学年でまったく違う見え方をします。ここを知らないまま高学年のイメージで低学年の子を見ると、目の前で起きていることを見落としてしまうことがあります。
| 学年 | 起きやすい形 | 子どもの言い方 | 家庭で気づきやすいサイン |
|---|---|---|---|
| 小1〜小2 (低学年) | 叩く・押す・物を隠すなど、その場の衝動によるものが多い。本人も「いじめ」という言葉を持っていない | 「〇〇くんがいじわるする」「学校やだ」 | 登校前におなかが痛くなる/持ち物がなくなる・壊れている/特定の名前を口にしなくなる |
| 小3〜小4 (中学年) | グループができ始め、「仲間はずれ」「無視」が出てくる。大人からは見えにくくなる | 「べつに」「なんでもない」 | 休み時間の話をしなくなる/急に友だちの名前が変わる/「行きたくない」の理由を言わない |
| 小5〜小6 (高学年) | 言葉によるもの、SNSやオンラインゲーム上のやりとりが加わる。関係が固定化しやすい | 何も言わなくなる | スマホを見た後に表情が変わる/持ち物や服装を急に気にする/夜眠れない・朝起きられない |
「1年生のいじめ」は、どこからがいじめなのか
保護者からいちばん多い迷いが「これはいじめなのか、子ども同士のけんかなのか」です。判断の基準は、実は法律に書かれています。
いじめ防止対策推進法における「いじめ」の定義
いじめ防止対策推進法(e-Gov法令検索)第2条は、いじめを「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」と定めています。
つまり基準は「本人が苦痛を感じているかどうか」です。回数、悪意の有無、加害側の意図は、定義には入っていません。「1回だけだから」「ふざけていただけだから」で外れるものではない、ということです。小学1年生でも、この定義はまったく同じように当てはまります。
だからこそ、親が「これはいじめかどうか」を先に判定する必要はありません。苦痛を感じていると子どもが言っているなら、それだけで学校に相談してよい状態です。学校側にも、いじめ防止対策推進法(e-Gov法令検索)によって組織的に対応する義務があります。
「いじめて、いじられて」——する側とされる側は入れ替わります
この記事を「いじめられやすい子の特徴」を知りたくて読んでいる方に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。いじめは「する子」と「される子」がずっと固定された関係ではありません。
国立教育政策研究所が公開している生徒指導リーフは、いじめの未然防止について「一部の特別な子どもだけの問題として扱わない」という考え方を前提に組み立てられています(国立教育政策研究所 生徒指導リーフ「いじめの未然防止Ⅰ」(PDF))。だれもが被害の側にも加害の側にもなりうる——だから特定の子を探し出して指導するのではなく、学級という場そのものに働きかける、という発想です。実際、同じ子が学年や集団が変わったとたんに立場が入れ替わることは、教育現場ではよく語られます。
| よく言われること | 実際に背景にあることが多いもの | 大人ができること |
|---|---|---|
| もともと乱暴な性格 | 自分が家庭や部活で強い圧を受けていて、その向け先を探している | 加害側の子の背景にも大人の支援が要る、と考える |
| 意地悪な子 | 集団の中で自分の位置が不安定で、「誰かを下に置く」ことで安心を得ている | 席替え・班編成など、集団の組み方そのものを見直してもらう |
| 面白がっているだけ | 「いじり」と「いじめ」の境目が本人の中で曖昧になっている | 本人が苦痛を感じていれば、それはいじめだと明確に伝える |
| 一部の子だけの問題 | 傍観していた多数の子が、場の空気をつくっている | 観衆・傍観者を含めた学級全体への働きかけを学校に依頼する |
お子さんが「いじめる側」として名前が挙がったときも、責め立てるより先に、その子が何にしんどくなっているのかを見にいってください。加害と被害が入れ替わることがあるという事実は、どちらの側の子にとっても救いになりうる情報です。
女の子のいじめが見えにくいのはなぜか
「いじめられる人の特徴 女性」と検索する方が多いのですが、性別によって「いじめられやすい性格」があるわけではありません。違うのは、性格ではなくいじめの形です。
| 表に出やすい形 | 大人からの見えやすさ | 本人が受けるダメージの出方 | |
|---|---|---|---|
| 身体的な形が中心のとき | 叩く・押す・物を壊す | 見えやすい(あざ、壊れた持ち物) | その場で発覚しやすく、対応が始まりやすい |
| 関係性の中で起きるとき | 無視、仲間はずれ、うわさを流す、SNSのグループから外す | とても見えにくい(一見すると仲良く見える) | じわじわ長く続き、自己否定につながりやすい |
後者は「関係性攻撃」と呼ばれることがあり、教室の中では“仲良しグループ”に見えてしまうのが厄介なところです。傷跡も持ち物の破損も残らないため、担任の先生でも把握が難しいことがあります。
