10代後半だけ、「お世話」の相手の1位が「きょうだい」。こども家庭庁が15〜39歳6万7905人に聞いたヤングケアラーのデータ【転載可】

こども家庭庁が15歳から39歳までの約10万人を対象に進めている「若者10万人の総合調査」の途中経過(暫定速報)から、ヤングケアラーに関する図表を読みました。家族の「お世話」をしている(していた)人は15.5%。その相手は、全体では「祖母」が最も多いのですが、15〜19歳だけは「きょうだい」が3割を超えて1位でした。数値はすべて原典で確認しています。資料や記事でお使いになる場合は、末尾の転載条件をご確認ください。

1. この調査について

項目資料の記載
調査名若者10万人の総合調査(ウェブアンケート調査・途中経過)
調査目的若い世代の状況や課題を把握し、若年世代に対する施策の企画・立案の基礎資料を得ることを目的とする
調査対象令和8年4月1日時点で満15歳から満39歳までの者 約10万人
調査方法インターネットによるアンケート調査(調査会社に登録しているモニターによる回答)
調査期間令和8年5月20日から8月5日まで
集計の範囲途中経過として、7月23日までに回答があった者を一旦集計
回答者数101,950人(うち有効回答 67,905人)
今後年度末の最終報告書に取りまとめ、若者政策の基本設計(グランドデザイン)に活かす

出典:こども家庭庁 こども家庭審議会こどもの居場所部会(第23回・令和8年9月17日開催)参考資料3「若者10万人の総合調査 途中経過(暫定速報)」1ページ。

この資料は、9月17日の部会に配られた参考資料です。同じ資料の別の図表(居場所・相談先・困りごと)は、9月24日の記事で読んでいます。この記事では、そこで扱わなかったヤングケアラーの3ページ分(図表33〜35、36〜39、40〜42)を読みました。

2. 家族の「お世話」をしている・していた人は15.5%

まず、この調査が「お世話」をどう定義しているかを確認します。資料の注記はこうです。

資料の注記(図表33の注1)

「お世話の有無」とは、『家族の中にあなたが「お世話」をしている人はいますか。ここで「お世話」とは家族の介護その他の日常生活の世話などをすることをいい、家族の感情面のサポートも含まれます。また、自分のこどもの育児は含めないでお答えください。』への回答。

回答人数割合
現在いる4,641人6.8%
現在はいないが、過去にいた5,876人8.7%
現在も過去もいない49,448人72.8%
わからない7,940人11.7%
合計67,905人100.0%

図表33「『お世話』の有無」(n=67,905)。人数・割合とも資料の記載どおりです。「現在いる」+「現在はいないが、過去にいた」=10,517人で、資料本文の「15.5%」および図表35の集計対象者数(n=10,517)と一致します。

3. 「お世話」の相手は、全体では「祖母」が最多

「お世話」をしている(していた)と答えた10,517人に、誰の世話かを聞いた結果です(複数回答)。

相手人数割合
祖母3,461人32.9%
母3,106人29.5%
父2,133人20.3%
祖父2,074人19.7%
きょうだい1,432人13.6%
その他1,196人11.4%
祖母
32.9%
母
29.5%
父
20.3%
祖父
19.7%
きょうだい
13.6%
その他
11.4%

図表34「『お世話』の相手」(分母10,517人・複数回答)。資料の注2に「誰の『お世話』をしていたかどうかは、複数回答可能であるため、合計値が100%を超える可能性がある」とあります。作図:にじいろ編集部。

4. ただし15〜19歳だけ、1位は「きょうだい」

同じ質問を、性別と年齢階級ごとに分けたのが次の表です。資料はこの結果を「10代後半のヤングケアラーが一番『お世話』をしている(していた)者は『きょうだい』で、3割を超える」とまとめています。

性別・年齢集計対象者数父母祖父祖母きょうだいその他
男性 15〜19歳232人21.1%29.3%21.6%26.7%33.6%6.5%
男性 20〜24歳298人22.5%30.2%26.2%30.5%20.5%3.0%
男性 25〜29歳575人21.9%28.2%28.2%35.8%9.9%5.6%
男性 30〜34歳1,087人23.1%25.9%21.5%36.1%9.8%8.6%
男性 35〜39歳1,737人26.8%28.2%19.3%34.2%8.3%10.2%
女性 15〜19歳559人12.9%25.2%20.2%23.1%34.3%9.1%
女性 20〜24歳671人13.3%33.4%18.0%30.1%24.3%8.2%
女性 25〜29歳1,160人16.3%29.1%21.1%34.0%15.3%10.9%
女性 30〜34歳1,670人17.9%31.4%19.9%34.2%11.0%14.6%
女性 35〜39歳2,303人21.2%31.3%15.3%32.2%9.7%16.2%

