「不登校の子の38.3%が支援を受けていない」は誤読です。数字の正しい読み方

不登校に関する報道でよく引かれる数字に、「相談・指導等を受けていない児童生徒 13万5,724人(38.3%)」があります。ここから「4割近くが誰にも支援されていない」という説明を目にすることがありますが、これは正確ではありません。
原典にあたると、この13万5,724人のうち12万759人(89.0%)は、担任等から継続的な支援を受けています。数字の意味を、一次資料に沿って整理します。

もとの数字を確認する

出どころは、文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」です。令和7年10月29日に公表され、令和8年1月16日に一部修正されています。以下は修正版の数値です。

項目人数割合
小・中学校の不登校児童生徒(合計)353,970人100%
 うち 学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けた218,246人61.7%
 うち 相談・指導等を受けていない135,724人38.3%
   うち 担任等から継続的な支援を受けた120,759人受けていない者の89.0%

出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(令和7年10月29日公表/令和8年1月16日一部修正)

どこが誤読されるのか

読み違えに注意

「相談・指導等を受けていない」=「誰にも支援されていない」ではありません

この調査項目が数えているのは、「学校内外の専門機関等」での相談・指導等です。教育支援センター、フリースクール、病院、相談機関などを指します。

担任の先生による継続的な支援は、この項目には含まれません。だから「専門機関等の支援は受けていないが、担任は関わっている」子が、13万5,724人の中に12万759人いるのです。

「4割が誰からも支援を受けていない」と書くと、実態より2ケタ近く大きい話になります。正確には、専門機関等につながっていない子が38.3%、どこからも継続的な支援を受けていない子は約1万5千人です(135,724−120,759=14,965人。この引き算はにじいろ編集部が公表値から行いました)。

それでも、この数字は軽くありません

誤読を正すことと、問題を小さく見せることは別です。専門機関等につながっていない子が13万人以上いるという事実は、そのまま重い。担任の先生が関わってくれていても、先生は授業も学級運営も抱えています。継続的な支援の中身は、学校によっても先生によっても違います。

そして、どこからも継続的な支援を受けていない約1万5千人。この数字が、この調査でいちばん見落とされやすいところだと、にじいろは考えます。

あわせて押さえておきたい数字

項目(令和6年度)前年度差
小・中学校の不登校児童生徒353,970人+7,488人(+2.2%)過去最多
 小学校137,704人+7,334人(+5.6%)
 中学校216,266人+154人(+0.1%)
高等学校の不登校生徒67,782人−988人(減少)

出典:同上。小・中の合計は 137,704+216,266=353,970 で公表値と一致します。

読み違えに注意

「全校種で過去最多」ではありません

過去最多になったのは小・中学校です。高等学校は67,782人で、前年度から988人減っています。「不登校が過去最多」という見出しだけを見て、高校生も増えていると受け取らないでください。

また、増加の中身も小中で違います。小学校が+5.6%と大きく伸びた一方、中学校は+0.1%とほぼ横ばいです。いま起きているのは「低年齢化」であって、「全体が一様に増えている」ではありません。

「不登校の要因」という言い方も、実は変わっています

令和5年度の調査から、この表の名称は「不登校の要因」ではなく「不登校児童生徒について把握した事実」になっています。学校が把握した事実を挙げるもので、原因を特定するものではありません。複数回答のため、合計は100%を超えます。

把握した事実(小・中学校 合計・上位5項目)人数割合
学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった106,436人30.1%
生活リズムの不調に関する相談があった88,563人25.0%
不安・抑うつの相談があった85,854人24.3%
学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた55,152人15.6%
いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題の情報や相談があった46,624人13.2%

出典:同上(母数は小・中学校の不登校児童生徒 353,970人)

「やる気が出ない」が最多、というのは読み方に注意が要ります。これは学校が把握した相談内容であって、子どもの怠けを意味しません。生活リズムの不調も、不安・抑うつも上位に並んでいます。本人にも言葉にしづらい状態が、外からは「やる気が出ない」に見えている——そう読むほうが実態に近いはずです。

「うちの子」にとって、どう使う数字か

今できること
  • いま担任の先生としかつながっていないなら、それは38.3%側です。悪いことではありませんが、選択肢は増やせます。自治体の教育支援センターに、子どもが通わなくても保護者だけで相談できるか聞いてみてください
  • 専門機関につながる/つながらないは、家庭の努力不足ではありません。窓口の場所を知らないだけ、というケースが実際にとても多いです
  • 10月ごろには令和7年度分の調査結果が公表される見込みです(文部科学省の資料に「例年10月の調査結果の公表」と記載)。数字が更新されたら、この記事も更新します
しなくていいこと

この数字で焦る必要はありません。統計は「うちだけではない」と知るためのもので、順位づけのためのものではありません。

専門機関につながることが、すべての子にとって正解でもありません。いま家で安全に過ごせていること自体が、支援の結果であることもあります。

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出典(一次情報)
文責:にじいろ編集部
公開日:2026年9月7日 / 最終更新:2026年9月7日
この記事は、にじいろ編集部が一次情報にあたって作成しています。編集の考え方は編集体制・編集方針をご覧ください。誤りが判明した場合は、記事を書き換えるのではなく、末尾に訂正を追記します。
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