せり君の選んだ「もうひとつの学校」—不登校から始まる未来設計図

こんにちは。NIJINアカデミースタッフのぱるるです。
今回ご紹介するのは、中学1年生のせり君とそのご家族の物語です。

せり君は小学校入学直後から学校に馴染めず、不登校という選択を余儀なくされました。けれども、それは「自分らしくいられる場所」を探す長い旅の始まりでもありました。大人数の教室で感じた不安、周囲に理解されない孤独、それでも諦めずに見つけたのが、NIJINアカデミーという新しい学びの場でした。

この記事では、彼がどのようにして自分の居場所を見つけ、自分の夢を共有できる仲間を見つけ、仲間と未来に向かって歩み始めたのかを、お届けします。

目次

不登校から始まった“自分探し”

せり君が小学校に入学してまもなく、不登校になったのは1年生の春。入学前から支援級を希望していたものの「交流すべき」という学校側の方針により通常級に通うこととなり、35人の大きな教室の中、大きな音や人の多さに圧倒され、パニックになってしまいました。「学校が怖い」という印象をもってしまい、学校に行けなくなりました。

その後、自分に合う学校を探し山村留学を考えたが、そこには支援級が無かったため、県を跨いで別の学校に通うことにしました。そこでは先生に恵まれたものの、一部の友達からは絵を「ださい」と否定されたり、”ドラゴンは居る”と信じてることを馬鹿にされたり…。一部の人との関係に疲弊し、自分らしさを発揮できる場、居場所を探し続ける日々でした。

中間教室とプレッシャー、そして居場所探し

6年生になり、中学校を見据える時期になってきて、「中間教室」という学校にいけない日に通うところがあり、そこに行くことがありました。

小学校に通学できる日もあるようにはなったものの、プレッシャーから癇癪を起こすことも増え、行けたり行けなかったりという五月雨登校が続きました。

コロナ禍に重宝されたオンライン環境においては、他者の話すテンポとのズレやタイムラグがせり君を不安定にさせ、癇癪や自傷に至ることもあったといいます。

そんな時、お母さんがInstagramで偶然見つけたのが「NIJINアカデミー」。子どもたちの「好き」を大切にする教育理念に惹かれ、2024年9月に体験説明会に参加。翌年1月には正式に入学を決めました。

お母さんはこう話します。「引きこもり体質なので、とにかく家に引きこもらない方法を、術を探すということが大きな課題で、今はなんとなく行けているけど、ぱったり行かなくなった時の居場所がないと困るなと考えていました。住んでいる場所が田舎という事もあって、関わる人が少なく、外の世界を知ることができない。オンラインは苦手だけれど、外とのつながりをオンライン上でもてるのは、今の生活やせり君の世界を広げる突破口になるのではないかと思って、入学を決めました。」

最初の一歩と壁、でも見えた希望

NIJINアカデミーに入学後もすぐに順調にいったわけではありません。チャットでのやり取りが難しかったり、言葉でうまく表現できなかったり、もどかしさからくる葛藤…。しかし、そんな中、先生たちはせり君に寄り添い、提案を重ねてサポートしてくれました。

最初に声をかけてくれた友達との会話をきっかけに、自分の想いを少しずつ話せるようになっていきました。日本一周と世界一周を夢見るせり君の話に耳を傾け、仲間と出会い、夢を形にしていく中で、少しずつ前を向けるようになっていきました。

そして、オンラインだけではないリアルイベントでの交流も、せり君にとって大きな転機となりました。担任の先生以外の先生とも深く知り合うことができたり、オンラインで関わっていた友達とリアルに関わることができたり…。親から離れて喋りに行ったりする姿にお母さんは、「我が子の成長」を強く感じたそうです。

お母さん「子どもたちすごいなと思いました!会って話したらもう友達!みたいな。もうちょっとギクシャクしてる感じかと思ったら違うし、だからといってズカズカ入ってくるわけでもなく、初めて会ったのに普通に話しているし。程よい感じで関わってくれるんです。」