図表39「『お世話』の相手」(n=10,292・複数回答)。集計対象者数の合計は10,292人で、図表39に記載されたnと一致します。図表33の10,517人との差225人は、性別が男性・女性以外の回答と考えられますが、資料に内訳の記載はありません。太字は、資料本文が言及している15〜19歳の「きょうだい」です。

年齢が上がるほど「祖母」の割合が高くなり、「きょうだい」の割合は下がっていきます。10代後半では、男女とも「きょうだい」が3割を超えて最も多い——これが、この3ページでいちばんはっきり出ている差です。

5. 自分を「ヤングケアラー」だと思っているのは31.8%

「お世話」をしている(していた)と答えた10,517人に、自分自身がヤングケアラーにあてはまると思うかを聞いています。設問文は次のとおりです。

資料の注記(図表35の注3)

ヤングケアラーの自覚を聞く際には、「家族の介護その他の日常生活の世話を過度に行っていると認められるこども・若者」のことを「ヤングケアラー」といいます。こども期(18歳未満)に加え、おおむね30歳未満の方を中心に、状況等に応じ40歳未満の方までも対象となります。あなた自身は「ヤングケアラー」にあてはまる(あてはまっていた)と思いますか。イメージ例も参考にしてお答えください。

回答人数割合
あてはまる(あてはまっていた)3,345人31.8%
あてはまらない5,572人53.0%
わからない1,600人15.2%
合計10,517人100.0%

図表35「ヤングケアラーの自覚」(n=10,517)。人数・割合とも資料の記載どおりです。

家族の世話をしている(していた)と答えた人のうち、自分をヤングケアラーだと思っている人は3人に1人ほどで、「あてはまらない」が半数を超えています。設問には「過度に行っている」という条件が入っているため、世話をしていること自体と、自分をヤングケアラーだと考えるかどうかは、この調査では別のものとして聞かれています。

6. 年齢が上がるほど、経験者の割合は高い

年齢階級「お世話」をしている(していた)人の構成比(参考)回答者全体の構成比
15〜19歳7.9%12.2%
20〜24歳9.5%11.9%
25〜29歳16.9%18.2%
30〜34歳26.7%25.3%
35〜39歳39.0%32.3%

図表38「年齢階級」。左の列は「家族の中に『お世話』をしている(していた)人がいると回答した者」の年齢構成比、右は回答者全体の年齢構成比です。図表38に集計対象者数(n)の記載は見つけられませんでした。資料は「年齢階級別では、ヤングケアラーは、全体と比べ、30代に多くみられた」とまとめています。

これは「30代に多い」ことを示す図であって、「10代にはヤングケアラーが少ない」ことを示す図ではありません。この調査は15歳から39歳までが対象で、35〜39歳の回答者が21,918人、15〜19歳が8,309人と、もともと回答者の数が大きく違います。

7. 生活満足度は「少し低い」

0点(全く満足していない)から10点(非常に満足している)までで、今の生活の満足度を答えてもらった結果です。

点数「お世話」をしている(していた)人(参考)全体
0点(全く満足していない)6.2%5.1%
1点2.5%1.8%
2点5.0%3.8%
3点9.1%7.6%
4点8.7%8.1%
5点16.6%18.3%
6点13.6%13.9%
7点16.8%17.4%
8点11.7%12.9%
9点3.9%4.1%
10点(非常に満足している)5.9%7.0%

図表40「生活満足度」。割合は資料の記載どおりです。左右とも合計は100.0%になります。この図表に集計対象者数(n)の記載は見つけられませんでした。

8. 自己肯定感は「ほとんど変わらない」、孤独感は「少し高い」

資料はこの3つの図表を、「ヤングケアラーの自己肯定感等は全体の傾向とほとんど変わらないが、『生活満足度』は少し低く、『孤独・孤立』を感じる割合は少し高い」とまとめています。

設問(自己肯定感等)「お世話」をしている(していた)人(参考)全体
自分には自分らしさというものがあると思う75.9%72.6%
今の自分が好きだ50.6%50.6%
自分自身に満足している42.7%43.6%
自分は社会から支援され、支えられていると思う57.3%56.1%
全体として、自分が人生を生きる上で日々、行っていることには価値があると思う57.0%56.0%

図表41「自己肯定感等」。資料の注記「それぞれの設問に対して『あてはまる』又は『どちらかといえば、あてはまる』と回答した者の割合」。

設問(孤独・孤立感)「お世話」をしている(していた)人(参考)全体
自分には人とのつきあいがないと感じることがある19.7%17.7%
自分は取り残されていると感じることがある18.8%15.4%
自分は他の人たちから孤立していると感じることがある18.0%14.8%
しばしばある・常に孤独であると感じる15.5%13.6%

