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海外で子どもの居場所がないとき|現地校と日本人の輪で孤立した子への対応

2026 10/20
悩み別ガイド 人間関係
2026年9月8日2026年10月20日
海外で暮らす子どもと居場所
海外で子どもの居場所がないとき|現地校と日本人の輪で孤立した子への対応

海外で子どもの居場所がないと感じたら、現地校での困りごとと、日本人の集まり・補習授業校での居心地を分けて聞くことから始めましょう。学校に通えていても、休み時間や放課後に安心できる相手がいない場合があります。まず本人の感じ方を確かめ、学校と相談しながら、負担の少ない第三の居場所を選ぶために、声のかけ方、地域・オンラインの選択肢、相談先を整理します。

海外・国際教育 執筆 にじいろ編集部 最終更新 2026.10.20

目次

  1. 「どちらの輪にも入れない」——海外の子どもに起きる二重の孤立
  2. 不登校になる前に、子どもが出しているサイン
  3. 「どっちつかず」を責めずに、言葉にしてあげる
  4. 親ができる5つの関わり方
  5. 「第三の居場所(サードプレイス)」という考え方
  6. 海外にいる家庭が取れる「第三の居場所」の選択肢
  7. オンラインを第三の居場所にするときに確かめたいこと
  8. 学校に行けない日が続いたら——相談先と次に読む記事
  9. よくある質問

この記事の結論

  • 現地校と日本人コミュニティの両方で居心地の悪さを感じる子もいます。本人の経験を聞かずに、性格や努力の問題と決めつけないことが出発点です。
  • 文部科学省の在外教育施設の数字は通学先の分布を示します。子どもが孤立している人数を表す統計ではないため、本人の様子と学校での関係を個別に確かめます(→1章)。
  • 親がまずできるのは、輪に入れるよう励ますことよりも、「どっちにも入りきれない感じ、しんどいよね」とその感覚に名前をつけることです(→3章)。
  • こども家庭庁の指針は、そこが居場所かどうかを決めるのは「こども・若者本人」だと明記しています。親が用意した場が、そのまま居場所になるとは限りません(→5章)。
  • 現実的な一手は、家でも学校でもない「第三の居場所」を一つ増やすこと。海外にいても、現地の習い事・日本人コミュニティ・オンラインなど複数の選択肢があります(→6章)。

「どちらの輪にも入れない」——海外の子どもに起きる二重の孤立

海外で子どもが孤立しているとき、多くの家庭は最初「現地校になじめていないこと」に目を向けます。けれど実際に子どもの話をよく聞いていくと、しんどさは一つではなく、二つ重なっていることが少なくありません。現地校で「外国から来た子」として輪の外に置かれ、日本人の集まりでは「日本っぽくない子」として少し浮く。この二つが同時に起きているとき、子どもは「自分の居場所がどこにもない」と感じます。

現地校で起きていること

授業についていくだけなら、時間が経てばなんとかなることも多いものです。むずかしいのは、休み時間・ランチ・放課後といった「授業以外の時間」です。冗談のテンポ、流行っているゲームや動画、家族ぐるみの週末の遊び。言語そのものより、その土地の子どもたちが共有している文脈のほうが、あとから入るには高い壁になります。「授業では困っていません」という先生の評価と、子どもの実感がずれるのはこのためです。

日本人コミュニティ・補習授業校で起きていること

「日本人の子と一緒なら安心だろう」と考えて補習授業校や日本人会の活動に連れて行くと、そこでも子どもが縮こまってしまう——これも珍しくありません。滞在が長い子・現地生まれの子は、日本の学校で当たり前に共有されている流行や言い回しを知りません。逆に、日本語が得意な子ばかりの場では「漢字が読めない」「発音がへん」と指摘されることもあります。本人にとっては、現地校とは別の種類の「入れなさ」です。日本語そのものを嫌がるようになった場合は、子どもが日本語を嫌がる・やりたがらないときの向き合い方もあわせてご覧ください。

