「学校に行っていない間、勉強が遅れてしまわないだろうか」
「家で好きなことばかりしていて、本当に大丈夫?」
お子さんが不登校や行き渋りになったとき、そんな不安を感じる保護者の方もいるのではないでしょうか。
けれど、学びは机に向かって教科書を開くことだけではありません。
好きなことについて調べてみる。実際に見に行ってみる。疑問に思ったことを考える。自分の手でつくってみる。そして、誰かに伝えてみる。
子どもの「やってみたい」をきっかけに、学びが思いがけない方向へ広がっていくことがあります。
学校に行かない時間も、「学び」は生まれている
学校から離れている子どもを見ていると、大人はつい「勉強できていない」「遅れてしまう」と、できていないことに目を向けてしまいがちです。
でも、子どもが好きなことについて調べたり、夢中でものをつくったり、「なぜ?」と考えたりしている時間にも、学びはあります。
最初から「国語」「理科」「社会」と教科に分ける必要もありません。
一つの興味を追いかける中で、必要な情報を探し、人と話し、試してみる。その経験が、次の興味につながっていきます。
「やってみたい」は、最初から大きなものでなくていい
ゲームが好き。工作が好き。生き物が好き。動画をつくることが好き。ニュースを見て気になることがある。
そんな小さな興味から、学びが始まることがあります。
大人がすぐに「それならこれを勉強しよう」と形を決めるのではなく、「どうして気になったの?」「もう少し知りたい?」「次はどうしたい?」と一緒に考えていくことが、その子の興味を広げるきっかけになります。
「環境問題について考えたい」から始まった一つの学び
実際に、一人の子どもの「やってみたい」から、新しい活動が始まりました。
きっかけは、
という言葉でした。
新しい環境に慣れるまでには時間が必要で、最初から自分の思いをたくさん話していたわけではありません。
それでも、心理的安全性のある環境で過ごす時間を重ねる中で、少しずつ自分の興味を言葉にする場面が増えていきました。
そこで、「環境問題を勉強しよう」と大人が教材を用意するのではなく、実際に自分たちの目で見に行くことにしました。
調べるだけでは分からない。実際に海へ行ってみる
向かったのは、茨城県高萩市にある高戸小浜海岸です。
実際に海岸を歩いてみると、さまざまなごみが落ちていました。
小さな海岸にも、ごみがある。
岩やブロックの間にも、ごみが入り込んでいる。
画面や本の中で「海洋ごみ」という言葉を見るのと、自分の目の前にあるごみを見るのとでは、感じ方が違います。
自分の目で見る。自分の手で拾う。そして、「なぜここにあるんだろう」と考える。
「環境問題」という大きなテーマが、実際に足を運んだことで、自分たちにも関係する身近な問いへと変わっていきました。
拾って終わりではなく、「自分たちにできること」へ
海岸でごみを拾ったあと、活動はそこで終わりませんでした。
そんな思いから、拾ったプラスチックの一部を細かくし、新しいものにつくり変える「アップサイクル」に挑戦しました。
どうすれば形になるのか。
どのくらい細かくすればいいのか。
どんなものなら、誰かに手に取ってもらえるのか。
実際にやってみることで、また新しい疑問が生まれます。
一つの「環境問題について考えたい」という興味から、調べる、見に行く、拾う、考える、つくるへと、学びがつながっていきました。
「つくる」の次は、「伝える」へ
作品をつくる目的は、ものを完成させることだけではありません。
「これ、何でできているの?」
そんな会話をきっかけに、海のごみやプラスチックについて知ってもらいたい。
そこで、作品と一緒に届けるメッセージについても考えています。
2026年8月23日に開催される「とちぎフリースクールフェスティバル」では、これまでの活動を展示・販売という形で発信する予定です。
最初は、一人の子どもの小さな「やってみたい」でした。
それが、実際に行動し、ものをつくり、誰かに伝えるところまで少しずつ広がっていきました。
「好きなこと」と「学び」を分けなくてもいい
今回の活動を、教科に当てはめることもできます。
環境について調べること。文章を読んで情報を集めること。素材や加工方法を試すこと。作品をつくること。伝える言葉を考えること。人に説明すること。
けれど、最初から「これは理科」「これは国語」と分ける必要はありません。
一つの興味を追いかけていく中で、必要になったことを調べ、考え、試していく。
その過程そのものが、子どもにとっての学びになります。
子どもの「やってみたい」を広げる3つの関わり方
1.すぐに「勉強」に変えようとしない
子どもが興味を示したとき、「せっかくだから自由研究にしよう」「これを勉強につなげよう」と、すぐに形を決めなくても大丈夫です。
まずは「面白そうだね」「どこが気になった?」と、その子が何に惹かれているのかを一緒に見てみます。
2.できる範囲で「本物」に触れてみる
調べるだけではなく、実際に見たり、触ったり、つくったりすると、そこから新しい疑問が生まれることがあります。
遠くへ出かける必要はありません。近所を歩く、お店の人に話を聞く、実際につくってみるなど、身近な地域にも学びの材料があります。
3.「次はどうしたい?」と聞いてみる
活動が終わったあと、大人が評価するよりも、「次はどうしたい?」と聞いてみることで、次の学びが子ども自身から生まれることがあります。
「もっと調べたい」
「別のものをつくってみたい」
「誰かに見せたい」
そんな言葉が出てきたら、次の一歩を一緒に考えてみることができます。
学校に行っているかどうかだけで、「学び」を測らない
学校に行っていない時間を見ると、大人はつい「できていないこと」に目を向けてしまいます。
けれど、その時間に子どもが何を見て、何を考え、何に夢中になっているのかに目を向けると、違う景色が見えてくることがあります。
「やってみたい」は、最初から立派な目標でなくて構いません。
小さな興味を大切にしているうちに、思いがけない人や場所、社会とつながっていくことがあります。
オンラインでも、地域でも。
子どもが自分の興味から一歩を踏み出せる場所があることも、学びの選択肢の一つです。
今回の活動について
今回ご紹介した活動は、NIJINアカデミー栃木矢板校で生まれた取り組みです。
栃木矢板校では、子ども一人ひとりのペースや「やってみたい」を大切にしながら、オンラインでの学びとリアルな体験を組み合わせています。

