「学校には行けていないけれど、英語だけは伸ばしてあげたい」——そう考える保護者は少なくありません。塾の英会話だけでは学習全体のペースが崩れてしまう一方、フルインターの学校は費用も英語力のハードルも高く感じられます。この記事では、不登校の子どもが英語を学べるオンラインスクールを「日本語ベースのオンラインフリースクール」「バイリンガル型」「フルインター型」の3タイプに整理し、選ぶときに見るべき5つのポイント、出席扱いになるかどうかの確認方法、費用の相場までをまとめて解説します。
目次
この記事の結論
- 不登校×英語のオンラインスクールは、大きく「日本語ベースのオンラインフリースクール」「バイリンガル型」「フルインター型」の3タイプに分かれます。
- 選ぶときは、対話重視か教材配信のみか・出席扱いの可否・費用・時間割の柔軟性の4点に加え、続けやすさを必ず確認してください。
- 出席扱いには文部科学省が示す7つの要件があり、学校任せにせず保護者側からも在籍校・教育委員会に確認することが欠かせません(→5章)。
- 費用はオンライン型で年間10万〜30万円台が目安ですが、フルインター型は学年・レベルによって150万円前後になることもあります(→6章)。
- 英語力ゼロからでも始められる学校もあり、「英語ができないから無理」と最初からあきらめる必要はありません(→7章)。
「学校は合わないけど英語は伸ばしたい」という家庭が増えている理由
文部科学省の調査によると、2024年度(令和6年度)の小・中学校における不登校児童生徒数は35万人を超え、12年連続で過去最多を更新しました(文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」より)。不登校は特別なことではなく、どの家庭にも起こりうる状況になっています。
一方で、2020年度から小学校高学年で英語が正式教科になったこともあり、多くの家庭にとって「英語力」は将来の選択肢を左右する要素として意識されるようになりました。海外赴任や国際結婚、将来の留学を見据える家庭だけでなく、「今の学校の一斉授業は合わないけれど、英語という得意分野・好きな分野は伸ばしてあげたい」という保護者も増えています。英語が得意、あるいは好きという特性が、集団生活のストレスとは別の「自分の強み」として子どもの自己肯定感を支えているケースも少なくありません。
塾の英会話教室だけを併用する方法もありますが、学習全体のペースメーカーがないまま英語だけを足しても、生活リズムや学習習慣そのものが整いにくいという悩みもよく聞かれます。そこで注目されているのが、学習全体を支えながら英語にも力を入れられるオンラインスクールという選択肢です。
オンラインスクールの3つのタイプ
不登校の子どもが英語を学べるオンラインスクールは、授業で使う言語の比率や対話の形式によって、おおまかに3つのタイプに分けられます。まずは全体像をつかんでおきましょう。
日本語ベースのオンラインフリースクール
授業は日本語中心で、学習support・居場所づくり・生活リズムの立て直しを主目的とするタイプ。英会話は週1コマ程度のオプションとして用意されている学校が多く、「まずは学びに向き合う土台をつくりたい」家庭に向いています。
バイリンガル型
教科学習は日本語で進めつつ、英語の比重を通常より高めた学校。少人数の対話授業と個別の英語レッスンを組み合わせる形が多く、学習の土台を保ちながら英語力も伸ばしたい家庭に向いています。
フルインター型
授業のほとんどを英語で行うオンラインインターナショナルスクール。IGCSE・A Levelなど海外の資格試験につながるカリキュラムを採用する学校もあり、本格的に国際的な進路を視野に入れる家庭向けです。
どのタイプが正解ということはありません。今の子どもの状態(安心して過ごせる場が最優先か、すでに英語に興味・自信があるか)によって、向いているタイプは変わってきます。次の章で、タイプを問わず共通して確認すべきポイントを整理します。
選ぶときに見るべき5つのポイント
学校の雰囲気やカリキュラムの魅力だけで決めてしまうと、入学後に「思っていたのと違った」というミスマッチが起こりがちです。次の5点は、体験授業や説明会で必ず確認しておきたいポイントです。
体験授業・説明会で確認したい5つのポイント
