「うちの子、発達障害かもしれない」——そう感じて検索したとき、情報が多すぎて、かえって不安になっていませんか。この記事は、発達障害についていちばん最初に読む一枚として、種類の違い、小学生に見られる特徴、診断までの流れと費用、そして相談先の選び方までを、順番に整理しました。読み終えるころには、「次に何をすればいいか」が見えているはずです。 発達障害とは、生まれつきの脳の発達の特性によって、行動・コミュニケーション・学習などのあらわれ方に、その子ならではのかたより(凸凹)が見られる状態の総称です。もっとも大切なことを先にお伝えします。 発達障害は親の育て方や、本人の努力不足で起こるものではありません。特性の強さやあらわれ方は一人ひとり大きく異なり、得意なことと苦手なことの差が大きいのが特徴です。「治す」対象ではなく、特性に合った環境を整えることで力を発揮できる、という考え方が支援の基本です。 近年は、発達障害を「あるか・ないか」の二択ではなく、特性が連続的に濃淡をもって存在するスペクトラム(連続体)として捉えます。だからこそ、診断名そのものより「その子が今どこで困っているか」を出発点にすることが役立ちます。 発達障害にはいくつかのタイプがあり、重なって現れることも珍しくありません。代表的なものを整理します。それぞれの詳しい特徴や接し方は、専用の記事でくわしく解説しています。 場面緘黙(家では話せるのに学校など特定の場面で話せない)は不安の問題として整理されますが、発達特性と重なることもあります。また、高い能力と困難を併せもつギフテッド・2Eという捉え方もあります。にじいろでは、これらも「発達・特性ガイド」でまとめて扱っています。 幼児期には目立たなかった特性が、集団行動やルールが増える小学校で表面化することは少なくありません。次のような場面で、お子さんが強くストレスを感じていることがあります。 こうした困りごとが続くと自己肯定感が下がり、行き渋りや不登校のきっかけになることもあります。「わがまま」「気合い不足」と捉えず、特性のサインとして受け止めることが最初の一歩です。 当てはまる項目が多いと不安になりますが、特徴の一部が見られるからといって発達障害だと決まるわけではありません。診断は専門の医師が、発達の経過や複数の場面での様子を総合して行います。 大切なのは「診断名がつくか」よりも、いま、お子さんが困っているかどうかです。困りごとがあるなら、診断の有無にかかわらず相談する価値があります。相談=すぐに診断・レッテル、ではありません。多くの窓口は、様子を一緒に整理し、必要なら医療や支援につなぐ役割を担っています。 診断は児童精神科・小児神経科・発達外来などの医療機関で行われます。一般的な流れは次の4ステップです。 市区町村の窓口や発達障害者支援センターに相談し、受診が必要かの見立てをもらう。 発達を診られる医療機関を予約。初診まで数週間〜数か月待つことも。早めが安心。 成育歴や家庭・学校での様子を聞き取り。母子手帳・連絡帳・通知表があるとスムーズ。 WISC-Vなどの知能検査や発達検査を実施し、総合して診断。診断まで1〜2か月が目安。 診察・知能検査・心理検査は多くが健康保険の対象(原則3割負担)。多くの市区町村の子ども医療費助成で自己負担が軽くなり、継続通院は自立支援医療制度で抑えられる場合があります。すべて自費の専門機関では検査一式で1.5万〜4万円ほどが目安。診断書作成料などは保険適用外のことがあります。 発達の相談ができる窓口は、全国共通で次のような種類があります。いきなり病院を探すより、まず身近な相談窓口で交通整理をしてもらうのがおすすめです。 相談先の名称や体制は、都道府県・市区町村によって異なります。にじいろでは、地域別に「診断・相談できる場所」をまとめた記事を用意しています。まずは東京都版・神奈川県版などから、お住まいの地域をご覧ください。 診断の有無にかかわらず、学校で過ごしやすくするための支援があります。学びの場は二択ではなく、段階的な選択肢があります。 診断名がつくことに、抵抗や不安を感じる保護者は少なくありません。その気持ちはとても自然なものです。けれど診断は、お子さんを枠に閉じ込めるレッテルではなく、その子の世界を理解し、合う環境を選ぶための「地図」です。つまずきが減れば、本人が本来もっている力——好きなことへの深い集中力や独自の発想——が伸びていきます。にじいろは「数値で測られる学びから、経験で語れる学びへ」を掲げ、その子だけの強みを大切に育てる保護者を後押しします。一人で抱え込まず、まず相談することから始めてみてください。 現役校長・タツロー校長が、発達障害や不登校について動画で解説しています。文章とあわせてご覧ください。 ▶ 【発達障害なら支援級に入れるべき?】現役校長が本音で解説 学校以外にも、その子に合う学びの場があります 「ALL HAPPY」を掲げる小中一貫のオルタナティブスクール。不登校・発達特性のある子どもたちが全国から通っています。在籍校と連携した97%の出席認定率を公表しています。 NIJINアカデミー 「ALL HAPPY」を掲げる小中一貫のオルタナティブスクール。累計1,000名以上が入学し、在籍校と連携した97%の出席認定率を公表しています。 制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。 いま家庭で確かめておきたいこと 睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます) 食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか 頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください) 「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか 保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか 学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか 「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。 逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。 相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。 