「幼稚園や保育園では楽しく過ごしていたのに、小学校に入ってから『行きたくない』と言うようになった。」
「先生から『落ち着きがありません』『集団行動が苦手なようです』と言われた。」
「友達とのトラブルが増え、毎日のように学校から連絡が来る。」
小学1年生の1学期を終え、このような悩みを抱えている保護者の方もいるのではないでしょうか。
実は、小学校1年生の1学期は、子どもよりもお母さんの方が泣いていることも少なくありません。
毎朝「行きたくない」と言う我が子を励まし、学校から連絡が来るたびに胸が締めつけられる。
「私の育て方が悪かったのかな。」
「もっと厳しくした方がいいのかな。」
「このまま2学期を迎えて大丈夫なのだろうか。」
そうやって、一人で悩み続けてしまう保護者も少なくありません。
しかし、小学校に入って急に困りごとが増えたように見えても、子ども自身が急に変わったわけではないかもしれません。
幼稚園や保育園では、先生たちが子どもの様子を細かく見ながら、一人ひとりに合わせて声をかけてくれていました。
ところが小学校では、集団の中で一斉に出される指示を聞き、自分で考えて行動することが増えます。
就学前には周囲の大人の手厚いサポートによって目立たなかった困りごとが、小学校という環境の中で初めて表面化することは、決して珍しいことではありません。
この記事では、小学校の集団生活で困りごとが見え始めた子どもの背景と、夏休みに家庭でできる関わり方について、療育保育士として11年間子どもたちに関わってきた経験をもとに解説します。
国や世界ではどのように考えられている?
近年の子どもへの支援では、「できないことを何度も練習させる」だけでなく、その子が力を発揮しやすい環境を整えることが大切だと考えられています。
文部科学省が推進している「個別最適な学び」でも、子ども一人ひとりの特性や学習の進み方に合わせ、方法や環境を工夫することが重視されています。
また、WHOが示すICF(国際生活機能分類)では、人の困りごとは本人の心身機能だけで決まるのではなく、活動や社会参加、周囲の環境などが影響し合って生じると考えます。
つまり、
「集団行動ができない子」
「指示を聞けない子」
「落ち着きがない子」
と、子どもだけに原因を求めるのではありません。
「どのような場面で困っているのだろう。」
「指示の出し方や環境を変えると、できるようになるだろうか。」
「安心して参加するためには、どのような支えが必要だろう。」
このように、子どもと環境の両方を見ることが大切です。
こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインでも、子ども本人への支援だけでなく、家族への支援や、地域・教育機関との連携が重要な柱として示されています。
子ども一人を頑張らせるのではなく、家庭、学校、福祉、地域がつながりながら、その子が過ごしやすい環境をつくっていくことが求められています。
療育保育士が考える「小学校で困りごとが増える理由」
私は療育保育士として11年間、発達に特性のある子どもや、集団生活に難しさを感じる子どもたちと関わってきました。
保護者からは、
「幼稚園では何も言われなかったのに、小学校に入ったら注意されることが増えました。」
「家ではできるのに、学校ではできないようです。」
「何度言っても、集団行動から外れてしまいます。」
といった相談を受けることがあります。
このような姿があると、
「わがままなのではないか。」
「もっと厳しく教えた方がいいのではないか。」
と考えてしまうかもしれません。
しかし、子どもが困っている背景には、本人の気持ちや努力だけでは解決しにくい難しさが隠れていることがあります。
例えば、
・一斉に出された指示の中から、自分に必要な情報を聞き取ることが難しい
・次に何をするのか見通しが持てないと不安になる
・教室の音や人の多さに疲れやすい
・気持ちを切り替えて、次の活動に移ることが難しい
・周囲の子どもの表情や暗黙のルールを読み取りにくい
・困っていても、助けを求める方法が分からない
といったことです。
幼稚園や保育園では、先生が子どもの表情や動きを見ながら、
「そろそろトイレに行こうか。」
「あと5分でお片付けだよ。」
「疲れたら、ここで少し休もう。」
と、一人ひとりに合わせて声をかけてくれていたかもしれません。
一方、小学校では30人前後の集団の中で、
「教科書を出してください。」
「静かに座りましょう。」
「時間割を見て、次の授業の準備をしましょう。」
と、一斉に指示が出されます。
子どもには、話を聞くだけでなく、その内容を理解し、周囲の様子を見ながら、自分で次の行動に移ることが求められます。