二つのコミュニティで、それぞれ違う「入れなさ」が起きている
場面起きやすいこと子どもが言いがちな言葉
現地校授業はこなせても、休み時間・ランチ・放課後の雑談に入れない。冗談や流行の文脈がわからず、笑うタイミングがずれる。誘われる側になりにくい「べつに、ふつう」「ひとりでも平気」「先生の話はわかるよ」
日本人コミュニティ・補習授業校日本の学校の流行・言い回し・行事を知らない。日本語の読み書きに差があり、指摘されることがある。「帰国子女っぽくない」と扱われる「日本語、へんって言われた」「あそこも行きたくない」
家庭どちらの話もしなくなる。聞くと不機嫌になる。「学校どうだった?」への返事が短くなる「聞かないで」「どうせわかんないでしょ」

在外教育施設の数字からわかること・わからないこと

施設の設置数と在籍者数は、選択肢の分布を知る手がかりです。ただし、子どもが孤立している人数は示しません。文部科学省「在外教育施設の概要」によると、日本人学校は世界49カ国・1地域に94校(令和6年4月15日現在、在籍約1万6千人)、補習授業校は世界51カ国・1地域に242校(令和6年7月1日現在、在籍約2万1千人)です。調査日や対象が異なり、日本人学校と補習授業校の在籍数を単純に合算して在外子女の総数と比べることはできません。

一方、文部科学省の検討会がまとめた「在外教育施設未来戦略2030」(令和2年6月3日)は、義務教育段階の海外の子どもの数が昭和46年の8,662人から、平成元年47,118人、平成29年には82,571人へと増えたと記しています。そのうえで、日本人学校・補習授業校の児童生徒数は「平成の初頭から現在に至るまで各々約2万人前後に留まったまま」であり、「いずれの在外教育施設にも通わない子供が増加してきたと考えられる」「現地校やインター校のみに在籍する児童生徒数は増加が続いていると考えられる」と指摘しています。

この資料から読み取れるのは、日本人学校や補習授業校だけが海外の子どもの通学先ではないということです。施設に通っていない子が孤立しているとは言えませんし、通っている子に居場所があるとも限りません。お子さんの状況は、統計で決めつけず、現地校・日本人の集まり・家庭での本人の感じ方を一つずつ確かめてください。

なお、外務省「海外在留邦人数調査統計」によれば、令和7年(2025年)10月1日現在の在留邦人総数は1,298,170人(長期滞在者709,684人・永住者588,486人)です。この統計には年齢別の内訳が公表されていないため、学齢期の子どもの正確な人数は本統計だけでは確認できません。この記事では、確認できた文部科学省の数値のみを用いています。

補習授業校が近くにない、あるいは通えても本人が居心地の悪さを感じるなら、地域の習い事、家庭での会話、オンラインで日本語を使う場などを並べて検討できます。日本語の読み書きの進度を重視する家庭には補習授業校や国語の授業、同世代との対話を重視する家庭には交流型の場が候補です。後者を検討する場合、ともだちじゃぱんは現在の専任サポート体験と開校後の構想を分けて案内しています。

ともだちじゃぱんのロゴと『にほんごで、ともだちになる。』の案内画像日本語で話せる居場所を検討する家庭へともだちじゃぱんは開校前です。現在の専任サポート体験プランと無料相談、8人制クラスの開校情報を公式案内で確認できます。入学案内を見る

不登校になる前に、子どもが出しているサイン

「まだ学校には行っている」段階でも、子どもは小さなサインを出していることがあります。以下は、海外で暮らす家庭からよく聞かれる変化です。あてはまるものがあっても、それだけで何かを断定できるわけではありません。「気にしすぎかも」と流さずに、記録しておくことが目的です。

  • 「学校どうだった?」への返事が「べつに」「ふつう」だけになった
  • 友だちの名前が会話に出てこなくなった。誰かの家に行く・呼ぶ話が消えた
  • 朝の準備がゆっくりになる、直前になって腹痛・頭痛を訴える日が増えた
  • 週末や長期休暇のあと、登校しぶりが強く出る
  • 日本語を使いたがらない/逆に現地の言葉を家で一切使わなくなった
  • 補習授業校や日本人の集まりを、明確に嫌がるようになった
  • ひとりで動画やゲームに向かう時間が急に長くなった
  • 「日本に帰りたい」と「日本にも友だちいないし」を両方言う

