学びの多様化学校は全国84校。目標300校まで、まだ遠い

学びの多様化学校(かつて「不登校特例校」と呼ばれていた学校)は、不登校の子どもの実態に配慮して、通常とは違う教育課程を組むことが認められた正式な学校です。
文部科学省が公開している設置者一覧に載っているのは84校。一方で国は「将来的には分教室型も含め全国に300校」という目標を掲げています。制度としては本命に近いのに、数がまったく足りていない。それが現在地です。

学びの多様化学校とは何か

ふつうの学校は、学習指導要領に沿った授業時数と内容で運営されます。学びの多様化学校は、不登校の子どもの実態に配慮した「特別の教育課程」を編成できる点が違います。授業時数を減らす、体験活動を厚くする、登校時間を遅くするなど、学校ごとに工夫の中身は異なります。

大事なのは、フリースクールとは立場が違うということです。学びの多様化学校は正式な学校なので、そこに通えばそのまま在籍・出席になります。「出席扱いにしてもらう」ための手続きは要りません。

いま、何校あるのか

学校種校数
小学校4校
中学校63校
高等学校17校
合計84校

文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧」に掲載されている学校を、にじいろ編集部が2026年9月7日時点で数えたものです。同ページには「令和◯年◯月時点」という基準日の記載がないため、校数は文部科学省が公表した数字そのものではなく、当編集部による集計である点にご注意ください。

中学校に偏っている

63校が中学校です。小学校はわずか4校。不登校の小学生は令和6年度で13万7,704人(前年度比+5.6%)と大きく増えているのに、受け皿としての学びの多様化学校は、小学校段階でほとんど整っていません。

これは、いま小学生のお子さんがいるご家庭にとって、そのまま「選択肢がない」という現実です。制度の話をするときは、この偏りをセットで見てください。

国の目標は300校

原文

文部科学省の令和8年度の事業実施要領には、こう書かれています。

「早期に全ての都道府県・政令指定都市に、将来的には分教室型も含め全国に300校が設置されるよう」

84校から300校。いまは目標の3割弱という位置です。「分教室型も含め」とあるので、独立した学校だけでなく、既存の学校の中に分教室を置く形も数に入ります。

予算の裏づけは動きはじめている

2026年8月25日に公表された令和9年度概算要求では、「校内外教育支援センターの機能強化等」(要求額25億円・前年度予算12億円)の事業内容に、「学びの多様化学校の設置促進」が明記されています。

また、こども家庭庁のこどもまんなか実行計画2026(令和8年6月)にも、「校内教育支援センターの設置促進・教育支援センターの機能強化、学びの多様化学校の設置促進を図る」と記載されています。文部科学省とこども家庭庁の双方の計画に、同じ言葉で入っているということです。

読み違えに注意

「300校になる」と決まったわけではありません

300校は目標であって、達成時期は示されていません。「将来的には」という言葉のとおりです。

また、概算要求は決定ではありません。実際の金額は12月の政府予算案、翌3月の予算成立を経て決まります。数年内にお住まいの市区町村にできる、という前提で進路を組むのは危険です。

「うちの子」は通えるのか

まず、通える範囲にあるかどうか

84校しかないということは、ほとんどの市区町村にはないということです。まずは文部科学省の設置者一覧で、お住まいの都道府県に存在するかを確認してください。一覧には学校名・指定年・管理機関・設置場所・特別の教育課程の主な内容が載っています。

入り方は学校によって違う

公立の学びの多様化学校は、就学指定の変更や区域外就学の手続きを経て通うのが一般的です。私立の場合は入学試験があります。いずれにしても、窓口は在籍校か市区町村の教育委員会になります。「学びの多様化学校に興味がある」と先に伝えておくと、手続きの説明を受けられます。

ないときに、代わりに見る場所

通える範囲にない場合、実際の受け皿になるのは次の3つです。

  1. 校内教育支援センター(学校の中の別室)。在籍校に相談します。令和9年度概算要求で支援員の配置拡充が要求されています
  2. 教育支援センター(適応指導教室)。市区町村が設置する公的な施設で、多くは無料または低額です
  3. フリースクール等の民間の場。費用はかかりますが、選択肢の幅は広いです
今できること
  • 設置者一覧で、お住まいの都道府県に何校あるかだけでも見ておく
  • なければ、教育支援センターの場所と申し込み方法を先に調べておく
  • 在籍校に「校内の別室があるか、誰が見てくれるか」を聞いておく
しなくていいこと

引っ越しを検討する必要はありません。学びの多様化学校は選択肢のひとつであって、そこに通うことが回復の条件ではありません。

また、「近くにないのは自分たちの運が悪いから」でもありません。84校しかないのは制度側の課題であって、ご家庭の問題ではありません。

あわせて読みたい

出典(一次情報)
文責:にじいろ編集部
公開日:2026年9月7日 / 最終更新:2026年9月7日
この記事は、にじいろ編集部が一次情報にあたって作成しています。編集の考え方は編集体制・編集方針をご覧ください。誤りが判明した場合は、記事を書き換えるのではなく、末尾に訂正を追記します。
目次