「インターナショナルスクール」と一言でいっても、その中身は学校によって大きく異なります。日本の学校を卒業した扱いになるのか、大学は受験できるのか、学費はいくらかかるのか——検討を始めると、次々に疑問が出てくるはずです。この記事では、インターナショナルスクールの定義や種類、1条校・各種学校との違い、就学義務との関係、学費の相場、メリット・デメリットまで、知っておきたいポイントを一つずつ整理してお伝えします。
目次
この記事の結論
- 「インターナショナルスクール」に法律上の明確な定義はなく、日本の学校教育法上はほとんどが「1条校」ではなく「各種学校」または無認可の施設です。
- 日本国籍のみの子どもがインターナショナルスクールだけに通う場合、就学義務との関係で自治体への手続きが必要になることがあります(重国籍・外国籍の子は扱いが異なります)。
- 大学入学資格は、WASC・CIS・ACSIなど国際的な評価団体の認定を受けているかどうかで大きく変わります。無認可校の卒業生は個別の入学資格審査が必要です。
- 学費は年間100万円台〜200万円台が目安で、小学校から高校まで通うと総額2,000万円を超えることも珍しくありません。
- 費用や通学のハードルから選択肢に入れづらい家庭には、オンラインで学べるインターナショナルスクールという新しい選択肢も出てきています(→9章)。
インターナショナルスクールとは?
インターナショナルスクールとは、一般的に英語など日本語以外の言語を教育の中心に据え、海外の教育制度やカリキュラムに沿って授業を行う学校を指します。ただし、これは通称であって法律上の正式な用語ではありません。文部科学省や自治体の資料でも「インターナショナルスクール等」という書き方がされることが多く、どこからどこまでがインターナショナルスクールか、明確な線引きは存在しないのが実情です。
実際には、外国人の子女教育を主な目的として戦後から続く伝統校もあれば、日本人家庭を主な対象にした比較的新しい学校、英語だけを強化する少人数のスクール、オンラインで完結する学校まで、規模も理念も費用も大きく異なるさまざまな学校が「インターナショナルスクール」と呼ばれています。検討を始める際は、「インターナショナルスクール」という言葉だけで判断せず、その学校が具体的にどんな制度上の位置づけなのかを確認することが何よりも大切です。
1条校・各種学校・無認可校の違い
日本の学校教育法は、学校を大きく3つの区分に分けています。この区分によって、卒業後の扱いや進学のしやすさが大きく変わります。
| 区分 | 内容 | インターナショナルスクールとの関係 |
|---|---|---|
| 1条校 | 学校教育法第1条に定められた、小学校・中学校・高等学校・大学など正規の「学校」。卒業すれば公的な卒業資格が得られ、就学義務も満たせる | ごく一部の学校(角谷学園やイマヌエル・ルーテル高等学校など、日本の学校法人として1条校の認可を受けたインターナショナルスクール)に限られる |
| 各種学校 | 1条校ではないが、都道府県知事の認可を受けて教育施設として運営される学校。学校教育法第134条に基づく | 多くの著名なインターナショナルスクールがこの区分。ただし各種学校であっても、それだけでは公的な卒業資格や就学義務の充足にはならない |
| 無認可校(各種学校の認可を受けていない施設) | 法律上の学校としての認可を受けていない教育施設。塾やスクールと同じ扱いになる | 費用を抑えた少人数のインターナショナルスクールや、新しく開校したばかりの学校に多い |
ポイントは、「各種学校」であっても1条校ではないという点です。つまり、多くのインターナショナルスクールは、日本の制度上「学校」そのものではなく、習い事や塾に近い法的位置づけのまま運営されているということになります。この点は、次章の就学義務や、5章の大学入学資格に直接関わってきます。
就学義務との関係で知っておきたいこと
日本国籍を持つ子どもの保護者には、学校教育法に基づき、子どもを1条校に就学させる「就学義務」があります。ここが、インターナショナルスクールを検討するときにもっとも見落とされやすく、もっとも重要なポイントです。
新宿区が公開している案内では、就学義務について次のように整理されています(新宿区「インターナショナルスクール等への就学をお考えの方へ」より)。
| 子どもの国籍 | 扱い |
|---|---|
| 日本国籍のみ | インターナショナルスクールへの入学は、原則として就学義務を満たしたことにはなりません。区立中学校などへの入学が認められない場合があります |
| 重国籍(日本国籍+外国籍) | 将来外国籍を選択する可能性が高く、他に教育機会が確保されている場合、教育委員会に「就学義務の猶予・免除」の手続きを行うことで通えます |
| 外国籍のみ | 就学義務の対象外のため、特別な手続きは不要です(教育委員会の就学状況調査への協力を求められることがあります) |
「知らなかった」を防ぐために
日本国籍のみの子どもがインターナショナルスクールだけに通っている場合、途中で日本の学校に戻ろうとしても、自治体によっては「継続的な就学」を前提とした手続きが必要で、スムーズに区立・市立学校へ編入できないケースがあります。「合わなかったら日本の学校に戻ればいい」と単純には考えず、通う前に必ずお住まいの自治体の教育委員会に相談し、就学義務の扱いを確認してください。自治体ごとに運用が異なるため、必ず一次情報(お住まいの自治体の公式ページ)で確認することをおすすめします。