関係性の中で起きるいじめに気づくための問いかけ
- 「今日は誰と給食食べたの?」——人の名前が急に変わっていないか
- 「休み時間なにしてた?」——「ひとりで本読んでた」が続いていないか
- スマホを置いたあとの表情が変わっていないか
- 家で急にきょうだいに強く当たるようになっていないか(外で受けたものが家に出ることがあります)
問い詰めるのではなく、雑談の中で聞くのがこつです。「いじめられてるの?」と直球で聞くと、多くの子は「ちがう」と答えます。
大人になってから「あれはいじめだった」と気づくことがあります
「過去にいじめられた人の特徴」「いじめられてた人はわかる」といった言葉で検索される方の多くは、ご自身の経験を確かめようとしているのだと思います。
まず書いておきたいのは、いじめを受けた経験がある人を外見や性格から見分けられる、という科学的な根拠はありませんということです。「わかる」と言われるものの多くは、思い当たる人が自分の記憶を重ねて感じているものです。
経験として語られることが多いもの
- 人の顔色を読むのが速い(安全を確かめる習慣が残っている)
- 集団の中で自分の立ち位置を先に確認してしまう
- ほめられても素直に受け取りにくい
- 特定の場所・季節・においで、当時の感覚が戻ってくることがある
- 自分の子どもが同じ学年になったときに、強い不安が出る
これらは「性格の欠点」ではなく、危険な環境を生き延びるために身につけた反応です。ご自身を責める材料にしないでください。いま強いつらさが続いている場合は、厚生労働省「こころもメンテしよう」困ったときの相談先に、大人が使える相談先がまとまっています。
そして、お子さんのことでこの記事にたどり着いた方へ。ご自身の経験が強く戻ってくるときは、それを子どもに重ねすぎないほうが、結果として子どもを助けられます。「私のときはこうだった」ではなく、「あなたはいまどう感じている?」から始めてみてください。
大人の「いじめられやすい人」は?――職場のいじめと子どものいじめ、法律と相談先の違い
「いじめられやすい人」と検索すると、職場での悩みを書いた記事も多く出てきます。大人になってから職場でつらい思いをしている方、そして「自分の子も同じ目にあうのでは」と心配している保護者の方のために、子どものいじめと大人の職場いじめが、法律上どう扱われているかを一次資料で並べました。どちらも「される側の性格」を問題にする仕組みにはなっていません。
| 子ども(学校)のいじめ | 大人(職場)のいじめ・パワハラ | |
|---|---|---|
| 根拠になる法律 | いじめ防止対策推進法(平成25年) | 労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法。中小企業も2022年4月から義務) |
| 判断の軸 | 行為を受けた子どもが「心身の苦痛を感じているもの」(第2条)。される側の感じ方が基準 | 優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、就業環境が害されるもの |
| 対応する義務があるのは | 学校・学校の設置者(組織的な対応、重大事態の調査など) | 事業主(相談窓口の設置、事実確認、再発防止などの措置) |
| どれくらい起きているか | 令和6年度のいじめ認知件数 769,022件(文部科学省) | 過去3年間にパワハラを受けた労働者 19.3%(厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査」令和5年度、労働者8,000人の調査) |
| 無料の相談先 | 24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310、学校・教育委員会 | 都道府県労働局の総合労働相談コーナー、厚生労働省「あかるい職場応援団」 |
働く人のおよそ5人に1人が、過去3年のうちにパワハラを受けたと答えています。「どこに行ってもいじめられる」と感じるとき、それは本人の性格の問題というより、止める仕組みが働いていない環境が多いことの表れでもあります。子どもの場合と同じく、まず記録を残し、社内の窓口か総合労働相談コーナーに相談してください。
保護者の方へ。ご自身が職場でつらい状況にあると、子どもの小さな変化に気づく余裕がなくなりがちです。子どものことだけでなく、ご自身の相談先も同じくらい大切です。お子さんが学校に行けなくなったときの学び場については、フリースクールの選び方ガイドや、家から参加できるNIJINアカデミー(にじいろを運営する株式会社NIJINのオンラインスクール・出席扱いの相談に対応)もあります。
子どもと大人の相談先を確認する
- 24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310(24時間・全国共通・無料。子ども本人からも保護者からも)— 文部科学省「子供のSOSの相談窓口」(24時間子供SOSダイヤル)
