- 編入・転校の2つの方向と、それぞれの壁
- 日本の学校からインターナショナルスクールへ編入するときの条件と流れ
- 学年の始まりのずれと、学年の決まり方
- 編入を受け付けている学校の実例と、かかる費用
- インターナショナルスクールから日本の学校へ戻るときの制度と学習の差
- 転校の前に確認する手続きの順番
- 編入・転校が難しいときの別の方法
結論:編入・転校の2つの方向と、それぞれの壁
| 方向 | 主な壁 | 先に確認する相手 |
|---|---|---|
| 日本の学校 → インター(編入) | 空きがあるか、学年に合った英語力があるか | 編入したい学校 |
| インター → 日本の公立学校(転校) | 学籍と学年の扱い、日本語と教科の学習の差 | 住んでいる市区町村の教育委員会 |
| インター → 日本の私立中学・高校(受験) | 受験資格(小学校・中学校の卒業資格) | 志望校と教育委員会 |
| インター → 別のインター(転校) | カリキュラムの違い、空き | 転校先の学校 |
入るときと戻るときで壁が違う
入るときは学校に、戻るときは教育委員会に、最初に相談します。

日本の学校からインターナショナルスクールへ編入する
編入は「空き」があるかどうかで決まる
インターナショナルスクールの多くは、4月ではなく8月〜9月に学年が始まります。編入の受け付けは、学年に空きがあるときだけです。箕面市の関西学院大阪インターナショナルスクールは年間を通じて入学を受け付けていますが、空席と学年の言語バランスを考慮すると明記しています。
学年が上がるほど英語力が求められる
小学校低学年までは面接で様子を見る学校が多く、学年が上がると学年相当の英語力が条件になります。吹田市のAICJ大阪校は、随時募集の条件を「インターナショナルスクールなどで複数年の英語教育を受けていること」としています。詳しくはインターナショナルスクールの入学条件を見てください。
編入を受け付けている学校の実例
| 学校 | 編入の受け付け(公式の記載) | 地域 |
|---|---|---|
| 関西学院大阪インターナショナルスクール | 年間を通じて受け付け。空席と言語バランスを考慮 | 箕面 |
| AICJ INTERNATIONAL SCHOOL 大阪校 | 随時募集は第1〜第5学年で各若干名。複数年の英語教育歴が条件 | 吹田 |
| 湘南ホクレア学園 | 2〜5年生は各1名、6年生は若干名。英語力は不問 | 藤沢 |
| LCA国際小学校(一条校) | 転入学・編入学の募集を年度ごとに案内 | 相模原 |
| 沖縄アミークスインターナショナル(一条校) | 学年ごとに募集の有無を公表 | 沖縄 |
| 関西学院千里国際(一条校) | 帰国生は7〜10年生で編入の募集あり。高等部は帰国生のみ | 箕面 |
編入の枠は、どの学校も「若干名」「各1名」と小さいのが実情です。希望する学年の募集があるかどうかを、早めに学校へ問い合わせてください。
学年の始まりのずれと、学年の決まり方
編入でまず戸惑うのが、学年の始まりの違いです。日本の学校は4月に始まり、3月に終わります。インターナショナルスクールの多くは8月か9月に始まり、6月ごろに終わります。
学年の始まりは4〜5か月ずれる
色のついた月が、授業のある期間の目安です。
一般的な例です。始まりと終わりの時期、長期休みの長さは学校によって異なります。日本の学校は夏休みの8月を、インターナショナルスクールは夏休みの7月を空けて示しています。
このずれがあるため、日本の学校を3月に終えてからインターナショナルスクールに入ると、入学までに数か月の空白ができます。反対に、インターナショナルスクールを6月に終えて日本の学校に入ると、その学年の途中から加わることになります。
学年の区切りも違います。日本の学校は、4月2日から翌年の4月1日までに生まれた子どもが同じ学年になります。インターナショナルスクールは、学校ごとに区切りの日を決めています。そのため、編入すると学年が1つ上がったり下がったりすることがあります。学校によっては、英語力や学習の状況を見て、1つ下の学年から始めることをすすめる場合もあります。「いま何年生か」ではなく、「その学校では何年生に当たるか」を、最初に確かめてください。
