中央教育審議会の「不登校児童生徒に係る特別の教育課程ワーキンググループ」が、2026年6月29日の第9回会議で取りまとめ案を示しました。
ざっくり言うと、教育支援センターなどで過ごした時間を、正式な教育課程として組み立てられるようにするという制度です。実現すれば、不登校の子どもの「学びの扱い」が根本から変わります。
ただし、これはまだ確定した制度ではありません。施行時期も決まっていません。それを踏まえたうえで、何が議論されているのかをお伝えします。
これは確定情報ではありません
本記事で扱うのは、審議会のワーキンググループが示した「取りまとめ案」の内容です。今後の議論で変わる可能性があり、いつから始まるかも決まっていません。
にじいろがこの段階でお伝えするのは、制度が動きはじめてから知るより、方向が見えている段階で知っておくほうが、選択の準備ができるからです。決定として受け取らないでください。
どこまで議論が進んでいるのか
このワーキンググループは、中央教育審議会 初等中等教育分科会のもとに置かれています。2026年に入ってからの開催状況は次のとおりです。
| 回 | 開催日 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 第5回 | 令和8年3月17日 | — |
| 第6回 | 令和8年4月30日 | — |
| 第7回 | 令和8年6月10日 | — |
| 第8回 | 令和8年6月17日 | 特別の教育課程の場所・体制等について/取りまとめ骨子案 |
| 第9回 | 令和8年6月29日 | 取りまとめ案 |
出典:文部科学省「不登校児童生徒に係る特別の教育課程ワーキンググループ」配付資料。資料タイトルは原文どおり。
3月から6月にかけて集中的に開かれ、骨子案から2週間で取りまとめ案まで進んでいます。審議会としてはかなり速いペースです。
取りまとめ案に書かれていること
取りまとめ案は全7章の構成です。①制度創設の背景 ②対象児童生徒の判断 ③教育課程の内容と授業時数 ④個別の指導計画 ⑤学習評価 ⑥実施体制 ⑦施行時期等の留意事項。以下、原文の表現を引きながら要点をお伝えします。
対象は「休み始めだが、伴走があれば学びに向かえる子」
取りまとめ案は、対象を「休み始めだが適切な伴走支援があれば学びに向かうことができる児童生徒」と表現しています。
ここは重要です。すでに長く学校から離れている子ではなく、これから離れそうな段階の子が想定されていると読めます。早い段階で手を打つ制度、という位置づけです。
授業時数は一律に決めない
原文はこうです。「制度として一律に授業時数を定めるのではなく、児童生徒の実態を踏まえ、各学校長が適切な範囲で柔軟に設定」。
週に何時間、という国の縛りを置かず、学校長の判断に委ねる形です。柔軟である一方、学校によって差が出るということでもあります。
実施場所は校内外の教育支援センター
取りまとめ案は、校内外教育支援センターにおいて「居場所機能のみならず、児童生徒の学習意欲や自己肯定感を高め」ることを求めています。
いまの教育支援センターは、自治体によって「安心して過ごす場所」に留まるところと、学習支援まで踏み込むところに分かれています。この制度は後者を標準にしようとしていると読めます。令和9年度概算要求で校内外教育支援センターの予算が12億円から25億円へ倍増要求されているのは、この動きと表裏です。
国が先に動く、と明記されている
「学習指導要領の改訂を待つことなく、実施体制や指導員等の研修に係る整備について、国が先頭に立って進める」
学習指導要領の改訂は数年がかりの作業です。それを待たずに体制整備を進める、と書かれているのは、スピード感を持たせる意図の表れです。
当面は小中学校から
取りまとめ案では、義務教育段階(小学校・中学校)を当面の対象とし、高等学校段階は将来的に検討する、という段階的な実施が示されています。高校生のお子さんがいるご家庭には、すぐには関係しない制度です。
まだ決まっていないこと
施行時期は書かれていません
取りまとめ案の第7章に「本制度の施行時期」が検討項目として挙げられていますが、具体的な年月の記載はなく、「今後検討が必要」とされています。
「◯年度から始まる」という情報を見かけたら、出典を確かめてください。少なくともこの取りまとめ案には書かれていません。
もうひとつ。フリースクールなど民間の場については、この取りまとめ案に明示的な記述を確認できませんでした。制度の対象として想定されているのは、校内外の教育支援センターなど公的な場が中心です。民間のフリースクールに通っている子がこの制度でどう扱われるかは、現時点では読み取れません。
「うちの子」にとって、何が変わりうるのか
実現した場合に変わるのは、「学校を休んでいる時間」の扱いです。いまは、教育支援センターに通っても「出席扱い」という形で在籍校が判断する運用が中心です。特別の教育課程になれば、そこで学ぶこと自体が正式な教育課程として組まれることになります。
ただし繰り返しますが、いつからかは決まっていません。いま在籍校と相談中のことを、この制度を待って止める必要はありません。
- お住まいの自治体の教育支援センターが、居場所中心なのか、学習支援まであるのかを確認しておく。制度が動くときに差が出るのはここです
- 在籍校に、校内の別室(校内教育支援センター)の有無と体制を聞いておく
- この制度に関するニュースは、必ず文部科学省の配付資料を出典に確かめる
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- 文部科学省「不登校児童生徒に係る特別の教育課程ワーキンググループ」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/119/index.html - 同 第9回 配付資料(令和8年6月29日)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/119/giji_list/mext_00009.html - 【資料1】不登校児童生徒に係る特別の教育課程WG 取りまとめ案
https://www.mext.go.jp/content/20260629-mxt_jidou01-000050719_2.pdf - 【資料2】同 取りまとめ骨子案(令和8年6月17日)
https://www.mext.go.jp/content/20260617-mxt_jidou01-000050502_3.pdf - 文部科学省「令和9年度概算要求主要事項【初等中等教育局】」(2026年8月25日公表)
https://www.mext.go.jp/content/20260825-ope_dev02-000051779-5.pdf
公開日:2026年9月7日 / 最終更新:2026年9月7日
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