作文が書けない小学生へ|学年別5手順と学校相談

原稿用紙を前に止まっても、怠けや能力不足と決める必要はありません。題材を選ぶ、材料を出す、順序を決める、一文にする、見直す——作文を工程に分け、止まった場所だけを小さく支えます。

窓辺の机に白紙の作文用紙、三枚の白紙カード、鉛筆、葉と小石を置いた様子のイメージ

いきなり長文を書かず、話したい材料を先に集めます。
目次

今日の結論:最初から全部を直さない

1 止まる場所
題材、材料、順序、一文、見直しのどこかを確認。
2 方法を選ぶ
話す、指さす、絵、カード、短いメモも材料集め。
3 一つで終える
今日は材料三つ、次は一文など終了点を見せる。

文字を書くときの強い痛み、見え方の急な変化、読み書き全般の強い負担などが続く場合は、記事だけで判断せず学校や医療機関へ相談してください。

作文を5工程に分ける

作文の題材、材料、順序、一文、見直しの五工程
診断や点数判定のチェック表ではありません。支える場所を探すための整理です。
止まる工程 見える事実 支援の例
題材 「何を書けばいいか分からない」 二、三の選択肢から本人が選ぶ
材料 出来事を思い出せない 話す、写真ではなく物を見る、カードを使う
順序 話せるが並べられない 三枚のカードを動かす
一文 言葉はあるが手が止まる 口頭で一文を作ってから短く書く
見直し 直しが多くて嫌になる 内容と表記を同時に直さず一項目だけ

原稿用紙より先に材料を三つ

白紙カード三枚と家、自転車、ハート形の小物、白紙ノートを並べた机のイメージ

見たこと、したこと、思ったことを一つずつ選びます。
見たこと、したこと、思ったことの三つから作文材料を集める図
感想を無理に聞き出さず、話せる範囲を本人が選びます。
  1. 「どこ」「何をした」「一番残ったこと」から一つずつ聞く。
  2. 大人が文章を作らず、本人の短い言葉をカードへ置く。
  3. 三枚を本人が並べる。
  4. 一枚につき一文だけ下書きする。
  5. 今日はどこまでかを先に決める。

学習量と方法を学校へ相談する

大人の手が白紙カード四枚を作文用紙の横へ並べている様子のイメージ

原因や診断名ではなく、止まる工程と試す方法を共有します。
作文課題の学習目標、止まる工程、量と方法、確認日を示す図
「全部書く」か「免除」かの二択にせず、学習目標に合わせて相談します。

例:「出来事は話せますが、材料を並べて一文にする前で40分以上止まります。まず三枚のカードで構成し、本文量を短くして内容を伝える方法を2週間試せますか。課題の学習目標と、次に確認する日も教えてください。」

課題の量や評価は学校が一律に変えるものではありません。本人の状況、授業の目標、学校の運用を共有し、短期間試して振り返ります。

家庭で避けたいこと

  • 大人が立派な文章を代筆し、本人の言葉を消す。
  • 内容、字形、誤字、句読点を一度に直す。
  • 兄弟や同級生と文字数・速さを比べる。
  • 作文だけで診断名や将来の力を推測する。
  • 教材やサービスを唯一の解決策として先に勧める。

学年に合わせて、本人が担う部分を変える

作文支援の具体例
場面 大人がしてよい支援 本人が決める部分
低学年・出来事を話せる 「いつ・どこ・だれ・何をした」のカードを見せ、話した言葉を短くメモする 使うカードと文の順番を選び、自分の言葉で一文にする
高学年・材料が多すぎる 出来事・気持ち・理由を付箋に分け、段落の候補を並べる 残す材料、段落順、表現を決める
書字で止まる 音声入力、代筆、キーボード等を学校と相談し、内容を考える負荷と書く負荷を分ける 入力後の文を読み、本人の意図と合うか直す

境界:大人は問いと選択肢、本人の発言の記録までにし、完成文を先回りして渡しません。読む・書く困難が作文以外でも続く、強い苦痛や長時間の停止が続く場合は、担任・特別支援教育コーディネーター等へ場面記録を持って相談します。

学校へ伝える相談例に戻る 読み書き全般の相談先を確認する

2週間試した後の見直し

作文の支援を始めたら、文字数や完成だけで評価せず、材料を自分で選べたか、順序を保てたか、一文を作る負担、書字の疲労や痛み、本人がその方法を続けたいかを短く記録します。

判断 確認する状態 次の対応
継続 内容を伝えやすくなり、疲労・痛みが悪化せず、本人も続けたい 対象課題と期間を決め、次回相談日まで継続
変更 一部は助かるが、材料・構成・入力方法・課題量の別の負担が残る 一度に全部変えず、一つの条件を変更して再確認
中止 苦痛や疲労が強まる、本人の言葉が失われる、本人が望まない 方法を止め、別の支援や相談先を検討

