「高校生くらいまでに居場所がなかった」18.8〜29.5%。こども家庭庁が15〜39歳の6万6422人に聞いた「若者10万人の総合調査」暫定速報

こども家庭庁が、15歳から39歳までの約10万人を対象にしたウェブアンケート調査の途中経過(暫定速報)を、9月17日のこどもの居場所部会に資料として出しました。有効回答は6万7905人。そのなかに、「生まれてから高校生くらいまでの経験」を聞いた項目があります。「学校でいじめをうけていた時期があった」「居場所がなかった」「勉強についていくのが難しかった」——大人になった人たちが、子どものころをどう振り返っているかの数字です。学校が合わないお子さんのそばにいる方に、数字そのものをそのままお届けします。

1. 何が公表されたのか

こども家庭庁のこども家庭審議会 こどもの居場所部会(第23回)(令和8年9月17日開催)の参考資料3「若者10万人の総合調査 途中経過(暫定速報)」(全26ページ)です。部会そのものの議題は「若者の居場所づくりに向けた論点整理(案)」で、この調査はその背景資料として配られました。

項目資料に書かれている内容
調査目的若い世代の状況や課題を把握し、若年世代に対する施策の企画・立案の基礎資料を得ること
調査対象令和8年4月1日時点で満15歳から満39歳までの者 約10万人
調査方法インターネットによるアンケート調査(調査会社に登録しているモニターによる回答)
調査期間令和8年5月20日から8月5日まで
今回の集計全体の結果をある程度把握する観点から「途中経過」として、7月23日までに回答があった者を一旦集計
回答者数7月23日までに回答があった者 101,950人(うち有効回答数 67,905人)
今後年齢別・地域別などの詳細な分析を進め、年度末の最終報告書に取りまとめ、若者政策の基本設計(グランドデザイン)に活かす

出典:参考資料3 1ページ「調査概要」「今後について」。表現は資料の記載にそろえています。

2. まず押さえたい——これは「ウェブモニター調査」です

数字を見る前に、資料自身が書いている注意書きを先に置きます。ここを外すと、以降の数字はすべて読み違えます。

資料1ページの注記(原文の趣旨)

男性24,161人(35.6%)・女性42,261人(62.2%)と女性の回答が多く、また、15〜19歳8,309人、20〜24歳8,107人、25〜29歳12,382人、30〜34歳17,189人、35〜39歳21,918人と年齢階級ごとの集計対象者数が大きく異なるため、特に全体の値を参照する際は留意が必要。

あわせて、これは調査会社に登録しているモニターの回答です。住民基本台帳から無作為に選んで郵送するタイプの調査とは、回答者の集まり方が違います。回答者の居住地は関東39.8%・近畿16.5%・東海11.8%で、3大都市圏で7割弱。婚姻状況は既婚33.5%・未婚66.5%。最後に通った学校は大学45.6%、高等学校26.9%で、そのうち卒業81.2%・在学中15.5%・中退3.3%です。

つまりこの数字は、「日本の15〜39歳全体がこうです」と読むための数字ではありません。それでも6万人を超える回答があり、年齢と性別で分けた内訳まで出ている資料はそう多くありません。傾向を眺めるための材料として見ていきます。

3. 「高校生くらいまでの経験」——9項目の数字

設問は「あなたが生まれてから高校生くらいまでのことについてお聞きします。あてはまるものをお選びください。」。下の数字は、「あてはまる」または「どちらかといえば、あてはまる」と回答した人の割合です(図表11、n=66,422)。

性別・年齢集計対象者数家の経済状況が
よくなかった
家族同士の仲が
悪かった
ひとり親家庭で
育った
親が全員、仕事に
就いていない
時期があった
学校でいじめを
うけていた
時期があった
勉強について
いくのが
難しかった
居場所が
なかった
児童劇の鑑賞を
する機会が
あった
児童図書や絵本を
読んだ・読み聞かせて
もらった
男性 15〜19歳2,16522.6%22.6%13.3%8.2%26.3%36.9%18.8%26.4%51.7%
男性 20〜24歳2,16424.7%23.8%14.0%10.1%27.4%31.7%20.7%25.0%45.3%
男性 25〜29歳3,74928.3%25.8%15.6%10.2%32.3%32.8%22.1%23.2%41.6%
男性 30〜34歳6,62727.8%27.0%14.8%10.5%34.6%34.2%22.3%22.0%36.9%
男性 35〜39歳9,45628.3%25.8%12.6%9.5%31.6%33.2%21.3%21.9%35.0%
女性 15〜19歳5,84323.3%28.6%14.8%7.4%26.2%39.2%24.1%31.9%62.1%
女性 20〜24歳5,70625.9%31.0%17.6%7.8%33.2%33.8%26.4%30.9%58.6%
女性 25〜29歳8,33427.8%31.8%17.1%8.8%36.1%32.6%25.4%29.5%52.7%
女性 30〜34歳10,24829.3%32.5%16.4%9.0%41.1%34.5%27.7%28.4%51.3%
女性 35〜39歳12,13030.0%33.4%13.7%8.1%41.5%35.9%29.5%30.7%49.3%