特に見落とされがちなのが、「対話重視か、教材配信のみか」という点です。同じ「オンラインスクール」でも、先生や他の生徒とリアルタイムで顔を合わせる(あるいは声だけで参加する)時間が多い学校と、あらかじめ収録された動画教材を各自のペースで視聴する学校とでは、子どもが得られる経験は大きく異なります。人との関わりに少しずつ慣れていきたい子には対話重視の学校が、まずは一人のペースで学びを再開したい子には教材配信中心の学校が合いやすい傾向があります。
タイプ別比較
3つのタイプの違いを、5つのポイントに沿って一覧表にまとめました。学校ごとの個別差はありますが、タイプ選びの目安として活用してください。
| 項目 | タイプA:日本語ベース | タイプB:バイリンガル型 | タイプC:フルインター型 |
|---|---|---|---|
| 主な言語 | 日本語中心(英語はオプション) | 日本語と英語を併用 | ほぼ英語(All English) |
| 対話の形式 | 少人数の対話・ホームルーム中心の学校が多い | 教科は日本語対話、英語は個別レッスンを併用する学校が多い | 少人数の英語ディスカッション中心。カメラ・声を出さずチャットのみで参加できる学校もある |
| 出席扱いとの相性 | 対面指導・定期報告の体制を整えている学校なら申請しやすい | 学校ごとに実績の差が大きく、要確認 | 海外カリキュラム中心のため、在籍校との個別協議が必要になりやすい |
| 費用の目安(年間) | 約10万〜30万円台 | 約20万〜60万円台(学校の公表情報をもとにした目安) | 学年・レベルにより約25万〜150万円台(例:Nisai Japanのホームスクールコースは年25.6万〜150.4万円) |
| 向いている家庭 | まずは生活リズムと安心できる居場所を整えたい | 学習の土台を保ちながら英語力も伸ばしたい | 本格的に国際資格・海外大学進学を視野に入れたい |
※費用はいずれも学校・学年・コースにより変動します。必ず各校の最新の公式情報でご確認ください。
出席扱いになるかどうかの確認方法
「オンラインスクールに通わせたら、在籍校の出席扱いになるのか」は、多くの保護者が気にするポイントです。文部科学省は、不登校児童生徒が自宅でICT等を活用した学習活動を行った場合に、指導要録上の出席として扱うことができる要件を通知で示しています(文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」より)。主な要件は次の7点です。
- 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること
- ICT(インターネット、郵送、電子メール、FAXなど)を活用した学習活動であること
- 訪問等による対面指導が適切に行われることを前提とすること
- 子どもの学習理解度に応じた、計画的な学習プログラムであること
- 対面指導者からの定期報告などにより、校長が学習状況を把握していること
- 学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を十分に受けられない場合であること(他の制度との重複が想定されていないこと)
- 学習内容が、在籍校の教育課程に照らして適切と判断されること
申し込む前に必ず確認したいこと
出席扱いにするかどうかの最終判断は、あくまで在籍校の校長にあります。オンラインスクール側が「出席扱いの実績あり」と案内していても、それは在籍校との協議・報告体制が整っていることを意味するだけで、自動的に出席扱いになるわけではありません。入学を検討する段階で、在籍校の担任・スクールカウンセラー、そして教育委員会にも早めに相談し、その学校がどのような報告書式・面談頻度で連携しているかを具体的に確認しておくと安心です。
費用の相場
不登校ポータルサイト「ツナグバ」が文部科学省のデータをもとにまとめた記事によると、フリースクール全体の平均月謝は約33,000円で、通学型(週3〜5回)は年間40万〜90万円、全寮制は年間150万〜400万円になる一方、オンライン型は年間10万〜30万円と、月1万円台から始められる学校もあり費用を抑えやすい選択肢として位置づけられています。
英語の比重が高い学校ほど、専任講師の人件費や国際カリキュラムの利用料がかかる分、費用が上がる傾向があります。前章の比較表で挙げたフルインター型の実例(Nisai Japanのホームスクールコース)では、学年・レベルによって年間25.6万円〜150.4万円と幅があり、学年が上がるほど、また目標とする英語レベルが上がるほど高額になる仕組みです。入会前には、授業料以外に入会金・教材費・システム利用料などが別途かかるかどうかも必ず確認してください。
