東京都の学校教育DX、有識者会議の第2回を10月19日に開催 AI時代の学び方とデータ活用を議論

学校教育DXとAI時代の学び方を表す明るいサムネイル

何が公表されたのか

東京都教育委員会は、学校教育のデジタル化を考える「学校教育DX専門家会議」の第2回会議を、2026年10月19日(月)午後1時から3時まで開催すると公表しました。会場は東京都庁で、学校教育の情報化に関する計画の改定に向けた検討が主な議題です。発表日は2026年10月9日です。

今回の情報で確定しているのは、会議の開催予定と、現時点で示されている議題です。新しい学習指導のルールや、学校に一律導入されるAIサービスが決まったという発表ではありません。会議で資料が示され、専門家が意見を交わし、その後に資料や議事録が公表されるという段階です。

一次情報は、東京都教育委員会の「学校教育DX専門家会議(第2回)の開催について」です。会議資料と議事録は後日掲載される予定とされているため、10月9日時点では、議論の結論や具体的な導入時期まで読み取ることはできません。

デジタル化という言葉は、端末を増やすことだけを意味しません。授業の準備、教材へのアクセス、学習状況の把握、校務の連絡や記録など、学校の仕事と学びを支える仕組み全体を見直すことが含まれます。だからこそ、便利さだけでなく、使わない選択、紙や対面との組み合わせ、個人情報の扱いまで一緒に考える必要があります。

第2回会議で扱われる4つの論点

東京都が示した議題は、第一に学校教育の情報化に関する計画を改定する際のポイント、第二にAI時代に求められる資質・能力と学び方、第三に新しい学び方における学習データ・評価データの活用、第四に教職員の働き方を支える校務DXです。4つは別々に見えて、実際には相互に関係しています。

たとえば、学習用端末で得られる記録を授業改善に役立てるには、どんなデータを取るのか、誰が見られるのか、本人や保護者にどう説明するのかが必要です。教職員の作業を減らすためにシステムを導入する場合も、入力項目が増えて現場の負担が増すなら、目的と手段が逆転します。

会議の議題に「学び方」が含まれている点は、学校教育DXを機器の導入だけで終わらせないために重要です。子どもが自分の理解度や興味を振り返り、教員が授業の設計を調整し、家庭が必要な情報を確認できるようにするには、それぞれの役割と境界を整理しなければなりません。

一方で、議題に含まれたからといって、すべての学校が同じシステムを使うことや、すべての学習をデータで評価することが決まったわけではありません。東京都の検討は、今後の計画を考えるための材料を集める段階です。

公開資料を読むときの視点

公式発表では、開催日時、場所、議題、今後の資料掲載予定が中心に示されています。発表文の「検討」「議論」「ポイント」という表現は、決定事項を示す言葉とは役割が違います。記事やSNSで「東京都がAI教育を決定した」と短く紹介されていたとしても、元の発表に戻り、決定なのか検討なのかを確かめることが大切です。

AI時代の資質・能力と学び方

AIが文章、画像、音声、プログラムなどを生成する環境では、答えを早く出す力だけでなく、問いをつくる力、情報の根拠を確かめる力、出力を修正する力が重視されます。子どもがAIを使ったかどうかだけで優劣を判断するのではなく、何を目的に使い、どこを自分で考え、どの情報を採用しなかったのかを説明できることが学びになります。

ただし、AIを使えば学びが自動的に深くなるわけではありません。生成された内容には誤りや偏りが含まれる可能性があり、年齢や発達段階に応じた確認が必要です。入力した文章や画像がどのように扱われるのか、学校が契約するサービスの利用規約や設定をどう確認するのかも、技術的な課題と同じくらい重要です。

不登校の経験がある子どもや、教室での刺激が負担になりやすい子どもにとって、オンライン教材や音声入力、録画された説明が助けになる場合があります。しかし、同じ方法がすべての子どもに合うとは限りません。画面を見る時間が長くなると疲れる子もいれば、文字より対話や実物を使った活動の方が理解しやすい子もいます。

ここで注意したいのは、AIやデジタル教材を使うことと、学習成果が上がることを単純に結びつけないことです。利用できる環境、教員の支援、家庭での接続状況、課題の難しさなど多くの条件が関係します。一つの実践で変化が見られても、それだけで原因がAIだったと断定することはできません。

