小学生の子どもにホームスクールを検討する保護者にとって、一番の悩みは「何歳からでもできるのか」「学年によって気をつけることは違うのか」という点ではないでしょうか。
幼児期に近い低学年と、抽象的な思考が育ってくる高学年とでは、向き合い方が大きく異なります。本記事では、小学生のホームスクールで押さえておきたい学年別のポイント、教材選びの考え方、生活リズムの整え方、同世代との関わり方までを具体的に解説します。
小学生のホームスクールで大切な視点
小学生の時期は、学習の土台づくりだけでなく、生活習慣や人との関わり方を身につける時期でもあります。教科学習の遅れよりも、まずは「学ぶことは楽しい」という感覚を守ることを優先しましょう。
特にこの時期は、子ども自身が「できた」という小さな成功体験を積み重ねることが、その後の学びへの意欲を大きく左右します。周りの子と比べるのではなく、昨日の自分と比べて何ができるようになったかに目を向ける姿勢が、家庭の中に安心感を生みます。
| 項目 | 低学年(1〜3年生) | 高学年(4〜6年生) |
|---|---|---|
| 学びの中心 | 生活体験・遊びの中の学び | 教科学習・記録の習慣化 |
| 集中できる時間 | 10〜20分程度 | 30〜45分程度 |
| 保護者の関わり方 | 一緒に取り組む「伴走型」 | 見守り+必要時サポート |
| 気をつけたい課題 | 生活リズムの乱れ | 同世代との関わり・進路意識 |
低学年(1〜3年生)で気をつけたいこと
低学年のうちは、机に向かう時間よりも生活そのものが学びになります。読み聞かせ、買い物での計算、外遊びの中の観察など、日常の体験を学習に結びつける工夫が効果的です。
この時期は集中できる時間が短いため、短時間の学習を数回に分けるスタイルが向いています。また、保護者が「先生」になりすぎず、一緒に楽しむ姿勢を意識すると、学習への抵抗感が生まれにくくなります。
低学年の1日の組み立て例
- 朝:起床・朝食・軽い運動や散歩
- 午前:読み聞かせや音読、10〜15分の学習を2〜3回に分けて
- 午後:外遊び、工作や料理などの体験的な活動
- 夕方:一日の振り返り(「今日楽しかったこと」を話す時間)
時間割のように厳密に管理する必要はありません。むしろ「今日は何をして過ごしたか」を親子で一緒に振り返る習慣のほうが、この時期には効果的です。
高学年(4〜6年生)で気をつけたいこと
高学年になると、抽象的な内容や複数教科を組み合わせた学習が可能になります。一方で、思春期に差しかかり、同世代との関わりや自己肯定感が課題になりやすい時期でもあります。
中学進学を見据えて、学習内容の記録や振り返りを習慣化しておくと、出席扱いの相談や進路選択の際に役立ちます。オンライン学習サービスやフリースクールを併用し、家庭以外の人間関係も意識的に確保しましょう。
中学受験を検討している家庭では、塾の個別指導やオンライン受験対策を組み合わせるケースも増えています。ただし、受験そのものを目的化してしまうと本人の負担が大きくなりやすいため、「学びたい気持ち」を起点に無理のない範囲で取り入れることが大切です。

教材選びの考え方
教材は「学校の教科書に近いもの」と「興味を伸ばすもの」を組み合わせるとバランスが取れます。デジタル教材は進捗を自動記録できるものが多く、出席扱いの申請時にも活用しやすい点がメリットです。
具体的には、次のような種類を組み合わせている家庭が多く見られます。
- デジタルドリル・通信教育:進捗が自動記録され、学年をまたいだ復習・先取りもしやすい
- 市販のワークブック:紙で取り組みたい教科や、じっくり考えたい単元に向く
- 図鑑・実験キット・体験型教材:理科や社会など、興味を広げたい分野に効果的
- オンライン家庭教師・個別指導:特定教科でつまずきがある場合や、対話しながら学びたい場合に
教材選びに迷ったときは、まず1〜2週間試してみて、子どもの反応を見ながら調整する姿勢が大切です。最初から完璧な計画を立てる必要はありません。
生活リズムを整えるコツ
学校に通わない分、起床・食事・学習・遊びの時間をゆるやかに決めておくと、生活が崩れにくくなります。時間割のように厳密である必要はありませんが、「朝は着替えて朝食をとる」など最低限の区切りを持つことが安定につながります。
特に気をつけたいのが、昼夜逆転や画面時間(スマホ・ゲーム)の使いすぎです。就寝・起床の時刻だけは家族で共有のルールとして決めておき、学習内容やペースは柔軟にする、というメリハリが継続のコツです。
同世代との関わりをどう確保するか
小学生の時期は、家庭以外の居場所を意識的につくることが特に重要です。習い事、地域のフリースクール、オンラインの学習コミュニティなど、子どもが安心して参加できる場を探してみましょう。
- スポーツ・音楽・造形などの習い事教室
- 地域の子ども会や児童館の活動
- フリースクールやオルタナティブスクールとの併用
- オンラインの学習コミュニティ・部活動
- きょうだいや親戚、近所の子どもとの関わり
ホームスクールとフリースクールを組み合わせる家庭も増えています。無理に一つに絞らず、子どもの様子を見ながら柔軟に選択肢を広げることをおすすめします。
例えば、NIJINアカデミーのようなオンラインフリースクールでは、入学初日に在校生が「メタバースキャンパス」で出迎え、操作方法を教えてくれるところから始まります。同じゲームや趣味の話で意気投合し、「今度メタバースで待ち合わせしよう」と自然に友達ができていく——それが日常の風景です。週1回から通えるリアル教室では、料理やアート、商品販売など教科の枠を超えた体験もでき、小学生でも安心して仲間との時間を持てます。