ここで大事にしたいこと

こうしたサインは、環境の変化への自然な反応であることもあれば、体調や発達障害が関係していることもあります。ご家庭だけで原因を判断しようとしないでください。気になる状態が続くときは、在籍校の担任・スクールカウンセラー、現地の小児科医、日本語で相談できる専門機関などに、早めに一度つないでおくと安心です(具体的な相談先は8章にまとめました)。発達障害のあるお子さんの海外生活については発達障害のある子と海外生活もあわせてご覧ください。

教室でクラスメイトから少し離れて一人で座っている子ども

「どっちつかず」を責めずに、言葉にしてあげる

親としては、つい「もっと積極的に話しかけてみたら?」「せっかく海外にいるんだから」と言いたくなります。けれど、二重の孤立のなかにいる子にとって、この言葉は「うまくやれていないのはあなたの努力不足だ」と聞こえてしまうことがあります。

この段階で先に必要なのは、解決策ではなく翻訳です。子どもは、自分の内側で起きていることをまだ言葉にできていません。「現地の子といると自分だけ外国人で、日本人の子といると自分だけ日本っぽくない」という複雑な感覚を、そのまま説明できる子はほとんどいません。だから「べつに」としか言えないのです。

親が代わりに言葉を置いてみると、子どもの表情が変わることがあります。ポイントは、状態を言い当てて終わりにせず、「それはあなたが悪いからではない」までをセットにすることです。

声のかけ方を、少しだけ置き換えてみる

つい言ってしまう
「もっと自分から話しかけてみたら?」
→↓
置き換えてみる
「入っていくのって、けっこうエネルギー使うよね。今日はどのへんがしんどかった?」
つい言ってしまう
「せっかく海外にいるんだから、もったいないよ」
→↓
置き換えてみる
「海外にいることと、今しんどいことは、別の話でいいと思うよ」
つい言ってしまう
「補習校に行けば日本人の友だちできるでしょ」
→↓
置き換えてみる
「あそこも“ちがう感じ”がするんだよね。どんなときにそう思う?」

「どっちつかず」ではなく「両方に足をかけている」

子どもが自分をどう説明するかは、そのあとの自己評価に響きます。「自分はどっちつかずだ」と本人が思い込んでいるなら、「どっちつかず」ではなく「両方に足をかけている状態」だと言い換えてあげてください。どちらの世界の空気も読める、どちらの言葉もある程度わかる——それは、今は苦しさとして現れていても、そのまま失われるものではありません。

ただし、ここで「将来きっと役に立つよ」と先の話に飛びすぎないことも大切です。今つらい子にとって、未来の利点の話は慰めになりにくいものです。まずは「今のしんどさ」をそのまま認める。その上で、次の章の関わり方に進みます。

親ができる5つの関わり方

ここでは、家庭のなかで今日から試せることを5つに絞りました。どれも「友だちを作らせる」ための方法ではありません。友だちができるより前に必要な「ひとりでも安心していられる土台」を作るための関わり方です。

1

「学校どうだった?」を、答えやすい質問に変える

漠然とした質問は、しんどい子ほど答えづらいものです。「今日いちばん静かだった時間はいつ?」「ランチは誰の近くにいた?」のように、事実だけを答えれば済む質問にすると、会話が続きやすくなります。返事が短くても掘り下げず、「教えてくれてありがとう」で終えてかまいません。

2

家のなかに「その子の役割」を一つ置く

居場所の感覚は、「必要とされている」という実感から生まれます。夕食のメニューを決める係、週末の予定を家族に発表する係など、小さくても本人にしかできない役割を一つ渡してみてください。うまくできたかどうかを評価しないことがコツです。

3

親のコミュニティと、子どものコミュニティを切り分ける

駐在先では、親の付き合いと子どもの人間関係が重なりがちです。「◯◯さんの子と仲良くしてね」は、子どもにとっては断りにくい圧力になります。親が親の付き合いを楽しむことと、子どもがどの子と過ごすかは、意識して分けておきましょう。

4

登校がつらい日の対応を学校と決めておく

朝に体調不良や強い不安が出る日を、本人の気合いだけで乗り切らせないでください。在籍校の担任・カウンセラーと、遅れて行く、保健室等で休む、欠席する場合の連絡方法を事前に相談します。欠席や出席の扱いは国・学校ごとに異なるため、家庭だけで「休んでよい日数」を決めた制度として説明しないことが大切です。

