自由研究の考察には、実験や観察で見つけた事実をもとに「何が考えられるか」「そう考えた理由」「まだ確かめられていないこと」を書きます。
実験は終わったのに、考察の欄だけ手が止まる。「楽しかった」以外に何を書けばよいのか分からない。そんなときは、難しい言葉を探すより、手元の記録を一つ選ぶところから始めてみましょう。
保護者も、どこまで助けてよいか迷うかもしれません。答えを代わりに考えなくても、「どの記録を見てそう思ったの?」と聞くことで、子どもの考えを文章につなげられます。
この記事では、結果・考察・感想の違いから、記入例、うまくいかなかったときの書き方、親子で使えるワークまで紹介します。模造紙やスライドの見せ方ではなく、実験・観察を終えたあとに書く中身に絞って考えます。
自由研究の「結果」「考察」「感想」は何が違う?

「結果」「考察」「感想」は、同じ出来事について書いていても、伝える内容が違います。最初は、次の三つの質問で分けてみてください。
結果
答える質問
実際に何を見た・測った?
紙の橋を比べた場合の例
平らな紙は消しゴム1個、折った紙は4個を10秒間支えた。
考察
答える質問
その結果から何を考えた?
紙の橋を比べた場合の例
今回は折った紙のほうが多く支えたので、紙の形が支えられる数に関係していると考えた。
感想
答える質問
やってみてどう感じた?
紙の橋を比べた場合の例
同じ紙なのに違いが出たことに驚いた。
※この表の数値と場面は、違いを説明するための架空の例です。実際の研究結果ではありません。
結果には、記録で確かめられることを書く
「大きくなった」「たくさん集まった」だけでは、どれくらい変わったのかが伝わりにくい場合があります。記録があれば、日付や時間、数、大きさなどを添えましょう。
ただし、測っていない長さや数を、あとから想像して補う必要はありません。「写真では前日より葉が開いて見える」「数は数えていない」のように、記録から言える範囲で書きます。
考察には、事実と自分の考えをつなぐ
「折った紙のほうが多く支えた」は、比べて分かった結果です。そこから「形が関係しているのではないか」と考えた部分が考察になります。
考察の手がかりになるのが、「どの結果から、そう考えたのか」です。「〜と思います」という語尾を付けるだけでなく、読み手が元の記録に戻れるようにします。
感想には、気持ちや取り組んだ実感を書く
「楽しかった」「予想と違って驚いた」「待つのが大変だった」は、大切な感想です。考察に書きにくいからといって、消す必要はありません。
「驚いた。その理由は、予想では平らな紙が多く支えると思っていたから」と、気持ちのきっかけを添えてもよいでしょう。気持ちと、結果から考えたことを分けると、それぞれが伝わりやすくなります。
ベネッセの自由研究ガイドでも、結果に書く事実と、結果から導く考え、感想を分けて整理しています。学校の用紙に「わかったこと」とある場合は、先生の説明も確認しながら、今回の結果とそこから考えたことを区別して書きましょう。参考:ベネッセ教育情報「自由研究のまとめ方のコツ」。
考察の書き方は、記録から四つの問いをたどる
最初から文章を完成させようとせず、短いメモで進めます。自由研究の考察の書き方に迷ったら、次の順番を試してみてください。
①どの記録に注目する?
↓ 数値・写真・観察メモを一つ選ぶ
②比べると、何が同じで何が違う?
↓ 予想、別の条件、前の日などと比べる
③そこから何が考えられる?
↓ 元の記録を示して、自分の考えを書く
④ほかの可能性は? 何を確かめたい?
