- 学費のうち「動かせる費用」と「動かせない費用」の違い
- 公式サイトで確認できた奨学金・経済支援・兄弟割引・一括払い割引(確認できなかった学校も正直に記載)
- 幼児教育・保育の無償化と、高校の就学支援金の使いどころ
- プリスクールからインターへ切り替える時期と、費用の動き方
- 12年間の見通しと、ルート別の費用の比較(編集部の試算)
- 安さだけで選んだときの落とし穴と、削ってはいけない費用
- 見学・体験で学校に聞く10のこと
- オンラインという選択肢の費用感と、弱点
結論:学費を抑えるときの3つの考え方と、決める順番
「インターナショナルスクール 安い」と検索すると、授業料が低い学校の一覧が見つかります。けれども、年間の授業料だけを見て決めると、入学後に別の費用が積み上がったり、途中で通えなくなったりすることがあります。学費を抑える作業は、安い学校を探す作業ではなく、無理なく続けられる形を設計する作業と考えると、判断を間違えにくくなります。
学費を抑える作業は3つの数字から始まります
金額そのものより、まず「差の大きさ」と「制度の範囲」をつかみます。
01
約3.6倍
小学生の年間授業料は、公式で確認できた8校の中で最も低い学校と最も高い学校で約3.6倍の差があります(約90万円〜約321万円)。
02
2つの制度
国の制度で多くの家庭が使えるのは、幼児期の無償化(3〜5歳は月40,300円まで)と、高校段階の就学支援金です。
03
校ごとに違う
兄弟割引や奨学金は、学校が独自に決めています。公式サイトで確認できた学校でも、条件はそれぞれ違います。
金額は、各校の公式サイトと国・自治体の公式ページで確認できた数字です。全国平均ではありません。
決める順番は、次の4つをおすすめします。まず、何のために通うのかを言葉にします(英語で学ぶ環境か、帰国後の接続か、国際的な進路か)。次に学校の種類を選びます(一条校の国際系か、各種学校・無認可か、プリスクールか、オンラインか)。そのうえで国・自治体の制度が使えるかを確かめ、最後に学校ごとの減免と払い方を比べます。順番を逆にして、先に「安い学校」から入ると、目的に合わない学校を選びやすくなります。
学費を比べる3つの軸
同じ「安い」でも、見ている軸が違えば結論が変わります。
- 授業料だけでなく、初年度の総額で見る
- 入学時の費用は、入学する年だけかかる
- 制度で軽くなる部分と、ならない部分を分ける
- 日本の学校の卒業資格が出るか
- 英語で過ごす時間と、少人数かどうか
- 高校・大学へ進むときの接続
もう1つの軸が「軸3:続けられるか」です。きょうだいの人数、世帯収入の変化、転居や転勤まで含めて、12年間を見通します。
この記事では、学費の相場と内訳そのものは扱いません。相場と内訳はインターナショナルスクールの学費の相場と内訳で、国や自治体の補助の全体像はインターナショナルスクールの無償化・補助金で整理しています。ここでは、「どう抑えるか」と「何を削ると何が失われるか」に絞ります。
費用の内訳のうち、動かせる部分と動かせない部分
学費は、大きく4つに分かれます。授業料、入学時の費用(出願料・登録料・入学金)、施設関係の費用、そして付帯費用(スクールバス、昼食、教材、課外活動、英語サポートなど)です。このうち、学校が金額を決めていて、入学後に家庭が選べないものが「動かせない費用」、家庭の選び方で変わるものが「動かせる費用」です。
実例で見てみましょう。横浜インターナショナルスクールの2026-2027年度の公式表では、幼稚園年長〜小学5年生(Kindergarten〜Grade 5)の年間授業料が3,210,000円、入学時の登録料が1,480,000円、出願料が50,000円、Campus Development Feeが399,000円と載っています。これを合計すると約514万円で、にじいろの学費記事の「初年度総額」の試算と同じ数字になります(Campus Development Feeが毎年かかるのか入学時だけなのかは、表の書き方から確認しきれていません)。
初年度に約514万円かかる学校の内訳
横浜インターナショナルスクール(K〜G5)の2026-2027年度の公式表から。
合計は5,139,000円(約514万円)。編集部が公式表の数字を足した試算です。昼食・バス・教材などの付帯費用は含みません。