つまり、小学校では子どもに必要とされる力が一気に増えるのです。
これまで周囲の大人のサポートで何とかなっていたことが、小学校に入って初めて「困りごと」として見えることがあります。
これは、子どもが怠けているからでも、保護者の育て方が悪かったからでもありません。
子どもが持っている力と、小学校で求められることとの間に、少し大きな差がある状態なのかもしれません。
その差を子どもの努力だけで埋めようとするのではなく、必要な力を少しずつ育てながら、環境や関わり方を調整していくことが大切です。
夏休みは「安心」を取り戻す絶好のチャンス
夏休みになると、
「1学期にできなかったことを練習させなくては。」
「勉強の遅れを取り戻さなくては。」
「2学期までに集団行動ができるようにしなくては。」
と焦る保護者もいるかもしれません。
もちろん、学習や生活習慣も大切です。
しかし、学校で緊張しながら1学期を過ごしてきた子どもにとって、夏休みは、その緊張が少しずつほどけていく時間でもあります。
療育では、子どもが新しいことに挑戦したり、本来持っている力を発揮したりするためには、まず「安心」が必要だと考えます。
不安や緊張でいっぱいの状態では、大人でも普段ならできることができなくなります。
子どもも同じです。
安心できる場所でゆっくり休み、好きなことを楽しみ、自分を受け止めてもらう。
その安心を土台にして、初めて「やってみよう」「できた」という経験が生まれやすくなります。
だからこそ夏休みは、できないことを無理に克服させる期間ではなく、小さな「できた」を増やす絶好のチャンスなのです。
集団生活につながる夏休みの過ごし方
集団生活に必要な力は、机に向かって練習するものばかりではありません。
家庭での生活や遊びの中でも、少しずつ育てることができます。
ここからは、夏休みに家庭で取り入れやすい療育的な関わり方を紹介します。
① 一日の「見通し」を伝える
次に何をするのか分からないことに、不安を感じやすい子どもがいます。
予定が急に変わったときに怒ったり、活動の切り替えが難しかったりする場合は、見通しを持つことで安心して行動できることがあります。
例えば、朝のうちに、
「午前中は買い物に行きます。」
「帰ったらお昼ご飯を食べます。」
「午後は家でゆっくり過ごします。」
と、一日の予定を簡単に伝えてみましょう。
言葉だけでは理解しにくい場合は、
・紙に予定を書く
・絵や写真で示す
・ホワイトボードを使う
・終わった予定に印を付ける
といった方法もあります。
大切なのは、予定どおりに完璧に過ごすことではありません。
「この後に何があるのか分かる」という安心をつくることです。
予定を変更するときにも、
「雨が降ったから、公園はお休みにします。」
「代わりに家でゲームをしよう。」
と伝えることで、「予定は変わることもある」「変わっても次の予定がある」という経験につながります。
② 指示は一つずつ、短く伝える
大人はつい、
「着替えて、顔を洗って、水筒を持ってきてね。」
と、一度にいくつものことを伝えてしまいます。
しかし、複数の指示を聞きながら順番に行動することは、子どもにとって負担が大きい場合があります。
その場合は、
「まず着替えよう。」
「着替えたら、顔を洗おう。」
と、一つずつ伝えてみましょう。
一つの行動が終わったら、
「着替えられたね。」
「次は顔を洗おう。」
と、できたことを確認してから次を伝えます。
一つずつ伝えることは、子どもを甘やかすことではありません。
情報を分かりやすく整理し、行動しやすくするための環境調整です。
少しずつ慣れてきたら、二つの指示に増やすなど、その子に合った段階で進めていきます。
③ 遊びの中で「待つ」「交代する」を経験する
学校生活では、順番を待ったり、友達と交代したりする場面が多くあります。
しかし、「待ちなさい」と注意されるだけでは、待つ力は育ちにくいものです。
すごろく、UNO、トランプ、カルタなど、順番が分かりやすい遊びを家族で楽しんでみましょう。
遊びながら、
「今はお母さんの番だね。」
「次はあなたの番だよ。」
「待てたね。」
と、言葉で確認します。
最初から長く待たせる必要はありません。
二人で遊ぶ、短時間で終わるゲームを選ぶなど、成功しやすい状況から始めます。
大切なのは、「待てなかったこと」を叱ることではなく、少しでも待てた瞬間を見つけて伝えることです。
④ 家庭の中に小さな役割をつくる
集団の中で安心して過ごすためには、「自分もここにいていい」「自分にもできることがある」という感覚が大切です。
家庭の中で、その子が無理なくできる役割を一つつくってみましょう。
例えば、
・食事の前に箸を並べる
・洗濯物を一枚運ぶ