5

親自身の孤立にも手を打つ

海外では、保護者自身も相談相手が限られがちです。親が張りつめていると、その空気は子どもに伝わります。日本語で話せる相手を持つ、同じ立場の保護者とつながる、専門機関に一度話しておく——親のケアは、子どものケアの一部です。

家の食卓で向かい合って話している保護者と子ども

「第三の居場所(サードプレイス)」という考え方

現地校が合わないなら学校を変える、というのは大きな決断です。その前に検討する価値があるのが、学校はそのままにして、家でも学校でもない「第三の居場所」を一つ増やすという考え方です。

居場所かどうかを決めるのは、子ども本人

こども家庭庁が策定した「こどもの居場所づくりに関する指針」(令和5年12月22日)は、居場所について次のように整理しています。

こども家庭庁「こどもの居場所づくりに関する指針」より

「こども・若者が過ごす場所、時間、人との関係性全てが、こども・若者にとっての居場所になり得る」

「その場や対象を居場所と感じるかどうかは、こども・若者本人が決めることであり」

ここは、親としてはいちばん受け入れづらく、いちばん大事なところかもしれません。良かれと思って申し込んだ習い事や補習授業校が、その子にとっての居場所になるとは限らないのです。同じ指針は、居場所づくりの視点として【ふやす】【つなぐ】【みがく】【ふりかえる】の4つを挙げ、これらに順序や優先順位はなく相互に関連するとしています。親ができるのは、選択肢を「ふやす」ことと、そこに「つなぐ」ところまで。そこが居場所になるかどうかの判定は、子どもに委ねる——この線引きがあるだけで、親も子もずいぶん楽になります。

「安心できる場所」の数と、子どもの状態

こども家庭庁が公表している「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」(内閣府実施・こども家庭庁へ移管)では、「ほっとできる場所、安心できる場所」の数と、本人の自己認識との関係が集計されています。15歳〜39歳を対象とした調査では、安心できる場所の数別に次のような結果が出ています。

  • 「今の自分が好きだ」と答えた割合:安心できる場所が0個で24.5%、1個で32.7%、3個で53.1%、6個で80.3%
  • 「今の幸福感」が高いと答えた割合:0個で39.6%、1個で61.1%、3個で81.5%、6個で96.5%
  • 「将来への希望」がある割合:0個で43.4%、3個で59.5%、6個で84.7%

特に大きく動くのは0個から1個・2個へ増えるところです。幸福感では、0個の39.6%が1個で61.1%まで上がります。これは相関を示したものであって、居場所を増やせば必ず状態が良くなるという因果関係を証明したものではありません。それでも、「まずは一つ増やす」ことの意味を考えるうえでは参考になる数字です。

同じ調査の10歳〜14歳を対象とした部分(回答者1,520人)では、居場所になっていると答えた割合は家庭92.6%、自分の部屋81.3%、学校73.4%、インターネット空間65.4%、地域(図書館・公民館・公園など)63.0%でした。10代前半の子どもの3人に2人近くが、インターネット空間を「ほっとできる場所」と答えている点は、海外にいて物理的な選択肢が限られる家庭にとって重要な手がかりになります。オンラインで居場所や友だちがつくれるのかについては、オンラインで「居場所」や「友だち」は本当につくれる?もあわせてご覧ください。

海外にいる家庭が取れる「第三の居場所」の選択肢

「第三の居場所を作りましょう」と言われても、海外では選択肢そのものが限られます。ここでは、実際に取りうる選択肢を、向いている場面と注意点で整理しました。どれか一つを正解として選ぶのではなく、合わなければ次を試す前提で、負担の軽いものから当たっていくのがおすすめです。