この学校の場合、授業料・登録料・施設費・出願料は、どれも学校が決めた金額です。家庭が「このうち登録料だけ減らしたい」と言っても、通常は変えられません。一方で、動かせる部分はあります。入学する学年(登録料は入学時の1回だけ)、学校の選択、付帯費用の使い方、支払いのタイミング、そして国・自治体の制度です。
動かせる費用と、動かせない費用
「動かせない」ものを値切ろうとせず、「動かせる」ものに力を入れます。
- 学校の種類・学校そのものの選択
- 入学する学年とタイミング
- バス・昼食・課外活動など付帯サービスの選択
- 支払い方法(一括払い割引・分割)
- 国・自治体の制度を申請する
- 年間の授業料
- 登録料・入学金・出願料
- 学校が一律に決める施設関係の費用
- 学費が改定されるタイミング(学校が決める)
- 返金の条件(学校の規定による)
「動かせる」は、家庭の選び方で変わるという意味です。学校と交渉して金額が変わるという意味ではありません。
横浜インターナショナルスクールの公式ページには、授業料は年2回(2026年は7月17日と12月7日)に分けて請求されること、原則として授業料の返金がないことも書かれています。返金されない仕組みの学校では、途中でやめた場合に、すでに払った費用が戻ってきません。「安くなるか」の前に、「途中でやめたらどうなるか」を確認しておくことが、結果的に費用を守ります。
付帯費用は、学校によって見え方が違います。授業料に昼食が含まれる学校もあれば、別料金の学校もあります。バスも、運行している学校と、していない学校があります。同じ年間授業料でも、付帯費用を足すと逆転することがあります。見積もりを取るときは、授業料だけでなく、1年間に払う合計額で比べてください。
学校の種類で変わる費用の差:どこまで下げられるか
同じ「インターナショナルスクール」でも、学費は学校の種類で大きく変わります。にじいろが公式サイトで確認した、小学生の年間授業料を並べます。いちばん低い学校でも約90万円、いちばん高い学校では約321万円です。差は約3.6倍あります。
小学生の年間授業料——8校を並べると
学校選びそのものが、最も大きな「動かせる費用」です。
出典:各校の公式サイト(にじいろ「インターナショナルスクールの学費」で確認した2026年度前後の金額)。年度は学校によって異なります。
最も低い沖縄アミークスインターナショナルは、日本の学校教育法第1条に定められた学校(一条校)です。公式の学費表では、この8校のうち最も低い水準でした(なぜ低いのかという理由は、公式サイトからは確認できませんでした)。いっぽう、最も高い水準の学校には、一条校ではない学校が含まれています。
ただし、「一条校なら安い」と決めつけるのは危険です。一条校の国際系は数が限られ、通える地域が限られます。引っ越しや長距離の通学が必要になれば、交通費や家賃が授業料の差を上回ることもあります。学校の種類ごとの特徴はインターナショナルスクールの選び方とメリット・デメリットで、学校の分類はインターナショナルスクールとはで解説しています。
学校の種類ごとの費用と得られるもの
編集部が公式情報から整理した一般的な傾向です。
| 一条校の国際系 | 各種学校・無認可 | プリスクール | オンライン | |
|---|---|---|---|---|
| 費用の軽さ | △ | × | △ | ○ |
| 日本の卒業資格 | ○ | × | × | △ |
| 英語で過ごす時間 | △ | ○ | ○ | ○ |
| 通える地域の広さ | × | △ | △ | ○ |
○=有利 △=学校・地域による ×=不利。オンラインの「日本の卒業資格」が△なのは、学校ごとに扱いが違い、NIJIN GLOBAL ACADEMYについて公式サイトで確認できなかったためです。2026年10月時点の一般的な傾向で、個別の学校には当てはまらないことがあります。
表のとおり、費用の軽さと卒業資格は、同じ方向に動かないことがあります。費用を下げるほど卒業資格が出にくくなるというのは、日本のインターナショナルスクールを選ぶときの代表的なトレードオフです。義務教育との関係はインターナショナルスクールは義務教育になる?で詳しく解説しています。
プリスクール(幼児向けの英語保育)の月額は、にじいろが確認できた施設の範囲で、月約6万2,000円〜13万5,000円でした。年額にすると約74万〜162万円です。幼児期は小学生の授業料より低く見えますが、無償化の対象になるかどうか、保育時間が何時間か、によって実質の負担は変わります。この点は後の章で詳しく扱います。

