発表主体:こども家庭庁。発表日:2026年10月26日。公表内容は、青少年インターネット環境整備法の今後を検討するワーキンググループ第10回会合の開催案内です。会合は10月28日午前9時からオンラインで開かれ、議題は事業者に求める措置などです。法改正が決定したという発表ではありません。
10月28日に「事業者に求める措置」を議論
こども家庭庁は2026年10月26日、青少年インターネット環境整備法の在り方等に関する検討ワーキンググループ第10回会合の開催を案内しました。会合は10月28日(水)午前9時からオンラインで行われる予定で、当日の映像配信は予定されていません。公開された議事次第には「事業者に求める措置について」と「その他」が掲げられています。
この案内が知らせているのは、検討会合の日時、開催方法、議題です。具体的にどの措置が採用されるのか、法律をいつ改正するのか、すべてのSNSや動画サービスにどのような義務を課すのかが決まったわけではありません。会合の議題に事業者の措置が含まれていることを、「事業者への新しい規制が決定した」と読み替えないようにする必要があります。
ただし、今回の会合は単発の案内ではありません。こども家庭庁は2026年7月に中間整理報告書をまとめており、現行法の考え方や、SNS等のプラットフォーム事業者の役割、子どもの権利と安全をどう両立するかなどを検討しています。第10回会合の議題は、その中間整理を踏まえて、事業者に求める措置を引き続き議論する場として位置づけられます。
子どもや若者にとって、インターネットは危険に触れる場所であると同時に、学習情報を得たり、関心のある人とつながったり、自分の考えを表現したりする場でもあります。学校のGIGA端末やオンライン教材、遠隔での学びを利用する家庭にとっても、安心して情報へアクセスできる環境は重要です。したがって議論の焦点は、単純に「使わせるか、使わせないか」ではなく、どのリスクを誰がどのように減らし、子どもの権利や学びの機会をどう守るかにあります。
確認できる一次資料は、10月26日の開催案内、第10回会合の議事次第、7月の中間整理報告書です。
そもそも青少年インターネット環境整備法とは
青少年インターネット環境整備法は、18歳未満の青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするため、2008年に制定された法律です。こども家庭庁の説明では、携帯電話などのインターネット接続に関わる事業者にフィルタリングの提供等を求め、保護者にも青少年の適切な利用を支える責務を定めています。詳しい条文や制度の沿革は、こども家庭庁の法令案内から確認できます。
法律が作られた当時と比べ、子どもがインターネットを使う機器やサービスは大きく変化しました。スマートフォン、SNS、動画共有、オンラインゲーム、生成AIなど、サービスの機能や利用者同士の接触方法は多様化しています。学習のために使う端末でも、検索、動画視聴、チャット、共有機能などを通じて、学び以外の情報や人との接触が生じることがあります。技術環境の変化が、法制度の見直しを検討する背景になっています。
現行法の中心的な仕組みの一つがフィルタリングです。フィルタリングは、一定の情報へのアクセスを制限することで青少年を保護する方法ですが、インターネット上のリスクは閲覧する内容だけではありません。子ども自身が発信する情報、他者からの接触、サービスのおすすめ機能、課金や長時間利用など、利用の仕方やサービス設計に関わる課題もあります。すべてを閲覧制限だけで防ぐことは難しいという問題意識が、中間整理に記されています。
法律の検討に関心を持つ際には、現行制度と検討中の案を分けて確認しましょう。現行法に書かれている義務や努力義務は、現在すでに有効なルールです。一方、中間整理報告書で「検討する必要がある」「求めることが適当」とされた内容は、政策の方向性や検討課題であり、そのまま法律上の義務になったことを意味しません。会議で議論されること、報告書で提案されること、法案が国会に提出されること、法律が成立・施行されることは、別々の段階です。
こども家庭庁の青少年インターネット環境整備法の案内には法律本文や関連制度へのリンクがあります。ニュースの見出しだけで変更の有無を判断せず、まず現在の制度を確認してから、会議資料や最終的な法令の公表状況を追うことが重要です。
7月の中間整理で示された方向性