↓ 言い切れない点と、次に調べる方法を添える

①「いちばん気になった記録」を選ぶ
全部の記録を一度に説明しようとすると、何から書くか迷います。まずは「予想と違った」「前の日より増えた」「何度やっても同じだった」など、本人が気になった部分に印を付けましょう。
数値がなくても構いません。写真の形の違い、スケッチに描いた模様、観察メモの「この日は見つからなかった」も、記録になります。
②比べる相手を決める
何と何を比べるかが決まると、考えやすくなります。「実験前の予想と実際の結果」「同じものの1日目と3日目」「条件Aと条件B」などです。
このとき、比べる条件にも目を向けます。紙の折り方を比べたいのに、片方だけ厚い紙を使っていたら、違いが折り方によるものか、紙の厚さによるものかは分かりません。
すでに実験を終えていて条件が違っていた場合も、隠さず書きます。そろえられなかった条件を見つけることが、次の確かめ方につながります。
③「記録」と「考え」をセットにする
書き出しは、例えば「3回ともBの数がAより多かった。このことから、今回の条件では〜と考えた」です。何回の記録を見たのかが分かり、考えの根拠も伝わります。
一方、「とてもすごかったので、Bがよいと思った」では、何がどのようによかったのかが分かりません。「すごい」を数や様子に置き換えられないか、記録に戻ってみましょう。
根拠は、多ければよいとは限りません。考えと関係のある記録を選び、その記録で説明できることに絞るほうが、読み手は理解しやすくなります。
④言い切れないことも書く
「今回使った紙では」「この3日間では」「観察した時間には」のように、確かめた範囲を添えます。一つの結果だけで、あらゆる紙や場所、生き物に当てはまるとは限らないからです。
別の理由も考えられるなら、「置く場所のずれが影響した可能性もある」と書けます。ただし、思い付く理由を次々に並べる必要はありません。実験中のメモや条件を見て、関係しそうなことを一つ挙げましょう。
神奈川県立生命の星・地球博物館の教材も、予想と結果を比べ、新しく生まれた疑問を残すことを勧めています。参考:同館「自由研究のやり方・まとめ方」公式PDF。
記入完成例|紙の橋の結果から考察を書く
ここからは、結果と考察がどのようにつながるかを、一つの例で見てみましょう。
以下は書き方を練習するための架空の研究・データです。実際に行った実験の報告ではなく、この数値になることを保証するものでもありません。自分の自由研究には、自分が得た記録を使ってください。
調べたかったこと・予想・方法
調べたかったこと
記入例
同じ種類・大きさの紙でも、折り方を変えると、橋として支えられる消しゴムの数は変わるか。
予想
記入例
じゃばら折りの紙のほうが、平らな紙より多く支えられると思った。折ると手で曲げにくく感じたことがあるから。
比べたもの
記入例
Aは平らな紙、Bは山折り・谷折りの線が橋をかける向きと平行になる、じゃばら折りの紙。どちらも折る前は縦20cm、横10cmの同じ種類の紙を使った。
そろえた条件
記入例
紙の種類と折る前の大きさ、橋をかける隙間10cm、支えの高さ、使う消しゴムと載せる順番、待つ時間を同じにした。
数え方
記入例
中央付近に消しゴムを1個ずつ載せ、10秒待った。紙の中央が机に触れる直前まで、10秒間支えられた個数を記録した。
繰り返し方
記入例
AとBを交互に、各3回調べた。毎回新しい紙を使い、Bの折る幅は同じになるようにした。
実際に試す場合は、机の上の低い位置で、軽い道具を使いましょう。高い場所に橋をかけたり、重い物を載せたりする必要はありません。紙や道具の扱いは、年齢に応じて大人と確認してください。
結果の記入例
架空の練習用データ:10秒間支えられた消しゴムの数
| 紙の形 | 1回目 | 2回目 | 3回目 |
|---|---|---|---|
| A:平らな紙 | 1個 | 1個 | 2個 |
| B:じゃばら折りの紙 | 4個 | 5個 | 4個 |
Aは1個、1個、2個、Bは4個、5個、4個を10秒間支えた。3回ともBがAより多く支えた。Bの2回目は消しゴムを置くときに紙が少し横へ動いた。紙が曲がる様子は見たが、曲がり方の大きさは測っていない。
結果では、数値だけでなく、実験中に気付いた出来事も残しています。「横へ動いたから5個になった」とまでは書きません。動いたことは観察した事実ですが、それが数の違いの原因かは確かめていないためです。
考察の記入完成例
今回の実験では、じゃばら折りの紙のほうが、平らな紙より多くの消しゴムを支えた。3回ともBがAより多かったので、今回の紙と橋のかけ方では、紙の形が支えられる数に関係していると考えた。この点では、実験前の予想と同じだった。
折ったことで紙の曲がり方が変わったのではないかと思った。ただし、曲がり方を測っていないので、その仕組みまでは分からない。また、折ると橋の横幅や支えに触れる部分も変わるため、今回の比べ方だけでは、どの違いがどれくらい関係したかは分からない。
同じ形でも、支えられた数には1個の違いがあった。Bの2回目は紙が動いたので、消しゴムを置く位置のずれなどが関係した可能性もある。次は中央に目印を付け、置く位置を決めて、もう一度調べたい。
この考察は、難しい理科用語を使わずに、四つの内容を書いています。
結果から考えたこと
完成例のどこにある?