奨学金・経済支援・兄弟割引:公式で確認できたこと
「奨学金」「兄弟割引」を公式サイトで探すと、学校ごとに書き方がばらばらです。まったく書かれていない学校も多くあります。ここでは、にじいろが公式サイトで実際に確認できた学校だけを書きます。確認できなかった学校は「確認できませんでした」と書き、推測で埋めていません。公式サイトの画像やPDFの中にだけ書かれている場合は、読み取れていない可能性があります。
公式で確認できた減免・経済支援
学校ごとに、制度の有無も条件も違います。
| 学校 | 確認できた制度 | 条件・注意点 |
|---|---|---|
| 関西学院大阪インターナショナルスクール | 限定的な経済支援(Limited financial aid) | 家計の状況が変わった場合に申請でき、毎年の申請が必要と記載。新型コロナ影響世帯への追加支援の記載もあり。兄弟割引の記載は確認できませんでした。 |
| 横浜インターナショナルスクール | 企業負担プログラム(Corporate Contribution Program)に参加する保護者の勤務先がある場合の奨学金 | 詳細は学校の事務部への問い合わせが必要と記載。兄弟割引・一般向けの経済支援の記載は確認できませんでした。 |
| 神奈川インターナショナルスクール(Kanagawa International School) | 兄弟姉妹が同時に入学する場合、1人分の費用が50%減 | 入学金は家族で1回、在籍中は有効と記載。授業料の金額は確認できませんでした。 |
| つくばインターナショナルスクール | 年額一括払い(8月1日まで)で授業料10%減/第2子以降の授業料25%減 | 兄弟割引と他の割引は併用不可と記載。入学時の費用と年額の諸費用は兄弟も全額必要。 |
出典:各校の公式サイト(2026年10月7日に確認)。制度は変更・終了することがあります。割引率の対象になる費用の範囲は、学校の規定を必ず確認してください。
この表からわかるのは、制度がある学校でも、対象と条件が学校ごとにまったく違うということです。たとえば同じ「兄弟割引」でも、神奈川インターナショナルスクールは同時入学の場合に1人分が半額、つくばインターナショナルスクールは第2子以降の授業料が25%減と、割引の考え方が違います。つくばの場合、割引の対象は授業料だけで、入学時の費用や年額の諸費用は兄弟も全額かかります。
奨学金(経済支援)についても注意が必要です。関西学院大阪インターナショナルスクールの「限定的な経済支援」は、入学前の家計を理由とした奨学金ではなく、在学中に家計が変わった場合の支援と読めます(公式の英文の趣旨。支給額・採用人数は確認できませんでした)。横浜インターナショナルスクールの奨学金も、保護者の勤務先が企業負担プログラムに参加している場合に限られます。「家計が苦しいから奨学金で入れる」という入口は、少なくとも公式サイトから確認できた範囲ではありませんでした。
なお、この記事で名前を挙げていない学校に制度がないという意味ではありません。サイトに載せていない学校も、問い合わせると案内してくれることがあります。見学や相談のときに、次の3点を聞いてみてください。
学校に聞く減免の3つの質問
公式サイトに載っていないことも、聞けば答えてくれることがあります。
答えは、メールやパンフレットなど、あとから見返せる形でもらっておくと安心です。
では、兄弟割引や一括払い割引を使うと、いくら変わるのでしょうか。
割引の効果は、授業料の水準が高いほど大きくなります。ここでは、年間授業料が200万円と仮定した場合に、公式サイトで確認できた割引の考え方をあてはめて、金額の目安を計算します。仮の数字ですので、実際の金額は各校の規定で確認してください。
年間授業料200万円(仮定)の家庭の年間負担
2人きょうだいが通う場合と、1人が一括払いをする場合の比較です。
編集部が作った計算例で、実在の学校の実際の授業料ではありません。入学時の費用・諸費用は含まず、割引は授業料のみに適用する仮定です。
計算すると、第2子の授業料が25%減になる場合は年50万円、同時入学で1人分が半額になる場合は年100万円、一括払いで10%減になる場合は1人で年20万円の差になります。家計にとっては小さくない金額ですが、400万円の負担が300〜350万円になるだけで、「安くなった」と言える水準ではないことも見えてきます。割引は、あくまで負担を少し軽くする制度であり、通えるかどうかを変える制度ではありません。