・植物に水をあげる
・ペットのごはんを用意する
・使った食器を台所まで運ぶ
などです。
難しすぎる役割や、毎日必ずやらなければならない仕事にする必要はありません。
できたときには、
「お箸を並べてくれて助かったよ。」
「水をあげてくれたから、お花も元気になりそうだね。」
と、その行動が誰かの役に立ったことを具体的に伝えます。
「自分の行動で誰かが喜んだ」という経験は、集団の中での自信にもつながります。
⑤ 困ったときに伝える言葉を一緒に考える
集団生活では、困っていても、それを言葉にできない子どもがいます。
何をしたらよいか分からないときに教室を歩き回ったり、嫌なことがあったときに友達を押したりすることもあります。
その行動だけを見ると「問題行動」に見えますが、本当は、
「分からない。」
「手伝ってほしい。」
「やめてほしい。」
「少し休みたい。」
という気持ちを、うまく伝えられなかったのかもしれません。
家庭では、落ち着いているときに、
「分からないときは『教えてください』と言ってもいいよ。」
「嫌なときは『やめて』って言っていいよ。」
「疲れたら『少し休みたい』と伝えていいよ。」
と、使える言葉を一緒に考えてみましょう。
人形やぬいぐるみを使いながら、遊びの中で練習する方法もあります。
自分の気持ちを伝えることは、わがままではありません。
集団の中で安心して過ごすために必要な、大切な力です。
大人が当たり前だと思う行動こそ、言葉にして伝える
療育の現場では、子どもができなかったことを指摘するだけでなく、できた行動を具体的に言葉にして伝えることを大切にしています。
例えば、
・靴をそろえて脱げた
・順番を待てた
・「ありがとう」が言えた
・使った物を片付けた
・困ったときに「手伝って」と言えた
・嫌なことがあっても、手を出さずに言葉で伝えられた
といった行動です。
大人にとっては、当たり前に見えることかもしれません。
しかし、子どもは周囲の大人の反応を通して、
「これはしてよい行動なんだ。」
「こうすると相手が喜ぶんだ。」
「この方法で伝えればいいんだ。」
と学んでいきます。
だからこそ、好ましい行動が見られたときには、
「できたね。」
だけで終わらせず、
「靴をそろえられたね。」
「順番を待てたね。」
「『貸して』って言葉で伝えられたね。」
と、何ができたのかを具体的に伝えることが大切です。
子どもにとって、好ましい行動と、好ましくない行動の区別が、まだ十分についていない場合もあります。
大人は「それをしたら叱られるのは当たり前」と思っていても、子ども自身は、なぜ注意されているのかを理解していないことがあります。
また、困った行動をしたときにだけ大人が強く反応すると、子どもにとっては、
「困った行動をすると、自分を見てもらえる。」
「叱られたけれど、構ってもらえた。」
という経験になることもあります。
もちろん、危険な行動や人を傷つける行動を止めることは必要です。
しかし、困った行動のときだけ注目するのではなく、何も問題が起きていないときや、好ましい行動ができたときにこそ、意識して声をかけることが大切です。
「座って待っていられたね。」
「優しく渡せたね。」
「自分で戻ってこられたね。」
そのように言葉にして伝えることで、子どもは「この行動が○なんだ」と理解しやすくなります。
認められた行動は、次の「できた」につながります。
夏休みは学校での緊張がほどけ、家庭で子どもの様子をゆっくり見られる時間が増えます。
だからこそ、大人が当たり前だと思っている小さな行動を見つけ、一つずつ言葉にして伝える絶好の機会です。
「褒めなければ」と頑張りすぎなくても大丈夫
ここまで読むと、
「夏休み中、子どものよいところを見つけて、たくさん褒めなければ。」
と思うかもしれません。
しかし、子どもと過ごす時間が長くなる夏休みは、保護者にとって負担が増えやすい時期でもあります。
毎日の食事を用意し、家事をし、兄弟姉妹のことも考える。
予定どおりに動かない子どもに声をかけ続け、きょうだいげんかを仲裁し、気づけば一日が終わっている。
子どもには「できたね」と言いながら、
「では、お母さんの頑張りは誰が認めてくれるのだろう。」
という状態になることもあると思います。
余裕がなくなり、
「早くして。」
「何回言ったら分かるの。」
と強く言ってしまう日もあるかもしれません。
夜になってから、
「今日も怒ってばかりだった。」
と自分を責めてしまうこともあるでしょう。
しかし、保護者も一人の人間です。
毎日穏やかに、すべての行動を褒め続けることはできません。
保護者だけが頑張らなくても大丈夫です。
地域の支援者は、親子の伴走者になってくれる
