「相談はした。でも通級にはつながっていない」——その子たちの不登校率が22.76%。文科省の委託調査が公表されました

文部科学省が、発達障害のある子どもの不登校について、全国の小中学校を対象にした調査の報告書を公表しました。令和7年度の委託事業として実施されたものです。
報告書のなかで、不登校率がいちばん高かったのは「通常の学級にいて、通級による指導は受けていないけれど、発達障害(疑いを含む)に関わる支援の求めや相談があった」子どもたちで、22.76%でした。中学校に限ると46.08%です。報告書はこの層について、「必要な支援が十分になされていなかった可能性がある」と書いています。

1. 何が公表されたか

文部科学省の特別支援教育のページに、報告書と事例集のPDFが掲載されました。令和7年度の委託事業として、公益社団法人子どもの発達科学研究所が調査を実施し、文部科学省が取りまとめたものです。

項目内容
事業名令和7年度 発達障害のある幼児児童生徒に対する就学前からの切れ目のない支援体制構築事業(特別支援教育・不登校担当の校内連携体制の在り方に関する調査研究)
成果物報告書(全13ページ)と事例集
実施体制公益社団法人子どもの発達科学研究所が受託して調査を実施。報告書は文部科学省が取りまとめ
アンケート2025年11月10日〜12月31日。全国の小中学校からランダムに選んだ1,000校+教育委員会等から依頼した570校=1,570校に依頼し、432校が回答(回答率27.5%)
インタビュー2025年11月17日〜2026年1月22日。小学校10校・中学校8校(うち学びの多様化学校2校)・教育委員会等5か所の計23機関
対象年度令和6年度の状況について、各校の管理職や教職員が回答

出典:文部科学省「(3)特別支援教育・不登校担当の校内連携体制の在り方に関する調査研究」掲載の報告書PDF。文部科学省のページに公表日の記載はありません。受託団体である子どもの発達科学研究所の告知は2026年9月8日付です。

報告書は冒頭で、前提になる数字を挙げています。1,000人あたりの不登校児童生徒数は、令和元年度が小中学生18.8人・高校生15.8人だったのに対し、令和6年度はそれぞれ38.6人・23.3人。また令和5年の「不登校の要因分析に関する調査研究」で、令和4年度に不登校だった児童生徒の約2〜3割に、発達障害の診断もしくは疑い、または特別支援教育のニーズがあったことが示されていた、としています。

2. 不登校率がいちばん高かったのは、どの子たちか

回答した432校の令和6年度の不登校率は、すべての児童生徒で3.71%でした。そのうえで報告書は、次の3つのグループに分けて集計しています。

すべての児童生徒
3.71%
通級による指導を受けていた
7.10%
特別支援学級(自閉症・情緒障害)に在籍
12.65%
上の3グループのいずれかに該当
13.26%
通常の学級・通級なし・支援の求めや相談があった
22.76%

令和6年度・回答432校の集計。バーの長さは最大値(22.76%)を100%とした相対表示です。

小学校と中学校に分けると、差はさらに開きます。報告書は「全項目で、中学校における不登校率は、小学校の3倍以上と高い数値」と書いています。

グループ小学校(239校)中学校(183校)全体(432校)
【参照】すべての児童生徒1,402/69,480
(2.02%)
3,335/54,987
(6.07%)
4,788/129,014
(3.71%)
(1) 特別支援学級(自閉症・情緒障害)に在籍210/2,989
(7.03%)
365/1,566
(23.31%)
577/4,563
(12.65%)
(2) 通級による指導を受けていた90/2,190
(4.11%)
89/687
(12.95%)
206/2,903
(7.10%)
(3) 通常の学級に在籍し通級なし。発達障害(疑い含む)に起因する支援の求めや相談があった240/1,623
(14.79%)
247/536
(46.08%)
495/2,175
(22.76%)
(1)(2)(3)のいずれかに該当540/6,802
(7.94%)
701/2,789
(25.13%)
1,278/9,641
(13.26%)

報告書の表をそのまま転記しました。分母は各グループの在籍者数です。報告書の注記:「発達障害とは、自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)などとする。知的な遅れを伴う場合を含むが、発達障害を伴わない知的障害は除く」「合計には、義務教育学校と中等教育学校(前期課程)を含む」。