一括払いについては、注意点が2つあります。1つは、学校が返金しない規定の場合、途中でやめたときに一括で払った分が戻らないことです。横浜インターナショナルスクールのように、返金なしを原則とする学校は実際にあります。もう1つは、一括払いのために貯金を取り崩すと、急な出費に備える余裕がなくなることです。割引率だけでなく、家計のバランスで判断してください。
国の制度の使いどころ:幼児教育・保育の無償化
国の制度で、インターナショナルスクール系の施設に通う家庭が最も使いやすいのは、幼児教育・保育の無償化です。ただし、「無償」という名前でも、実際は月額の上限までの補助です。上限を超えた分は自己負担になります。2026年10月からの上限額は、次のとおりです。
無償化の月額上限(2026年10月〜)
3〜5歳は課税・非課税にかかわらず対象。0〜2歳は住民税非課税世帯が対象です。
出典:こども家庭庁・各市区の公式ページで確認した上限額(那覇市の案内で2026年10月1日からの引き上げを確認)。対象の施設・認定の条件は、住んでいる市区町村で確認してください。
この上限額を、プリスクールの月額(にじいろが確認できた範囲で月6万2,000円〜13万5,000円)にあてはめると、3〜5歳で上限いっぱいの補助を受けられた場合、実質の負担は月2万1,700円〜9万4,700円になります(月額から40,300円を引いた金額)。これは編集部の試算で、保育料以外の費用や、施設・自治体ごとの違いは含みません。無償化は、保育料から差し引かれるのではなく、いったん全額を払って、あとで市区町村から払い戻される「償還払い」の形をとる市区町村が多いのも特徴です(那覇市の案内で確認)。
対象になるための条件は、大きく3つあります。保育の必要性の認定(共働きなど。例として那覇市の案内では就労が月64時間以上など)、施設が対象であること(市区町村が確認した施設のみ。那覇市では指導監督基準を満たさない施設は2024年10月から対象外)、施設の種類(各種学校の幼稚部は原則として対象外)です。「共働きでなければ使えない」と知らずに、入園してから困る家庭が少なくありません。
無償化を使うための5つの手順
認定は申請した日からで、さかのぼって受けられません。入園前に動き始めるのがポイントです。
手順は那覇市の公式案内をもとにした一般的な流れです。名称・時期・書類は、お住まいの市区町村で異なります。
無償化の上限額と、各自治体の独自の上乗せについては、インターナショナルスクールの無償化・補助金で詳しく解説しています。
国の制度の使いどころ:高校の就学支援金
もう1つの国の制度が、高校段階の就学支援金です。文部科学省は、一定の外国人学校等を「高等学校等就学支援金制度の対象として指定した学校」の一覧を公開しています。一覧に載っていない学校は対象になりません。インターナショナルスクールの高等部は、この一覧に載っているかどうかが分かれ目になります。
公式サイトで確認できた例を挙げます。関西学院大阪インターナショナルスクールは、Grade 10〜12に新しく入学する生徒が、政府の「Tuition Support for High School Students」を申請できると書いています。横浜インターナショナルスクールを含む神奈川県の学校、千葉県のRugby School Japan、沖縄県の沖縄クリスチャンスクールインターナショナル高等部も、文部科学省の指定一覧にある学校としてにじいろの別記事で確認しています。
この制度は、所得制限が撤廃された(文部科学省の案内)一方で、支給額は学校の種類と授業料の水準で変わり、年額の上限があります。実際の支給額と上限は、2026年度の文部科学省の資料で確認しようとしましたが、公式ページの概要から数字を読み取れず、金額は確認できませんでした。申請する場合は、学校の案内と文部科学省のページで、最新の金額を確認してください。
就学支援金が使える学校・使えない学校
小中学生の年代には、同じ形の国の制度は確認できませんでした。
- 文部科学省の指定一覧に載っている学校の高等部(例:関西学院大阪IS、横浜IS、Rugby School Japan、沖縄クリスチャンスクールインターナショナル)
- 一条校の高校(学校の案内で申請)
- 一覧に載っていない外国人学校等の高等部
- 小学生・中学生の学費(国の同じ形の制度は確認できませんでした)
- プリスクール(幼児期は無償化の制度を使う)
