この記事は「場面緘黙症の子どもの才能を伸ばす!親ができることは「できること」に目を向けた支援」と題してお届けしていきます。
場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)の子どもは、家族や親しい友人とは気軽に話せるのに、特定の場面で言葉が出なくなるということがあります。
誤解されることも多いのですが、自分の意思で「話さない」のではなく、話したくても「話せない」という状態です。
一方で、場面緘黙症の子どもは、言葉以外の面で優れた才能を持つことも少なくありません。
大切なのは、「話せないこと」に注目するのではなく、「できること」を伸ばしていくことです。
本記事では、場面緘黙症の子どもの特徴を理解しながら、親ができることについて詳しく解説します。
▲不登校オルタナティブスクール小中一貫校『NIJINアカデミー』星野達郎が解説!▲

本人も基本的には喋りたいのに、言葉が出ないんだよね。
場面緘黙症とは?


まずは場面緘黙症についての基本を押さえておきましょう。
場面緘黙症の定義と特徴
場面緘黙症とは、特定の場面において話したくても話せなくなる症状のことを指します。
これは単なる「恥ずかしがり屋」や「内気」とは異なり、心理的な要因によって言葉が出なくなる状態です。
場面緘黙は、以下のように定義されています。
場面緘黙は、脳の損傷や先天的異常などの不可逆的・恒久的な器質障害ではなく、社交不安症 (social anxiety disorder) の一つとして考えられる症状である。
引用:日本場面緘黙研究会
場面緘黙の診断基準としては、まず家庭などでは話すことができるが、学校などの社会的な場で1ヶ月以上にわたって話すことができず、社会生活に影響を及ぼしている状態
引用:リタリコジュニア場面緘黙(選択性緘黙)とは?
場面緘黙症の子どもには、以下のような行動が見られます。
- 家庭では普通に話せるが、学校では無言になる
- 先生に質問されても答えられない
- 特定の友達とは話せるが、大勢の前では話せない
場面緘黙症の発症時期
場面緘黙症(選択性緘黙症)は、主に2~5歳ごろに発症する傾向があります。
ただし、小学校や中学校以降に症状が現れるケースもあります。
なぜ学校では場面緘黙症が目立ってしまう?


場面緘黙症の子どもは、家庭外での社会的な活動が増える幼児期から小学校低学年の頃に気付かれることが多い疾患です。
それでは、なぜ学校では場面緘黙症が目立ってしまうのかについて解説していきます。
学校は口頭的コミュニケーションが非常に多いから
学校は会話によるコミュニケーションが重要視されています。
本来コミュニケーションには、表情やジェスチャーなど様々なものがあります。
にもかかわらず、学校では「うまく喋れる」「人と会話ができる」ことを最上位のコミュニケーションとして位置付けていることがあげられます。
先生の質問に口頭で答えられないことは、とても恥ずかしいことのように感じられてしまう学校特有の文化があります。
同質性が高い集団の中で目立ってしまうから
学校のクラスメイトは、同じ年齢、同じ地域で集まったという同質性の高い集団です。
そこで話せる子がほとんどの中で話せない子がいると、「なんで話さないの?」と思われてしまう傾向にあります。
人間には本能的に違いを見つける能力があるので、違いに気づくことは子どものせいではありません。
もし仮に、場面緘黙症の子が40人いて、話せる人が1人だったら、話せる子の方が目立つでしょう。
話せる子は、話せないことが理解できないこともしばしば。
親切に話しかけているつもりだったのに、返事がないと無視されたと傷ついてしまうこともあるかもしれません。
例えばクラスメイトが色んな地域の人、異年齢の人など色々な特徴を持っていると、自分と違うことが当たり前ととらえることができるようになります。
このように日本の学校は同質性が高いので、どうしても目立ってしまうということがあるようです。
場面緘黙症の子どもが持つ才能と伸ばし方