海外在住の家庭が取りうる「第三の居場所」の選択肢
選択肢向いている場面注意点
現地の習い事・スポーツクラブ言葉より体や手を動かすことでつながれる子。学校のクラスとメンバーが重ならないので、学校での立ち位置をリセットしやすい会話量が多い活動だと、学校と同じ構図が再現されることがある。見学だけでも先に行ってみる
補習授業校・日本人会の子ども向け活動日本語を使いたい気持ちがある子。日本の行事や季節感に触れたい子日本語力に差があると、そこが新たな比較の場になることがある。学習より交流が中心の活動から試すと負担が軽い
オンラインの日本語スクール・オンラインスクールその土地に日本人の同世代がほとんどいない場合。人数の多い場が苦手な子。送迎が難しい家庭授業だけで終わる形式だと「居場所」にはなりにくい。授業外の時間があるかを確認する(→7章)
一時帰国・日本のサマースクール等年に一度でも「日本に自分を知っている子がいる」状態を作りたい場合頻度が低いため、これ単独では継続的な関係になりにくい。オンラインでつながり続ける手段とセットにする
親戚・祖父母との定期的なオンライン通話すぐに始められる。評価されない相手と話す時間を確保したい場合大人との縦の関係が中心になる。同世代との横のつながりの代わりにはなりにくい
家庭のなかの役割・きょうだい以外の関係外に出るエネルギーが今はない時期。まず家の中で安心を回復したい場合家に閉じた状態が長く続く場合は、無理に外に出すより先に専門機関へ相談を

並べてみるとわかるとおり、海外では物理的な選択肢が国や都市によって大きく変わります。日本人がほとんどいない地域では、上の表の1・2行目がそもそも成立しません。そういう家庭にとって、オンラインは「手軽な代替品」ではなく、現実的に残された数少ない横のつながりの手段になります。

ヘッドセットをつけて自宅のパソコンからオンラインの授業に参加している子ども

オンラインを第三の居場所にするときに確かめたいこと

オンラインなら何でもいい、というわけではありません。「勉強はできるようになったけれど、ひとりぼっちなのは変わらなかった」という結果になりやすいのは、授業だけがあって、授業のあとの時間がないサービスです。居場所として選ぶなら、次の点を先に確認してください。

  • 授業以外の時間があるか。朝の会、放課後、雑談できる場所があるか。学校で子どもがつながるのは、授業中ではなく休み時間です
  • 人数が少ないか。大人数のクラスでは、発言しない子は最後まで存在を知られません
  • 同じメンバーで継続するか。毎回メンバーが変わる形式では、関係が積み上がりません
  • 順位や点数がつかないか。比較されることに疲れている子には、評価のない場が必要です
  • 時差に無理がないか。現地の生活リズムを壊す時間帯だと続きません
  • 言語のハードルが本人に合っているか。日本語も現地語も中途半端だと感じている子には、その前提を求めない場のほうが安全です
  • やめやすいか。合わなかったときに抜けられることが、始めるハードルを下げます

日本語の居場所と国際教育を比べるとき

オンラインの場でも、目的を分けて選びます。日本語で同世代と話す機会を増やしたい場合と、国際的なカリキュラムで学びたい場合では、確認する条件が違います。現在の利用可否も含めて比較してください。

2事業の現行公式案内を比較(2026年10月20日確認)
確認点ともだちじゃぱんNIJIN GLOBAL ACADEMY
主な目的日本語での対話と日本の同世代との関係づくり国際的な仲間と学ぶオンラインのインターナショナルスクール
現在の状態本来の8人制クラスは開校前。現在は先生が専任で伴走する体験プランを案内2027年9月開校予定。開校情報と体験クラスの案内を掲載
費用開校前の専任サポート体験プランは月16,500円(税込)。開校後の学費とは別具体的な学費は公式案内で確認する必要がある
確かめたいこと子どもの日本語への気持ち、現在の体験内容、時差、開校後のクラスと費用対象年齢・時間帯、現在の体験内容、正式開校後の費用と進路

ともだちじゃぱんの入学案内は、人数が集まり次第の開校を目指し、確定日を約束していません。公式トップの「2026年12月パイロット開校予定」は予定として扱い、8人制の対話・毎日の交流を今利用できる内容とは書きません。現行料金とNGA公式案内もあわせて確認してください。現地校や補習授業校の代替となる制度上の資格・出席扱いは、それぞれの在籍校に確認が必要です。

学校に行けない日が続いたら——相談先と次に読む記事

この記事は、まだ学校には行けているけれど元気がない、という段階を想定して書いています。休む日が続き、朝起きられない日が増えてきた場合は、居場所づくりと並行して、学びの継続と相談先の確保を考える段階に入ります。

