- 制度の名前が都県で違うこと(東京都「受検上の配慮」/大阪府「受験上の配慮」/神奈川県「受検方法等の承認」)
- 認められる配慮の具体例(時間延長、拡大文字、代筆・代読、別室、補聴器の使用など)
- 東京都の申請は出願より前——令和8年度は12月19日が期限だったこと
- 申請は本人から中学校長を経て志望校長へ、という流れになること
- 「不登校だから別室で」が制度として認められるとは、公式資料では確認できないこと
東京都・神奈川県・大阪府の実施要綱・募集案内・様式と、文部科学省の通知にあたって確認しています。制度の名前も申請期限も都道府県ごとに違います。必ずお住まいの地域の最新の資料で確認してください。
まず、制度の名前が地域で違う
検索するときにつまずきやすいのがここです。同じ趣旨の制度でも、呼び方が統一されていません。
| 都府県 | 制度・様式の名前 | 根拠にあたる規定 |
|---|---|---|
| 東京都 | 受検上の配慮/申請様式は「学力検査等実施上の配慮申請書(様式24)」 | 募集案内「障害のある受検者に対する配慮」。入学願書にも「受検上の配慮希望」欄がある |
| 大阪府 | 受験上の配慮 | 実施要項 第1「受験上の配慮について」(具体の内容は別に定める) |
| 神奈川県 | 受検方法等の承認/様式は「受検方法等申請書(第6号様式)」 | 実施要領「障害等のある志願者のうち、受検方法等について県教育長の承認を受けようとする者は…」 |
※東京都・大阪府は令和8年度(2026年春)入試、神奈川県は令和9年度(2027年春)入試の資料に基づきます。
お住まいの地域で調べるときは、「県名+高等学校入学者選抜+配慮」のほか、「受検方法」「実施上の配慮」でも探してみてください。
どんな配慮が認められるのか
東京都の募集案内には、次のように書かれています。
「都立高校の入試では、障害のある志願者が受検する場合、学力検査や小論文(作文)、面接等において、検査方法、検査時間及び検査会場等について、受検上の配慮を申請することが可能です。」
「問題用紙・解答用紙の拡大、英語リスニングテストでの座席の配慮、検査時間の延長、記号選択式での受検、ICT機器の使用、介助者(代筆者や音読者などを含む。)の同行などが認められます。」
もっと具体的に列挙しているのが大阪府です。府の「障がいのある生徒に対する配慮事項」のページには、次のものが挙げられています。
学力検査時間の延長/代筆解答/介助者の配置/問題用紙等の変更(点字や拡大等)/英語リスニングテストの筆答テストによる代替/別室/物品の持込み/個人面接/座席の変更/補聴器等の使用。
神奈川県の第6号様式には、拡大問題冊子(B4・A3)、ルビ振り問題冊子、ルビ振りマークシート解答用紙、記述式解答用紙、車椅子使用の有無、そして「申請の理由(具体的に記入してください。)」という自由記述欄があります。用意された選択肢に当てはまらない配慮は、この欄で申請する形です。
国も、通知で次のように求めています。
「特に、受検上の配慮については、本人・保護者の希望、障害の状態等を踏まえ、別室での受検、試験時間の延長等、引き続き適切な配慮がなされるようお願いします。」
(令和8年6月30日 8文科初第882号「高等学校入学者選抜等における配慮事項等について(通知)」7(4))
いつ、どうやって申請するのか
いちばん大事なのは「出願より前に動く」という点です。東京都の令和8年度入試の場合、都立高校への申請期限は令和7年12月19日でした。出願は1月下旬ですから、その1か月以上前ということになります。
東京都の手続きは6段階で定められています。
① 申請者が「学力検査等実施上の配慮申請書(様式24)」に記入し、中学校長に提出する。
② 中学校長が内容を確認し、必要と認めた場合に所定欄へ記入・押印して承認する。
③ 中学校長が、志願する都立高校長に申請書を提出する。
④ 都立高校長が東京都教育庁に報告し、配慮の内容について協議する。
⑤ 都立高校長が配慮の内容を決定し、本人・保護者宛と中学校長宛の通知を中学校に送付する。
⑥ 中学校長が申請者に通知を配布する。
大阪府も同じ考え方で、「配慮を希望する場合は、現在在籍している中学校(卒業している人は出身中学校)に相談してください。必要な手続きは、中学校を通じて行います」と案内しています。神奈川県も、第6号様式に中学校長の職印を受けたうえで志願先の高校長に提出する仕組みです。
つまりどの県でも、最初に相談する相手は中学校の先生ということになります。2学期のうちに「配慮の申請を考えています」と伝えておくのが現実的です。
今回確認した東京都・神奈川県・大阪府の公表資料には、診断書が必要かどうかの記載を見つけられませんでした。必要な添付書類は自治体や申請内容によって異なる可能性が高いため、中学校の先生か教育委員会に直接確認してください。
「不登校だから別室で受けたい」は、認められるのか
ここは正直に書きます。今回調べた範囲では、不登校であることのみを理由とした別室受検を認める規定は、東京都・神奈川県・大阪府・文部科学省のいずれの公表資料でも確認できませんでした。
文部科学省の通知でも、別室受検や時間延長を求めている第7項(4)は「障害のある生徒」についての規定で、不登校生徒について書かれた第7項(6)は選抜での評価の扱い(欠席日数だけで不利益な取扱いをしない、自己申告書等を勘案する)の話です。制度としては別建てになっています。
ただし、手がかりが2つあります。
1つは、同じ通知の第1項です。「疾病等を理由として受検上の配慮を要する生徒については、受検上の配慮に関する事前相談等の対応についても御配慮いただくようお願いします」とあり、事前相談という入口は国も想定していることがわかります。体調面の困りごとがある場合は、ここが足がかりになります。
もう1つは、そもそも会場の負荷が小さい選抜を選ぶという考え方です。学力検査を実施しない選抜(東京都立チャレンジスクールの面接と作文、エンカレッジスクールなど)や、面接中心の通信制の選抜であれば、大教室で一斉に長時間の学力検査を受ける場面自体がありません。配慮を申請して同じ土俵に立つことだけが選択肢ではない、ということです。
いずれにしても、まず中学校の先生に相談し、志望校に事前相談ができるかを確認するのが最初の一歩になります。
よくある質問
まとめ
受検上の配慮は、検査の方法・時間・会場を調整するための制度です。認められる内容は、時間延長、拡大文字、代筆・代読、別室、補聴器の使用など幅があり、大阪府のように具体的に列挙している自治体もあります。
大事なのはタイミングと窓口です。東京都は出願の1か月以上前が期限で、申請はどの県も中学校を通します。制度の名前も期限も地域によって違うため、2学期のうちに「うちの県では何という制度で、いつまでですか」と先生に聞いておく——それが、当日の環境を整えるためにいちばん確実な一歩です。
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