図表42「孤独・孤立感」。資料の注記「左3つの設問については『常にある』と回答した者の割合。一番右の設問については『しばしばある・常にある』と回答した者の割合」。上の表では、資料の左から右の並びを上から下に置き換えています。図表41・42とも集計対象者数(n)の記載は見つけられませんでした。

差はいずれも数ポイントです。資料自身が「ほとんど変わらない」「少し低い」「少し高い」という書き方をしていることを、あわせて見てください。

9. ★ここは誤解されやすい

読むときの5つの注意

1. 「日本の若者の◯%」ではありません。調査会社に登録しているモニターへのウェブ調査で、回答者の62.2%が女性です。資料自身が「特に全体の値を参照する際は留意が必要」と書いています。

2. これは「途中経過」です。調査期間は8月5日までですが、集計は7月23日までに回答があった分です。確定値ではありません。

3. 「お世話をしている」=「ヤングケアラー」ではありません。この調査の「お世話」は、介護その他の日常生活の世話に加えて家族の感情面のサポートも含む広い聞き方です。一方、ヤングケアラーの自覚を聞く設問には「過度に行っている」という条件が入っています。実際、「お世話」をしていると答えた人のうち53.0%は「あてはまらない」と答えています。

4. 数ポイントの差を大きな差として読まないでください。自己肯定感の5項目は、いずれも全体との差が3ポイント以内です。資料も「ほとんど変わらない」と書いています。

5. 不登校との関係は、この資料からは分かりません。この26ページの資料に「不登校」という語は1か所も出てきません。「家族の世話をしているから学校に行けない」といった因果は、この資料からは書けません。

10. この記事に書かなかったこと

確認できなかったこと、この記事では扱わなかったことを書いておきます。

項目理由
図表38・40・41・42の集計対象者数(n)各図表にnの記載を見つけられませんでした。図表33は67,905人、図表35は10,517人、図表39は10,292人とそれぞれ明記されています
「お世話」にかけている時間・頻度この資料のヤングケアラーの3ページには、時間や頻度を聞いた図表がありません
図表36(性別)・図表37(就業形態)の内訳資料は「大きなかい離はみられない」とまとめています。本記事では図表37を読んでいません
年齢による差が生じている理由資料に説明がないため、推測は書いていません
この資料の他の図表図表43(社会的養護等での生活経験)、図表44(メンタルヘルス)、図表45には触れていません。図表1〜28については9月24日の記事で一部を扱っています
最終報告書の公表予定日資料には「年度末」としか書かれていません
この資料自体の公表日資料に記載がありません。部会の開催日は令和8年9月17日です

11. 転載について

転載について

このページの表・数値は、出典を明記し本ページへリンクしていただければ、自由に転載していただけます。申請や連絡は不要です。

表記例:
出典:にじいろ「10代後半だけ、『お世話』の相手の1位が『きょうだい』」(https://nijin.jp/news-data-young-carer-r8/)/原典:こども家庭庁「若者10万人の総合調査 途中経過(暫定速報)」

数値そのものの原典はこども家庭庁です。可能であればこども家庭庁の資料も併せてご参照ください。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご連絡ください。訂正はページ末尾に明記します。

出典(一次情報)
  • こども家庭庁 こども家庭審議会 こどもの居場所部会(第23回)/令和8年9月17日開催
    https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/kodomo_ibasho/8c862ca3
  • 同 参考資料3「若者10万人の総合調査 途中経過(暫定速報)」全26ページ(PDF・2.4MB)。上記のページからダウンロードできます。本記事が使ったのは1ページ(調査概要)、21ページ(図表33〜35)、22ページ(図表36〜39)、23ページ(図表40〜42)です
  • こども家庭庁 こどもの居場所部会 開催状況一覧
    https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/kodomo_ibasho

本文の数値は、上記PDFの本文・図表から、にじいろ編集部が直接読み取ったものです。図表33・図表35は内訳の合計が記載の総数と一致すること、図表34・図表39は割合が人数から再計算した値と一致すること、図表38の参考値が資料1ページの年齢階級別集計対象者数から再計算した値と一致することを、それぞれ確認しています。第23回部会の議事録は、本記事の公開時点でまだ公開されていません。

文責:にじいろ編集部
公開日:2026年9月25日 / 最終更新:2026年9月25日
この記事は、にじいろ編集部が一次情報にあたって作成しています。編集の考え方は編集体制・編集方針をご覧ください。誤りが判明した場合は、記事を書き換えるのではなく、末尾に訂正を追記します。
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