出典:参考資料3 5ページ 図表11。集計対象者数の合計は男性24,161人・女性42,261人で、合計66,422人(資料1ページの人数と一致することを確認しました)。

4. いじめ・居場所を、年齢で並べてみる

9項目のうち、にじいろの読者にとって近いふたつを取り出して並べます。

「学校でいじめをうけていた時期があった」

男性15〜1926.3%
男性20〜2427.4%
男性25〜2932.3%
男性30〜3434.6%
男性35〜3931.6%
女性15〜1926.2%
女性20〜2433.2%
女性25〜2936.1%
女性30〜3441.1%
女性35〜3941.5%

図表11より。10代の26.2〜26.3%に対して、30代後半の女性は41.5%。

「居場所がなかった」

男性15〜1918.8%
男性20〜2420.7%
男性25〜2922.1%
男性30〜3422.3%
男性35〜3921.3%
女性15〜1924.1%
女性20〜2426.4%
女性25〜2925.4%
女性30〜3427.7%
女性35〜3929.5%

図表11より。もっとも低い男性15〜19歳で18.8%、もっとも高い女性35〜39歳で29.5%。

両方に共通しているのは、年齢が高い層ほど数字が大きいことです。資料はこの差の理由を説明していません。若い世代ほど実際に経験が減っているのか、それとも、年数がたつほど記憶や受け止め方が変わるのか——この調査からは分かりません。資料が書いているのは、年齢階級別の割合そのものだけです。

もうひとつ。「勉強についていくのが難しかった」は、どの年齢・性別でも31.7〜39.2%の範囲にあり、いじめや居場所と違って年齢による差がほとんどありません。3人に1人が「難しかった」と振り返っている、という数字です。

5. 「通っている学校が自分に合わない」20.8%の読み方

同じ資料の別の設問(図表22「普段感じていること(困っていること)」)に、こういう項目があります。「そう感じる」「どちらかといえば、そう感じる」と答えた人の割合です。

項目割合
勉強や学習がうまくいかない44.0%
通っている学校が自分に合わない20.8%
自分の家に自分の居場所がない17.9%

出典:参考資料3 11ページ 図表22。参考までに、この設問全体の上位は「自分の見た目(容姿・体型)が気に入らない」56.7%、「人と恋愛関係になることが難しい」56.3%、「人を信頼することが難しい」55.5%でした。

★ここは誤解されやすい

20.8%は「在学中の人のうち2割が学校に合わないと感じている」という意味ではありません。この調査の回答者は15〜39歳で、最後に通った学校を「在学中」と答えた人は15.5%です。資料の注記を読むかぎり、この項目は在学中の人だけに絞った集計だとは書かれていません(同じ図表のなかで「通学や通勤が負担だ」「職場の人間関係がよくない」などには、集計対象を絞った旨の注が付いていますが、「通っている学校が自分に合わない」には付いていません)。分母が特定できないため、この記事では「2割の在校生が」とは書きません。

6. 相談先として「学校や職場」は、ほとんど選ばれていない

この調査は、11の場面それぞれについて「どのような人や機関に相談したり、情報をもらったり、頼んだりすると思いますか」を、あてはまるものをすべて選ぶ形で聞いています(図表27、集計対象者数67,905人)。

資料はこうまとめています。「全体として、『家族』、『友人・知人』、『専門家や行政などのサービス機関』が上位3つに挙がる」「また、学校や職場に相談したり、頼るということはあまりみられない」。

実際の数字を、ひとつの場面——「家族との関係で問題を抱えて、悩んだり、落ち込んだり、混乱したとき」——で見ます。

相談先割合
友人・知人38.6%
家族33.1%
誰もいない・相談できない・言えない22.7%
生成AIサービス11.0%
SNS上の人(友人・知人ではない人)8.7%
専門家や行政などのサービス機関7.5%
学校や職場4.9%
選択肢以外の人や機関2.0%

出典:参考資料3 16ページ 図表27のうち「家族との関係で問題を抱えて、悩んだり、落ち込んだり、混乱したとき」の列。行と数値の対応は、PDF内の文字座標で確認しています。

「学校や職場」は、11の場面すべてで2.1%〜6.2%にとどまります。いちばん高いのが「仕事を紹介してもらうとき」の6.2%です。困ったときに学校を頼る、という選択肢が、そもそもあまり挙がっていない。これは、学校とうまくいっていないお子さんを見ている方にとっては、実感に近い数字かもしれません。

もうひとつ資料が指摘しているのが、「家族との関係で悩んだときの相談先として『生成AIサービス』を挙げた人が約1割(11.0%)」という点です。家族のことで悩んだとき、行政や専門機関(7.5%)より、AIのほうが多く挙げられています。