2026年7月31日付の中間整理報告書は、こどもを取り巻くリスクが多様化しているとして、法目的や基本理念、保護の方法、ガバナンスなど複数の論点を整理しました。報告書は、インターネット利用に伴うリスクへの対応だけでなく、子どもが学び、成長し、社会とつながる機会を支えることも重要だとしています。保護と主体的な利用を対立させず、両立する環境を考える姿勢が示されています。
事業者の役割については、従来の携帯電話事業者によるフィルタリングを中心とした考え方に加え、OS事業者が提供する保護者向け機能や、SNS等のプラットフォームの設計・運営に関わる役割が論点となっています。中間整理では、サービスの特性に応じたリスク評価、保護措置、情報公開、継続的な改善などを促す仕組みを検討すべきだと整理されています。
報告書は、OSのペアレンタルコントロール機能について、技術的保護手段としての位置づけや事業者への提供義務などを検討する必要があると記載しています。ここで重要なのは、あくまで「検討する必要がある」と記された論点であることです。すべての機器で機能提供が義務化されたわけでも、家庭が特定の機能を必ず設定しなければならないと決まったわけでもありません。
プラットフォーム事業者に求める措置の候補として、サービスの子どもへのリスク評価や、講じた保護措置の公表、年齢確認、適正年齢の設定なども挙げられています。中間整理は、年齢確認の方法を考える際には、利用者の利便性、セキュリティ、プライバシー、個人情報保護、多様なサービスの違いを総合的に考える必要があるとしています。具体的な仕組みが決定済みということではなく、実効性と権利保護の両方を検討する論点です。
報告書には、こども本人の意見を聴くことの重要性も示されています。中高生との意見交換では、おすすめ機能や無限スクロールが長時間利用や情報の偏りにつながるという意見、生成AIによる偽情報への懸念、年齢や発達段階によって有害性の受け止め方が異なることなどが共有されました。これらは参加した子どもたちの意見として紹介されたもので、すべての子どもが同じ意見を持つと一般化するものではありません。
このように、中間整理は今後の検討方向を示しながら、複数の措置について具体化を残しています。10月28日の会合では「事業者に求める措置について」が議題に含まれますが、会議案内だけでは、どの論点をどの程度深めるのか、どの案が支持を得るのかまでは分かりません。会合後に資料や議事要旨が公表された場合は、提案、意見、合意事項を区別して読む必要があります。
家庭や学校にとって何が関係するのか
法制度の議論は、事業者や行政だけに関わるように見えるかもしれません。しかし、学校で使う端末や家庭のスマートフォン、学習用アプリ、SNS、動画サービスなどを通じて、子どもがどのような情報に触れ、誰とつながり、何を発信できるかに影響する可能性があります。特に、オンライン学習を利用している子どもにとっては、安全対策が学びへのアクセスを不必要に妨げないことも大切です。
現時点で家庭に求められるのは、会議の議論が終わるまで何もできないと考えることではありません。使用している機器やサービスの年齢設定、フィルタリング、利用時間や課金の設定、相談先を確認することは、今の制度やサービスの範囲でできる対応です。ただし、すべての家庭で同じ設定が適切とは限りません。子どもの年齢、必要な学習アプリ、友人との連絡方法、障害や特性に伴う利用上の必要などを踏まえて、本人と話し合うことが重要です。
学校では、端末を配布した後の利用ルールだけでなく、学習に必要なサービスへのアクセス、トラブル時の相談、家庭との連携、子ども自身への情報モラル教育を含めて考える必要があります。中間整理は、GIGA端末の学校内外での利用実態や課題を把握し、子どもの保護の観点から必要な対応を検討することにも触れています。学校が一律に利用を禁止するのではなく、学習機会を確保しながら危険に対応する仕組みを整えることが課題です。
保護者にとって、ペアレンタルコントロールやフィルタリングは、子どもの行動を監視するための道具としてだけでなく、年齢や状況に応じて環境を調整する手段として捉えられます。設定を使う場合には、何を制限し、何を許可するのかを本人に説明し、利用の状況や必要性を見直すことが大切です。子どもが不安や被害を相談したときに、端末を取り上げることだけで対応が終わらないよう、安心して話せる関係を保つことも必要です。
家庭と学校のどちらか一方に責任を集中させないことも重要です。サービスの設計や運営、端末の機能、学校の利用環境、保護者の支援、子ども自身のリテラシーなど、複数の主体が関わります。中間整理が事業者や行政の役割を改めて検討しているのは、リスク対応を家庭の自己責任だけに委ねることには限界があるという問題意識とも関係しています。
子どもの権利と安全を一緒に考える
