高校を中退したあとの進路|数字で見る実際と、使える公的支援

机をはさんで向かい合い相談する二人。高校中退後の進路について解説する記事のアイキャッチ
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高校を辞めた、あるいは辞めるかもしれない。そのとき保護者が最初に感じるのは「この先どうなるのか」という不安だと思います。この記事では、実際に何人が中退していて、その理由の1位が何かという数字と、公的に用意されている戻り道・支援の窓口を、文部科学省・厚生労働省・県の資料で確認します。
この記事でわかること
  • 高校の中途退学者は年間44,571人、中退率は1.4%(令和6年度)で、前年より減っていること
  • 中退の理由の1位は「進路変更」で、全体の41.5%を占めること
  • 公立高校には「中途退学者募集」という正式な募集区分がある県があること
  • 15歳から使える無料の公的支援窓口があること(サポステは15〜49歳が対象)
  • 高校を経由せずに進学する道(高卒認定試験)と、中卒から入れる学校(高等専修学校)があること
この記事について

数字は文部科学省の調査、支援制度は厚生労働省・神奈川県の公表資料で確認しています。再入学の仕組みは都道府県によって異なります。お住まいの地域の教育委員会でご確認ください。

目次

数字で見る、中退の実際

文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の令和6年度の結果によれば、高等学校の中途退学者数は44,571人、中途退学率は1.4%でした。通知本文にはこう書かれています。

文部科学省の通知本文より

「高等学校における中途退学者数は44,571人であり、前年度の46,238人から減少した。」

そして、中退の事由で最も多いのは「進路変更」で18,505人、全体の41.5%です。

この数字は、一度立ち止まって読む価値があります。中退のいちばん多い理由は、失敗ではなく進路の変更です。4割の人が「この学校ではない道に進む」という判断をしている。「中退=ドロップアウト」という語感と、実際の統計はかなり違います。

公立高校に「中途退学者募集」という枠がある

一度辞めた人が高校に戻る道は、制度として用意されています。神奈川県には、入学者選抜の中に「中途退学者募集」という正式な区分があります。

神奈川県 令和9年度 中途退学者募集の応募資格

高等学校等に1年以上在籍した後に中途退学し、当該高等学校等での修得単位を有する者で、本人及び保護者が県内に住所を有する者」

令和9年度の実施校は県立川崎高校と県立厚木清南高校(いずれも単位制による全日制の課程 普通科)。検査は学力検査(国語・数学・外国語)、作文、面接で、一般の入学者選抜と同じ時期に行われます。

県はさらに「高校を中途退学したあなたへ」というページを設け、中途退学者募集のほかに再入学についても案内しています。「定員に空きのある高校で3月中下旬に検査を実施します。検査の内容は、学力検査等ですが、各学校で異なります」とされています。

同じ仕組みがすべての都道府県にあるとは限りません。ただ、「辞めたら公立高校には戻れない」というのは事実ではないということは押さえておいてください。まずはお住まいの都道府県の教育委員会サイトで「中途退学」「再入学」を探してみてください。

高校を経由しない進学の道

高等学校卒業程度認定試験(高認)に合格すると、大学・短大・専門学校の受験資格が得られます。受験できるのは、その年度の終わりまでに満16歳以上になる人。年2回実施され、一度に全科目に合格する必要はありません。

ただし、ここは正確に理解しておく必要があります。文部科学省のQ&Aは、最終学歴についてこう明言しています。

文部科学省Q&Aより

Q:高卒認定試験に合格すると、最終学歴は高等学校卒業になるのですか?
A:「なりません。合格者は高等学校を卒業した方と同等以上の学力があると認められますが、高等学校を卒業しなければ最終学歴は高等学校卒業とはなりません。」

得られるのは「高卒の学歴」ではなく「大学入学資格」です。進学するなら十分に道は開けますが、「高卒扱いになる」という説明は不正確です。

中学卒業から入れる学校もある

あまり知られていませんが、高等専修学校(専修学校高等課程)という選択肢があります。文部科学省の資料では「昭和51年に新しい学校制度としてつくられた専修学校のうち、中学卒業者を対象とした課程」とされ、「高校と並び、中学卒業後の進路の一つとして認められた学校です」と説明されています。