カリキュラムの種類(IB・アメリカ式・イギリス式など)
インターナショナルスクールが採用しているカリキュラムにはいくつかの系統があります。学校を比較するときは、まずどの系統かを確認すると理解が早くなります。
国際バカロレア(IB)
スイスに本部を置く非営利団体IBOが運営する国際的な教育プログラムです。3歳〜12歳向けのPYP、11歳〜16歳向けのMYP、16歳〜19歳向けのDP(ディプロマ・プログラム)などの段階があり、探究学習と批判的思考力を重視するのが特徴です。文部科学省も「グローバル人材育成」の観点からIB教育推進コンソーシアムを設置し、国内での普及を後押ししています(文部科学省「国際バカロレアについて」より)。DP修了者は、要件を満たせば世界の多くの大学の入学資格として認められます。
アメリカ式(American Curriculum)
アメリカの各州のカリキュラム基準に沿った教育を行います。高校卒業時にはアメリカの「ハイスクール・ディプロマ」に相当する卒業資格が授与されることが多く、SAT・ACTなど北米大学への進学を見据えた学校に多い系統です。
イギリス式(British Curriculum)
英国のナショナルカリキュラムに沿い、Cambridge International が提供するIGCSE(16歳前後で受ける統一試験)やA-Level(大学入学資格に相当する試験)を軸に進級・進学が組み立てられています。
その他(フランス式・ドイツ式・宗教系など)
特定の国の在留邦人・外国人家庭を主な対象にした学校や、宗教教育を伴う学校もあります。母国への帰国を前提とした家庭には、母国のカリキュラムに準じた学校が選ばれる傾向があります。
大学入学資格と国際的な認定団体
「せっかく通ったのに、日本の大学を受験できなかった」——これを避けるために、必ず確認しておきたいのが国際的な評価団体による認定の有無です。文部科学省は、次の6団体いずれかの認定を受けた外国人学校(インターナショナルスクール)の卒業生について、日本の大学入学資格を認めています(文部科学省「国際的な評価団体認定外国人学校について」より)。
| 団体名 | 概要 |
|---|---|
| WASC | Western Association of Schools and Colleges(米国西部学校大学協会) |
| ACSI | Association of Christian Schools International(国際キリスト教学校協会) |
| CIS | Council of International Schools(国際学校評議会) |
| NEASC | New England Association of Schools and Colleges(米国東部学校大学協会) |
| Cognia(コグニア) | NCA CASI・NWAC・SACS CASIなど複数の評価団体を統合した組織 |
| COBIS | Council of British International Schools(英国系インターナショナルスクール評議会) |
逆に、これらの団体の認定を受けていない学校(無認可校を含む)の卒業生は、自動的には大学入学資格が得られません。個別の大学が実施する「個別の入学資格審査」を経る必要があり、審査の基準は大学ごとに異なります。学校見学や説明会では、必ず「どの団体の認定を受けているか」「日本の大学進学を考える場合、卒業後にどのような手続きが必要か」を具体的に質問してください。CISには学校として団体に加盟しているだけの「Member校」と、実際に教育の質の審査を受けて合格した「Accredited校」があり、この2つは大学入学資格の観点でも意味がまったく異なるため、あわせて確認しておくと安心です。
学費の相場
インターナショナルスクールの学費は、伝統的な大規模校ほど高額になる傾向があり、年間の授業料が200万円前後になる学校も少なくありません。授業料以外にも、入学金・施設使用料・教材費・スクールバス代・給食代・保護者会費など、さまざまな費用が別途かかります。仮に年間の学費を200万円として小学校から高校まで通った場合、総額は2,000万円を超える計算になります。
費用を確認するときのチェックポイント
- 授業料以外に、入学金・施設費・教材費・スクールバス代・給食代が別途かかるか
- 兄弟姉妹の割引や、奨学金制度があるか
- 学年が上がるにつれて学費が変わる仕組みになっていないか
- 途中退学時の返金規定はどうなっているか
費用の高さは、家庭がインターナショナルスクールを選択肢から外してしまう最大の理由の一つです。近年は、校舎を持たずオンラインで運営することで学費を抑えたインターナショナルスクールも登場しており、費用面のハードルは以前より下がりつつあります(詳しくは9章)。
メリット・デメリット
語学力と異文化理解
日常的に英語などの言語に触れることで、実践的な語学力が身につきやすい環境です。多国籍のクラスメイトとの生活を通じて、多様な価値観に触れる機会も豊富です。
対話・探究型の学び
一斉授業よりも少人数で対話や探究を重視する学校が多く、「正解を覚える」より「自分で考える」ことを評価する文化があります。日本の一斉授業が合わない子にとって、負担が少ない場合があります。
費用・進路・就学義務の制約
学費が高額になりやすいこと、大学入学資格や就学義務の扱いが学校によって異なること、日本の学校への転入がスムーズにいかない場合があることは、あらかじめ理解しておく必要があります。
どんな子・家庭に向いている?
