中学校を卒業したあとの進路は、「全日制高校」だけではありません。
そして、「多様な進路」として最近選択肢として人気が高まっている「通信制高校」だけでもありません!
中学校を卒業した後、進むことのできる進路はもっと多種多様です。
例えば、「毎日学校に通うのがしんどい」「もっと専門的なスキルを身につけたい」「自分のペースで学びたい」など、様々な考えの人がいます。今、高校以外にも、一人ひとりの希望や状況に合わせて選べる、多様なルートが用意されています。
どんな選択肢があるのか、分かりやすく整理してお伝えします。
中学卒業後の選べる6つのルート
① 高等学校(全日制・定時制・通信制)

いちばん一般的な選択肢ですが、通い方は3パターンあります。
- 全日制: 平日毎日、朝から夕方まで通うスタイル。
- 定時制: 昼間や夜間など、短時間の授業に通うスタイル。
- 通信制: 自宅学習(レポート)を中心に、自分のペースで進めるスタイル。
② 高等専修学校(専修学校 高等課程)

デザイン、IT、美容、調理、看護など、「将来の仕事に直結する専門スキル」を若いうちから学べる学校です(いわゆる「専門学校」の高等課程)。通信制高校との提携で高校卒業資格も取れる学校もあります。
③ 高等専門学校(高専)

主に「理系・技術系のプロ」を目指すための5年制の学校です。実験や実習が多く、専門的な学びを深められます。
④ 特別支援学校(高等部)
障がいや個別の課題に応じたサポートを受けながら、生活力や就労スキルを高める学校です。普通科のほかに、農業・工業・商業など将来の就職に結びつく技術や資格を取得できる専門学科もあります。
⑤ その他の教育施設・民間施設
- フリースクールやサポート校: 心の休息や生活リズムづくり、学習支援をしてくれる場所として増えています。サポート校は通信制高校の単位取得等を支援するカリキュラムが組まれています。
- 職業訓練施設・各種学校: 特定の技術や資格取得を目指す場所。
※通信制高校などと組み合わせて、高校卒業資格を目指せる場所もあります。
⑥ 社会(就職など)
中学卒業後、すぐに働く・社会に出て経験を積むという道もあります。実際に求人枠や内定は存在しており、人手不足の業界を中心に歓迎する企業も多くあります。
(参考)「よくわかる高等専修学校 中学校の多様な進路」文部科学省

6つのルートの先の進路~大学や専門学校、就職へ

ここで、「高校以外のルートを選ぶと、その先の進路が狭まるのでは?」と心配されることがありますが、そんなことはありません! どのルートを選んでも、その先の進路もまた多様です。
- 高校を卒業 → 大学・短大・専門学校等へ進学、または就職
- 高等専修学校を修了 → 専門学校へ進学、就職(※「大学入学資格」がもらえる学校を選べば、大学受験も可能)
- 高専を卒業 → 就職、大学の3年生へ編入
- 特別支援学校を卒業 → 企業への就職、福祉的就労、進学など(※一人ひとりの適性、本人の希望に合わせて、きめ細かく進路を決定)
- その他の教育施設、民間施設 → 就職、進学(※高校卒業資格を取れる施設であれば、大学・短大・専門学校等の受験も可能)
- 就職 → 進学(※何らかの形で学習を進め、高卒認定試験に合格すれば、大学・短大・専門学校等の受験も可能)
このように、どのルートを選んでも、それぞれの条件をクリアすれば、就職も進学も、道がしっかりつながっています。

多様な進路から選択するときの注意点
どのような進路を選んでも必ずその先の道へ繋がっています。しかし、後から「こんなはずじゃなかった」「選択肢が狭まってしまった」と後悔しないために、あらかじめ知っておくべき「落とし穴」がいくつかあります。
大きく分けて、以下の4つのポイントに気を付ける必要があります。
1. 「進学の権利(受験資格)」が得られるか確認する

まず、高校以外の進路(高等専修学校や各種学校、民間施設など)を選ぶ場合、最も注意が必要なのが「次のステップへの受験資格がもらえるかどうか」です。
- 「大学入学資格指定校」かどうか: 高等専修学校の中には、卒業すると大学受験資格がもらえる学校(指定校)と、もらえない学校があります。指定校でない場合、大学や短大に行きたくなった時に別途「高卒認定試験」などを受け直す必要が出てきます。
- 「高卒資格」と「高卒認定」の違い: フリースクールやサポート校に通う場合、それ単体では高校卒業の「学歴(高卒資格)」にはなりません。必ず「通信制高校」などとセットで在籍しているか確認が必要です。
2. 自分のペースと「自己管理」のバランス

さらに、通信制高校やオンライン学習などは「自分のペースで自由に学べる」のが大きなメリットですが、裏を返せば「自己管理が必要になる」ということです。
- 卒業・進級の期限管理: 「いつでもできる」からと後回しにしていると、レポート提出や単位取得が間に合わなくなるリスクがあります。
- 「居場所」から「次のステップ」への切り替え: 安心できる環境に長くいること自体は大切ですが、進学や就職を目指すタイミングで「規則正しい生活リズム」や「人と関わる体力」を少しずつ戻していく準備が必要です。
3. 進学・入社後の「ギャップ」とミスマッチ

また、高校以外の進路は、身近な先輩が少なく、十分に情報を収集できないこともあります。情報が少ないまま決めてしまうと、イメージと現実との間にギャップが生まれやすくなります。
- 学校見学・現場体験をする: 説明会やパンフレットの印象だけで決めず、オープンキャンパスや現場実習、職場見学などを通して「実際の雰囲気」を肌で感じておくことがミスマッチを防ぎます。
4. 「学校や周囲にサポート体制があるか」を見極める
その上で、進路を選ぶ際、「自分のやりたいことができるか」だけでなく、「困った時に助けてくれる仕組みがあるか」を確認しておくことが非常に重要です。
- 進路指導・就職支援の手厚さ: 卒業生の進路実績が具体的か、履歴書の書き方や面接対策、在籍校との連携サポートをどこまで親身にやってくれるか。
- 卒業後のフォロー: 特に就職する場合や就労支援施設を利用する場合、入社・利用を開始した「後」も相談に乗ってくれる環境(定着支援)があるかどうかで、長く続けられるかが変わってきます。
さいごに
進路は、「みんなと同じ高校に行くこと」だけが正解ではありません。
まずは、自分の「これが好き・やってみたい」という気持ち、自分の「こういうスタイルで過ごしていきたい」に合わせて、ぴったりの学び場を選ぶことが、その先の選択肢も広げます。
そこから、自分が思い描く道はどこにあるか、じっくり考え、調べて、合う場所を探していきましょう。その際は、その進路に、「自分の思う道を通るために必要なチケット=資格や条件」があるか、そして「迷った時に相談できるガイド=支援者がいるか」の2点だけは、しっかり確認しておくと安心です。
【監修】水谷 和佳奈(元 公立高校教諭)
19年間、公立高校教諭として大学・短大・専門学校への進学や高卒就職など、幅広い進路指導に従事。その中で、高校卒業時ではなく中学までの進路選択のあり方に社会的な課題を見出す。我が子の学びの場を探す中で直面した地方都市における学びの選択肢の少なさを解消すべく、NIJINアカデミー熊本八代校の教室長に就任。地域産業に密着した学びを通じ、自己理解・社会理解を深め、主体的な進路実現に向かう教室を運営している。



