「うちの子、前より何を考えているのか分からなくなってきた」。中2という時期は、不登校そのものの心配に加えて、思春期に入ったお子さんの気持ちが見えにくくなる時期でもあります。そして、ふと頭に浮かぶのが「高校まで、もう2年しかない」という焦りではないでしょうか。
もう1年になる、という方もいれば、中1は元気に通えていたのに中2になって急に、という方もいると思います。どちらの場合でも知っておいてほしいのは、2年後の進路決定に向けて、今から知っておけることがあるということです。
1. 中2の”分からなくなってきた”には、傾向がある

中1の頃は、まだ「学校が怖い」「お腹が痛い」と、子ども自身の言葉で理由を話してくれていたかもしれません。中2になると、同じことを聞いても「別に」「なんとなく」としか返ってこなくなる。これは、お子さんが心を閉ざしたわけではなく、思春期特有の変化です。
中2の時期は、自分の気持ちを言葉にする力よりも先に、「詳しく聞かれるのが嫌」「小さい子どもみたいに扱われたくない」という気持ちの方が育っていきます。友人関係のこじれも、親に知られたくないという意識が強くなる年齢です。理由を話してくれないのは、隠しているからではなく、「話す」という行為そのものへの抵抗が生まれているからだと捉えると、少し見方が変わるかもしれません。
接し方で意識したいこと
- 理由を問い詰めない:「なんで行けないの?」ではなく、「話したくなったら聞くよ」というスタンスを崩さないこと
- 正面から聞き出そうとしない:改まって聞くより、車の中や食事中など、視線が合わない状況での何気ない会話の方が、ふと本音がこぼれることがあります
- 「前と違う」ことを責めない:中1では話せていたのに中2で話さなくなった、という変化自体を問題視しない。年齢的な変化として自然なことです
- 小さな決定権を渡す:「何時に起きる」「今日は何をする」など、本人が選べる場面を増やすと、閉じていた気持ちが少しずつ開きやすくなります
学校側に相談があった内容として最も多かったのは「学校生活に対してやる気が出ない」(30.1%)、次いで「生活リズムの不調」(25.0%)、「不安・抑うつ」(24.3%)でした。ただ、これは氷山の一角で、実際には言葉にできていない理由の方が多いというのが、中2という時期の特徴だと思います。
中学生の不登校生徒数は216,266人で、中学生の約15人に1人。中1では大丈夫だったのに中2で初めて不登校になるケースも、国立教育政策研究所の分析で指摘されているとおり、決して特別なことではありません。
2. 中学までは「出席扱い制度」がある、と知っておく
もし学校に行きづらい状態が続いているなら、中学生の今は救済措置があります。2016年に成立した教育機会確保法は、「学校に戻ることだけを目標にしない」という理念を示した法律です。これに基づき、一定の条件を満たせば、フリースクールなど学校以外の場での活動を、校長の判断で「出席扱い」にできる仕組みがあります。判断のポイントは、在籍校との事前相談、活動記録が残る仕組み、学校との定期的な連携の3つです。
あわせて読みたい 学校に行けない日は全部欠席になる?不登校でも出席扱いになる条件3. 2年後、高校進学で何が変わるのか
ここが、一番知っておいてほしいポイントです。中学までの「出席扱い」の感覚のまま高校に進学すると、戸惑うことになります。仕組みそのものが変わるからです。
| 比較項目 | 中学まで | 高校 |
|---|---|---|
| 学籍の仕組み | 学年制 | 単位制 |
| 欠席の考え方 | 出席扱い制度で救済の余地がある | 各科目の出席時数が一定割合を下回ると、その科目の単位が不認定になる |
| 誰が判断するか | 在籍校の校長の判断 | 学校ごとの規定に基づく(校長判断の余地は中学より小さい) |
| フリースクール等の扱い | 条件を満たせば出席扱いになりうる | そのままでは単位認定に直結しない。通信制高校等への転学が現実的な選択肢になる |
| 影響の出方 | 出欠の記録に影響 | 進級・卒業に直結 |
つまり、「中学の感覚をそのまま高校に持ち込むと危ない」ということです。逆に言えば、この違いを中2の今知っておくだけで、中3になってからも慌てず動けます。
4. 2年後の選択肢を減らさないために、今からできること