次のような家庭では、インターナショナルスクールが有力な選択肢になりやすいといえます。
- 親の転勤や将来の海外移住を見据えて、英語での学習環境に早くから慣れさせたい家庭
- 海外生活が長く、帰国後に日本語だけの一斉授業へ切り替えることに子ども自身が強い抵抗を感じている家庭
- 暗記中心の評価より、対話やプロジェクト型の学びで力を発揮しやすい特性のある子ども
- 学費や進路(大学入学資格)について、事前にリスクを理解し受け止められる家庭
一方で、「日本の学校の雰囲気が合わないから」という理由だけでインターナショナルスクールを選ぶ場合は、就学義務・学費・進学の3点を必ず事前に確認することをおすすめします。次の章で、その視点から選択肢を整理します。
「学校に合わない」子どもにとっての選択肢として
「集団の一斉授業がしんどい」「発達特性への配慮が今の学校では難しい」——そうした理由から、学校以外の学びの場を探している家庭にとっても、インターナショナルスクールは選択肢の一つになり得ます。実際、対話やプロジェクト型学習を軸にした少人数のインターナショナルスクールでは、日本の一斉授業では力を発揮しづらかった子が、生き生きと学べるようになるケースもあります。
ただし、通学型の伝統的なインターナショナルスクールは学費が高額になりやすく、英語力や集団参加へのハードルも決して低くありません。そこで近年増えているのが、校舎を持たず、オンラインで学べるインターナショナルスクールという選択肢です。自宅から少人数の対話型授業に参加でき、費用も既存の通学型インターナショナルスクールより抑えられている学校が出てきています。
新しい選択肢|NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)
NIJINアカデミー(不登校・発達特性のある子ども1,000名超が在籍する国内最大級のオルタナティブスクール)を母体に、2027年9月の開校を予定しているオンラインインターナショナルスクールです。偏差値や順位で子どもを測らず、8名クラスの対話を軸にした学びを掲げており、公式サイトでは「学校に行けていない・合わないお子さんも」「引きこもりでも、発達特性があっても」対応することを明言しています。英語力ゼロからでも参加でき、入学試験もありません。無料体験クラスは2026年9月から毎月開催予定です(詳しくはNIJIN GLOBAL ACADEMY公式サイト)。
もちろん、インターナショナルスクールという学びの形自体が、すべての子に合うわけではありません。大切なのは「学校に行く・行かない」の二択ではなく、その子に合う学びの場を、費用や進路のリスクも含めて具体的に比較しながら選ぶことです。
NIJIN GLOBAL ACADEMY|6〜18歳
国際教育も、「学校に合わない」子への配慮も、あきらめない
脱偏差値・対話重視のオンラインインターナショナルスクール。学校に行けていない・合わない子も想定した設計で、入学試験・英語要件はありません。2027年9月開校予定。
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選び方の3つのポイント
制度上の位置づけと、就学義務の扱いを確認する
1条校か、各種学校か、無認可校か。日本国籍のみの子どもの場合、就学義務との関係でお住まいの自治体への相談が必須です。「合わなければ日本の学校に戻れる」と考えている場合は、特に事前確認が重要です。
卒業後の進路と、認定団体の有無を確認する
日本の大学、海外の大学、どちらを視野に入れるかによって、必要な認定(WASC・CIS・IBなど)は変わります。学校の説明会では、卒業生の実際の進学先を具体的に聞いてみましょう。
費用の総額と、続けやすさを確認する
初年度の学費だけでなく、学年が上がったときの費用、きょうだいで通う場合の割引、そして「通い続けられる負担か」を、家計とお子さんの様子の両面から検討します。
よくある質問(FAQ)
インターナショナルスクールに明確な定義はありますか?