英語ゼロからでも始められるか
「英語に自信がないから、英語中心のオンラインスクールは無理かもしれない」と感じる家庭は少なくありません。ですが、学校によっては英語力ゼロからでも参加できるクラス編成を用意しているところがあります。
例えば、フルインター型のNisai Japanのホームスクールコースでは、年齢ではなく英語の習熟度によってクラスが分けられ、初級者向けのクラスから始めて、力がついた段階で上のレベルへ進級(飛び級を含む)できる仕組みになっています。授業ではマイク・チャット機能・ホワイトボード機能を使い、必ずしもカメラで顔を見せる必要がない形で参加できる学校もあるため、「話す・顔を出すこと自体が今はハードルになる」という子どもでも、少しずつ英語に触れる形を選べる可能性があります。
タイプA(日本語ベース)・タイプB(バイリンガル型)の学校では、そもそも入学時点で英語力を問わない学校が大半です。「英語ができないから選択肢に入らない」と最初から除外せず、まずは各校の体験授業でレベル別のクラス編成があるかを確認することをおすすめします。
NGA・ともだちじゃぱんという選択肢
ここまで見てきた3タイプの中でも、「対話を重視しながら、学校に合わない子も想定した設計で、英語力ゼロからでも始められる」学校を探している家庭には、新しく開校準備が進む学校も選択肢に入ってきます。
タイプC寄りの新しい選択肢|NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)
不登校・発達特性のある子ども1,000名超が在籍する国内最大級のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」を母体に、英国発のオンライン国際教育機関Nisai Japanと提携して2027年9月の開校を予定しているオンラインインターナショナルスクールです。偏差値や順位で子どもを測らず、少人数クラスでの対話を軸にした学びを掲げており、公式サイトでは「学校に行けていない・合わないお子さんも」対応することを明言しています。入学試験はなく、英語力ゼロからでも参加できる設計です(詳しくはNIJIN GLOBAL ACADEMY公式サイト)。
また、英語を伸ばす学びと並行して、日本語で安心して話せる「ともだち」との時間も大切にしたいという家庭には、姉妹プロジェクトのオンライン日本語スクール「ともだちじゃぱん(TOMODACHI JAPAN)」も選択肢になります。海外在住・インターナショナルスクール在籍などで英語での生活が中心になっている子どもが、日本の同世代と毎日オンラインで話しながら日本語を育てていく仕組みで、2026年12月にパイロット開校を予定しています。英語に力を入れる学びと、日本語での居場所づくりは、どちらか一方を選ぶものではなく、家庭の状況に応じて組み合わせて検討できるものです。
NIJIN GLOBAL ACADEMY|6〜18歳
「学校が合わない」まま、英語を好きなまま伸ばせる場所
脱偏差値・対話重視のオンラインインターナショナルスクール。学校に行けていない・合わない子も想定した設計で、入学試験・英語要件はありません。2027年9月開校予定。
開校の最新情報を受け取る ▶入会前の相談・見学だけでも大丈夫です。
まとめ
「学校は合わないけれど、英語は伸ばしたい」というニーズは、不登校児童生徒数が過去最多を更新し続ける今、決して珍しいものではなくなっています。オンラインスクールを選ぶときは、まず日本語ベース・バイリンガル型・フルインター型のどのタイプが今の子どもに合いそうかを見極め、そのうえで対話重視か教材配信のみか、出席扱いの可否、費用の総額、時間割の柔軟性という4つの軸で具体的に比較することが大切です。出席扱いについては学校任せにせず、文部科学省が示す要件を保護者自身も理解したうえで、在籍校・教育委員会に早めに相談してください。英語力に自信がなくても、レベル別のクラス編成やカメラをオフにして参加できる仕組みを持つ学校もあります。焦らずに体験授業を重ねながら、家庭に合った学びの形を見つけていきましょう。
よくある質問(FAQ)
不登校でも英語中心のオンラインスクールに入学できますか?
学校によります。フルインター型の中にも、対話重視で入学試験を設けず、学校の一斉授業が合わなかった子や発達特性のある子を積極的に受け入れている学校があります。体験授業で、不登校の子どもへの対応実績があるかを具体的に確認してください。
オンラインスクールに通うと、在籍校の出席扱いになりますか?
