教育機会確保法とは?「休養の必要性」と学校以外の学びを定めた法律をわかりやすく

正式名称は「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」。長いので、ふだんは教育機会確保法と呼ばれています。2016年にできたこの法律で、学校以外の場で学ぶことの重要性と、休むことの必要性が、はじめて法律の条文に書き込まれました。ただし「フリースクールに通えば出席になる」と定めた法律ではありません。何が変わって、何は変わらなかったのかを、条文にそって整理します。
このページでわかること
  • 教育機会確保法の正式名称・法律番号・できた年
  • いちばん重要な第13条に、何がどう書かれているか
  • この法律でできるようになったことと、できるようにはならなかったこと
  • 学校との話し合いで、この法律をどう使えるか

教育機会確保法とは

教育機会確保法は、平成28年(2016年)12月14日に公布された、平成28年法律第105号です。正式名称は「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」といいます。

この法律ができる前、不登校は「学校に戻すべき問題」として扱われるのが一般的でした。この法律は、その前提そのものを変えるために作られています。国と地方公共団体が何をすべきかを定めた、いわゆる理念法で、罰則や具体的な数値目標は含まれていません。

言葉の整理

条文では、不登校の子どもを「不登校児童生徒」と呼び、「相当の期間学校を欠席する児童生徒であって、学校における集団の生活に関する心理的な負担その他の事由のために就学が困難である状況」にある子と定義しています(第2条)。

いちばん大事なのは第13条

この法律で、保護者にとって直接意味をもつのは第13条です。見出しは「学校以外の場における学習活動等を行う不登校児童生徒に対する支援」。条文はこうなっています。

第13条(抜粋)

「国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ、当該不登校児童生徒の状況に応じた学習活動が行われることとなるよう、当該不登校児童生徒及びその保護者に対する必要な情報の提供、助言その他の支援を行うために必要な措置を講ずるものとする。」

この一文に、2つの大きな転換が入っています。

1. 学校以外の場での学びに「重要性」がある

フリースクールでも家庭でも、学校以外の場で行う学習活動には重要性がある、と法律が認めました。学校に行くことだけが正解ではない、という前提が国の法律に書かれたということです。

2. 休むことに「必要性」がある

「休養の必要性を踏まえ」という言葉が入っています。休むことは、我慢して見逃すべきものではなく、必要だから休む、という位置づけです。学校を休ませていいのか迷っている保護者にとって、これは法律上の根拠になります。

この法律で「変わらなかったこと」も知っておく

期待とのずれが起きやすいところなので、正直に書きます。

よくある誤解実際のところ
フリースクールに通えば出席扱いになると法律で決まった決まっていません。出席として扱うかどうかを判断するのは、いまも在籍校の校長です
フリースクールが法律上の学校になったなっていません。この法律はフリースクールを制度化するものではありません
学校に行かなくてよいと法律が認めた就学義務そのものは変わっていません。変わったのは、学校以外の学びと休養に対する国の姿勢です
フリースクールの費用が公的に補助されるようになったこの法律には費用補助の規定はありません。補助があるかどうかは自治体によります

学校との話し合いで、どう使えるか

担任や管理職と話すとき、この法律は「お願い」ではなく「前提」として使えます。

  • 休ませる判断について:第13条に「休養の必要性」が明記されていることを共有すると、休むこと自体の是非から議論する必要がなくなります
  • 学校以外の学びについて:家庭やフリースクールでの学習を報告するとき、第13条の「多様で適切な学習活動の重要性」が土台になります
  • 情報提供を求めるとき:第13条は、保護者への「情報の提供、助言その他の支援」を国と地方公共団体の務めとしています。使える制度や相談先を教えてほしい、と求める根拠になります

あわせて、令和元年10月25日の文部科学省通知(元文科初第698号)に書かれた次の一文も知っておくと役に立ちます。

不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)

「不登校児童生徒への支援は、『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があること。」

よくある質問

この法律ができて、不登校の子は減りましたか。
減っていません。文部科学省の令和6年度調査では、小中学校の不登校児童生徒数は353,970人で過去最多でした。ただしこの数字は、休むことを問題視しない見方が広がった結果としても読めるため、増減だけで法律の効果を評価することはできません。
第13条があれば、フリースクールに通った日を出席にしてもらえますか。
この条文だけでは決まりません。出席として扱うかどうかの判断は在籍校の校長が行います。判断の目安は、平成17年と令和元年の文部科学省通知で示されており、実際の運用は自治体ごとにガイドラインが定められていることが多いです。在籍校と教育委員会の両方に確認してください。
「教育機会確保法」と「COCOLOプラン」はどう違いますか。
教育機会確保法は2016年にできた法律、COCOLOプランは2023年3月に文部科学省がまとめた政策プランです。法律が定めた理念を、実際の施策に落としたものがCOCOLOプランにあたります。
  1. 文部科学省「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(法律全文)(ページ)
  2. 文部科学省「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の概要」(ページ)
  3. 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日 元文科初第698号(ページ)
  4. 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(不登校)」(PDF)
文責:にじいろ編集部(編集部について/訂正・修正に関する方針)
公開日:2026年9月18日 / 最終更新:2026年9月18日
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