「今年から中学生になる息子は、文字が書けません。高校進学は可能でしょうか?」
YouTubeのコメント欄に届いた、ある保護者からの相談。
息子さんは“読む”ことはできるものの、“書く”ことに強い困難がある。
小学校ではノートを取ることを強要され、iPadで板書を撮影することすら認められなかった。
そして4年生から完全不登校になったという。
この相談に対し、タツロー校長はこう語る。
タツロー校長まず、全然大丈夫です。むしろ、ディスレクシアの子は学校に無理して合わせない方がいいこともある。
この記事では、“読み書きが苦手な子”として片付けられがちな「ディスレクシア」と、不登校との関係、そしてこれからの時代の学び方・生き方について掘り下げていく。
ディスレクシアは「努力不足」ではない


ディスレクシアとは、読み書きに困難さがある特性のこと。
学習障害(LD)の一種とされているが、実際にはまだ認知度が低い。
知的な問題はなく、15人に1人ほどいるとも言われている。
つまり、1クラスに2〜3人いてもおかしくないレベルだ。
しかし現実には、
- 「もっとちゃんとやりなさい」
- 「努力不足だ」
- 「怠けているだけ」
と受け取られてしまうことが多い。
タツロー校長自身も、教員時代はディスレクシアについて詳しく知らなかったという。
転機になったのは、ある先輩教員との出会いだった。
その先生は授業もできるし、話す力も高かった。
しかし、管理職試験の“論述”だけがどうしても突破できなかった。
「ノートを書くことが極端に苦手だったんです。」
そこで初めて、“読み書きの困難さ”は能力不足ではなく、脳機能のユニークさなのだと知ったという。
ディスレクシアの子は「才能が偏っている」
ディスレクシアの子どもたちは、文字の読み書きには困難を抱えやすい。
例えば、
- 漢字の読み分けが難しい
- 文字を飛ばして読んでしまう
- 文字が歪んで見える
- 鏡文字になる
- 作文になると急に手が止まる
こうした特徴が見られることがある。
一方で、驚くほど高い能力を持つケースも少なくない。
- プレゼンが上手い
- 会話力が高い
- 芸術性が豊か
- 創造力がある
- 表現力に優れている
タツロー校長は、NIJINアカデミーの子どもたちを見ながらこう感じているという。



読み書きが苦手ってことは、別の才能が伸びやすいってことでもある。
学校では“できない部分”ばかりが注目される。
しかし社会に出ると、“できる部分”が武器になる。
そのギャップこそが、多くの子どもを苦しめている。
本当に問題なのは「自己否定」
タツロー校長は、ディスレクシアそのものよりも、もっと深刻な問題があると言う。
それが、“自分はダメなんだ”と思い込んでしまうことだ。
みんなは作文を書いている。
自分だけ書けない。
みんなはスラスラ読める。
自分だけ音読でつまずく。
そんな経験を繰り返す中で、子どもは少しずつ自信を失っていく。



ディスレクシアは問題じゃない。二次障害の方が問題なんです。
本来なら、創造性や表現力という強みがある。
それなのに、“学校基準”だけで評価されることで、自分を劣った存在だと思い込んでしまう。
それが一番危険だと、タツロー校長は語る。


「書けない」は、もう致命的ではない時代
昔は、読み書きができなければ生きづらかった。
連絡は手紙。
情報は本。
契約は紙。
しかし今は違う。
- 音声入力
- 動画
- AI
- Slack
- Zoom
- クラウド
コミュニケーションの方法は劇的に変わった。


タツロー校長自身、スタッフへの指示を音声で送ることも多いという。
つまり、“学校的な書く力”がなくても、生きていける時代になっている。
むしろ、スピード感や発想力、コミュニケーション能力の方が重要になっている。
だからこそ、
「学校に合わせられない=社会で生きられない」ではない。
むしろ逆に、学校の方が時代に追いついていない可能性すらある。
読解力とは「人の気持ちを読む力」
タツロー校長は、“読む力”の定義そのものが違うと話す。
学校では、
- 「この時の主人公の気持ちは?」
- 「どこに書いてありますか?」
といった問題が出る。
しかし社会で本当に必要なのは、“人や社会の本質を読む力”だという。
例えば、不登校。
学校的には「問題」と見られがちだ。
しかしタツロー校長は、