紙の形が、支えられる数に関係していると考えた。
その根拠
完成例のどこにある?
3回ともBがAより多く支えた。
分からない点・別の可能性
完成例のどこにある?
曲がり方は未測定。横幅や接する部分、置く位置も関係した可能性がある。
次に確かめたいこと
完成例のどこにある?
中央に目印を付け、置く位置を決めて調べる。
「じゃばら折りなら必ず強くなる」「折る回数が多いほどよい」とは書いていません。別の紙や折り方は試しておらず、この記録だけでは判断できないからです。
感想の記入例
同じ紙でも、形を変えると支えられる数に違いが出て驚いた。消しゴムを静かに置くのが難しかった。次に実験するときは、置く場所も先に決めておきたい。
最後の一文は、取り組んだ実感から出てきた次への思いです。感想と考察で少し内容が重なっても構いません。無理に別のことを書くより、それぞれの欄で何を伝えたいかを確認しましょう。
予想外・変化なし・失敗したときは、どう書く?
予想と違ったからといって、考察が書けなくなるわけではありません。予定通りの結果だけを残すと、何が起きたかが伝わらなくなります。
予想と違ったときは、予想を書き換えない
「Aが多いと思っていたが、実際にはBが多かった」と、そのまま書きます。実験後の知識に合わせて、最初の予想を直す必要はありません。
そのうえで、予想したときに何を手がかりにしたかを振り返ります。「手で触ったときの感じで予想したが、実際に数えて比べると違った」など、考えが変わった過程も書けます。
理由が分からなければ、「予想と違った理由は、今回の記録だけでは分からない」として構いません。分からない部分を特定することと、根拠のない理由で埋めることは区別しましょう。
変化がなかったときは、見た範囲を添える
「何も起こらなかった」より、「3日間、毎朝同じ時刻に見たが、葉の枚数は変わらなかった」のほうが、観察した内容が伝わります。
これは書き方の例ですが、ここからすぐに「この植物は成長しない」とは言えません。観察した期間が短かった可能性や、葉の枚数以外の変化を見ていなかった可能性も考えられます。
次の確認も、結果に合わせて選びます。「もっと研究したい」だけで終えず、「観察する日数を延ばしたい」「次は葉の大きさも測りたい」と具体的にしましょう。
うまく比べられなかったときは、理由を分ける
途中で道具が倒れた
記録・考察で書けること
倒れた時点と、測定を続けられなかったことを書く。必要ならその回は比較に使えないと説明する。
避けたい補い方
都合のよい数値に置き換える。
条件をそろえられなかった
記録・考察で書けること
何が違っていたかを書き、原因を一つに決められないと説明する。
避けたい補い方
条件の違いを記録から消す。
写真はあるが数値を測っていない
記録・考察で書けること
写真から確認できる形や様子を記し、測っていないことは区別する。
避けたい補い方
見た目から正確そうな数値を作る。
1回しか試していない
記録・考察で書けること
1回の結果であることを書き、繰り返すと同じになるかは未確認とする。
避けたい補い方
「いつでも」「必ず」と一般化する。
実験をやり直せるなら、条件を整えて追加できます。時間や材料の都合で難しければ、できなかったことと改善案までまとめましょう。実施していない追加実験を、行ったことにして書く必要はありません。
低学年の考察は、話す・描くところから始めよう

低学年では、考えを持っていても、長い文章にすることが負担になる場合があります。最初から完成例と同じ長さを目指さず、本人の言葉を一つ拾いましょう。
写真を指さす、二つの絵を並べる、気付いたところに丸を付ける方法でも始められます。例えば、紙の橋の絵を見ながら「こっちのほうがたくさん載った」と話せたら、次に「何を見て分かった?」と聞いてみます。
子ども「折ったほうが、いっぱい載った」
保護者「どの記録を見ると分かる?」
子ども「こっちは4個で、こっちは1個」
保護者「それを見て、何を思った?」
子ども「折り方で変わるのかもしれない」
