近年、全国的にフリースクールが増え、不登校の子どもたちの居場所は広がっています。
より自分に合った場所で生き生きと活動していけるように、学びの選択肢としてフリースクールに通うことを選ぶ子どもや家庭も増えました。しかし、義務教育段階まではそれで安心できていても、それ以降の選択肢を考えたとき、「高校には進学できるのだろうか」「将来の就職に影響しないだろうか」と不安を抱える保護者はとても多いのが現状です。
フリースクール在籍は高校入試の評価に不利か

「高校入試では中学時の欠席日数が多ければ不利とされ、不登校の生徒の進路選択の幅はせまい。フリースクールでの出席を在籍校の出席日数として認定してもらったが、それで本当に大丈夫だろうか」。そう悩んではいないでしょうか。
実は文部科学省は、「不登校である」という理由で子どもの進路が閉ざされるべきではないと、制度的な支援を明確に示しています。特に近年は、教育支援センターやフリースクール等民間施設だけでなく、自宅でのオンライン学習等も含む、様々な学校外の学習成果を高校入試においても適切に評価する方針を、国として都道府県教育委員会等に通知しています。制度上で言えば、もはや学校の欠席日数が進路の妨げになる状況ではありません。
(参考)文部科学省「高等学校入学者選抜等における配慮事項について(通知)」(令和8年6月30日)抜粋
不登校経験のある生徒の教育機会の確保の観点からも、在籍する学校における出席の状況のみをもって不利益な取扱い(例えば、欠席日数のみをもって出願を制限するなど)をしないようにするとともに、〈中略〉生徒の自己申告書や学校以外の場(家庭におけるオンライン学習を含む。)における学習状況に係る資料等を選抜において適切に勘案したり、不登校生徒が志願しやすいように募集時の内容を工夫したりするなど、配慮を行うことが望まれます。
https://www.mext.go.jp/content/20260630-mxt_koukou01-000026790_01.pdf
今回は、不登校の中学生が進路を選択するにあたって知っておくべきポイントを整理し、よくある不安を解消していきます。
フリースクール在籍生も高校への進路は開ける
不登校からの高校進学が不利にならない理由
学校教育法上、フリースクールは“学校”ではありません。
しかし、今や多種多様な特色を持つ教室が数多く門戸を開き、学校に変わる場所として学習や社会活動を充実させています。フリースクールでの出席状況や学習活動状況が在籍校でも「出席認定」とされるケースも増えてきました。
また、高校入試の際は、在籍中学校から「調査書」(いわゆる内申書)が受験する高校側に提出されますが、前述の通り、国の方針として、そこで分かる欠席日数で合否判定に不利にならないようにする動きの徹底が進んでいます。
それどころか、フリースクールで学んだ内容を、在籍校が「学習の状況」として評価することを可能としているので、フリースクールでの活動次第では、十分な学習を証明するだけでなく、通常の学校以上の特異な活動で実績をあげた者としてアピールすることもできるようになっていると考えることすらできるのです。
参考:文部科学省「不登校児童生徒の出席扱い・成績評価について」【保護者等向け】(令和8年4月9日)抜粋
https://share.google/gBUFHsRfyg8DmmEZC
≪出席扱いの主な要件≫
●学校外の施設で相談・指導を受けている場合
・保護者と学校との間に十分な連携・協力体制が保たれている
・教育支援センター等の公的機関、適切と判断される場合は民間の相談・指導施設も考慮されてよい
●自宅においてICT等を活用した学習活動を行っている場合
・保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれている
・対面指導が定期的・継続的に行われることを前提とする
・児童生徒の学習の理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムである
≪成績評価の主な要件≫
・学習の計画・内容が在籍する学校の教育課程に照らし適切である
・学校、保護者、学校外の施設の職員との間に十分な連携協力体制が保たれ、児童生徒の学習活動の状況等について、定期的・継続的に把握する
・対面指導等により、児童生徒の状況を定期的・継続的に把握し、本人と直接かかわりを継続すること
| 場面 | 主な要件(本文より) |
|---|---|
| 出席扱い 学校外の施設で相談・指導を受けている場合 | 保護者と学校との間に十分な連携・協力体制が保たれている/教育支援センター等の公的機関のほか、適切と判断される場合は民間の相談・指導施設も考慮されてよい |