報告書の「まとめ」は、(3)についてこう書いています。

報告書「まとめ」より

通常の学級に在籍し、通級による指導を受けていないが発達障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援の求めや相談があった児童生徒において、不登校率が特に高く、個々のニーズに応じた適切な指導や必要な支援が十分になされていなかった可能性がある

相談は届いていた。けれど支援の形にはなっていなかった。その層の不登校率が、中学校では46.08%——およそ2人に1人だった、ということです。

3. 不登校率の低さと関連していた、6つの取組

報告書は、不登校の予防策になりうる20項目について「どの程度実施されていたか」を学校に尋ね、それと不登校率との関連を分析しています。20項目のうち、統計的に有意な関連が見られたのは次の6つでした。

取組(報告書の項目番号と表現)オッズ比95%信頼区間p値
⑳ 幼稚園・保育園又は小学校からの情報の引継ぎ0.670.49〜0.910.01
④ 特別支援教育の校内委員会やケース会議が十分に機能している0.690.53〜0.890.005
⑪ 学校と保護者の連携0.710.52〜0.960.03
⑭ 合理的配慮の提供に当たり、学校・設置者と本人・保護者との建設的な対話を通じた合意形成0.740.58〜0.960.02
⑬ 通常の学級において、特別な教育的支援を必要とする児童生徒がいることを前提としたわかりやすい授業づくりの工夫改善0.750.58〜0.970.03
③ 通常の学級の中でできる支援の方策や程度、合理的配慮について組織的に検討する0.770.61〜0.980.03

オッズ比が1より小さいほど、その取組がよく行われている学校ほど不登校率が低い傾向を示します。分析にはフラクショナル・ロジットモデルが使われ、学校の設置者(国公私)・学校種別・在籍児童生徒数・発達障害やその特性のある児童生徒の割合・要保護/準要保護家庭の児童生徒の割合・外国籍または日本語指導が必要な児童生徒の割合で統制されています。残る14項目(スクールカウンセラーとの連携、別室の活用など)は、有意な関連が見られませんでした。

6つのうち2つが、保護者が直接関わる項目です。⑪の「学校と保護者の連携」と、⑭の「建設的な対話を通じた合意形成」。保護者にとっては、ここがいちばん手触りのある結果だと思います。

いっぽうで報告書は、実施率そのものも出しています。「よく実施されていた」「ある程度実施されていた」の合計は、学校全体での把握・教職員間の情報共有が98.1%、学校と保護者の連携が97.2%、情報の引継ぎが94.0%。また96.5%の学校が、学校経営方針や学校経営計画に特別支援教育の方針を示している、と回答しています。つまり「やっている」と答える学校はとても多い。それでも学校間で差が出た、という読み方になります。

4. 報告書が挙げた、現場の具体的な工夫

インタビュー調査からは、次のような取組が報告されています。いずれも報告書に記載されたものです。

  • 校内教育支援センターで支援に当たる地域人材向けに、児童理解を促す学習会を月1回開催した(助言者はスクールカウンセラー)
  • 定期的な二者面談で、生徒が面談相手の教師を選べるようにした
  • スクールソーシャルワーカーや自治体の福祉担当部署と役割分担し、学校が踏み込みづらい家庭へのアプローチを依頼した
  • 学童保育所の指導員と児童の信頼関係ができていたため、学童から学校に送り出してもらう形で連携した
  • 児童に関わっている医師と教師が双方向で情報提供を行い、学校での様子も共有しながら相談した
  • 座席配置の配慮、黒板周辺の掲示物の精選、カーテンの開閉の調整
  • 保健室・相談室・クールダウンのスペース・一人で集中できる場所など、安心できる居場所づくり
  • 教室、座席、学習方法を固定せず、児童生徒自身が選択できるようにした
  • 1日のスケジュールや1時間の授業の流れを可視化した

5. ★ここは誤解されやすい

★「発達障害だから不登校になる」とは書かれていません

この調査が示したのは関連(相関)であって、原因と結果ではありません。報告書自身も、6つの取組について「不登校の未然防止に一定の効果がある可能性が示唆された」という書き方をしています。「この取組をすれば不登校が防げる」とは書かれていません。にじいろも、そこを飛び越えて書きません。

★回答率は27.5%です

1,570校に依頼して、回答は432校。報告書はさらに「回答は、地方によって回答数にばらつきがあったため、調査結果は一部の地方の結果に偏っている可能性があり、注意が必要である」と明記しています。全国の平均値として読む数字ではありません。