法律上の明確な定義はありません。一般的には、英語など日本語以外の言語を教育の中心に据え、海外の教育制度・カリキュラムに沿って授業を行う学校を指す通称です。学校ごとに規模・理念・費用・制度上の位置づけが大きく異なります。
インターナショナルスクールは日本の学校として卒業扱いになりますか?
学校によります。学校教育法上の「1条校」として認可を受けている学校はごく一部で、多くは「各種学校」または無認可の施設です。1条校でない場合、卒業しても日本の学校教育法上の正式な卒業資格にはならない点に注意が必要です。
日本国籍の子どもだけがインターナショナルスクールに通うと、就学義務違反になりますか?
日本国籍のみの子どもの場合、原則として就学義務を満たしたことにはならず、区立・市立学校への入学が認められないケースがあります(新宿区の案内より)。重国籍で将来外国籍を選択する可能性が高い場合は、教育委員会への就学義務の猶予・免除手続きにより通えることがあります。お住まいの自治体への事前相談が必須です。
インターナショナルスクールの卒業生は日本の大学を受験できますか?
WASC・CIS・ACSI・NEASC・Cognia・COBISのいずれかの国際的な評価団体の認定を受けている学校の卒業生は、日本の大学入学資格が認められます。認定を受けていない学校の卒業生は、大学ごとの個別の入学資格審査を受ける必要があります(文部科学省の案内より)。
IB(国際バカロレア)とインターナショナルスクールは同じですか?
同じではありません。IBはスイスの非営利団体IBOが運営する国際的な教育プログラムの一つで、インターナショナルスクールの中でIBを採用している学校もあれば、アメリカ式・イギリス式など別のカリキュラムを採用している学校もあります。日本の公立・私立学校の中にもIB認定校(IB MYP・DPなど)は存在します。
インターナショナルスクールの学費はどのくらいかかりますか?
学校によって幅がありますが、年間の授業料が100万円台〜200万円台になる学校が多く、入学金・施設費・教材費などが別途かかります。小学校から高校まで通った場合、総額が2,000万円を超えることも珍しくありません。近年はオンライン運営で費用を抑えた学校も出てきています。
英語ができない子どもでも入学できますか?
学校によります。英語力を問う入学試験があるインターナショナルスクールも多い一方、英語力ゼロからでも受け入れ、バイリンガルのメンターやサポート体制を整えている学校もあります。入学前に、その学校がどの程度の英語力を前提としているかを必ず確認してください。
不登校の子どもでもインターナショナルスクールに通えますか?
学校によります。少人数・対話重視の学校の中には、学校の一斉授業が合わなかった子や発達特性のある子を積極的に受け入れているところもあります。ただし在籍校での出席の扱いは学校ごと・自治体ごとに判断が異なるため、検討する際は在籍校の担任や教育委員会にも早めに相談しておくと安心です。
オンラインのインターナショナルスクールと通学型は何が違いますか?
通学型は校舎への通学が前提で、対面での交流や施設を使った活動が豊富な一方、学費が高額になりやすい傾向があります。オンライン型は校舎を持たない分、費用を抑えやすく、自宅から世界中の同世代とつながれる点が特徴ですが、対面での活動は限られます。どちらも、大学入学資格や就学義務の扱いは学校ごとに異なるため、個別の確認が必要です。
インターナショナルスクールと日本のフリースクール・オルタナティブスクールとの違いは何ですか?
フリースクールやオルタナティブスクールは、主に不登校の子どもの居場所・学びの場として運営される国内の民間施設で、日本語での学習支援が中心です。インターナショナルスクールは英語など外国語での教育を中心とする点が大きな違いですが、近年は少人数・対話重視という共通点を持つ学校も増えており、両方を比較検討する家庭も増えています。国内のオルタナティブスクールについてはオルタナティブスクールとは?全国24校の一覧もあわせてご覧ください。
この記事の内容を確かめるための一次資料
インターナショナルスクールに関する情報は、就学義務や大学入学資格など制度に関わる部分が特に誤解されやすいテーマです。学校や自治体と話すときは、下記の一次資料を確認しながら進めることをおすすめします。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 新宿区「インターナショナルスクール等への就学をお考えの方へ」 | 就学義務の国籍別の扱い、区立学校への編入における注意点 |
| 文部科学省「国際的な評価団体認定外国人学校について」 | 大学入学資格が認められる6つの国際的評価団体 |
| 文部科学省「国際バカロレアについて」 | IB教育の国内普及に関する国の方針、IB教育推進コンソーシアム |
| NIC-Japan(高等教育資格承認情報センター)「インターナショナルスクール」 | 資格認証の考え方、海外の学校制度との比較 |
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