中2から高校進学までは、残り2年。学年ごとに知っておきたいことをまとめました。
①中2の今、知っておきたいこと
まずは親子で相談できる場所があることを知っておきましょう。
- 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省):0120-0-78310(なやみいおう)。夜間・休日を含め24時間、無料で相談できます
- チャイルドライン:0120-99-7777。18歳までの子ども本人が、毎日16時〜21時にかけられる相談電話です
- 地域の教育支援センター・教育相談センター:在籍校を通じて、または直接問い合わせることで利用できます
- スクールカウンセラー:在籍校に配置されている場合、学校を通じて予約できます
そして、この機会に知っておいてほしいのが通信制高校です。「全日制に行けなかった子が仕方なく選ぶ場所」というイメージがあるかもしれませんが、それはもう古い話です。通信制高校の生徒数は現在30万人を超え、最初から通信制を選ぶ生徒や、自分のやりたいことと両立するために選ぶ生徒も少なくありません。時間の使い方を自分で選べるからこそ、中学校に合わなかった子が、むしろ自分の得意なことに思いきり時間を使って輝いていく、という進路の形です。
学校説明会やオープンキャンパスには、中2の今から参加できます。多くの学校が中学1〜3年生を対象にしており、オンラインで自宅から参加できる合同説明会もあります。中3になってから慌てて探すのではなく、資料請求だけでもしてみる、オンライン説明会を覗いてみる。それだけで、進路の選択肢に対する見え方が変わります。
②中3になったら、知っておきたいこと
いよいよ、高校受験を具体的に考える時期です。知っておきたいのは、通信制高校の入試方式についてです。通信制高校の入試は、全日制とはまったく評価の重心が違います。学びリンクの調査(2018年度、225校対象)によると、学力試験を実施している通信制高校はわずか18%。残りの8割以上は、書類審査や面接、作文だけで選考しています。
| 選考方法 | 学力試験 | 実施校の割合(2018年度調査) |
|---|---|---|
| 書類審査+面接 | なし | 学科試験なし(82%)のうち最多パターン |
| 面接+作文 | なし | 2番目に多いパターン |
| 学科試験+面接 | あり(国数英が中心) | 学科試験あり(18%)のうち32% |
| 学科試験+面接+作文 | あり | 学科試験あり(18%)のうち27% |
出典:学びリンク調べ、公立・私立通信制高校225校を対象とした2018年度入試の調査
つまり、見られているのは「今の成績」ではなく「これまでの経験や、今後への意欲」です。5教科の勉強が正直あまり得意ではなくても、趣味で続けてきたこと、誰かと協力して取り組んだ経験、企業や地域と関わるプロジェクトに参加した経験のようなことのほうが、面接や作文でのアピール材料として強みになる場合があります。「学校の勉強ができないと評価されない」というのは、通信制の入試には当てはまりません。
もし全日制も検討しているなら、志望校の入試要項に「長期欠席者への配慮」の記載があるかも確認しておきましょう。自治体によっては、はっきりとした配慮制度があります。東京都では、通知表で評価がつかなかった教科は調査書上で「/」(斜線)表記になり判定不能扱いとなりますが、これは内申点がゼロという意味ではなく、入試当日の学力検査の点数で補って判断される仕組みです。愛知県では、すべての公立高校で「長期欠席者等にかかる選抜方法」を実施しており、3年間の欠席日数が出席すべき日数の半分以上ある生徒は申請でき、内申点を直接の合否判定に使わず面接などで個別に評価してもらえます。お住まいの都道府県教育委員会のホームページで、同様の制度がないか確認してみるのがおすすめです。
そして、通信制高校やサポート校では、入試説明会が始まります。まだ進路が決まっていなくても実際に足を運んでみてください。資料やWebサイトだけでは分からない、学校の雰囲気を確かめる一番の方法です。
5. 世界的にも指摘されている、学校の仕組みの問題
国連子どもの権利委員会は、1998年以降繰り返し、日本の「過度に競争的な教育制度」がいじめや不登校の一因になっているとして、学校システム全体の見直しを勧告しています。不登校はお子さん個人の弱さの問題ではなく、学校の仕組み自体が抱える構造的な課題という見方が、国際的にも共有されているということです。
6. まとめ

中2という時期は、不登校そのものの心配に加えて、お子さんの気持ちが見えにくくなる時期でもあります。理由を話してくれないのは、隠しているからではなく、思春期特有の変化かもしれません。そして、中学校への出席状況だけで一律に進路が閉じるわけではなく、自治体ごとに配慮制度も用意されています。2年後の高校進学に向けて、今のうちに「出席扱い制度」「高校の単位制」「通信制という選択肢」を知っておくことが、進路の選択肢を狭めない一番のポイントです。
あわせて読みたい
「行けない」から「選べる」へ。
高校の景色は、思っているより広いです。
通信制が希望に変わるニジ高で、その先をイメージしてみませんか。
内申点・定期テストのことも気になったら
内申点は何で決まる?定期テストとの関係と、内申にこだわらなくても進める高校【2026年版】