指定の有無は、文部科学省の一覧と学校の公式案内で確認してください。
就学支援金の注意点は、学校に着いてから申請する制度で、入学前の「学校選び」の時点で金額が確定しないことです。高校から入る場合は、制度を使える前提で資金計画を立てず、使えなかった場合の備えも見ておくと安全です。進路についてはインターナショナルスクール卒業後の進路もご覧ください。

自治体の助成:住んでいる場所で、使える額が変わる
幼児期の無償化には、国の上限額に加えて、自治体が独自に上乗せする助成があります。にじいろが各区の公式サイトで確認した例を挙げます。
認可外施設の保育料に対する区の助成の例(3〜5歳・月額)
国の上限(40,300円)に、区の独自助成が加わる例です。
出典:にじいろの各区の記事で確認した区の公式ページの内容。対象は区の条件を満たす施設・世帯のみ。台東区の36,700円は、国の上限とは別建ての助成額です。
世田谷区と目黒区は、3〜5歳で月77,000円までの助成を確認しています(世田谷区は給食提供の園は80,000円)。台東区は、区の認証保育所等を利用する場合の月36,700円の助成を確認しています。区や市によって、同じプリスクールに通っても、実質の負担が月に数万円変わることがわかります。各区の詳細は、世田谷区のインターナショナルスクール、目黒区のインターナショナルスクール、台東区のインターナショナルスクールの記事で整理しています。
いっぽう、小学生以上の年代は、助成がない自治体がほとんどです。たとえば港区は、2025年8月28日に更新した区民の声への回答で、「小学校相当年齢以上のインターナショナルスクールへの助成はない」と答えています。理由は、学校教育法に基づく学校への就学を基本としていて、同法上の学校に当たらないインターナショナルスクールは対象外としているためです。就学前の子どもについては、国の無償化制度に基づく助成の対象になる場合があります。自分の市区町村の制度は、「幼児教育・保育の無償化」の担当窓口(保育課・子育て支援課など)に問い合わせるのが確実です。
引っ越しを伴う場合は、助成額の違いを物件選びの条件に入れる家庭もあります。ただし、それは大きな決断です。助成は毎年見直されますので、助成額の差だけを理由に転居しないほうが安全です。
プリスクールからインターへ:切り替えの時期で費用はどう動くか
幼児期にプリスクールへ通い、小学校からインターナショナルスクールに進む流れは、よくある進路です。費用の面では、切り替えのタイミングで負担の質が変わることを知っておくと、準備がしやすくなります。幼児期は「月額の保育料」が中心で、無償化で軽くなります。小学校以降は「年間授業料+入学時の費用」が中心で、国の同じ形の補助は確認できず、負担が一気に大きくなります。
年齢で変わる費用の形と、使える制度
切り替えの前に、いつ、何が変わるかを見ておきます。
年齢・学年の区切りは、日本の学年を基準にした目安です。学校ごとの学年表記は異なります。
この中でも、小1で費用が一気に増える点は、特に準備が必要です。たとえば、関西学院大阪インターナショナルスクールの2026-2027年度の公式表では、KA〜Grade 5の年間授業料は2,270,000円(PTA費を含めると2,275,000円)で、入学時に出願料40,000円と登録料330,000円がかかります。プリスクールの月額と比べると、月あたりの負担は同じか、少し重くなるくらいに見えても、「年額」で請求される形に変わることで、家計の見え方が変わります。
切り替えるとき、次の3つは早めに確認してください。1つ目は、入学の時期です。学校によって学年の始まりが9月の学校と4月の学校があり、日本の小学校との間でずれが生じることがあります。2つ目は、入学金(登録料)の払い込みの時期で、合格後に期限が短く設定されることがあります。3つ目は、幼児期の英語保育の費用を無償化の対象にできたかで、使えていないと、切り替え時の家計の余力が小さくなります。編入・転校についてはインターナショナルスクールへの編入・転校で、入学条件は入学条件で解説しています。
プリスクールとインターナショナルスクールは、同じ「英語の環境」でも、法律上の位置づけも費用の形も違います。違いはプリスクールとインターナショナルスクールの違いで整理しています。
12年間の見通し:ルート別の総額(編集部試算)
