大学名では採用しない——2,000人を採用してきた校長が明かす「専門性」の育て方
この記事でわかること
タツロー校長企業の採用現場で本当に見られているのは「大学名」ではなく、「専門性(スペシャリティ)」と「独自性(ユニークネス)」である。 好きなことを深めた経験は、そのまま子どものキャリアになりうる。
前編では、社会の価値基準が「身分社会 → 学歴社会 → 多様社会」へと移り変わり、今がまさにその転換期にあるという話をお伝えしました。
そんな時代に生きる私たちが、「自分らしく生きる」ために必要な「専門性」「独自性」とはなにか。
後編となる本記事ではNIJINアカデミー校長・星野達郎さんが自身の経営者としての経験から語る「採用のリアル」や子どもの「専門性」の育て方、さらに、実際に進路を選ぶ際の具体的なポイントを解説します。
<【前編】はこちらから☟>


【採用のリアル】「大学名で採用したことは、一度もない」
星野校長は、社長として2,000人以上の採用に関わってきた経験を持っています。
その経験から、動画では次のように断言しています。
「大学名だけで採用したことは、一度もない」
たとえ有名大学の出身者であっても、それだけを理由に採用したことはなく、
逆に学歴があっても不採用になるケースもあるといいます。
では、企業は何を見ているのでしょうか。星野校長が挙げるのは次の2点です。
- 専門性(スペシャリティ):何か一つのことを、深く突き詰めてきたか
- 独自性(ユニークネス):他の人にはない、その人ならではの視点や強みがあるか
学歴という「みんなが同じ物差しで測られる」評価軸から、
「その人にしかない強み」が評価される時代に変わってきている、ということです。
「学歴があれば安心」ではない理由
星野校長が強調するのは、学歴が無価値だということではありません。
あくまで「学歴だけでは判断材料として不十分」だということです。
有名大学を卒業していても、
面接で語れる専門性や独自の経験がなければ評価されにくく、
逆に学歴がなくても、突き詰めてきた分野があれば高く評価される
——これが、2,000人以上を見てきた採用の現場から見えてきたリアルだといいます。
つまり保護者や子どもたちにとって重要なのは、
「どの大学に入るか」を最終目標にすることではなく、
「学生時代に何を突き詰めたか」を語れるようにしておくことだと言えます。
子どもの「好き」がそのままキャリアになる時代
この「専門性」「独自性」は、決して特別な人だけのものではありません。
動画では、NIJINアカデミーに通う生徒たちの具体例が紹介されています。
- VTuber制作に打ち込む生徒:高度な3Dモデリング技術を独学で習得
- マインクラフトで姫路城を再現する生徒:ゲームの中で緻密な建築・設計スキルを発揮
- 企業でプレゼンを行う小学生:好きなことを深めた結果、大人相手に発表する機会まで得ている
これらはすべて、「好きなことを深めた結果」として自然に育まれた専門性です。
星野校長は、こうした活動がそのまま将来のキャリアの土台になりうると強調しています。
ポイントは、「好きなことに没頭できる環境」そのものが、専門性を育てる土壌になるということです。


突き詰めた末に生まれる価値―子どもの「専門性」と「独自性」
では、「専門性」や「独自性」はどのようにして育てるべきなのでしょうか。
前編で紹介した「オンラインゲームばかりで大丈夫か」という保護者の不安にも、このセクションは一つの答えを示しています。
マインクラフトで姫路城を再現した生徒の例のように、
一見すると「ただの遊び」に見える活動も、突き詰め方次第で高度な技術力や表現力に変わっていきます。
大切なのは、活動の種類そのものを評価するのではなく、
「どれだけ深く、自分なりに突き詰めているか」という視点で子どもの活動を見ること。
星野校長のメッセージは、まさにこの視点の転換を保護者に促すものだと言えるでしょう。