家庭だけで子どものよさを見つけ続けることが難しいと感じたら、地域の療育施設、子育て支援施設、教育相談、フリースクールなどを頼ることも一つの方法です。
そのような場所には、保護者の代わりに子どものよさを見つけ、言葉にして伝えてくれる大人がいます。
「今日は自分から挨拶できました。」
「お友達に優しく声をかけていました。」
「最初は不安そうでしたが、最後まで参加できました。」
家庭とは違う場所で見せた子どもの姿を、保護者に伝えてくれることもあります。
支援者は、子どもを褒めるだけではありません。
子どもが家庭では言葉にできない気持ちを受け止めたり、保護者の思いを子どもに分かりやすく伝えたりしながら、親子の橋渡しをすることもあります。
また、
「どのような声かけなら伝わりやすいのか。」
「学校にはどのような配慮をお願いできるのか。」
「どこまで見守り、どの場面で手助けしたらよいのか。」
といったことを一緒に考えながら、子どもの育ちに伴走してくれます。
私は11年間、多くの親子に関わってきました。
その経験の中で、困りごとが大きくなってから初めて相談するよりも、保護者が「少し気になる」と感じた段階で関係機関につながったご家庭の方が、親子ともに安心を取り戻しやすい場面を数多く見てきました。
早く相談したからといって、必ず不登校を防げるわけではありません。
支援につながれば、すべての問題がすぐに解決するわけでもありません。
それでも、子どものことを一緒に考えてくれる大人が増えることで、保護者が一人で抱え込まずに済みます。
保護者に少し余裕が生まれることで、子どもの小さな変化にも気づきやすくなります。
子どもにとっても、自分のことを分かろうとしてくれる大人や、安心して過ごせる場所が増えることは、大きな支えになります。
相談することは、子育てを諦めることではありません。
子どもを育てる仲間を増やすことです。
療育保育士のワンポイント


小学校で困りごとが見え始めたとき、大切なのは、子どもを急いで「学校に合わせる」ことではありません。
まずは、
「どの場面ならできているのか。」
「誰と一緒なら安心できるのか。」
「どのような伝え方なら理解しやすいのか。」
「何があると不安や疲れが強くなるのか。」
を観察してみてください。
子どもの行動には、必ず理由があります。
集団から離れてしまうのは、指示が分からなかったからかもしれません。
急に怒ったのは、予定が変わって不安だったからかもしれません。
友達を押してしまったのは、「やめて」と言葉で伝える方法が分からなかったからかもしれません。
行動だけを見て注意するのではなく、
「この子は何に困っているのだろう。」
と考えることで、必要な支援が見えやすくなります。
夏休み中にすべてをできるようにする必要はありません。
一日の中で一つでも、
「今日はこれができた。」
という経験があれば十分です。
そして、保護者にも、
「今日は一つ気づけた。」
「今日は誰かに相談できた。」
「今日は無理をせず休めた。」
という○をつけてほしいと思います。
子どもの育ちは、保護者一人の頑張りでつくるものではありません。
家庭、学校、地域の支援者がつながりながら、一緒に育てていくものです。
まとめ
幼稚園や保育園では大きな困りごとが見られなかった子どもでも、小学校に入ると、集団の中で求められることが増え、難しさが表面化することがあります。
それは、子どもが急に変わったからでも、保護者の育て方が悪かったからでもありません。
子どもが持つ力と、現在の環境で求められていることとの間に、差が生じているのかもしれません。
夏休みは、学校で張りつめていた緊張がほどけ、安心を取り戻す時間です。
安心が土台にあることで、子どもの「やってみよう」や「できた」が生まれやすくなります。
家庭では、
・一日の見通しを伝える
・指示を短く一つずつ伝える
・遊びの中で順番を待つ
・家庭の中に小さな役割をつくる
・困ったときに使える言葉を一緒に考える
といったことから始めてみてください。
そして、大人にとって当たり前に見える行動も、
「靴をそろえられたね。」
「順番を待てたね。」
「言葉で伝えられたね。」
と具体的に言葉にすることで、子どもは「これが好ましい行動なんだ」と理解しやすくなります。
ただし、保護者だけが子どものよさを見つけ、褒め続けようと頑張る必要はありません。
疲れたときや不安を感じたときには、療育施設、子育て支援、教育相談、フリースクールなど、地域の専門機関を頼ってください。
子どものよさを一緒に見つけ、親子の間をつなぎ、成長に伴走してくれる人が地域にはいます。
子どもは安心すると育ちます。
そして、お母さんも安心すると、子どもの「できた」に気づけるようになります。