★「22.76%」は、診断のある子の数字ではありません

(3)のグループは「通常の学級にいて、通級は受けていないが、発達障害(疑いを含む)に起因する支援の求めや相談があった児童生徒」です。診断の有無で切った数字ではなく、学校に相談が届いていたかどうかで切った数字です。ここを取り違えると意味が変わります。

★中学校の46.08%は、分母が536人です

回答校のうち中学校183校で、(3)に該当した生徒は536人。そのうち247人が不登校でした。小さくはありませんが、全国の中学生を代表する数字ではありません。数字の大きさだけが一人歩きしないよう、分母も一緒に見てください。

6. いま、できること/しなくていいこと

できること

「相談した」で止まっていないか、確かめる。この調査でいちばん不登校率が高かったのは、相談はあったけれど通級などの支援にはつながっていない層でした。以前に担任に相談したきりになっているなら、それが校内でどう扱われたかを聞いてみる価値があります。

校内委員会にかかっているかを聞く。報告書で最も強い関連が出た取組のひとつが「特別支援教育の校内委員会やケース会議が十分に機能している」(オッズ比0.69)でした。「うちの子のことは、校内委員会で検討されていますか」「特別支援教育コーディネーターはどなたですか」は、そのまま聞ける質問です。

配慮は「お願い」ではなく「合意形成」として進める。⑭の項目は、学校・設置者と本人・保護者が建設的な対話を通じて合意形成するという書き方でした。決まったことは個別の教育支援計画に書き残してもらうと、担任が替わっても引き継がれます。

進学・進級のときの引き継ぎを意識する。最も低いオッズ比(0.67)が出たのは「幼稚園・保育園又は小学校からの情報の引継ぎ」でした。中学校の数字が小学校の3倍以上だったことと合わせて読むと、切り替わりの時期が節目になります。

しなくていいこと

この数字を、お子さんの見通しとして受け取る必要はありません。22.76%も46.08%も、回答した学校の集計値です。目の前のお子さんの確率ではありません。

急いで診断を取りに行く必要もありません。この調査は診断の有無で切っていません。むしろ「相談はあったが支援につながっていない」層を問題にしています。

保護者の連携不足を責める材料にもしないでください。「学校と保護者の連携」に関連が出たのは、学校側の体制を測った項目としてです。保護者の努力量を測ったものではありません。

7. この記事で確認できなかったこと

  • 文部科学省ページでの正確な公表日。ページに日付の記載がありません。報告書PDFのファイル名は20260821、事例集は20260903、受託団体の告知は2026年9月8日付でした
  • 回答した432校の地方別の内訳。報告書は「偏っている可能性」に言及していますが、具体的な内訳の記載は見つけられませんでした
  • (3)のグループの「支援の求めや相談」が、どの程度のものを指すか。定義の細目は報告書に記載がありません
  • 事例集(16.2MB)の中身。本記事では報告書のみを読んでいます
この記事で書いていないこと

この記事は、制度と統計の話です。お子さん一人ひとりの特性や、診断・療育については書いていません。気になることがあるときは、お住まいの自治体の就学相談窓口、地域の発達障害者支援センター、かかりつけの小児科などにご相談ください。

関連ページ

出典(一次情報)

本文中の数値・引用は、すべて上記の報告書PDF本文を直接読んで確認したものです。報道各社の記事は情報源にしていません。事例集(16.2MB)は本記事では参照していません。続報や訂正が必要になった場合は、本文を書き換えず、記事末尾に追記します。

文責:にじいろ編集部
公開日:2026年9月18日 / 最終更新:2026年9月18日
この記事は、にじいろ編集部が一次情報にあたって作成しています。編集の考え方は編集体制・編集方針をご覧ください。誤りが判明した場合は、記事を書き換えるのではなく、末尾に訂正を追記します。
目次

校内の支援体制が整うまでに、家庭でできること

校内支援体制の整備は自治体や学校によって進み方に差があり、「うちの学校はまだ」という期間をどう過ごすかが現実的な課題になります。NIJINアカデミーはオンラインで学べる場で、集団が苦手な子や感覚の過敏がある子も、自宅から自分のペースで参加できます。特性に合う関わり方を含めて、まず相談だけでもしていただけます。

▶ NIJINアカデミーの無料相談・体験会を見てみる
▶ 高校段階を考えている方はニジ高(NIJIN高等部)へ
▶ まず気軽に聞いてみる(LINEで相談)

目次