海外赴任・駐在中に現地校に行けなくなった場合の相談先や、学びをどう続けるかについては、海外赴任・駐在中に子どもが現地校になじめない…不登校になったときの相談先と学びの選択肢で詳しくまとめています。国や地域ごとの事情については【国・地域別】現地校になじめず不登校になったらもご覧ください。

海外からでも使える相談先

1

在籍校の担任・スクールカウンセラー

現地校にカウンセラーがいる場合は、まず学校内の窓口が最短です。日本人学校・補習授業校に在籍している場合は、そちらの先生にも状況を共有しておくと、二つの場での様子を突き合わせられます。

2

公益財団法人 海外子女教育振興財団(JOES)の教育相談

海外赴任者とその子女の教育について、国内・海外からオンライン相談とメール相談を利用できます。対面は東京本部のほか、名古屋・大阪で不定期に実施されています。2026年10月20日時点の相談料は、JOESの企業・団体会員と家族は無料、非会員の家族は初回から1年間・2回まで10,000円(税別)です。指名料などの条件もあるため、予約前にJOESの教育相談案内をご確認ください。

3

お住まいの地域を管轄する在外公館(大使館・総領事館)

その国・地域で日本語対応が可能な医療機関や相談先の情報を持っている場合があります。外務省 海外安全ホームページの「医療・健康関連情報」でも、国・地域別の医療事情を確認できます。

4

現地の小児科医・心理職

身体の症状(腹痛・頭痛・睡眠の乱れ)が続いている場合は、心理面の前にまず身体の面から診てもらってください。海外では受診の仕組みが日本と異なるため、在外公館や職場の福利厚生窓口に、かかり方を先に確認しておくとスムーズです。

最後に

「どちらの輪にも入れない」という感覚を話してくれたら、まずその経験を受け止めてください。現地校での関係と日本人の輪での関係を分けて聞き、本人が安心できる場所や相手を一緒に探すことから始められます。つらさが続く場合は学校や上記の相談先にもつないでください。

よくある質問(FAQ)

海外に住んでいて、子どもに友だちができません。時間が解決してくれますか?

言語や生活への慣れで解消する部分は確かにありますが、「授業についていけるか」と「休み時間に一緒にいる相手がいるか」は別の問題です。授業への適応が進んでも、雑談や遊びの文脈は自然には埋まらないことがあります。時間だけに任せず、学校以外に一つ関係が生まれる場を用意しておくと、学校での状況に左右されにくくなります。

補習授業校に通わせれば、日本人の友だちができますか?

合う子には大きな支えになりますが、全員に当てはまるわけではありません。日本語の読み書きに差があると、そこが新たな比較の場になってしまうこともあります。学習中心の活動よりも、交流やイベント中心の活動から試すほうが負担は軽く、お子さんの反応も見やすくなります。文部科学省「在外教育施設の概要」によると、補習授業校は世界51カ国・1地域に242校あります(令和6年7月1日現在)。

海外に住む日本の子どもは、どのくらいいるのですか?

文部科学省「在外教育施設未来戦略2030」には、平成29年の義務教育段階の在外子女数82,571人が記載されています。別時点の「在外教育施設の概要」には日本人学校・補習授業校の設置数と在籍数が掲載されています。調査時点と対象が異なるため単純に差し引いて人数を推計できず、これらの数字から孤立している子の人数もわかりません。お子さん本人の居心地は、個別に確かめる必要があります。

「どっちつかずで自分は中途半端だ」と子どもが言います。どう返せばいいですか?

否定も励ましもせず、まず「そう感じてるんだね」と受け取るところからで十分です。そのうえで、「どっちつかず」ではなく「両方に足をかけている状態」だと言い換えてみてください。ただし「将来役に立つよ」と先の話に飛ぶと、今のつらさが置き去りになります。今の感覚を認めることを優先してください。

「第三の居場所」は、親が用意すれば居場所になりますか?