学び方を選べる設計

学校で考えたいのは、AIを導入するかどうかだけではなく、子どもが複数の参加方法から選べる設計です。たとえば、リアルタイム参加、録画視聴、短い課題の提出、紙の教材、教員との個別確認などを組み合わせ、どれを選んだかを失点のように扱わないことが考えられます。

選択肢を増やすときは、子どもに自己管理を丸投げしないことも大切です。選べる方法が多すぎると、何から始めればよいか分からなくなる場合があります。学校側が「今日はここまで」「困ったらこの連絡先」といった見通しを示し、使った後に負担や分かりにくさを聞き取ることで、選択肢が実際に機能するかを確かめられます。

学習・評価データをどう使うか

学習データには、課題の提出状況、教材を開いた回数、解答の履歴、振り返りの内容など、さまざまな情報が含まれます。評価データも、テストの点数だけでなく、作品、発言、協働、自己評価などを含むことがあります。どのデータを使うかを決める前に、学習を支えるための情報と、管理のための情報を区別する必要があります。

ログイン回数が少ないことは、学んでいないことと同じではありません。画面外で本を読んでいたり、家族と会話しながら考えていたり、体調に合わせて一度にまとめて取り組んだりする子どももいます。反対に、利用時間が長いことだけで理解が深いとも言えません。数値は手がかりであって、子どもの全体像そのものではありません。

家庭が確認したいのは、どのデータが記録され、誰が見るのか、保存期間はどのくらいか、訂正や削除を相談できるのか、学校外の事業者に提供される可能性があるのかという点です。すべての家庭が契約書や規約を読み解くのは簡単ではないため、学校には、専門用語を避けた説明と問い合わせ先を示すことが期待されます。

評価にデータを使う場合は、子どもが自分の記録を見て、誤りを伝えたり、事情を説明したりできる余地が必要です。欠席や未提出には、体調、家庭事情、通信環境、課題の分かりにくさなど複数の理由があり得ます。数字だけで努力不足と決めつけないことが、データ活用の最低条件です。

個人差とアクセシビリティ

視覚、聴覚、読み書き、注意の向け方、疲れやすさなどに違いがある子どもにとって、デジタル教材の見やすさや操作性は学習へのアクセスに直結します。文字の大きさ、色のコントラスト、字幕、読み上げ、キーボード操作、休憩の取りやすさなどを選べるようにし、特別な申請をしないと使えない支援を減らす視点が必要です。

アクセシビリティは、一部の子どものためだけの機能ではありません。けがで手を使いにくいとき、外国語の支援が必要なとき、教室の音が苦手なときにも役立ちます。ただし、どの機能が役立つかは本人によって異なります。診断名から自動的に支援内容を決めるのではなく、本人が困っている場面を確かめることが出発点です。

校務DXが教職員を支える意味

校務DXの目的は、書類を電子化することだけではありません。同じ内容を複数の台帳に入力する、連絡を別の様式に転記する、会議のために資料を何度も作り直すといった重複作業を見直し、教職員が子どもと向き合う時間を確保することが期待されます。

一方、システムを導入すると、初期設定、研修、アカウント管理、トラブル対応という新しい仕事も生まれます。導入直後に現場の負担が増えることは珍しくありません。そのため、削減できる時間を測るだけでなく、誰が困っているのか、紙の方が安全な場面はないか、緊急時の代替手段はあるかを確認する必要があります。

教員が入力した記録を、子どもの支援のために使うのか、人事評価のために使うのかでは、安心して入力できる条件が異なります。目的外利用を避け、アクセス権限を必要最小限にし、誤入力を訂正できる仕組みを整えることが、校務DXへの信頼につながります。

学校間で情報を引き継ぐ場合も、便利さだけでなく本人の同意や必要性を考えなければなりません。支援の連続性を保つために共有すべき情報がある一方で、過去の記録が先入観になり、新しい学校での見立てを狭めるリスクもあります。記録は子どもを固定するラベルではなく、現在の支援を考えるための一時点の資料として扱うことが大切です。

不登校や発達特性のある子どもとの接点

学校教育DXの議論は、教室に毎日参加できる子どもだけを想定しないことが重要です。不登校、行き渋り、病気療養、家庭の事情、感覚過敏など、学校との接点が揺れ動く子どもにとって、連絡や教材へのアクセスが途切れない仕組みは安心材料になります。