何を重視すべき? 具体的な高校選びのポイント
講演の後半では、より実務的な「高校の選び方」について解説されています。
これから進路を考える家庭にとって、特に押さえておきたいポイントは次の4つです。
- 全日制と通信制の違いを正しく理解する 通信制は「勉強量が少ない」という単純な話ではなく、学び方・通い方の仕組みそのものが異なります。
- 私立高校の多くは、内申点をほとんど見ない 公立とは評価の仕組みが異なるため、「内申が心配だから」という理由だけで選択肢を狭める必要はありません。
- 通信制は面接中心で、受験の負荷が比較的低い 一般的な学力試験中心の受験とは異なり、面接を中心とした選考が多いのも特徴です。
- 通信制高校は学校数が多く、情報が少ないぶん選びにくい 選択肢が豊富な一方で、学校ごとの違いが分かりにくく、情報収集の難易度が高いという注意点もあります。
この4点目こそが、多くの保護者がつまずきやすいポイントです。
選択肢が多いからこそ、「なんとなく」で選ぶのではなく、子ども自身が何を伸ばしたいのかを軸に情報を集めていくことが重要になります。
NIJIN高等学院では、発達障害や不登校を経験した高校生が、
毎日わくわくしながら自分の未来を切り拓くための「新しい居場所」を提供します。
「偏差値」「知名度」ではない―情報収集で意識したい視点
学校数が多く比較が難しいからこそ、「偏差値」や「知名度」といったわかりやすい指標だけに頼らず、
次のような視点を持って情報を集めることが勧められます。
- その学校で、子どもが「好きなこと」に使える時間をどれだけ確保できるか
- 面接や学校説明会で、子ども自身の言葉で学校生活を語ってもらえるか
- 卒業後の進路(進学・就職)の実績だけでなく、在校生がどんな活動をしているか
偏差値という一つの物差しだけでなく、
「その学校でどんな専門性・独自性を育てられそうか」という視点を持つことが、
多様社会における高校選びの新しい基準になっていくと言えます。


後編まとめ
- 採用現場で見られているのは「大学名」ではなく「専門性」と「独自性」
- 好きなことに没頭した経験は、そのまま将来のキャリアの土台になりうる
- 高校選びでは、全日制と通信制の仕組みの違いや、私立の内申の扱いなど、正しい情報を押さえることが大切
- 通信制高校は選択肢が多い分、情報収集の質が進路選びの鍵になる
まとめ
学歴よりも「自分らしさ」と「専門性」が価値になる時代。
通信制も含め、子どもが自分の力を伸ばせる進路を選ぶことが大切です。
※本記事はNIJINアカデミー校長・星野達郎氏による進路講演会の内容をもとに構成しています。
<【前編】はこちら>


<関連動画はこちら☟>
この記事の内容を確かめるための一次資料
学校以外の学びの場は、この10年で制度が大きく変わりました。いまは「学校復帰だけがゴールではない」というのが国の公式な立場です。選択肢の全体像と、それぞれが制度上どう扱われるかを押さえておくと、進路の話が現実的になります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」 | 全国84校。旧・不登校特例校の全リスト |
| 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」 | 高校に通わずに大学受験資格を得る制度 |
| 文部科学省「就学援助」 | 学用品費・給食費などの経済的支援 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 欠席が多いと高校に行けませんか?
A. 行けます。出席日数を選抜に使わない高校は増えており、通信制高校では欠席日数を問わないところがほとんどです。中学校卒業程度認定試験や高等学校卒業程度認定試験という道もあります。
Q. フリースクールに通うと出席扱いになりますか?
A. 要件を満たせば校長の判断で出席扱いにできます。ただし文部科学省の通知では教育支援センター等の公的機関が第一に想定されており、民間施設は「公的機関に通えない場合」に考慮される位置づけです。詳しくは教育支援センターとはをご覧ください。
Q. 費用が心配です
A. 教育支援センターは原則無料です。民間のフリースクールについては、利用料の補助制度を設けている自治体が増えています。就学援助もあわせて教育委員会に確認してください。
Q. 学校に戻ることを目標にしなくていいのですか?
A. はい。文部科学省の通知が「『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す」と明記しています。学校復帰は選択肢のひとつであって、唯一のゴールではありません。
Q. 近くに通える場所がありません
A. ①校内の別室、②教育支援センターの訪問型支援、③自宅でのICT学習を出席扱いにする道(別記2)、④オンライン——の順で確認するのが現実的です。地域に選択肢がないことは、家庭の責任ではありません。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。