この夏休みは、何か特別なことを頑張る期間ではなく、親子で安心を育てる時間にしてみませんか。
小さな「できた」を一つずつ積み重ねていくことが、きっと2学期以降の生活につながる大切な土台になります。
監修
中村 瞳(療育保育士/NIJINアカデミー越谷校 教室長)
療育保育士として11年間、発達に特性のある子どもや、集団生活に困難を抱える子ども、その保護者への支援に携わる。
現在はNIJINアカデミー越谷校の教室長として、不登校の子どもたちが安心して過ごし、自分の「やってみたい」を形にできる環境づくりに取り組んでいる。また、療育保育士として行き渋りに悩む親子向けにペアレントトレーニング講座にて親子の関わり方のレクチャーもおこなっている。
療育と教育の両方の視点から、子どもの行動だけを問題にするのではなく、その背景にある困りごとを捉え、一人ひとりに合った環境や関わり方を考えることを大切にしている。
この記事について
本記事は、文部科学省が示す「個別最適な学び」、世界保健機関(WHO)のICF(国際生活機能分類)、こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインなどの公的な考え方を参考にするとともに、療育保育士としての支援経験を踏まえて執筆しています。
なお、本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の診断や治療、不登校の予防を保証するものではありません。
お子さまの発達や学校生活について気になることがある場合は、学校の担任や特別支援教育コーディネーター、自治体の教育相談、こども家庭センター、児童発達支援事業所、医療機関などへご相談ください。
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学校とのやりとりは、担任個人の考え方に左右されやすい部分です。だからこそ国が学校に何を求めているかを知っておくと、話が噛み合いやすくなります。「認めてください」ではなく「要件を満たすには何を用意すればよいですか」と聞くのが、実務上いちばん通ります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
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| 文部科学省「スクールカウンセラー等活用事業」 | SC・SSWの役割と配置の考え方 |
| 文部科学省「就学援助」 | 学用品費・給食費などの経済的支援 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
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| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 担任と話が噛み合いません
A. 「認めてください」ではなく「要件を満たすために何を用意すればよいですか」と聞き方を変えると通りやすくなります。それでも動かない場合は、学年主任・管理職・市区町村の教育委員会(教育相談室)へ相談先を上げてください。
Q. 毎日の欠席連絡がつらいです
A. 連絡方法は相談できます。「しばらく休むので、こちらから連絡がない日は欠席とみなしてください」と最初に合意しておくと、毎朝の負担がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
Q. 保健室登校や別室登校は出席になりますか?
A. なります。校内で過ごした時間は在籍校の判断で出席として扱われるのが一般的です。保健室登校についてもあわせてご覧ください。
Q. 学習の遅れが心配です
A. 学校外での学習も、計画や内容が教育課程に照らし適切と判断されれば成績評価に反映できることが2024年8月の制度改正で明確になりました。詳しくは教育機会確保法の記事にまとめています。
Q. 面談で何を話せばいいですか?
A. ①いまの状態、②してほしい配慮を具体的に、③出席扱いの取り扱い、の3点に絞ると進みます。面談後に「本日確認したこと」をメールで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。
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参考にした公的資料
本記事は公開資料と教育現場での実践をもとにした情報提供であり、診断・治療の代わりになるものではありません。(にじいろの編集方針・監修について)