ここまで出てきたら、「おったかみは4こ、ひらたいかみは1こささえた。おりかたで、ささえられるかずがかわるのかもしれないとおもった」と短くまとめられます。この例も架空の練習データに基づくものです。
代筆するときは、子どもの考えを足さない
書く負担が大きければ、本人が話した内容を大人がメモする方法もあります。学校で提出方法の決まりがある場合は、代筆や音声記録を使ってよいか確認してください。
メモを読み返して「こういうこと?」と本人に確かめ、違うと言われた部分は直します。大人が知っている科学的な説明を、子どもが考えたこととして付け足さないようにしましょう。
「なぜ?」を重ねるより、記録に戻る質問を
理由を聞かれて黙ってしまうときは、質問を小さくします。「なぜそうなったの?」は難しくても、「昨日の写真と、どこが違う?」なら答えられるかもしれません。
「楽しかった」で止まる
保護者の問いかけ例
「いちばん見せたい写真はどれ? そこで何が起きた?」
「分からない」と言う
保護者の問いかけ例
「分かったところと、まだ分からないところを一つずつ探そうか」
結果を言い切りすぎる
保護者の問いかけ例
「それは何回確かめた? 試していない場合もあるかな?」
うまくいかず落ち込む
保護者の問いかけ例
「予定と違ったのは、どの場面だった? そこも記録に残せるね」
一度にすべて聞く必要はありません。子どもが指さした記録や話した一言を出発点にして、考えを一つ残せれば十分です。
自分の記録で埋める、考察ワークと見直しチェック
次のワークは、文章を長くするための穴埋めではありません。どの記録を根拠に、どこまで言えるかを確かめるために使います。完成した例文を写す前に、自分のメモや写真を横に置いてください。
考察を書く前の記入ワーク
調べたかった問い
自分の研究で記入する欄
[ ]が知りたかった。
根拠にする記録
自分の研究で記入する欄
[日付・条件・回数: ]の記録では、[具体的な数値や様子: ]だった。
比べて気付いたこと
自分の研究で記入する欄
[比べる相手: ]と比べると、[同じ点・違う点: ]があった。
そこから考えたこと
自分の研究で記入する欄
この結果から、[確かめた範囲: ]では、[ ]と考えた。
まだ分からないこと
自分の研究で記入する欄
[測っていないこと・条件の違い: ]があるため、[ ]までは分からない。
次に確かめること
自分の研究で記入する欄
[残った疑問: ]を確かめるため、次は[変える条件・そろえる条件・記録するもの: ]を決めて調べたい。
空欄を全部埋めなくても構いません。低学年なら「この記録を見て、こう考えた」の二つから。高学年や、もう少し詳しく書きたい子は、別の可能性や次の確かめ方を加えてみましょう。
「まだ分からないこと」が出てこなければ、使った材料、場所、回数を振り返ります。別の材料でも同じか、別の日でも同じか。今回試した範囲と、試していない範囲を分けると見つけやすくなります。
読み返すときの五つのチェック
- 事実と考えを分けた? 「見た・測ったこと」と「そうかもしれないと考えたこと」が混ざっていないか。
- 根拠を指させる? 考察の一文に対して、元の数値・写真・メモを示せるか。
- 言い切りすぎていない? 試していない条件まで「必ず同じ」としていないか。
- 予想外の記録を残した? 都合のよい結果だけを選んでいないか。
- 調べた情報を区別した? 本やウェブサイトで知ったことには、資料名やURLを添えたか。
資料を調べるのは、考えを深める助けになります。ただし、本に書いてあった説明を、そのまま「自分の実験で証明できたこと」にしないようにしましょう。「自分の記録ではここまで分かった」「資料にはこう説明されていた」「同じ理由かはまだ確かめていない」と分けて書けます。
自由研究の考察は、立派な答えで埋める欄ではありません。記録に戻り、自分が考えたことを、確かめられた範囲で伝える欄です。まずは一つの結果を選んで、「これを見て、何を考えた?」と親子で話すところから始めてみてください。