小1から高3まで同じインターナショナルスクールに通うと、総額はどうなるのでしょうか。にじいろが公式サイトの学費表から計算した試算は、関西学院大阪インターナショナルスクールで約3,090万円、横浜インターナショナルスクールで約4,140万円です(授業料と入学時の費用の合計。料金表が変わらないと仮定し、値上げ・バス・昼食・教材は含みません)。
では、「12年間通う」以外のルートを選んだら、いくら変わるのでしょうか。以下は、公式サイトで確認した数字を使った編集部の試算です。どのルートも、実際の費用は、学校の改定・付帯費用・家族の状況で変わります。
ルート別の費用の目安(編集部試算)
「どこまで通うか」で、総額は大きく変わります。
試算の方法:プリスクールは月額の下限・上限×36か月。関学大阪ISの小学校5年間は、年間授業料2,270,000円×5年+入学時費用370,000円(出願料40,000円+登録料330,000円)。12年間はにじいろ「インターナショナルスクールの学費」の試算。値上げ・付帯費用は含みません。
このグラフから言えることは、「通う年数」を短くすることが、最も確実に総額を下げる方法だということです。小学校の5年間だけインターナショナルスクールに通い、そのあとは地域の学校に戻るルートなら、関西学院大阪インターナショナルスクールの12年間の試算(約3,090万円)の約4割です。いっぽうで、途中で学校を変えると、英語の学びの連続性が途切れたり、日本の学校への接続で別の準備が必要になったりします。費用だけで「何年通うか」を決めるのではなく、子どもの学びの目的と合わせて決めるのが現実的です。
プリスクールの3年間は、無償化の上限をフルに使えた場合、最大で約145万円(40,300円×36か月)軽くなります。ただし、「保育の必要性」の認定が必要で、対象の施設でなければ使えません。この金額は上限いっぱいの場合の目安で、実際の補助は、保育料の実額と施設の区分で決まります。
家計の見通しを立てるときは、授業料の合計だけで安心しないことが大切です。きょうだいがいる場合は、年の差で学費のピークが重なるタイミングが出てきます。それぞれの学年の授業料が上がる時期(たとえば関西学院大阪インターナショナルスクールは、Grade 6〜10は2,708,000円、Grade 11〜12は2,828,000円と、学年が上がると年額が上がります)を、入学前に見ておいてください。

安さだけで選ぶ落とし穴:削ってはいけない費用
ここからは、編集部の考えです。学費を抑える工夫のなかには、安くなる代わりに、後から大きな費用や後悔として戻ってくるものがあります。「削ると何が失われるか」を、あらかじめ知っておきましょう。
削ると失われるもの
何を削ってよく、何を削ってはいけないかの整理です(編集部の考え)。
| 削るもの | 失われやすいもの | 見極めの方法 |
|---|---|---|
| 日本の卒業資格が出る学校を選ばない | 日本の中学校卒業の扱い・高校受験の道。高校進学の選択肢 | 学校の種類(一条校か)と、卒業後の進路を、入学前に学校へ書面で確認する |
| 無償化の対象外の施設を選ぶ | 補助が使えず、月の負担が数万円上がる | 市区町村の対象施設一覧で確認する。自己申告のみで判断しない |
| 届け出や基準が確認できない施設を選ぶ | 安全面・運営の安心感 | 自治体の立入調査結果や指導監督基準の公表を見る |
| 返金規定を確認せずに一括払いする | 途中でやめたときに、払った費用が戻らない | 返金規定を事前に書面で確認する |
| 付帯費用を確認せずに契約する | バス・昼食・教材などで、想定外の出費 | 1年間の合計額で、見積もりをもらう |
| 英語サポートを外す | 入学後に英語が追いつかず、学びが進まない | 入学時の英語力と、サポートの費用・内容を確認する |
「失われやすいもの」は一般的な傾向で、すべての学校に当てはまるわけではありません。
特に注意したいのは、認可外保育施設の「基準」です。那覇市の公式案内では、指導監督基準を満たしていない施設は、2024年10月から無償化の対象外になったと書かれています。つまり、「施設が安い」ことと「無償化の対象になる」ことは別です。月謝が安くても、対象外であれば、実質の負担は高い施設より重くなることがあります。
もう1つ大事なのは、日本の義務教育との関係です。各種学校や無認可のインターナショナルスクールに通っても、日本の小中学校を卒業した扱いにはならないのが一般的です。「安いから」と、地域の学校に籍を置かずに通わせる選び方は、後で進学の道を狭めることがあります。この点は、インターナショナルスクールは義務教育になる?で、就学義務と学校の位置づけを整理しています。