不登校そのものが問題なんじゃない。家から出られなくなって、教育体験や人とのつながりが失われることが問題なんです。
と語る。
表面的な情報ではなく、その背景や構造まで見る。
それこそが本当の読解力なのだと。
書く力とは「人を動かす力」
では、“書く力”とは何なのか。
タツロー校長は、「漢字をたくさん書けることではない」と言う。
本当に価値があるのは、
- 人の心を動かす文章
- 社会を変える表現
- 誰かを勇気づける言葉
そうした“表現としての書く力”だ。
実際、NIJINアカデミーには、文字を書くことは苦手でも、
- プレゼンで人を感動させる子
- デジタルで作品を生み出す子
- プログラミングで価値を作る子
がたくさんいる。
だからこそ、



学校の“書く”にこだわらなくていい。
とタツロー校長は語る。


親が絶対にやってはいけないこと
もし、自分の子どもがディスレクシアだったら。
その時に一番大事なのは、“比較しないこと”だという。
「みんなと同じようにやらせることだけは避けたい。」
書けない。
読めない。
それを無理やり矯正しようとすると、子どもはどんどん自己否定を深めてしまう。
それよりも、
- アート
- プレゼン
- 起業
- エンジニアリング
- 動画制作
- デザイン
その子が夢中になれる表現に振り切っていく。
すると結果的に、「学びたい」が生まれ、必要な国語力や数学力も後からついてくる。
タツロー校長は最後にこう語った。



学校に我が子を合わせるんじゃなくて、社会に合わせて考えた方がいい。ディスレクシアの子は、時代の最先端かもしれません!
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この記事の内容を確かめるための一次資料
発達特性の話は、ネット上に断定的な情報があふれています。診断や支援の枠組みは公的機関が定義しているものなので、判断に迷ったときは一次資料に戻るのがいちばん確実です。とくに支援級・通級の仕組みは自治体で運用が違うため、制度の原文を知っておくと学校との話が具体的になります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害情報・支援センター」 | 特性の定義と支援の基本。全国の支援センター一覧 |
| 文部科学省「特別支援教育」 | 通級・支援級・支援学校の制度と対象の考え方 |
| 国立精神・神経医療研究センター | 医学的な情報と研究の一次情報 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
学校に伝えるときの文例
言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。
毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。
「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。
③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。
ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。
④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。
口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
伝える相手の順番
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 診断がついていなくても、支援は受けられますか?
A. 受けられます。通級指導や校内の配慮は、診断名がなくても本人の困りごとを根拠に相談できます。就学相談や教育支援センターも同様です。診断は「支援を受けるための条件」ではなく、支援の設計を助ける情報のひとつだと考えてください。
Q. 支援級に移すべきか迷っています
A. 「どちらが正解か」ではなく、いまの学級でその子が消耗しているかどうかで考えるのが現実的です。学びの内容だけでなく、人数・音・切り替えの多さといった環境要因を見てください。判断の考え方は支援級に入れるべきかにまとめています。
Q. 特性があると、進路は狭くなりますか?
A. 狭くはなりません。不登校を公表した著名人のように、学校の枠に合わなかった人が別の道で力を発揮する例は多くあります。大事なのは「合う環境を選べるかどうか」で、選択肢は年々増えています。
Q. 学校に特性を伝えると、レッテルを貼られませんか?
A. 伝え方次第です。「◯◯障害です」と診断名だけを伝えるより、「音が大きいと固まってしまうので、席を後ろにしてほしい」と具体的な場面と対処で伝えるほうが、担任も動きやすくなります。
Q. 家庭でできる工夫はありますか?
A. 一度に多くを変えないことです。予定を紙に書いて見える場所に貼る、次の行動を1つだけ先に伝える——この2つだけでも負担が変わる子は多いです。うまくいかない日があっても、やり方が悪いわけではありません。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。