ただし、オンラインでつながれば登校と同じになる、という単純な置き換えではありません。学習の機会、友人との関係、本人の安心、出席の扱い、評価の方法はそれぞれ別に考える必要があります。オンライン参加を選んだ子どもが、あとから対面や別室、地域の居場所など別の方法へ移れる柔軟性も欠かせません。

発達特性のある子どもについても、ツールの導入が診断や支援を自動的に決めるわけではありません。通知が多いと困る、指示が一度に複数あると混乱する、時間の見通しがあると取り組みやすいなど、具体的な場面の困りごとを整理し、本人と一緒に調整します。

家庭が学校に伝えるときは、診断名や性格の説明だけでなく、「どの場面で」「何が起き」「どんな工夫があると参加しやすいか」を具体的にすると、支援の相談につながりやすくなります。学校も、うまくいった方法だけでなく、合わなかった方法を責めずに記録できる雰囲気を作ることが必要です。

家庭にとっての確認ポイント

1 そのデジタル活用の目的は何か

家庭から学校に尋ねるとき、最初に確認したいのは「何のために使うのか」です。授業の理解を助けるためなのか、連絡を受け取るためなのか、学習状況を共有するためなのかで、必要な機能も負担も変わります。目的が曖昧なまま「全員が使う」と決まると、使うこと自体が目標になりがちです。

2 使わない場合の代替手段はあるか

端末の故障、通信環境、体調、画面への負担、家庭の事情などで、毎回同じ方法を使えないことがあります。紙、電話、面談、録画、短時間の訪問など、代替の連絡・学習手段を事前に知っておくと、使えない日にも孤立しにくくなります。

3 記録が子どもの不利益にならないか

データの一部が欠けている理由を確認せずに、意欲や能力の低さと結びつけられないかを考えます。家庭から事情を伝える窓口があるか、本人が説明する機会があるか、評価に使う場合の基準が公開されているかを尋ねてよいでしょう。

4 困ったときに誰へ相談するか

担任、学年主任、管理職、特別支援教育コーディネーター、教育支援センターなど、相談先は学校によって異なります。ツールの不具合と、学び方や参加の困りごとは窓口が違う場合もあります。連絡先を一つにまとめ、返信までの目安を示してもらうと、家庭の負担が減ります。

学校が整理しておきたい実務

学校が計画を考えるときは、導入する機器やサービスのリストだけでなく、子どもの一日の流れに沿って検討することが有効です。朝の連絡、授業、休み時間、課題、欠席時の情報共有、保護者との面談、進級・進学時の引き継ぎという場面ごとに、便利になる点と新たな負担を書き出します。

次に、利用できる子どもを平均的な一人に限定しないことです。文字入力が難しい、音声が苦手、長時間座れない、家庭に個人端末がない、保護者の勤務で見守りができないなど、条件はさまざまです。学校内で端末を使える場所を用意する、貸し出しを行う、操作説明を短くするなど、利用前の支援も計画に含める必要があります。

教員向けには、研修を一度で終わらせず、実際の授業や校務で困ったときに相談できる伴走者を置くことが求められます。特定の詳しい教員だけに依存すると、その人が異動したときに運用が止まります。手順を簡潔に文書化し、子どもや保護者の声を定期的に反映させる仕組みが、持続性を高めます。

また、試行の評価は「使った人数」だけでなく、参加しやすくなったか、負担が減ったか、学びの説明がしやすくなったかという観点で行うことが重要です。利用していない子どもや、途中でやめた子どもに理由を尋ねることも、改善材料になります。

今回の発表からは言えないこと

第一に、AIを使った授業が東京都内のすべての学校で始まると決まったわけではありません。第二に、学習データを用いて子どもの評価を自動化する制度が決まったわけでもありません。第三に、校務DXによって教職員の仕事がすぐに減ると保証されたわけではありません。いずれも、今後の会議や計画づくりで検討される論点です。

また、専門家会議の議論だけで、個別の学校や子どもの困りごとが解決するわけではありません。自治体の計画、学校の校内体制、契約するサービス、家庭の環境によって実際の運用は変わります。会議の方向性を、個別の子どもへの診断や将来予測に結びつけることもできません。

会議資料や議事録が公開された後は、発言の趣旨を切り取らず、提案、意見、合意事項、今後の宿題を区別して読む必要があります。新しい施策が正式に示された場合も、対象学年、実施時期、予算、学校への通知、家庭への説明などを確認してから、生活への影響を考えましょう。

