教育支援センターの予算が12億→25億円へ倍増要求。2027年度、不登校支援はどう変わるか

文部科学省が2026年8月25日に公表した令和9年度(2027年度)概算要求で、不登校支援の中心にある「校内外教育支援センターの機能強化等」が12億円から25億円へ、倍以上に増やす要求となりました。スクールカウンセラー等の配置も88億円から95億円へ増額要求です。
ただし、概算要求は「こう使いたい」という要求であって、決定ではありません。そのうえで、この動きがご家庭にとって何を意味するのかを読み解きます。

何が発表されたのか

概算要求とは、各省庁が翌年度に使いたい予算を財務省へ要求する手続きです。毎年8月末に公表され、12月の政府予算案、翌3月の国会での予算成立を経て、はじめて実際の金額が決まります。

文部科学省 初等中等教育局の主要事項では、「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校、いじめ対策等の推進」という項目に、次の事業が並んでいます。

事業(資料の名称どおり)令和9年度
要求額
前年度
予算額
増減
スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等の配置充実95億円88億円+7億円
校内外教育支援センターの機能強化等25億円12億円+13億円
いじめ・自殺予防対策等の推進2億円0.1億円+1.9億円
体験活動の推進2億円1億円+1億円
夜間中学の設置促進・充実1億円1億円±0

出典:文部科学省「令和9年度概算要求主要事項【初等中等教育局】」(2026年8月25日公表)。事業名・金額は同資料の記載どおり。

資料に書かれている中身

金額だけでは何が変わるか見えないので、資料の説明文から要点を拾います。いずれも資料の記載をそのまま引いています。

  • 校内外教育支援センター:「校内教育支援センター支援員の配置拡充、保護者等への相談支援体制の強化による教育支援センターの機能強化、学びの多様化学校の設置促進等」
  • スクールカウンセラー等:「基盤となる配置に加えて、課題に応じた重点配置の実施、不登校支援の核となる教育支援センターへの配置充実、スーパーバイザーの指導助言によるSC・SSWの支援の質向上等」
  • 体験活動:「不登校児童生徒を対象とした教育支援センター等における体験活動の推進」

読み取れるのは、お金の重心が「学校の中の別室」と「教育支援センター」に寄っているということです。とくに「保護者等への相談支援体制の強化」と明記されている点は、これまで子ども本人に向きがちだった支援が、家庭側にも向けられようとしていることを示しています。

この数字をどう読むか

★誤解されやすい点その1:要求は決定ではありません

読み違えに注意

「25億円に決まった」ではありません

概算要求は、財務省との折衝でそのまま通ることもあれば、削られることもあります。実際の金額が決まるのは、12月の政府予算案と、翌年3月の予算成立を経てからです。

「来年度から支援が倍になる」と受け取るのは早すぎます。いまわかっているのは、文部科学省がこの分野を重点に置こうとしている、という方向性です。

★誤解されやすい点その2:25億円は全国の合計です

25億円と聞くと大きく感じますが、これは全国分の国の予算です。教育支援センターは市区町村が設置しており、その数は全国で1,000か所を超える規模です。単純に割れば、1か所あたりに届く金額はそれほど大きくありません。また、国の補助事業は自治体が手を挙げてはじめて動くものが多く、住んでいる自治体が使うかどうかで実際の変化には差が出ます。

★誤解されやすい点その3:「フリースクール」という名前の事業は見当たりません

この記事を書くにあたって初等中等教育局の主要事項資料を確認しましたが、「フリースクール」を名称に含む事業と要求額は、この資料の中には見当たりませんでした。民間のフリースクールへの直接の支援が増えると読むのは、少なくともこの資料からは無理があります。

資料に並んでいるのは、校内教育支援センター(学校の中の別室)と、自治体が運営する教育支援センター(適応指導教室)、そして学びの多様化学校です。国の予算の流れは、いまのところ公的な受け皿に向いていると理解しておくのが正確です。

「うちの子」にとって、何が変わるのか

学校には行けるけれど教室に入れない子

「校内教育支援センター支援員の配置拡充」がそのまま実現すれば、学校の中の別室に、見てくれる大人が付きやすくなります。別室があっても人がいないために結局使えない、という状況は各地で起きているので、ここは実感につながりうる変化です。

学校から少し離れた場所が必要な子

教育支援センター(適応指導教室)は市区町村が設置する公的な施設で、多くは無料または低額です。ここにスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置を充実させると明記されています。相談先が「学校の先生」しかない状態から、少しずつ選べる形に近づきます。

保護者にとって

「保護者等への相談支援体制の強化」が事業内容に入りました。親自身が相談していい場所として、教育支援センターが位置づけられつつあるということです。子どもが通っていなくても保護者の相談だけを受け付けている自治体もあるので、問い合わせてみる価値はあります。

いま、できること/しなくていいこと

今できること
  • お住まいの自治体の教育支援センターの場所と申し込み方法を、いま調べておく。制度が動くときに先に動けるのは、すでに窓口を知っている家庭です
  • 在籍する学校に「校内の別室(校内教育支援センター)があるか、誰が見てくれるか」を聞いておく
  • 12月の政府予算案の発表を、ひとつの区切りとして頭の隅に置いておく
しなくていいこと

いま何かを決め直す必要はありません。予算が動いても、現場に届くのは早くて2027年4月以降で、自治体によって時期も内容も差が出ます。

「制度が変わるかもしれないから待つ」という判断は、お子さんの1年を止めてしまうことがあります。制度の話と、目の前の1週間をどう過ごすかの話は、分けて考えて大丈夫です。

あわせて読みたい

出典(一次情報)
文責:にじいろ編集部
公開日:2026年9月7日 / 最終更新:2026年9月7日
この記事は、にじいろ編集部が一次情報にあたって作成しています。編集の考え方は編集体制・編集方針をご覧ください。誤りが判明した場合は、記事を書き換えるのではなく、末尾に訂正を追記します。
目次