「ホームスクールに興味はあるけれど、デメリットが心配で踏み出せない」。そう感じている保護者の方は少なくありません。
ホームスクールは、子どものペースを尊重できる柔軟な学び方である一方、社会性や学習面での不安がつきまといます。しかし、デメリットの中身を正しく知り、対策をあらかじめ用意しておけば、多くのリスクは軽減できます。
本記事では、ホームスクールのデメリットを5つに整理したうえで、見落とされがちなメリット、そして後悔しないための具体的な対策を解説します。日本でホームスクールを検討している家庭が、冷静に判断するための材料としてお役立てください。
ホームスクールのデメリット5つ
まず、ホームスクールを検討するときに多くの保護者が不安に感じる代表的なデメリットを5つ紹介します。
① 同世代との関わりが減りやすい
学校のように同年代が自然に集まる環境がないため、意識的に機会をつくらなければ、同世代との交流が減りやすくなります。友人関係の中でしか身につかない社会性もあるため、放置すると孤立につながる可能性があります。特に、それまで学校に通っていた子どもがホームスクールに切り替えた直後は、友人と会う頻度が急に減ることで寂しさを感じやすい時期でもあります。
② 学習内容に偏りが出やすい
カリキュラムを家庭で組み立てるため、得意分野に時間をかけすぎたり、苦手分野を避けたりと、学習内容に偏りが生じやすくなります。特に、親が「教える」役割を担いすぎると、専門外の教科で抜け漏れが起きがちです。理数系が得意な保護者の家庭では国語・社会が手薄になりやすい、といった傾向もよく見られます。
③ 親の負担が大きい
学習計画の立案、教材選び、生活リズムの管理など、学校が担っていた役割の多くを家庭が引き受けることになります。心理的な負担に加え、教材費やオンライン学習サービスの利用料など経済的な負担も発生します。特に共働き家庭では、日中の学習を誰がどう見守るかという時間の確保自体が課題になりやすい点も見落とせません。
④ 出席扱い・進路の手続きが煩雑
在籍校との連携がうまくいかない場合、出席扱いの認定や内申点の評価で不利になることがあります。手続きは自治体や学校ごとに異なり、情報収集や交渉に時間がかかる点もデメリットの一つです。学校長の判断に委ねられる部分が大きいため、同じ市内でも学校によって対応が変わることがあります。
⑤ 客観的な評価の機会が少ない
定期テストや通知表がない分、子どもの学習到達度を客観的に把握しにくくなります。「このままで大丈夫だろうか」という保護者の不安が続きやすいのも、ホームスクール特有の悩みです。市販の学力診断テストや通信教育の到達度チェックを定期的に活用することで、この不安をある程度和らげることができます。
一方で、ホームスクールにはこんなメリットも
デメリットだけでなく、メリットも正しく理解しておくことで、バランスの取れた判断がしやすくなります。
- 子どものペースに合わせられる:得意なことを伸ばし、苦手なことにはじっくり時間をかけられます。
- 学校でのストレス要因から距離を置ける:人間関係や集団行動が負担になっていた子どもにとって、安心できる環境で学び直せます。
- 自己決定力が育ちやすい:自分で学ぶ内容や順番を選ぶ経験が、将来の自立につながります。
- 家族で過ごす時間が増える:日中の生活を共有することで、子どもの変化に気づきやすくなります。
デメリットとメリットは表裏一体です。どちらか一方だけを見るのではなく、自分の家庭やお子さんの状態に照らして考えることが大切です。

デメリットを最小限にする3つの対策
1. 外部リソース・コミュニティとつながる
家庭だけで完結させず、オンライン学習サービスや地域のフリースクール、ホームスクール家庭同士のコミュニティを積極的に活用しましょう。同世代との接点や、親自身の相談先を確保できます。
2. 在籍校・教育委員会と早めに連携する
出席扱いや進路の不安は、在籍校との情報共有を早い段階から始めることで軽減できます。学習記録や活動内容を定期的に共有し、対立ではなく協力関係を築くことがポイントです。
3. オンラインフリースクールなどを併用する
すべてを家庭だけで担おうとせず、オンラインフリースクールのような外部の学びの場を組み合わせる家庭も増えています。専門的な指導を外部に委ねることで、親は「教える人」から「見守る人」に回れます。
例えば、NIJINアカデミーのようなオンラインフリースクールでは、入学初日から在校生が「メタバースキャンパス」で出迎え、同じ趣味の子と自然に友達になっていく様子が日常的に見られます。週1回から通えるリアル教室では、料理やアート、商品販売といった体験型の学びも用意されており、画面の中だけで完結しない点が特徴です。こうした場を知っておくと、家庭だけで抱え込まない選択肢がぐっと具体的になります。
始める前に確認したいチェックリスト
- 子ども自身がホームスクールを望んでいるか
- 学習内容と生活リズムの最低限のルールを決めているか
- 親以外の相談先・コミュニティを確保しているか
- 在籍校との連携方針を話し合っているか
- 定期的に見直す機会を設けているか
すべてを完璧に満たす必要はありません。迷ったときに立ち返る指針として活用してください。
動画で見る|【NIJINアカデミー】活気あふれる全校HR|不登校オルタナティブスクール・オンラインスクール
この記事の内容を確かめるための一次資料
学校以外の学びの場は、この10年で制度が大きく変わりました。いまは「学校復帰だけがゴールではない」というのが国の公式な立場です。選択肢の全体像と、それぞれが制度上どう扱われるかを押さえておくと、進路の話が現実的になります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」 | 全国84校。旧・不登校特例校の全リスト |
| 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」 | 高校に通わずに大学受験資格を得る制度 |
| 文部科学省「就学援助」 | 学用品費・給食費などの経済的支援 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
学校に伝えるときの文例
言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。
毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。
「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。
③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。
ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。
④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。
口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
伝える相手の順番
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 欠席が多いと高校に行けませんか?