インターネットには、危険な情報や不適切な接触のリスクがある一方で、学び、表現、交流、情報収集など、子どもの成長に関わる機会もあります。中間整理報告書は、危険を取り除くことだけを目的にするのではなく、子どもの権利や主体的な成長を支える環境を実現する視点を示しました。議論を「規制を強めるか、自由に任せるか」の二択にしないことが大切です。
子どもの年齢や発達段階に応じた支援は必要ですが、年齢だけで一律に利用の可否を決めることには慎重さが求められます。情報を読む、発信する、困ったときに相談する力は、経験と学習を通じて身につきます。リスクを避ける設定とともに、広告やおすすめの仕組みを理解する、個人情報の扱いを考える、誤情報を確かめる、困った投稿を報告するなど、実際の利用に結びつく学びも必要です。
ペアレンタルコントロールなどの機能を使う際には、子どものプライバシーや自立とのバランスも考えます。保護者が設定する場合でも、本人に理由を伝えずに全ての閲覧や連絡を監視する方法が、すべての家庭で最善とは限りません。子どもが年齢を重ねたり、自分で安全に判断できる場面が増えたりしたときは、設定やルールを話し合って見直すことができます。
学校での教育も、危険情報を列挙して怖がらせるだけでは十分ではありません。子どもが実際に使うサービスや学習端末を題材に、困ったときに誰へ相談するか、友人の情報をどう扱うか、AIが作った文章や画像をどう確かめるかを考える授業が考えられます。制度の変更がなくても、学校の情報活用能力や情報モラル教育の中で、子どもが主体的に学ぶ機会を作れます。
子どもの意見を聴く際は、意見を集めたこと自体を政策決定への反映と混同しないようにします。どのような子どもが参加し、どんな方法で意見を出し、意見がどのように扱われたかを確認する必要があります。特定の学年や参加者の声だけで全体を代表させず、異なる年齢、利用環境、障害の有無、学びの形態などの違いにも目を向けることが、制度の実効性につながります。
10月28日の会合で確認したいポイント
会合の公開議事次第から確かめられる議題は「事業者に求める措置について」と「その他」です。会合案内には、オンライン開催であること、当日の映像配信を予定していないことも記されています。したがって、当日リアルタイムの配信を見て議論を確認する形式ではありません。会議資料や議事要旨が後日掲載されるか、こども家庭庁の会議ページを確認することになります。
議論を追う際には、まず「どの事業者を対象とするのか」を確認します。携帯電話事業者、OS提供者、SNS、動画共有、ゲーム、生成AIなどは、提供する機能や子どもとの関わり方が異なります。中間整理でも、事業者の役割を一律に扱うのではなく、サービス特性やリスクに応じた保護措置を検討する方向が示されています。会合で具体的な対象範囲が提示された場合は、案なのか、委員の意見なのか、合意された整理なのかを読み分けましょう。
次に、求められる措置の内容と根拠を見ます。リスク評価、保護機能、年齢確認、利用者への情報公開などが議論される場合、それぞれの措置がどの課題に対応するのか、事業者の自主的取組なのか、法的義務の案なのか、行政による評価や報告の仕組みを伴うのかが重要です。発言の一部だけを切り取ると、検討中の案がすでに制度化されたように伝わるおそれがあります。
年齢確認をめぐっては、子どもの保護と個人情報・プライバシーの保護、利用のしやすさが関係します。中間整理は、複数の確認方法を挙げながら、確認の段階や方法を今後検討する必要があるとしています。特定の身分証や技術が全国一律で導入されると決まったわけではありません。会合の資料で具体案が示された場合も、対象サービス、保存される情報、本人確認の代替手段、誤判定や利用できない場合の扱いを確認することが必要です。
さらに、子ども自身の意見や、学校教育・家庭支援との役割分担がどう扱われるかも注目点です。事業者の措置を強化しても、子どもが相談できる人や学ぶ機会がなければ、利用上の困りごとに十分対応できない場合があります。反対に、家庭や学校の啓発だけに委ねても、サービスの設計に起因する問題には対応しきれません。複数の主体の責任と支援がどのように結びつけられるかを見ていきましょう。
情報を追うときの注意点
会議の開催案内と、会議の結論は別の情報です。10月26日に公表されたのは開催についての案内であり、10月28日の会合でどのような意見が出たか、どの論点が合意されたかは、開催後の資料や議事要旨を確認しないと分かりません。開催前の時点で、法改正案が決まった、年齢確認が義務化される、SNS利用の新しい禁止措置が始まると断定することはできません。