本記事は2026年10月9日に公表された開催案内に基づいています。その後に日程、議題、資料の掲載状況が変わる可能性があります。最新の情報は、必ず東京都教育委員会の公式ページで確認してください。

家庭・学校で話し合うためのCTA

学校教育DXについて家庭で相談するときは、「便利そうだから使う」ではなく、「この子がどの場面で参加しやすくなるか」「使えない日はどうするか」「記録を誰がどう見るか」を一緒に確認してみてください。担任や学校の相談窓口に、目的・代替手段・データの扱い・困ったときの連絡先を尋ねることから始められます。子ども本人の感覚を中心に、無理なく続けられる学び方を探しましょう。

これからできること

今後、東京都から会議資料や議事録が公開されたら、まずは議題ごとに「何が事実として確認できるか」「どこからが意見や提案か」を分けて読みます。そのうえで、家庭は子どもの負担や希望を、学校は支援と情報管理の手順を、自治体は実施条件と相談体制を確認すると、議論を自分たちの生活につなげやすくなります。

デジタル化は、子どもを一つの数値にまとめるためのものではありません。学びへの入口を増やし、教員と家庭が必要な情報を共有し、本人が自分のペースを説明できるようにするための道具です。道具を使うかどうか、どの程度使うか、別の方法へ切り替えるかを選べることが、学びの多様性を守ります。

学校教育DX専門家会議の議論が、機器の性能競争ではなく、子どもの安心、教員の専門性、家庭の参加しやすさを軸に進むかを、今後の公式資料で見守りたいところです。

一次情報

東京都教育委員会:学校教育DX専門家会議(第2回)の開催について(2026年10月9日)

※会議資料・議事録の公開状況、開催内容、今後の制度化については、東京都教育委員会の公式発表をご確認ください。

現場での小さな検証を残す

デジタルな学び方を試すときは、最初から大きな成果を求めず、短い期間で小さく検証する方法が向いています。たとえば、課題の提示方法を一週間だけ変え、子ども本人に「分かりやすかったか」「疲れたか」「困ったときに助けを求められたか」を尋ねます。教員は提出率だけでなく、質問のしやすさや途中で離脱した場面も見ます。

検証の記録は、子どもを評価するためではなく、方法を見直すためのものです。うまくいかなかった結果を「本人の努力不足」と扱わず、課題量、通知の頻度、画面の見え方、説明の長さ、家庭での接続条件などを分解します。原因を一つに決めつけず、仮説を立てて次の試行につなげることが、教育でのデータ活用に必要な姿勢です。

家庭にも、学校で使った方法を持ち帰って同じ対応を求めるのではなく、本人が家で取り組みやすかった条件を聞く役割があります。朝は音声説明がよい、夜は画面を見たくない、長い文章は小分けにすると読めるなど、生活の中の気づきは学校だけでは得られない情報です。学校と家庭が互いに無理のない範囲で共有できると、支援の調整がしやすくなります。

子どもが「使いたくない」と言ったときも、その理由を聞くことが大切です。操作が難しいのか、監視されている感じがするのか、通知が怖いのか、学習内容そのものが負担なのかで、必要な対応は違います。拒否を反抗と決めつけず、使わない選択も含めて本人と話し合うことが、長く使える仕組みにつながります。

情報を受け取る側から、学びをつくる側へ

AIやデータの時代に必要なのは、最新のサービスを知っていることだけではありません。情報がどのように作られ、何が抜け落ち、誰に影響するのかを考える力です。学校でサービスを使うときも、提供された回答をそのまま正解にせず、別の資料と比べ、本人の経験と照らし合わせ、必要なら教員や家族に相談する習慣を育てたいところです。

学びの履歴を本人が振り返るときには、数値を見せるだけでなく、次に何を試すかを一緒に決めることが重要です。「正答率が低い」で終わるのではなく、「どの問題のどの部分で迷ったか」「説明の形式を変えると分かるか」「休憩を入れると続けられるか」を考えます。データが本人の選択肢を狭めるのではなく、選択肢を増やす材料になるようにします。

東京都の会議でどのような方針が検討されるとしても、実際の学校では、子ども一人ひとりの声を聞きながら運用を調整する時間が必要です。会議の結論を急いで現場の義務に読み替えず、公式資料、学校からの説明、本人の体験を三つの情報源として確かめることが、落ち着いた判断につながります。