どこから始めればいいか迷ったら 言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。 毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。 「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。 ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。 口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。 伝える相手の順番 同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。 A. 受けられます。通級指導や校内の配慮は、診断名がなくても本人の困りごとを根拠に相談できます。就学相談や教育支援センターも同様です。診断は「支援を受けるための条件」ではなく、支援の設計を助ける情報のひとつだと考えてください。 A. 「どちらが正解か」ではなく、いまの学級でその子が消耗しているかどうかで考えるのが現実的です。学びの内容だけでなく、人数・音・切り替えの多さといった環境要因を見てください。判断の考え方は支援級に入れるべきかにまとめています。 A. 狭くはなりません。不登校を公表した著名人のように、学校の枠に合わなかった人が別の道で力を発揮する例は多くあります。大事なのは「合う環境を選べるかどうか」で、選択肢は年々増えています。 A. 伝え方次第です。「◯◯障害です」と診断名だけを伝えるより、「音が大きいと固まってしまうので、席を後ろにしてほしい」と具体的な場面と対処で伝えるほうが、担任も動きやすくなります。 A. 一度に多くを変えないことです。予定を紙に書いて見える場所に貼る、次の行動を1つだけ先に伝える——この2つだけでも負担が変わる子は多いです。うまくいかない日があっても、やり方が悪いわけではありません。 つらいときの相談先(24時間・無料) この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。発達障害とは?基本の考え方
発達障害の主な種類(ASD・ADHD・LDなど)
種類
主な特性
小学生でのあらわれ方の例
ASD
(自閉スペクトラム症)対人・コミュニケーション、こだわり、感覚の特性
空気を読むのが苦手/予定変更でパニック/音や光に敏感
ADHD
(注意欠如・多動症)不注意、多動性、衝動性
忘れ物・紛失が多い/じっとしていられない/順番を待てない
LD・SLD
(限局性学習症)読み・書き・計算など特定の学習の困難
音読につまずく/板書が写せない/計算だけ極端に苦手
DCD
(発達性協調運動症)手先や体の動きの不器用さ
字がうまく書けない/縄跳び・球技が極端に苦手
小学生で気づかれやすいサイン
「もしかして」と思ったときの考え方

診断はどこで・どうやって受ける?(流れ・費用)
相談窓口で様子を整理する
医療機関を予約する
問診・行動観察
心理検査・発達検査 → 診断
相談先の種類と、お住まいの地域の窓口
窓口
役割
こんなときに
市区町村の窓口
(子ども家庭・子育て相談)いちばん身近な相談入口。地域の支援につなぐ。
まず誰かに相談したい/どこへ行けばいいかわからない
保健センター
乳幼児健診・発達の相談。
健診で指摘された/就学前の発達が気になる
発達障害者支援センター
発達障害に特化した専門相談(多くは診断は行わない)。
発達障害について専門的に相談したい
発達を診られる医療機関
診断・検査・治療を行う。
診断を受けたい/医学的な見立てがほしい
教育センター・教育相談室
学校生活・就学の相談。
学校での困りごと/通級・支援級を考えたい
児童相談所
子どもに関する幅広い相談・手帳判定。
福祉サービスや手帳を検討したい
学校の支援(就学相談・通級・特別支援学級)
診断は「レッテル」ではなく「地図」——にじいろから

タツロー校長のYouTube解説
家庭でいまできること
声のかけ方で迷ったときは
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先
聞けること
費用
向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)
出席の扱い、校内の別室、学習の進め方
無料
まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)
学校外の公的な居場所、通所と出席扱い
原則無料
学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)
体験活動中心の居場所、少人数の学び
月1〜5万円程度
興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン
自宅から参加できる学び、出席扱いの実務
スクールにより異なる
外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)
体の不調の背景、診断と治療
保険診療
睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル
子ども本人・保護者どちらの相談も
無料・24時間
いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)
学校に伝えるときの文例
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
Q. 診断がついていなくても、支援は受けられますか?
Q. 支援級に移すべきか迷っています
Q. 特性があると、進路は狭くなりますか?
Q. 学校に特性を伝えると、レッテルを貼られませんか?
Q. 家庭でできる工夫はありますか?
発達障害は治りますか?
何歳から診断を受けられますか?
ASD・ADHD・LDは、どう違いますか?
診断がつかなくても支援は受けられますか?
まず、どこに相談すればいいですか?
特性別にくわしく知る
つらい気持ちを今すぐ話したいとき(全国共通・24時間)
24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310
お子さんからでも、保護者の方からでも相談できます。お住まいの地域の教育相談センターにつながります。
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