7. 「相談したり頼れる人がいない」は、10代でも1割台

図表28は、各場面で「誰もいない・相談できない・言えない」を選んだ人の割合を、婚姻状況・性別・年齢階級で分けたものです。10代の行を抜き出します。

区分集計対象者数家族との関係で
悩んだとき
親や友人など
大切な人を
失ったとき
地域や社会と関わる
方法がよく
わからないとき
失業や病気で
お金が必要に
なったとき
未婚 男性 15〜19歳2,14213.5%15.5%15.1%12.1%
未婚 女性 15〜19歳5,79113.7%15.9%15.3%11.6%
(参考)未婚 男性 35〜39歳5,31041.0%41.1%47.0%32.9%

出典:参考資料3 17ページ 図表28。資料は「全体的に、年齢階級が高いほど、相談したり頼れる人がいなくなる傾向にある」「相談したり頼れる人がいない割合は、男女問わず既婚者よりも未婚者の方が多くみられる」と記しています。

10代の段階では1割台です。ただし、年齢が上がるほど数字は大きくなります。「今は友だちがいるから大丈夫」が、そのまま10年後も続くとは限らない——資料が示しているのは、そういう形の数字です。

8. ★ここは誤解されやすい(4つ)

1)「日本の若者の◯%」ではありません

調査会社に登録しているモニターへのインターネット調査です。回答者の62.2%が女性、3大都市圏が7割弱。資料自身が「特に全体の値を参照する際は留意が必要」と書いています。

2)これは「思い出して答えた」数字です

「高校生くらいまでの経験」は、いま15歳の人も、いま39歳の人も、過去を振り返って答えています。当時の記録ではありません。年齢が高い層ほど数字が大きいことの理由を、資料は説明していません。

3)項目どうしを結びつけて読まないでください

「いじめ」「居場所がなかった」「勉強が難しかった」は、それぞれ別の設問です。同じ人が3つとも答えたのか、別々の人なのかは、この資料からは分かりません。「いじめられた子は居場所がない」といった因果の読み方は、この数字からはできません。

4)これは「途中経過」です

調査期間は8月5日まででしたが、集計したのは7月23日までの回答です。資料は年度末に最終報告書をまとめると書いており、ここに出ている数字は確定値ではありません。

9. いま、できること/しなくていいこと

いま、できること

学校以外の相談先を、困る前にひとつ見ておく。この調査で「学校や職場」が相談先として挙がったのは、11の場面すべてで2.1〜6.2%でした。学校とうまくいっていないときに学校が相談先になりにくいのは、数字の上でもそうだということです。お住まいの自治体の教育支援センターやこども家庭センター、都道府県の教育相談窓口など、学校の外にある窓口の名前と連絡先を、いま調べて控えておくだけでも違います。実際に使うかどうかは、そのときに決めれば大丈夫です。

しなくていいこと

この数字から、お子さんの将来を計算すること。ここにあるのは、いま15〜39歳の人が自分の子ども時代をどう振り返っているかの割合です。お子さんがこの先どうなるかを教えてくれる数字ではありません。もうひとつ、「うちの子は居場所がないほうに入るのだろうか」と分類しようとすることも、しなくて大丈夫です。この調査は、その問いに答えるためのものではありません。

なお、この調査が配られたこどもの居場所部会(第23回)の議題は「若者の居場所づくりに向けた論点整理」(案)でした。部会のページには9月24日時点でも議事録の本文が掲載されていないため、この論点整理が確定したのかどうかは確認できていません。

10. この記事に書かなかったこと

  1. 図表22の集計対象者数。この図表にはnの記載を見つけられませんでした(同じ資料でも、図表11はn=66,422、図表27は67,905と明記されています)。
  2. 「通っている学校が自分に合わない」20.8%の分母。在学中の人に絞った集計かどうかが資料から確認できないため、割合の意味づけをしていません。
  3. 年齢による差が生じている理由。資料に説明がありません。推測は書いていません。
  4. 未読の図表。この記事で読んだのは図表1〜6、11、22〜24、27、28です。図表29以降(信頼度、行政サービスの利用、社会参画、「お世話」の有無とヤングケアラーの自覚、社会的養護等での生活経験、メンタルヘルス、SNS利用に関する考え方)には触れていません。
  5. 最終報告書の公表予定日。「年度末」としか書かれていません。
  6. この資料自体の公表日。資料に日付の記載を見つけられませんでした。部会の開催は令和8年9月17日、PDFのファイル名に含まれる日付は20260915です。
出典(一次情報)

本文の数値は、上記PDFの本文・図表を編集部が全文で読み、表の行と列の対応をPDF内の文字座標で確認したうえで掲載しています。図表11については、集計対象者数の合計(男性24,161人+女性42,261人=66,422人)が資料1ページの記載と一致することを確認しました。確認できなかった項目は、上の「10. この記事に書かなかったこと」に記載しています。報道記事は情報源にしていません。

文責:にじいろ編集部
公開日:2026年9月24日 / 最終更新:2026年9月24日
この記事は、にじいろ編集部が一次情報にあたって作成しています。編集の考え方は編集体制・編集方針をご覧ください。誤りが判明した場合は、記事を書き換えるのではなく、末尾に訂正を追記します。
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