場面緘黙症の子どもは、言葉以外の面で優れた才能を持つことが多いです。
親は「話せないこと」ではなく、「できること」に目を向け、子どもの可能性を広げるサポートをしていくことが大切です。
観察力や分析力が高い
場面緘黙症の子どもは、周囲の状況をよく観察し、細かい変化にも敏感です。
この能力は、研究や分析が求められる分野で活かせる可能性があります。
また、物事を深く考えることが得意な子も多く、問題解決能力や論理的思考力が高いことがあります。
創造的な表現が得意
言葉ではなく、絵や文章、音楽などを通じて自己表現するのが得意な子どもが多いです。
例えば、自由にイラストを描いたり、物語を書いたりすることで、自分の気持ちを伝えやすくなることがあります。
音楽やダンスを通じて感情を表現することも、心の安定につながるでしょう。
集中力があり、一つのことに没頭できる
好きなことに対して強い集中力を発揮することが多く、プログラミングやアート、デザインなどの分野で才能を伸ばせる可能性があります。
特に、細かい作業が得意な子どもは、ゲーム制作やプログラミングに興味を持つことが多いです。
場面緘黙症の子どもの才能を伸ばすために親ができること


場面緘黙症の子どもの才能を伸ばすために、親ができる具体的な支援方法を紹介します。
創造力を活かす活動を取り入れる
自由に絵を描いたり、日記や物語を書くことで自己表現を促せます。
また、音楽やダンスなど、言葉を使わない表現方法を取り入れることで、自己肯定感を高めることができます。
得意なことを伸ばす機会を増やす
アートやデザインに興味がある場合は、コンテストへの参加を促すのも良い方法です。
文章を書くのが好きなら、創作活動をサポートしたり、オンラインで作品を発表する機会を作るのも効果的です。
また、プログラミングやゲーム制作が得意な場合は、ロボット教室やオンライン講座を活用すると良いでしょう。
言葉以外のコミュニケーションを大切にする
ジェスチャーやアイコンタクトを活用したり、絵カードや手紙を使ったやりとりを取り入れることで、子どもが自信を持てるようになります。
無理に話させようとせず、子どものペースを尊重することが何よりも重要です。
安心できる環境を整える
子どもが安心して過ごせる環境を作ることで、自己表現の幅が広がります。
家庭ではリラックスできる空間を整え、学校では先生と連携して適切なサポートを受けられるようにしましょう。
学校や社会でのサポート:場面緘黙症の子どもが安心できる環境づくり


学校や社会では「話すこと」が重要視されがちですが、場面緘黙症の子どもが安心できる環境を作ることが何より大切です。
そのために、親や周囲の大人ができることを考えましょう。
学校の先生と連携して支援を考える
学校の先生と連携し、子どもに無理のない支援を行うことが大切です。
例えば、先生が「話さなくてもいい環境」を作ることで、子どもが安心して授業を受けられるようになります。
最近では、タブレットでの文字での書き込みなど、話す以外のコミュニケーションも可能になりつつあります。
発表の方法を工夫し、負担を減らす
授業で発表が必要な場合は、本人に合った方法を考えましょう。
例えば、口頭ではなく、事前に録音した音声を流す、作文を提出するなどの工夫ができます。
子どもに合った友人関係のサポートをする
子どもにとって安心できる友人関係を作ることも重要です。
無理に多くの友達を作るのではなく、理解のある友達と関係を深めることが大切です。
まとめ:場面緘黙症の子どもの才能を伸ばすために親ができること


この記事は「場面緘黙症の子どもの才能を伸ばす!親ができることは「できること」に目を向けた支援」と題してお届けしてきました。
場面緘黙症の子どもは、「話せない」ことで誤解されがちですが、その分、他の才能を持っています。
親ができることは、子どもの才能に目を向けること。
子どもの自己肯定感を高めるサポートをしていきましょう。
NIJINアカデミーでは、下記のような理由で場面緘黙の子どもものびのびと過ごせています。
- 異なる特性を持つ子どもが多く集まるため、多様性が当たり前になっている。
- 違いを受け入れる環境が整っているため、場面緘黙症の子が特別視されにくい。
- 文字でのコミュニケーションも多いため、場面緘黙症の子が特別視されにくい。
学校では目立って、委縮してしまう…という場合は、お子さんが輝ける他の居場所を探してみるのも良いかもしれません。
お子さんの素晴らしい才能を潰すことなく、ぜひ大切に育てていきましょう!
▼NIJINアカデミーについて詳しく知りたい方はこちら▼