A. 行けます。出席日数を選抜に使わない高校は増えており、通信制高校では欠席日数を問わないところがほとんどです。中学校卒業程度認定試験や高等学校卒業程度認定試験という道もあります。
Q. フリースクールに通うと出席扱いになりますか?
A. 要件を満たせば校長の判断で出席扱いにできます。ただし文部科学省の通知では教育支援センター等の公的機関が第一に想定されており、民間施設は「公的機関に通えない場合」に考慮される位置づけです。詳しくは教育支援センターとはをご覧ください。
Q. 費用が心配です
A. 教育支援センターは原則無料です。民間のフリースクールについては、利用料の補助制度を設けている自治体が増えています。就学援助もあわせて教育委員会に確認してください。
Q. 学校に戻ることを目標にしなくていいのですか?
A. はい。文部科学省の通知が「『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す」と明記しています。学校復帰は選択肢のひとつであって、唯一のゴールではありません。
Q. 近くに通える場所がありません
A. ①校内の別室、②教育支援センターの訪問型支援、③自宅でのICT学習を出席扱いにする道(別記2)、④オンライン——の順で確認するのが現実的です。地域に選択肢がないことは、家庭の責任ではありません。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
Q. デメリットが心配で一歩踏み出せません。どう考えればいいですか?
完璧な状態でスタートする必要はありません。多くの家庭は「まず数か月試してみて、様子を見ながら調整する」というスタンスで始めています。合わなければ学校やフリースクールに戻すこともできる、という柔軟な前提を持つと、心理的なハードルが下がります。
Q. 学力の遅れが一番心配です。どう対策すればいいですか?
学年相当の内容を網羅できる通信教育やデジタルドリルを軸にしつつ、市販の学力診断テストで定期的に到達度を確認する方法が一般的です。遅れが見つかった単元だけをピンポイントで補強できるのも、ホームスクールならではの強みです。
Q. 親の負担が大きすぎて続けられるか不安です
一人ですべてを抱え込まないことが継続の鍵です。オンライン教材やフリースクール、地域の支援機関を積極的に使い、親の役割を「教える人」から「環境を整える人」へシフトすると、負担は大きく軽減されます。
まとめ
ホームスクールのデメリットは、社会性・学習の偏り・親の負担が中心です。しかし、外部リソースとつながり、在籍校と連携し、無理のない範囲で外部の学びの場を併用することで、リスクは大きく軽減できます。
日本でのホームスクールの位置づけや法律面については、あわせてホームスクールは日本で可能?法律・割合・実践例で解説もご覧ください。また、実際に始めたあとの注意点はホームスクールの始め方|フリースクールとの違いも解説で詳しく解説しています。小学生の学年別の対策はホームスクールは小学生に向く?学年別のポイントと教材選び、実際の失敗パターンと対策はホームスクールで失敗する原因と対策、中学生・高校生の内申点や出席扱いは「ホームスクールは中学生・高校生に向く?内申点・出席扱い・高校受験のポイント」、発達障害・HSC・ギフテッドの子との相性は「発達障害・HSC・ギフテッドの子とホームスクール|フリースクールとの向き不向き」もあわせてご覧ください。
デメリットを正しく知ることは、不安を減らす最初の一歩です。家庭の状況に合った学び方を、焦らず選んでいきましょう。
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