自動的にはなりません。文部科学省が示す7つの要件(保護者と学校の連携、ICT活用、対面指導の実施、計画的な学習、校長による状況把握など)を満たしたうえで、最終的には在籍校の校長が判断します。入学前に在籍校・教育委員会へ相談することをおすすめします。
英語力ゼロからでも入学できる学校はありますか?
あります。日本語ベースやバイリンガル型の学校は、そもそも入学時点で英語力を問わない学校が大半です。フルインター型でも、習熟度別のクラス編成を採用し、初級レベルから始められる学校があります。
対話重視の学校と、教材配信のみの学校はどう見分ければいいですか?
体験授業や説明会で、通常の1週間の時間割を見せてもらい、「先生・友達とリアルタイムで話す時間」がどのくらいあるかを具体的に聞くのが確実です。録画教材の視聴だけで完結する学校か、少人数での対話やディスカッションの時間が組まれているかを確認しましょう。
費用はどのくらいかかりますか?
フリースクール全体の平均月謝は約33,000円で、オンライン型は年間10万〜30万円台が目安とされています。英語の比重が高いフルインター型では、学年・レベルによって年間150万円前後になる学校もあります。授業料以外に入会金・教材費がかかる場合もあるため、総額で比較してください。
顔を出したり声を出したりするのが苦手でも参加できますか?
学校によります。マイク・チャット機能・ホワイトボードなどを使い、カメラをオフにしたまま参加できる授業を用意している学校もあります。場面緘黙やHSCなど、声や顔を出すこと自体がハードルになる特性がある場合は、入学前にその学校の参加方法の柔軟性を必ず確認してください。
時間割が決まっていて、生活リズムが不安定でもついていけますか?
学校によります。決まった時間の出席が前提の学校もあれば、録画視聴や授業時間の振替に対応している学校もあります。体調や生活リズムが不安定な時期がある場合は、欠席時のフォロー体制(録画の有無、個別サポートの有無)まで確認しておくと安心です。
今の学校に在籍しながら、オンラインスクールを併用することはできますか?
学校によります。在籍校に籍を置いたまま、学習支援や居場所としてオンラインスクールを併用する形を前提にしている学校もあります。「今の環境をやめる」ではなく「学びの選択肢を増やす」という考え方で検討したい場合は、その学校が併用を想定した設計になっているかを確認してください。
NIJIN GLOBAL ACADEMYとともだちじゃぱんは、どちらに申し込めばいいですか?
目的によります。NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)は、対話重視・脱偏差値のオンラインインターナショナルスクールで、英語力ゼロからでも国際的な学びに参加したい家庭向けです。ともだちじゃぱんは、海外在住やインター校在籍などで日本語に触れる機会が少ない子どもが、日本の同世代と日本語で話す時間を持つためのオンライン日本語スクールで、対象や目的が異なります。どちらも2026年9月以降に開校・パイロットを予定しており、公式サイトから最新情報を確認できます。
通信制高校の英語コースとは何が違いますか?
通信制高校は高校段階の卒業資格取得を主目的とする学校で、英語コースはそのカリキュラムの一部という位置づけが一般的です。この記事で紹介したオンラインスクールの多くは小中学生も対象とし、卒業資格の取得よりも、学びの継続・居場所づくり・英語力の育成そのものを主目的にしている点が異なります。
この記事の内容を確かめるための一次資料
出席扱いの制度や費用の相場は、家庭ごとの状況によって当てはまり方が変わるテーマです。学校や在籍校と話すときは、下記の資料もあわせてご確認ください。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」 | 自宅IT等学習を出席扱いとするための7つの要件 |
| 文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」 | 不登校児童生徒数が35万人超・12年連続増加という現状 |
| Nisai Japan「不登校向けオンラインインターナショナル・ホームスクールコース」 | フルインター型の授業形式・レベル別クラス編成・費用の実例 |
| ツナグバ「フリースクールの費用は高い?月謝相場と『お金がない』時の補助金制度」 | フリースクールの月謝相場、通学型・オンライン型・全寮制の費用比較 |
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