「関わりたいけど、関わるのが難しい」

人と関わることが大好きだけれど、距離感がうまくつかめなかったり、気持ちが高ぶってしまったり。そんな自分との向き合い方も、NIJINアカデミーでの生活の中で少しずつ学んでいます。

周りの人との関係性にも悩みは尽きません。しかし、周りとの関わりの中でストレスを感じつつも、「何が原因で自分がコントロールできなくなってしまったのか」を少しずつ言葉にできるようになってきています。これは大きな成長の一歩です。

自分の夢を語れる場所

せり君が今、夢中になっているのは「世界一周」と「日本一周」。元々は冒険家になりたいと話していたが、小学3年生くらいの時に突然「世界一周に行きたい」と言い出しました。そこから毎日、「世界一周」のyoutubeを見ては、計画表を作っています。

NIJINアカデミーに入って、一緒に「世界一周」「日本一周」をしてくれる仲間を見つけ、今はその仲間と一緒に会議を重ね、資金計画を立て、プレゼン資料をCanvaで作り、HRでのプレゼンを準備中。

世界一周にいった際、困らないようにアレルギーの英語説明文も練習をして、「I have allergy of egg, eggplant, nuts, and apple.」と話せるように。かつてのせり君からは想像もできなかった成長に、お母さんは驚きと誇りを感じています。

さらに、Scratchサークルに参加し、イラストを担当しています。仲間と一緒に作品を完成させ、共に褒め合い喜び合い、好きなことを通じて関わりの輪をどんどん広げていっています。

他にも好きなことが多く、絵を描いたり、工作など、好きなことにとことん打ち込む日々。特に「つくること」への集中力と熱量は大人顔負け。自分の作品を売って「日本一周」「世界一周」の旅費に充てようと考えていることなど、現実的な計画も立てている姿は非常に頼もしいです。

お母さんは「好きなことから発展して、勉強してくれてること自体も嬉しいし、興味が学習にも向いてくれるようになってきたこともいいなと思っています。夢と繋がって、生活全てが回ってる感じです」と言っていました。

                               せり君の作品
 
 
 みんなにさまざまなことで呼びかけをしているせり君  

「学校に行けない日も、大丈夫」

在籍校との連携も進み、中学校の先生たちがNIJINアカデミーに理解を示してくれたことも、大きな支えとなりました。「ニジアカに行ってるなら今日はいいね」と言ってもらえる安心感が、せり君だけでなくご家族の心も軽くしてくれました。

中学校の支援級の先生とも、信頼関係を築くことができ、「とても素敵な場所に通われているんですね」との言葉をもらえたことが、お母さんの大きな支えにもなっています。

「何が楽しいかはわからない。でも、なぜか楽しい」

せり君自身、「ニジアカの何が好きかは分からないけど、なんか楽しい」と語ります。その“なんか”にこそ、大切な要素が詰まっているのかもしれません。好きなことを通じて誰かと繋がり、挑戦し、受け入れられる。

メンバー同士の年齢もバラバラなNIJINアカデミーでは、年下の子と関わる中で「お兄さん」としての意識も芽生えつつあります。自分だけの世界から少しずつ外へと目を向け、人の話を聞いたり、自分の思いを伝えたりと、関係性を育むための一歩を踏み出しています。

これからも、自分らしく

お母さんは語ります。「課題は山ほどあるけど、それでも、今は好きなことに集中している姿を見ると、それでいいと思える。学校に行くことだけが全てじゃない。今を楽しく、自分らしく生きることが一番大事」。

「夢の準備をする」という日常が、せり君にとっての“学び”になっています。好きなことを突き詰め、仲間と語り合い、未来を描く。そんな体験が、彼を一歩ずつ前進させてくれているのです。

自分の夢や好きなことを語るせり君は、とてもキラキラしていて、自信に満ち溢れていました。せり君がこれからどんな未来を描いていくのか、とても楽しみです。

日本一周、世界一周、夢の実現に向けての集まりすらも楽しんでしまうせり君を、これからも応援しています!

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