不登校の相談先といえば、これまでは学校と教育委員会でした。そこに、もうひとつの入口が用意されようとしています。
こども家庭庁の「地域における不登校のこどもへの切れ目ない支援事業」は、教育委員会ではなく首長部局(市長・町長の側)が主体になってモデル事業を行うものです。令和8年度の公募は2026年1月23日に更新され、2月27日を期限に実施されました。
地味ですが、これは相談の入口が増えるという話です。
何が動いているのか
こども家庭庁の事業
こども家庭庁は、不登校対策のページで次のように説明しています。原文の表現です。
「首長部局において、不登校のこどもや保護者への支援メニューの開発・実証や、支援体制を構築するためのモデル事業を実施します。」
公募資料ではこう書かれています。「地域における不登校のこどもへの切れ目ない支援体制を構築するため、教育委員会と連携した首長部局からのアプローチによる不登校のこどもや保護者への支援メニューの開発・実証等に取り組み」ます。
「首長部局」とは何か
自治体の中には、大きく2つの系統があります。教育委員会(学校・教育を所管)と、首長部局(市長・町長のもとにある福祉・子育て・保健などの部門)です。
不登校はこれまで、基本的に教育委員会の領域として扱われてきました。そこに、子育て・福祉の側からもアプローチするというのがこの事業の狙いです。「学校に行かない」を教育の問題だけとして扱わない、という考え方の変化が背後にあります。
なぜ、これが保護者にとって意味を持つのか
相談の入口が増える
学校に相談しづらい、という声はよく聞きます。担任と関係がこじれている、学校に行かせようとされるのがつらい、そもそも学校と話すこと自体が消耗する——理由はさまざまです。
首長部局が入口になれば、学校を経由せずに相談できる可能性が出てきます。子育て支援窓口や福祉部門は、学校とは別の言葉で話を聞いてくれることがあります。
医療・福祉とつながりやすくなる
こども家庭庁は、不登校対策について「医療・福祉などの関係機関とも連携し、地域全体で不登校のこどもへの支援を行っていく」と説明しています。
体調の不調、発達の特性、家庭の事情。学校だけでは扱いきれない部分に、福祉や医療の側から手が届きやすくなる設計です。
国の枠組みとしての位置づけ
こども家庭庁のページには、不登校対策が「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)」(平成29年法律105号)に基づいて進められていること、そして令和5年に文部科学省がCOCOLOプランを取りまとめ、こども家庭庁も連携して取り組んでいることが記載されています。
また、令和8年6月のこどもまんなか実行計画2026には、「校内教育支援センターの設置促進・教育支援センターの機能強化、学びの多様化学校の設置促進を図る」と書かれています。
期待しすぎないための注意
モデル事業なので、全国どこでも使えるわけではありません
これは手を挙げた自治体で実証的に行われる事業です。お住まいの自治体が参加していなければ、いまのところ何も変わりません。
「こども家庭庁がやっているから全国で使える」と受け取らないでください。まずはお住まいの市区町村の子育て支援担当に、不登校の相談を受け付けているかを確かめるのが現実的です。
「フリースクール」への言及は見当たりません
こども家庭庁の不登校対策ページには、フリースクール・教育支援センターへの具体的な言及を確認できませんでした(これらは文部科学省の所管です)。また、こどもまんなか実行計画2026にも「フリースクール」という語は見当たりませんでした。
民間のフリースクールへの支援がこの枠組みで広がる、と読むのは、少なくとも現時点の資料からは無理があります。
いま、できること
- 市区町村の子育て支援窓口・こども家庭センターに、不登校の相談ができるか聞いてみる。教育委員会だけが窓口とは限りません
- 学校との話が消耗する場合、学校を通さない相談先を1つ持っておく。それだけで、選べる状態になります
- お住まいの自治体が「こどもの居場所づくり」関連の事業を行っているか確認する。こども家庭庁には、居場所づくり支援体制強化事業、NPO等と連携したこどもの居場所づくり支援モデル事業、こどもの居場所づくりコーディネーター配置等支援事業(令和7年度より実施)といった枠組みがあります
学校との関係を切る必要はありません。入口が増えるという話であって、どれかを選べという話ではありません。担任の先生とうまくいっているなら、その関係はそのままで大丈夫です。
あわせて読みたい
- こども家庭庁「こども家庭庁における不登校対策」
https://www.cfa.go.jp/policies/futoko-taisaku - こども家庭庁「地域における不登校のこどもへの切れ目ない支援事業の公募について」(令和8年1月23日更新)
https://www.cfa.go.jp/procurement/koubo-futoukou - こども家庭庁「こども・若者の居場所づくり」
https://www.cfa.go.jp/policies/ibasho - こども家庭庁「こどもまんなか実行計画2026」(令和8年6月)
https://www.cfa.go.jp/policies/kodomo-taikou - 文部科学省「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」(令和5年3月)
https://www.mext.go.jp/content/20230418-mxt_jidou02-000028870-cc.pdf
公開日:2026年9月7日 / 最終更新:2026年9月7日
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