| 出席扱い 自宅でICT等を活用した学習をしている場合 | 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれている/対面指導が定期的・継続的に行われることが前提/理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムである |
| 成績評価 | 学習の計画・内容が在籍校の教育課程に照らし適切である/学校・保護者・学校外の施設の職員の間で連携協力体制が保たれ、学習活動の状況等を定期的・継続的に把握する/対面指導等により本人と直接かかわりを継続する |
在籍校とフリースクールの丁寧な連携がカギ
高校側も多様な学びを受け入れる姿勢が広がっているため、これまで不登校生を多く受け入れている通信制高校や単位制高校はもちろん、全日制高校などを含め、進路の選択肢が以前より明らかに増えています。
フリースクール等の民間施設での学びが出席認定や成績評価の条件を満たしているかは、所属している小中学校の校長先生や設置者(教育委員会など)が連携して判断することになりますが、国としては、認定や評価が「児童生徒の学習意欲に応え、自立を支援する意義がある」とされ、肯定的に進める方針が示されています。
この方針のもとに、高校入試の際に提出される書類も記載されるため、フリースクールに通う期間が長くても、高校進学で不利になるわけではありません。
もちろん、中学校の先生にフリースクールでの学びの内容がきちんと認識・理解され、記録が残されたり、適切に評価されたりすることを、本人や保護者から伝えていくことが必要にはなります。在籍校との連携を丁寧に進めることで、制度的な心配は大きく軽減されます。
選択肢はひとつじゃない|高校の各課程のメリット・デメリット
フリースクールに通うお子さんの進路は「受け入れてもらいやすい通信制高校しかない」と思われがちです。しかし、これまでに述べた通り、欠席日数の多さを不利に評価しないこと、学校外の学びも適切に評価することが明確に示されているので、以前よりも他の課程の高校も選択しやすい状況になっています。
学び方の多様化が大きく進んだことで、全日制・定時制・通信制、どの高校でも不登校経験のある生徒も安心して学べる環境の整備が進んでいます。
では、自分に合う高校はどれなのか。次はそれぞれの違いを客観的に整理し、選択の際のポイントを抑えながら比較していきます。
課程別のメリット・デメリット
| 課程・通学スタイル | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 全日制高校 平日朝~夕 毎日通学 | 生活リズムが整う 学校生活が充実し、進路選択が広い | 時間拘束が厳しく、登校負荷が高い 再不登校リスク |
| 定時制 平日夕方~が多い 毎日通学 | 1日の授業時間が短く、学習ペースが柔軟 仕事や趣味と両立 | 卒業までに基本4年かかる 部活動が少なく交友関係が限定される |
| 通信制 自宅学習(レポート提出)と対面指導(スクーリング)の組み合わせ | 自分のペースで学べる 通学ストレスから解放 多様な時間の使い方 | 高い自己管理が必要 人間関係が希薄で孤立しやすい |
| 広域通信制 ネット型。自宅学習をメインにオンライン授業など組み合わせ | 全国どこからでも在宅で学べる 専門コースが豊富 | 高い自己管理が必要 実習・対面活動が不足しがち |
フリースクール経験者は、通学や対面、生活リズムに不安がある場合、自宅学習と通学(スクーリング)を組み合わせられる通信制高校や広域通信制高校を選ぶ家庭が増えています。一方で、体調が安定し、通学や対面に不安がなければ全日制に挑戦する選択肢も十分あります。
大切なのは「不登校だから通信制しかない」という固定観念にとらわれず、本人が何を学びたいのか、どのような環境で過ごしたいのかをじっくり検討することです。

不登校生の進路でよくある失敗と対策
もっとも心配されるのは、「周囲の声に振り回された選択」、「イメージだけで決めてしまう選択」です。
「不登校の子がよく進学している」、「不登校生は通信制高校の方が楽だから合う」という声やイメージで決めてしまうと、本人の性格や学習意欲と合わず、再びつまずくケースが見られます。同じ不登校だからといって、進むべき道も全員同じではありません。一人ひとりの興味関心や将来像、それを実現できる進路は十人十色です。
また、「入試に対応できる力が足りないから全日制高校は無理」という思い込みもよくありますが、多くの高校が面接や作文を重視した入試も取り入れており、教科(筆記試験)の点数評価を限定的にしている学校もあります。
本人の生活ペース、学び方の好み、将来の方向性を丁寧に言語化して整理し、学校説明会や個別相談で複数の情報を得て、比較検討する中で最適な進路を決定していくことが最も確実な方法です。
その際、所属の中学校の先生方と、利用しているフリースクール職員との連携も十分に図ることが、進路のミスマッチを防ぐ大きな助けになります。