動画で見る|【NIJINアカデミー】活気あふれる全校HR|不登校オルタナティブスクール・オンラインスクール
この記事の内容を確かめるための一次資料
学校以外の学びの場は、この10年で制度が大きく変わりました。いまは「学校復帰だけがゴールではない」というのが国の公式な立場です。選択肢の全体像と、それぞれが制度上どう扱われるかを押さえておくと、進路の話が現実的になります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」 | 全国84校。旧・不登校特例校の全リスト |
| 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」 | 高校に通わずに大学受験資格を得る制度 |
| 文部科学省「就学援助」 | 学用品費・給食費などの経済的支援 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
学校に伝えるときの文例
言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。
毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。
「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。
③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。
ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。
④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。
口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
伝える相手の順番
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 欠席が多いと高校に行けませんか?
A. 行けます。出席日数を選抜に使わない高校は増えており、通信制高校では欠席日数を問わないところがほとんどです。中学校卒業程度認定試験や高等学校卒業程度認定試験という道もあります。
Q. フリースクールに通うと出席扱いになりますか?
A. 要件を満たせば校長の判断で出席扱いにできます。ただし文部科学省の通知では教育支援センター等の公的機関が第一に想定されており、民間施設は「公的機関に通えない場合」に考慮される位置づけです。詳しくは教育支援センターとはをご覧ください。
Q. 費用が心配です
A. 教育支援センターは原則無料です。民間のフリースクールについては、利用料の補助制度を設けている自治体が増えています。就学援助もあわせて教育委員会に確認してください。
Q. 学校に戻ることを目標にしなくていいのですか?
A. はい。文部科学省の通知が「『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す」と明記しています。学校復帰は選択肢のひとつであって、唯一のゴールではありません。
Q. 近くに通える場所がありません
A. ①校内の別室、②教育支援センターの訪問型支援、③自宅でのICT学習を出席扱いにする道(別記2)、④オンライン——の順で確認するのが現実的です。地域に選択肢がないことは、家庭の責任ではありません。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
Q. 何歳から始められますか?
年齢の下限はありません。就学前から家庭中心の学びを続けている家庭もあれば、小学校入学後に学校が合わずホームスクールに切り替える家庭もあります。お子さんの状態に合わせて、いつからでも始められます。
Q. 途中で学校に戻ることはできますか?
可能です。ホームスクールは一度選んだら固定するものではなく、子どもの状態や希望に応じて学校・フリースクールと行き来しながら選び直してよいものです。在籍校との関係を保っておくと、復学の相談もしやすくなります。
Q. 集団行動が身につくか心配です
学校のような毎日の集団生活とは異なりますが、習い事やフリースクール、地域活動など、目的を持った少人数の集団に参加することで、協調性や順番を待つ経験は十分に積めます。量よりも「安心できる関係の中での経験」を重視しましょう。
Q. 1日どのくらい勉強させればいいですか?
学年や子どもの集中力によって幅がありますが、低学年は10〜20分を数回、高学年は30〜45分を数回に分けるのが目安です。時間の長さよりも「今日は何に取り組んだか」の中身を大切にしてください。
まとめ
小学生のホームスクールは、学年によって適したアプローチが異なります。低学年は生活体験を通じた学び、高学年は記録を残しながらの自律的な学びを意識すると、無理なく継続しやすくなります。
ホームスクール全体の法律面や実践例はホームスクールは日本で可能?法律・割合・実践例で解説、始め方や在籍校への相談方法はホームスクールの始め方|フリースクールとの違いも解説、注意しておきたいリスクはホームスクールのデメリット5つと対策|メリットも解説、うまくいかないときの対処法はホームスクールで失敗する原因と対策、中学生・高校生の内申点や出席扱いは「ホームスクールは中学生・高校生に向く?内申点・出席扱い・高校受験のポイント」、発達障害・HSC・ギフテッドの子との相性は「発達障害・HSC・ギフテッドの子とホームスクール|フリースクールとの向き不向き」もあわせてご覧ください。
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