なお、学費を抑えるために、授業時間の短い(ハーフデイ)クラスを選ぶ方法もあります。たとえば横浜インターナショナルスクールのEarly Learning Centerは、2026-2027年度でハーフデイが2,120,000円、フルデイが2,610,000円と、490,000円の差があります。ただし、無償化の対象になるかどうかや補助の額は、保育時間や施設の区分によって変わることがあるため、市区町村に確認してください。
学費にまつわる、よくある誤解
学費を調べていると、「安くなる」という情報に出会います。次の5つは、特に誤解されやすい点です。
よくある5つの誤解
誤解のまま進めると、入学後に費用が合わなくなります。
「確認できませんでした」は、公式サイトで確認できなかったという意味で、制度がないと断定するものではありません。
誤解の多くは、「制度の名前」と「実際の条件」のずれから生まれます。情報を集めるときは、必ず条件の部分まで読むことを習慣にしてください。たとえば「無償化」は、無料になるのではなく、上限額までの補助です。「奨学金」は、誰でも借りられるのではなく、条件のある支援です。「割引」は、一部の費用にだけ使えるものです。
ルートで比べる:費用・得られるもの・続けやすさ
ここまでの内容を、「どのルートを選ぶか」の観点で整理します。ルートごとに、費用の軽さ、日本の卒業資格、英語環境、通える範囲、そして途中で変えやすいかどうかが違います。
ルート別の5つの観点での比較
編集部が公式情報から整理した一般的な傾向です。
| 一条校の国際系 | 各種学校・無認可の全日制 | 地元の学校+放課後の英語 | オンライン | |
|---|---|---|---|---|
| 費用の軽さ | △ | × | ○ | ○ |
| 日本の卒業資格 | ○ | × | ○ | △ |
| 英語で過ごす時間 | △ | ○ | × | ○ |
| 通える地域の広さ | × | △ | ○ | ○ |
| 途中で変えやすい | △ | × | ○ | △ |
○=有利 △=学校・地域による ×=不利。「地元の学校+放課後の英語」は、地元の小中学校に通い、放課後や週末に英語を続ける形。オンラインの「日本の卒業資格」は、NIJIN GLOBAL ACADEMYについて確認できていないため△としています。
この表で、「どこも万能ではない」ことがわかります。費用を最も下げやすいのは、地元の学校に通い、放課後の英語やオンラインを組み合わせる形です。しかし、英語で過ごす時間は少なくなります。英語で過ごす時間を最大にするのは全日制ですが、費用が最も重くなり、日本の卒業資格が出ない学校も多くあります。どの観点を最優先にするかを決めると、選ぶルートが自然に絞られます。
初年度に必要な費用——公式の表から4校
授業料と入学時の費用の合計(編集部試算。付帯費用は含みません)。
出典:にじいろ「インターナショナルスクールの学費」で、各校の公式サイトの表から試算した初年度総額。
初年度の費用の差は、年間授業料の差より大きくなる傾向があります。理由は、入学時の費用(登録料・入学金など)が学校によって大きく違うためです。たとえば、横浜インターナショナルスクールの登録料は1,480,000円、関西学院大阪インターナショナルスクールは330,000円です。学費の総額で見ると、「入学時の費用が低い学校」を選ぶことが、初年度の負担を最も軽くします。

見学・体験で聞いておきたい10のこと
学費を抑える最後の砦は、見学や体験の場での質問です。公式サイトには載っていないことも、聞けば答えてくれることがあります。聞いた答えは、メールなど文字に残る形でもらってください。
見学で聞く10のこと
印刷して、見学のときに持っていけます。
質問への答えは、書面・メールで残しておくと、あとで比べやすくなります。
質問のとき、遠慮することはありません。学費は、家庭にとって大きな決断です。入学後に「聞いていなかった」という行き違いが起きないよう、入学前に条件を書面で確認しておくことが大切です。ただし、「安くしてください」と値引きを求める質問はおすすめしません。聞くのは、制度の有無と、その条件です。入学時の手続きや、学校の見極め方は、選び方もあわせて参考にしてください。
オンラインという選択肢:NIJIN GLOBAL ACADEMYの費用感と、弱点