- こどもの人権110番 0120-007-110(法務局・平日8:30〜17:15)— 法務省「こどもの人権110番」
- チャイルドライン(18歳までの子どものための電話・チャット)(18歳まで・電話とチャット)
- 厚生労働省「こころもメンテしよう」困ったときの相談先(保護者・大人向けの相談先)
- 学校のスクールカウンセラー、市区町村の教育相談室、教育支援センター
学校の対応に納得がいかないときは、設置者(市区町村・都道府県の教育委員会)に直接相談できます。いじめ防止対策推進法(e-Gov法令検索)は、重大事態にあたる場合の調査についても定めています。文部科学省「いじめの問題に対する施策」と文部科学省「いじめ問題を含む子供のSOSに対する文部科学省の取組」に、制度と窓口がまとまっています。
この追記で参考にした公的資料
- いじめ防止対策推進法(e-Gov法令検索)
- 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」
- 文部科学省「いじめの問題に対する施策」
- 文部科学省「いじめ問題を含む子供のSOSに対する文部科学省の取組」
- 文部科学省「いじめの問題に対する取組の徹底について」
- 国立教育政策研究所 生徒指導リーフ「いじめの未然防止Ⅰ」(PDF)
- 国立教育政策研究所 生徒指導リーフ Leaf.22(PDF)
- 国立教育政策研究所
- 文部科学省「子供のSOSの相談窓口」(24時間子供SOSダイヤル)
- 法務省「こどもの人権110番」
- チャイルドライン(18歳までの子どものための電話・チャット)
- 厚生労働省「こころもメンテしよう」困ったときの相談先
上記URLはすべて2026年8月25日にアクセスを確認しました。本記事は情報提供であり、個別の状況への助言に代わるものではありません。
よくある質問
いじめられる人に共通の特徴はありますか?
「このタイプだからいじめられる」という決まった特徴はありません。いじめの対象は学級の人間関係や状況によって変わり、どの子にも起こりえます。おとなしい、発達障害がある、持ち物が違うといった点が口実にされることはありますが、それは本人の落ち度ではなく、周囲の側の課題です。特徴が当てはまるかどうかではなく、表情・生活・持ち物などの日常の変化を手がかりにしてください。
子ども側にいじめの原因があるのですか?
いいえ。いじめを受けた子どもに責任はありません。性格や発達障害などを理由に本人を変えようとせず、周囲の大人が行為を止め、安全を確保し、必要な支援につなげてください。
子どもが「いじめられていない」と言うのに様子がおかしいときは?
子どもなりに「心配をかけたくない」「言いたくない」という気持ちがあることが多いです。そのため、無理に聞き出そうとしないでください。代わりに、「いつでも話してね」「あなたの味方だよ」と伝えながら、日々の様子を見守り続けましょう。なお、表情や生活面の変化が続く場合は、スクールカウンセラーなど第三者への相談も検討してください。
発達障害のある子どもへの予防的な配慮はありますか?
ASDやADHDの特性がある子どもは、コミュニケーションの違いから誤解を受けやすい傾向があります。そのため、学校と連携することが大切です。例えば、座席配置やグループ分けへの配慮、ソーシャルスキルトレーニングの活用などを相談すると、いじめの予防につながる場合があります。
学校に相談しても対応してもらえない場合はどうすればいいですか?
担任だけでなく、学年主任や教頭、スクールカウンセラーにも相談しましょう。それでも改善しない場合は、学校外の窓口に相談できます。例えば、教育委員会や法務局の「子どもの人権110番」、24時間子供SOSダイヤルなどです。なお、記録を残しておくと、その後の対応がスムーズになります。
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まとめ:いじめを受けた子どもに責任はありません
いじめは誰にでも起こり得ます。性格や発達障害、見た目などを理由に被害を受ける側へ責任を求めてはいけません。本人に行動の変更を求める前に、周囲の大人がいじめを止め、安全を確保し、必要な支援を整えることが重要です。
大切なのは、日々の小さな変化に気づくことです。そして、子どもの話を否定せずに受け止め、学校や専門機関と連携しながら、早めに対応しましょう。なお、いじめアンケートや教育相談の時期は、家庭でも改めて子どもの様子を確認する良いタイミングといえます。
もし学校に行くこと自体がつらくなってしまった場合は、学校以外の選択肢もあります。例えば、フリースクールやオルタナティブ教育など、子どもに合った場を知っておいてください。そして、子どもが安心して過ごせる場所を、焦らず一緒に探していきましょう。
あなたは、一人じゃありません
学校に行けない毎日は、不安でいっぱいですよね。でも、その先の道はいくつもあります。今の気持ちに近いものから、そっとのぞいてみてください。
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