中間整理報告書も、最終的な法律の条文ではありません。報告書に記された「適当」「必要」「検討すべき」といった表現は、検討の方向性や論点を示しています。政策の意思決定には、その後の会議、関係省庁との調整、法案作成、国会審議、公布や施行など複数の段階があり得ます。実際に制度が変更されたかどうかを知るには、最終的な法令や政府の正式発表を参照してください。
委員の発言や中高生の意見は、議論に重要な材料を提供しますが、参加者の意見を社会全体の総意と同一視することはできません。意見がどのように集められたか、人数や対象、質問の方法などによって見える範囲は変わります。報告書が紹介する意見は、その会合で示された声として受け止め、政策の根拠や代表性については別の資料で確かめる必要があります。
また、インターネット利用に関する調査結果を読むときは、調査対象や質問の仕方、回答時期を確認します。こども家庭庁の青少年のインターネット利用環境実態調査は、青少年と保護者を対象に利用環境やフィルタリング等を調べるものですが、調査結果は特定時点の回答に基づきます。利用時間と心身の状態などに関連が見られても、それだけで一方が他方を引き起こしたと結論づけることはできません。
ニュースを読む際には、見出しだけで不安を強めず、公式資料の更新日と内容を確認しましょう。法制度の話題は、案、意見、報告書、正式決定、施行の違いを整理すると、家庭で今すぐ対応すべきことと、今後の動向を待つことを分けやすくなります。
保護者・学校が今できる確認
保護者は、家庭で使っているスマートフォン、タブレット、ゲーム機などについて、現在設定できるフィルタリングや利用時間管理、課金制限、アプリの年齢設定を確認できます。すでに設定がある場合も、子どもの使い方や学習上の必要が変わっていないかを定期的に見直すとよいでしょう。設定方法は端末や通信事業者によって異なるため、契約先や製造元の公式案内を参照します。
設定と同時に、子どもと話す時間を作ります。「何を見たかを全部報告して」と求めるより、困ったときに大人へ伝えてよいこと、知らない人からの連絡や課金の誘いにどう対応するか、誤った情報を見つけたときに何を確かめるかを具体的に話し合う方が、相談につながりやすくなります。子どもが失敗やトラブルを話したときに、すぐに責めたり利用を全面禁止したりしないことも、早期に助けを求められる環境づくりに関係します。
学校では、GIGA端末を使う学習活動の目的と利用ルールを子どもや家庭に説明し、困ったときの相談窓口を明確にします。授業で使うサービスに年齢制限やアカウント条件がある場合は、学校側が事前に確認し、家庭に過度な負担が移らないようにします。校外で端末を使うケースを含め、情報漏えい、誹謗中傷、なりすまし、過度な利用などを相談できる体制を整えることが大切です。
子どもがトラブルを相談したときには、何が起きたかを本人の責任に還元せず、必要な安全確保を先に考えます。画像やメッセージを拡散しない、証拠を保全する、サービスの通報機能や学校・自治体の相談先を使うなど、事案に応じた対応が必要です。深刻な危険や違法行為が疑われる場合は、学校内だけで抱えず、保護者や適切な公的機関と連携します。
法改正の結果を待つ間も、家庭や学校の実践は続けられます。最新の議論を確認することと、目の前の子どもが安全に学び、つながり、必要な助けを得られるようにすることを並行して進める姿勢が大切です。
まとめ
こども家庭庁は2026年10月26日、青少年インターネット環境整備法の在り方を議論するワーキンググループ第10回会合の開催を案内しました。会合は10月28日午前9時からオンラインで行われ、議題には「事業者に求める措置について」が含まれています。開催案内の公表であり、法改正や新たな義務が決まったわけではありません。
7月の中間整理では、従来のフィルタリングだけでなく、SNS等の事業者の役割、OSの保護機能、リスク評価、年齢確認や情報公開、子どもの権利とプライバシーなどが検討課題として整理されました。家庭や学校にとっては、子どもの学習・交流の機会を保ちながら、サービス設計や家庭の設定、情報モラル教育を含めた複数の対策を考えることが関係します。会議で何が議論され、どの段階の結論が示されたのかは、開催後の公式資料で確認する必要があります。
次の行動: 第10回会合の公式ページを確認し、開催後に資料や議事要旨が掲載されたら、提案と決定事項を分けて読みましょう。家庭では、今使っている端末やサービスの公式設定案内を確認し、子どもと利用ルールや相談先を話し合ってください。制度の現状はこども家庭庁の法令案内で確認できます。