こども家庭庁「こどもの居場所づくりに関する指針」(令和5年12月22日)は、「その場や対象を居場所と感じるかどうかは、こども・若者本人が決めることであり」と明記しています。親ができるのは選択肢を増やし、そこにつなぐところまでで、居場所になるかどうかの判定は子どもに委ねる、という前提を持っておくと、合わなかったときにもお互いを責めずに次を試せます。

居場所は、いくつくらいあるといいのでしょうか。

こども家庭庁「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」の15歳〜39歳対象調査では、安心できる場所の数が0個の人で「今の幸福感」が高いと答えた割合は39.6%、1個で61.1%、3個で81.5%、6個で96.5%でした。特に0個から1個・2個に増えるところで大きく変わっています。これは相関を示したもので因果関係の証明ではありませんが、「まず一つ増やす」ことを考える材料にはなります。

オンラインでも、本当に友だちはできますか?

同じ調査の10歳〜14歳対象調査(回答者1,520人)では、「インターネット空間」を居場所になっていると答えた割合は65.4%で、学校の73.4%に近い水準でした。ただし、オンラインなら何でもよいわけではありません。授業だけで終わる形式ではなく、朝の会や放課後など授業外の時間があるか、少人数で同じメンバーが続くかを確認してください。

ともだちじゃぱんやNIJIN GLOBAL ACADEMYには、いま申し込めますか?

ともだちじゃぱんの本来の8人制クラスは開校前です。現在は先生が専任で伴走する体験プラン(月16,500円・税込)と無料相談を公式サイトで案内しています。開校時期は人数が集まり次第としており、確定日ではありません。NIJIN GLOBAL ACADEMYは2027年9月開校予定で、開校情報と体験クラスの案内があります。今利用できる内容と正式開校後の内容を分けて確認してください。

オンラインスクールに通うと、現地校を休んだ日は出席扱いになりますか?

日本の在籍校に籍がある場合、出席扱いの可否は在籍校の校長判断です。NIJIN GLOBAL ACADEMYの公式サイトには、在籍校での出席扱いに関する記載を確認できませんでした。また、現地校の出欠の扱いはその国・その学校の規則によります。いずれの場合も、必ず在籍校や教育委員会、現地校に直接ご確認ください。

海外にいると、日本語で相談できる先が見つかりません。

海外子女教育振興財団(JOES)の教育相談はオンライン・メールで海外から利用できます。2026年10月20日時点では、JOESの企業・団体会員と家族は無料、非会員の家族は初回から1年間・2回まで10,000円(税別)です。JOES公式案内で対象と料金を確認してください。現地の相談先は在籍校や在外公館にも尋ねられます。

に

執筆|にじいろ編集部

「学校に合わない個性を応援する」教育情報サイト「にじいろ」の編集部。不登校・発達障害・オルタナティブな学びの選択肢について、公的機関や学校の公式情報など一次情報を確認しながら記事を作成しています。制度や統計、料金に関する情報は変更されることがあるため、必ず該当する機関・学校の最新の公式情報をご確認ください。また本記事は医学的・心理学的な診断や助言を行うものではありません。

この記事の内容を確かめるための一次資料

海外の子どもの孤立は、数字になりにくく、体験談ばかりが流通しやすいテーマです。この記事で使った数値と定義は、以下の公的資料で確認できます。学校や相談機関と話すときにも、あわせてご覧ください。

このテーマに関わる公的資料・公式情報
資料何がわかるか
文部科学省「在外教育施設の概要」日本人学校94校・約1万6千人、補習授業校242校・約2万1千人という設置状況(令和6年)
文部科学省「在外教育施設未来戦略2030」(令和2年6月3日)義務教育段階の在外子女数の推移(平成29年 82,571人)と、「いずれの在外教育施設にも通わない子供が増加してきたと考えられる」という指摘
こども家庭庁「こどもの居場所づくりに関する指針」(令和5年12月22日)居場所の考え方、「居場所と感じるかどうかは本人が決める」という原則、【ふやす】【つなぐ】【みがく】【ふりかえる】の4つの視点
こども家庭庁「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」安心できる場所の数と自己肯定感・幸福感の関係、10〜14歳が居場所と感じている場所の割合
外務省「海外在留邦人数調査統計」在留邦人総数1,298,170人(令和7年10月1日現在)などの基礎データ
公益財団法人 海外子女教育振興財団(JOES)「教育相談」海外からも使えるオンライン・メールでの教育相談の内容と費用
外務省 海外安全ホームページ「医療・健康関連情報」国・地域別の医療事情、受診にあたって知っておきたい情報

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