フリースクール選びで進路選択時に後悔しないために
そもそも、フリースクールは全国に多様な形で存在しています。なので、まだフリースクールに所属していない段階であれば、保護者としては「どこを選べば将来につながるのか」という不安が残ります。
進みたいと思う高校が見つかったとき、そこにチャレンジできる出席認定や学習評価がそろっている必要があります。そのために大切なのは、単なる“居場所としての安心”だけでなく、子どもが充実した学びを重ね、かつ、保護者や所属校と連携して出席認定や学習評価が行われ、“進路保障のある環境”であるところを選ぶことです。
良いフリースクール選びの基準
フリースクールを選ぶ際、活動内容や職員の経験・資格、外部機関との協働など、判断材料になる要素は多くあります。ここで、さらに先々の進路決定まで考慮して選ぶ場合、確認するとよいポイントは次のような点です。
①充実した活動内容
1日の過ごし方や活動内容を具体的に設定している施設は、子どもの充実した学びと成長を実現できるシステムが確立している可能性が高いと言えます。
②在籍校との連携
出席扱い申請や学習状況について、所属校へ提出する書類を作成してくれるか、情報共有をサポートしてくれるかが、進路の広がりに直結します。
③支援体制
学習指導の専門性があること、カウンセリングや保護者面談も十分な回数があることは、進路決定のタイミングでもサポートが充実していると言えます。子どもの個性を理解し、計画的に学習や活動を積み上げられ、その記録を残して文書として提供している環境であれば、先を見通した支援を受けることが可能であると考えられます。
④進路実績
通信制高校や全日制高校への進学数、大学進学者の割合など、具体的に示している施設は、進路決定のサポートに積極的に関わっている実績があると言えます。
このような条件がそろっているフリースクールを選ぶことで、将来の進路の選択肢は大きく広がります。
| 確認ポイント | 見るところ | 進路とのつながり |
|---|---|---|
| ①充実した活動内容 | 1日の過ごし方や活動内容が具体的に設定されているか | 充実した学びと成長を実現するしくみが整っている可能性が高い |
| ②在籍校との連携 | 出席扱い申請や学習状況について、所属校へ提出する書類を作成してくれるか/情報共有をサポートしてくれるか | 進路の広がりに直結する |
| ③支援体制 | 学習指導の専門性があるか/カウンセリングや保護者面談が十分な回数あるか/記録を残し文書として提供しているか | 進路決定のタイミングでも先を見通した支援を受けやすい |
| ④進路実績 | 通信制高校・全日制高校への進学数、大学進学者の割合などを具体的に示しているか | 進路決定のサポートに積極的に関わってきた実績の目安になる |
この記事の内容を確かめるための一次資料
学校以外の学びの場は、この10年で制度が大きく変わりました。いまは「学校復帰だけがゴールではない」というのが国の公式な立場です。選択肢の全体像と、それぞれが制度上どう扱われるかを押さえておくと、進路の話が現実的になります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」 | 全国84校。旧・不登校特例校の全リスト |
| 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」 | 高校に通わずに大学受験資格を得る制度 |
| 文部科学省「就学援助」 | 学用品費・給食費などの経済的支援 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
さいごに~家庭でできる子どもの不安を軽減する関わり方

子どもの進路を決定するとき、最も重要なのは、「進路を選び、進むのは子ども自身である」こと、「保護者は、その子どもの決定を支えていく立場である」ことを忘れないことです。
そして、子どもに対して「進路の決断を急がせない」ことです。不登校経験がある子どもは判断に強い不安を抱えがちで、早期に結論を迫られるほどストレスが高まります。
まずは日常生活のリズムを少しずつ整え、自信を回復するステップを取り、そのプロセスの中で自分の好きや得意を見つけ、将来に向けてさらに何を学びたいか、じっくりと具体的にしていく時間を取りましょう。
その時は、「どの学校に行くか」より、「どういう環境なら安心して学べるか」を軸に会話するのが効果的です。
よくある質問
Q. フリースクールに通っていると、高校入試で不利になりますか?
Q. フリースクールでの活動は、在籍校の出席扱いになりますか?
Q. 不登校だと通信制高校しか選べないのでしょうか?
Q. 進路がなかなか決まらない子どもに、家庭ではどう関わればよいですか?
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