学費を抑える方法として、オンラインのインターナショナルスクールを検討する家庭もあります。校舎を持たない分、費用の構造が変わるためです。ここでは、にじいろを運営する株式会社NIJINが開校を準備している「NIJIN GLOBAL ACADEMY」を、事実と弱点の両方から紹介します(運営会社の学校の紹介である点は、あらかじめお伝えします)。
公式サイトで確認できたNIJIN GLOBAL ACADEMYの概要
2026年10月7日時点で、公式サイトに書かれていた内容です。
| 項目 | 公式サイトの記載 |
|---|---|
| 対象 | 6〜18歳(アジア・オセアニアの子どもたちとオンラインで学ぶ) |
| クラス | 8人の少人数。バイリンガルのメンターが担当 |
| 通い方 | フルタイム(平日、日本時間で午前9:30開始)/パートタイム「ダブルスクール」(平日16時以降と土曜) |
| 学び | 毎日のライブ対話型授業、CEFRレベル別の選択授業、企業・自治体と取り組む週1回のプロジェクト学習、ケンブリッジIGCSE/A-Level(任意) |
| 入学 | 入学試験・選抜なし。無料体験授業は2026年9月から毎月開催。個別相談も受付 |
| 開校 | 2027年9月 |
| 学費 | 具体的な金額は、公式サイトでは確認できませんでした。「既存のインターナショナルスクールより大幅に抑えられる」旨の記載のみ |
出典:NIJIN GLOBAL ACADEMY公式サイト。学費の具体額は確認できていないため、この記事では金額を書きません。
費用の面で言えることは、公式サイトは「既存のインターナショナルスクールより学費を大幅に抑えられる」としているが、具体的な金額は公開されていないという点です。そのため、この記事では「他の学校より何割安い」といった比較はできません。開校前の情報メールや個別相談で、金額・払い方・返金規定を、他の学校と同じ質問票(前の章の10のこと)で確かめてください。
オンラインが向いている家庭・合わない家庭
メリットだけでなく、弱点も並べます。
- 通える範囲に学校がなく、引っ越しや長距離通学が難しい
- 地元の学校に在籍したまま、放課後に英語で学びを足したい
- 世界の子どもと、少人数で対話しながら学びたい
- 学費の総額を、全日制のインターより抑えたい(金額は個別に確認)
- 2027年9月開校のため、卒業生・進学実績はまだない
- 日本の学校の卒業資格が出るかは、公式サイトで確認できませんでした
- 無償化・就学支援金の対象かは、確認できませんでした
- 学費の具体額は公開前。画面越しで、対面の友だちとの時間は少ない
弱点は、公式サイトで確認できなかった点を含みます。最新の情報は、公式サイトの案内で確認してください。
オンラインの最大の利点は、通学の費用と、住む場所の制約がなくなることです。逆に、最大の弱点は、学校という「場所」で過ごす経験が少なくなることです。そのため、地元の学校に通いながら併用する「ダブルスクール」の形が、家計と学びのバランスを取りやすい選択肢になります。オンラインの選択肢の長所と短所はオンラインインターナショナルスクールのデメリットで詳しく書いています。まずは、無料体験授業と個別相談で、子どもに合うか、費用が合うかを確かめてみてください。
よくある質問
この記事の内容を確かめるための一次資料
- Osaka International School of Kwansei Gakuin「Fees」(ページ)
- Yokohama International School「Tuition & Fees」(ページ)
- Kanagawa International School「Tuition & Financial Aid」(ページ)
- Tsukuba International School「Tuition & Financial Aid」(ページ)
- 港区「日本国籍のインターナショナルスクールに通う子供達にも助成金をお願いします」(ページ)
- 那覇市「幼児教育・保育の無償化」(ページ)
- こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化」(ページ)
- 文部科学省「高等学校等就学支援金制度の対象として指定した外国人学校等の一覧」(ページ)
- 文部科学省「高校生等への修学支援」(ページ)
- NIJIN GLOBAL ACADEMY 公式サイト(ページ)


