2026年8月31日、中央教育審議会の教育課程企画特別部会(第17回)で、「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)」が示されました。
学習指導要領は、全国の学校の授業の骨格を決める国のルールです。その次の版に向けた素案に、不登校の子どもに直接関わる項目が複数入っています。
素案であって決定ではありません。答申の時期も、改訂の告示年度も、この資料からは確認できません。そのうえで、何が検討されているのかをお伝えします。
これは「素案」です
審議まとめの素案は、これから議論を経て変わりうるものです。「◯年度から学習指導要領が変わる」という情報は、この資料からは読み取れません。
にじいろは、資料に書かれていないことは書きません。時期に関する情報を見かけたら、必ず出典を確かめてください。
何が示されたのか
教育課程企画特別部会は、2026年に入って第14回(2月2日)、第15回(5月13日)、第16回(8月4日)、第17回(8月31日)と開かれています。第17回の中心資料が「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)」です。
素案は3部構成です。第1部=次期学習指導要領の基本的な方向性(全8章)/第2部=各教科等の方向性/第3部=資料編。もとをたどると令和6年12月の文部科学大臣諮問にさかのぼり、「2040〜50年代を展望」した検討と位置づけられています。
にじいろの読者に直接関わる3項目
1. 不登校児童生徒に係る特別の教育課程の創設
素案の第3部第3章に「不登校児童生徒に係る特別の教育課程の創設」が入っています。これは、別のワーキンググループで2026年6月に取りまとめ案まで進んでいる制度で、学習指導要領のレベルにも位置づけようとしているということです。
制度の中身は別記事で詳しく扱っています。ここで押さえておきたいのは、これが単発の施策ではなく、学習指導要領という土台の話に入ってきているという点です。腰の据わり方が違います。
2. 調整授業時数制度の創設
素案には「調整授業時数制度の創設」も挙がっています。授業時数の運用に幅を持たせる方向の制度です。
正直に書きます。この制度の具体的な中身について、素案から読み取れる範囲は限られています。にじいろとしては、名称が挙がっていること以上のことは、現時点では書きません。続報が出た段階で改めて扱います。
3. 高等学校段階における単位制の柔軟化等
素案の第1部第4章に「高等学校段階における単位制の柔軟化等」が入っています。
高校は単位を積み上げて卒業する仕組みです。ここが柔軟になるということは、学校に毎日通う以外の形で単位を積む道が広がりうるということを意味します。通信制高校が31万2千人と過去最多になり、通信教育に関する法改正も2026年7月に行われた流れと、方向としては地続きです。
「不登校の子のための特別の教育課程」「授業時数の調整」「高校の単位制の柔軟化」。この3つは、別々の話に見えてひとつの方向を向いています。
全員が同じ時間に同じ場所で同じ量を学ぶ、という前提をゆるめる。にじいろが日ごろ書いてきた「学び方は、ひとつではない」という話が、国のルールの側で検討されている——そう読める素案です。
いつから、という問いには答えられません
審議まとめ(素案)本体、および第16回の資料「審議まとめに向けた検討」のいずれにも、答申の時期、パブリックコメントの時期、改訂の告示年度、全面実施の年度についての明記は確認できませんでした。
学習指導要領の改訂は、答申 → 告示 → 移行期間 → 全面実施と進むため、素案が出てから教室が変わるまでには通常数年かかります。「来年から変わる」という話ではありません。
「うちの子」にとって、いま意味があること
正直に言えば、この素案が、いま目の前の1週間を変えることはありません。それでも知っておく価値があるのは、次の2点です。
- 方向が分かると、学校との相談の言葉が変わる。「うちの子だけ特別扱いしてほしい」ではなく、「国もこの方向で検討している」と共有できると、話の温度が変わることがあります
- いま無理をさせない判断を、後から後悔しなくて済む。制度が「毎日同じ量」を前提にしなくなる方向にあるなら、いま休ませる判断は、将来の不利を意味しないかもしれません
制度を待つ必要はありません。素案の段階から実際の教室に届くまでには時間がかかります。いま使える選択肢——教育支援センター、校内の別室、フリースクール、通信制——は、いまのルールの中にあります。
公開日:2026年9月7日 / 最終更新:2026年9月7日
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文部科学省は2026年9月15日、教育課程企画特別部会(第18回)を9月25日(金)に開催すると公表しました。議題は「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(案)」です。この記事で扱った8月31日の第17回は「素案」でした。
会議はYouTube Liveで配信され、一般の傍聴も申し込めます(登録の締切は9月24日12時)。詳しくは 次期学習指導要領の「審議まとめ(案)」が9月25日に審議されます。保護者も傍聴できます をご覧ください。
なお、答申の時期・告示の年度・全面実施の年度は、9月25日の開催案内からも確認できませんでした。
「いつから」を待たずにできること
学習指導要領が変わるのは早くても数年先で、いま学校に行けていない子の毎日は、その改訂を待ってくれません。制度の行方を見守りながら、いまの学びと居場所を確保しておくことが大切です。NIJINアカデミーは自宅から参加できるオンラインの学び場で、在籍校と連携した出席扱いの相談もできます。高校の単位制が気になる方は、ニジ高(NIJIN高等部)の説明もあわせて見てみてください。
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