入学資格は中学校または義務教育学校の卒業。さらに重要なのは、次の仕組みです。

修業年限が3年以上等の要件を満たしたもので、文部科学大臣が指定した学科の修了者は、高等学校卒業者と同様に大学入学資格が得られることになっています」

文部科学省は、この「大学入学資格付与指定校」の一覧も公表しています。実務的な技術を学びながら、大学進学の資格も得られる進路です。

働くことを考えるときの、公的な窓口

「まず働いてみる」という選択もあります。無料で使える公的な窓口が、年齢別に用意されています。

窓口対象年齢内容
地域若者サポートステーション(サポステ)15歳〜49歳厚生労働省委託の支援機関。無料。「高校等の中退者の希望に応じた、高校や自宅等へ訪問するアウトリーチ型の相談等」も行う
わかものハローワークおおむね35歳未満正社員を目指す若者向けに、担当者制の職業相談、応募書類・面接対策などを無料で実施
ハローワーク年齢制限なしあらゆる年齢層を対象に仕事の相談・紹介を行う

特にサポステは15歳から使えます。就職活動そのものよりも手前の段階——生活リズム、コミュニケーション、何をしたいか分からない——から相談できる場として設計されています。自宅への訪問という形もあると明記されており、外に出るのが難しい段階でも入口があります。

順番として考えたいこと

① 辞める前に、単位と在籍期間を確認する。前の高校で修得した単位も在籍期間も、転入・編入の際に引き継がれます。学年の途中で辞めるとその年度の単位が付かない場合があるため、時期の判断は重要です。

② 戻る道を先に調べておく。中途退学者募集や再入学の仕組みがある県では、募集の時期が決まっています。辞めてから調べるより、先に知っておくほうが選択肢が広がります。

③ 進学の道を閉じない。高認、通信制高校への編入、高等専修学校。どれも「今すぐ決めなくていい」道です。

④ ひとりで抱えない。サポステは15歳から無料で相談できます。学校を離れた瞬間に支援がなくなるわけではありません。

よくある質問

中退すると、それまでの高校生活はすべて無駄になりますか?
なりません。文部科学省のQ&Aは、前籍校で修得した単位を編入学先で卒業に必要な単位数に加えられると説明しています。在籍期間についても、大阪府立桃谷高校のQ&Aは「前籍校の在籍期間や修得単位が加算されます」としています。ただし学年途中の退学では、その年度の単位が認定されない場合があるため、在籍校で現時点の修得単位数を確認してください。
中退の理由は「学業不振」がいちばん多いのではないですか?
令和6年度の調査では、最も多い事由は「進路変更」で18,505人(41.5%)でした。他の事由の内訳は、本記事では文部科学省の資料から確実に読み取れた数字のみを掲載しています。詳細は文部科学省の調査結果をご確認ください。
親としては、まず何をすればいいですか?
在籍校で「現時点の修得単位数」を聞くこと、お住まいの都道府県の教育委員会サイトで「中途退学者募集」「再入学」があるか調べること、この2つが具体的な第一歩です。本人が動けない時期であれば、保護者が地域若者サポートステーションに相談することもできます。

まとめ

高校の中途退学者は年間44,571人、中退率は1.4%で、前年より減っています。理由の1位は「進路変更」で41.5%。数字は「失敗」というより「進路の切り替え」の姿を示しています。

制度の側にも道は用意されています。中途退学者募集という正式な枠を持つ県があり、修得した単位も在籍期間も引き継がれ、高認や高等専修学校という別ルートもあります。そして15歳から使える無料の相談窓口があります。

辞めることは、進路が終わることではありません。いま確認すべきなのは、修得単位数と、お住まいの地域の再入学の仕組み。この2つから始めてみてください。

この記事の内容を確かめるための一次資料

  1. 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」 ページ概要PDF
  2. 神奈川県「令和9年度 中途退学者募集 実施要領」 PDF
  3. 神奈川県「高校を中途退学したあなたへ」 ページ
  4. 厚生労働省「地域若者サポートステーションとは」 ページ
  5. 厚生労働省「わかものハローワーク」 ページ
  6. 愛知労働局「中卒・高校中途退学した方やその保護者の方へ」 ページ
  7. 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」 ページQ&A
  8. 文部科学省「高等専修学校(専修学校高等課程)」 ページ大学入学資格付与指定校一覧
  9. 文部科学省「高等学校入学資格Q&A」 ページ
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文責:にじいろ編集部(編集部について訂正・修正に関する方針
公開日:2026年9月7日 / 最終更新:2026年9月7日
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