開始時に「2週間後」など次回相談日を決め、本人・家庭・学校で同じ観察項目を見直します。

学校だけで決めにくいとき

まず担任へ止まる工程と試した方法を共有し、必要に応じて特別支援教育コーディネーター、養護教諭、校内委員会へ相談します。校内だけで整理しにくい場合は、市区町村・都道府県の教育相談や特別支援教育窓口へ進みます。地域ごとに名称・対象・受付方法が異なるため、都道府県・地域別の不登校相談先を地域の相談入口として確認できます。

作文の一場面だけで診断や原因を断定しません。急な見え方の変化、強い痛み、手や身体を動かしにくい状態がある場合は、作文支援より先に養護教諭や医療機関へ相談してください。

一次資料

関連情報

書字困難を別の角度から理解する

これらは診断や医療の代わりではなく、記事や動画だけで個別の原因・状態を断定するものではありません。本人の困り方と学校環境を具体的に確認する補助情報として利用してください。

この記事の内容を確かめるための一次資料

学校とのやりとりは、担任個人の考え方に左右されやすい部分です。だからこそ国が学校に何を求めているかを知っておくと、話が噛み合いやすくなります。「認めてください」ではなく「要件を満たすには何を用意すればよいですか」と聞くのが、実務上いちばん通ります。

下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。

このテーマに関わる公的資料
資料 何がわかるか
文部科学省「生徒指導提要」 学校の生徒指導の基本方針(改訂版)
文部科学省「スクールカウンセラー等活用事業」 SC・SSWの役割と配置の考え方
文部科学省「就学援助」 学用品費・給食費などの経済的支援
文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針
同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件
同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) 自宅学習を出席扱いにする7つの要件
文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件
文部科学省「COCOLOプラン」 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策
文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 全国1,045市区町村の公式相談窓口
教育機会確保法(e-Gov法令検索) 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている
こども家庭庁「子育て支援」 子育て世帯が使える支援制度の全体像
国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料

学校に相談するときの進め方

1

① 支援の目標をすり合わせる

「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。

2

② 具体的な場所を挙げる

「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。

3

③ 出席扱いの要件を一緒に確認する

「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。

4

④ 決めたことを記録に残す

面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター全国1,045市区町村の窓口一覧

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先 聞けること 費用 向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー) 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 無料 まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村) 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い 原則無料 学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間) 体験活動中心の居場所、少人数の学び 月1〜5万円程度 興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 スクールにより異なる 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科) 体の不調の背景、診断と治療 保険診療 睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル 子ども本人・保護者どちらの相談も 無料・24時間 いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。


学校に伝えるときの文例

言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。

① しばらく休むことを伝える

いつもお世話になっております。◯年◯組の◯◯の保護者です。
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。

毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

② 配慮をお願いする

◯◯は、教室の人数と音の多さで疲れてしまうことが多いようです。
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。

「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。

③ 出席扱いについて相談する

学校外での学びについてご相談させてください。
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。

ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。

④ 面談のあとに送る確認メール

本日はお時間をいただきありがとうございました。
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。

口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

伝える相手の順番

担任で止まっていると感じたら、学年主任 → 生徒指導主事 → 教頭・校長 → 市区町村の教育委員会(教育相談室)の順に相談先を上げてください。感情的にならず、これまでの経緯と依頼内容を時系列で整理して伝えるのが最短です。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

この記事のテーマについて、よく寄せられる質問

同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。

Q. 担任と話が噛み合いません

A. 「認めてください」ではなく「要件を満たすために何を用意すればよいですか」と聞き方を変えると通りやすくなります。それでも動かない場合は、学年主任・管理職・市区町村の教育委員会(教育相談室)へ相談先を上げてください。

Q. 毎日の欠席連絡がつらいです

A. 連絡方法は相談できます。「しばらく休むので、こちらから連絡がない日は欠席とみなしてください」と最初に合意しておくと、毎朝の負担がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

Q. 保健室登校や別室登校は出席になりますか?

A. なります。校内で過ごした時間は在籍校の判断で出席として扱われるのが一般的です。保健室登校についてもあわせてご覧ください。

Q. 学習の遅れが心配です

A. 学校外での学習も、計画や内容が教育課程に照らし適切と判断されれば成績評価に反映できることが2024年8月の制度改正で明確になりました。詳しくは教育機会確保法の記事にまとめています。

Q. 面談で何を話せばいいですか?

A. ①いまの状態、②してほしい配慮を具体的に、③出席扱いの取り扱い、の3点に絞ると進みます。面談後に「本日確認したこと」をメールで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

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