- 令和6年8月に施行された法令改正で何が変わったのか
- 欠席中の学習を成績に反映してもらうための3つの要件
- 「出席扱い」と「成績評価」は別の制度だということ
- 斜線やオール1になる仕組みと、家庭からできる相談の仕方
この記事は、全国から900名を超える子どもたちが通うオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の知見も踏まえて構成しています。学びの記録をどう残し、どう学校に渡すかは、通知表の見え方にも関わってきます。
※本記事は2026年9月5日時点の情報です。評価の実際の運用は学校・自治体によって異なります。個別の扱いについては在籍校にご確認ください。
2024年8月、成績評価のルールが法令として明確になりました
文部科学省は令和6年8月29日、「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」(6文科初第1126号)を出しました。同じ日に、学校教育法施行規則の一部を改正する省令(令和6年文部科学省令第24号)と、不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績に反映する場合を定める告示(令和6年文部科学省告示第127号)が施行されています。
それまでも「学習の成果を評価してよい」という考え方は通知で示されていましたが、今回の改正で、これが法令上のルールとして明確になりました。対象は、小中学校・義務教育学校・特別支援学校小中学部に在籍する不登校児童生徒です。
反映のための3つの要件
通知は、欠席中の学習の成果を成績に反映させる場合の要件として、次の3つをすべて満たすことを求めています。
- 学習の内容が、在籍校の教育課程に照らして適切かどうかを学校が確認していること
- 学校と保護者・教育支援センターの職員等が十分な連携協力を保ち、定期的・継続的に学習状況を把握していること
- 学校が訪問指導やICTを活用したオンライン相談などを通じて、定期的・継続的に本人の学習状況を把握していること
並べてみると分かるとおり、鍵になっているのは「学校が把握できているか」です。家庭がどれだけ熱心に学んでいても、その中身と量が学校に伝わっていなければ、評価のしようがありません。逆にいえば、記録を残して定期的に共有することが、そのまま要件を満たす行動になります。
「出席扱い」と「成績評価」は別の制度です
ここは混同されやすいところです。出席扱いは指導要録の出欠の記録に関するもの、成績評価は各教科の評定や所見に関するもので、制度としては別々です。出席扱いが認められたからといって自動的に成績がつくわけではありませんし、逆に出席扱いになっていなくても学習の成果を評価してもらえる余地はあります。
学校に相談するときも、この2つを分けて伝えると話が通りやすくなります。「出席扱いの相談」と「学習の成果を成績に反映していただけるかの相談」は、別々のお願いです。
通知には、成績評価は必ずしも全教科・全観点に記載する必要はなく、所見欄などでの記述でもよいと示されています。「5段階の数字がつくかどうか」だけが評価ではありません。所見欄に取り組みが書かれるだけでも、進路の場面で意味を持つことがあります。
斜線やオール1になるのは、どういう仕組みなのか
評定は本来、学習の状況を確認したうえでつけるものです。学校が学習の状況を把握できていない場合、評定を出す根拠がないため、斜線や空欄という扱いになることがあります。これは「悪い評価をつけられた」というより、「判断材料がなかった」という記録に近いものです。
一方で、テストを受けていない・提出物が出ていないという事実だけをもとに最低評定がつくケースもあります。どちらの扱いになるかは学校の判断によります。ただ、令和6年の改正以降は、家庭から学習の記録を提出することで「判断材料がない」状態そのものを変えられる余地が広がりました。
家庭から伝えられること
- 使っている教材と、進んだ単元がわかる記録(印刷やスクリーンショットでも構いません)
- 1週間あたりのおおよその学習時間
- 本人が取り組んだ成果物(作文、自由研究、制作物など)
- 教育支援センターやフリースクールに通っている場合は、そこからの活動記録
通知は「最低限、学期ごとなど成績通知の頻度に対応したタイミングでの把握が必要」としています。つまり、通知表を受け取ってから相談するのでは遅いということです。学期の途中に一度、記録を渡して「これは評価の対象になりますか」と聞いておくのが、いちばん実務的な動き方になります。
相談するときに使える言い方
いきなり「成績をつけてください」と伝えると、学校側も答えにくくなります。制度名を出しながら、確認の形で聞くほうが話が進みます。
「令和6年8月の文部科学省の通知で、欠席中の学習の成果を成績に反映できることが法令上明確になったと聞きました。家庭では〇〇という教材で△△の単元まで進めていて、記録も残しています。この内容が本校の教育課程に照らして適切かどうか、一度見ていただくことはできますか。」
この聞き方であれば、学校側も「確認して回答する」という形で受け止めやすくなります。判断するのは学校ですが、判断してもらうための材料を渡すのは家庭にもできることです。
「明るくない子どもなんていない。問題児なんてたったの一人もいない」——これは、公立小学校の教員だった星野達郎(タツロー)校長がNIJINアカデミーを設立した原点にある言葉です。通知表の記号は、その子の価値ではなく、学校が把握できた範囲の記録にすぎません。把握してもらう方法があるなら、それを使えばいいのだと思います。
よくある質問
まとめ
2024年8月の法令改正で、欠席中の学習の成果を成績に反映できることが法令上明確になりました。要件の中心は「学校が学習の状況を定期的・継続的に把握していること」で、そのために家庭ができるのは、記録を残して学期の途中に渡しておくことです。出席扱いと成績評価は別の制度なので、相談も分けて伝えるほうが通りやすくなります。通知表の記号は学校が把握できた範囲の記録にすぎません。把握してもらう手段があるなら、遠慮なく使ってください。
NIJINアカデミーは、全国から900名を超える子どもたちが通うオンラインのオルタナティブスクールです。担任の所見という形で学びを可視化し、在籍校との連携も行っています。まずは説明会で、どんな場所か見てみてください。
この記事の内容を確かめるための一次資料
- 文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」令和6年8月29日(6文科初第1126号)
- 学校教育法施行規則の一部を改正する省令(令和6年文部科学省令第24号)
- 不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績に反映する場合を定める告示(令和6年文部科学省告示第127号)
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日