編入の流れと準備
編入の手続きは、新しく入学する場合とほぼ同じです。違うのは、空きがあるかどうかが先に来ることです。
編入までの5ステップ
一般的な流れです。順番や内容は学校によって異なります。
準備でいちばん時間がかかるのは、英語で「学ぶ」力です。日常の会話ができても、英語で算数の文章題を読み、理科の説明を聞き取るのは別の力です。編入を考え始めたら、英語の本を読む、英語で算数や理科の内容に触れるなど、教科の内容を英語で理解する練習を始めてください。
入学後は、英語サポート(EAL・ESL)を受けながら授業に参加することが多くなります。サポートが別料金の学校では、その費用も編入の予算に入れておきます。
途中から入っても入学時の費用はかかる
登録料・入学金・保証金・建物基金などの合計です。編入でも原則として同じようにかかります。
各校の公式サイトの金額を編集部が合計。新入学の場合の金額で、編入のときの扱いは学校に確認してください。
数年だけ通う予定の家庭ほど、入学時の費用の重さが効いてきます。たとえば入学時の費用が125万円の学校に2年だけ通うと、1年あたり約62万円が授業料に上乗せされる計算です。転勤などで通う期間が決まっている場合は、通う年数で割って考えてください。学費の全体像はインターナショナルスクールの学費にまとめています。

編入したあと、最初の1年に起きること
編入が決まったあとのことも、先に知っておくと安心です。途中から入る子どもは、すでにできあがった友だち関係のなかに、言葉の壁を抱えて入っていきます。
編入後に起きやすい3つのこと
01
授業がわからない時期がある
英語で学ぶことに慣れるまで、内容はわかるのに答えられない、という時期があります。英語サポートの先生と担任の連携が支えになります。
02
友だちづくりに時間がかかる
休み時間の会話に入れず、1人で過ごす時期がある子どももいます。同じ言葉を話す友だちがいるかどうかで、慣れる早さが変わります。
03
家で疲れが出る
1日中、慣れない言葉で過ごすのは大きな負担です。家では日本語でゆっくり話を聞き、休む時間を確保します。
様子がおかしいと感じたら、早めに担任へ相談してください。
最初の数か月でうまくいかなくても、それだけで失敗とは言えません。ただ、半年、1年と経っても学校を強く嫌がる場合は、原因を分けて考える必要があります。英語なのか、友だちなのか、通学なのか。原因によっては、学校を変えるより、サポートの受け方を変えるほうが早く解決します。
インターナショナルスクールから日本の学校へ戻る
公立の小中学校へ移る場合
学費や転居などの事情で通えなくなったときは、住んでいる地域の公立学校へ移ることになります。文部科学省は、こうした場合に子どもが未就学にならないよう、市町村の教育委員会に留意を求めています。まず教育委員会に連絡し、学年の扱いと必要な書類を確認します。
小学部・中学部を終えて進学する場合
ここがもっとも注意が必要な点です。文部科学省は、一条校でないインターナショナルスクールの小学部を終えた子どもが、中学校から一条校への入学を希望しても認められないと説明しています。中学部の途中で一条校へ編入を希望する場合も同じです。「区切りのよい時期に戻ればよい」という考え方は、制度上は通りません。実際の扱いは自治体によって違うので、必ず事前に教育委員会へ相談してください。
私立中学・高校を受験する場合
受験資格に「小学校卒業見込み」「中学校卒業見込み」と書かれている学校では、一条校でないインターの在籍者が出願できるかどうかを、志望校に直接確認する必要があります。帰国生入試や国際生入試を設けている学校では、別の区分で出願できることがあります。
学習内容の差
制度のほかに、学習の差もあります。
準備しておきたい3つのこと
転校を決めてからではなく、通っているあいだに準備します。
01
漢字と日本語の読み書き
授業が英語中心だと、学年相応の漢字を書く量が足りなくなります。家庭や塾で、学年の漢字を続けておきます。
02
算数・数学の進み方
単元の順番や用語が日本の教科書と違います。日本語の算数用語に慣れておくと、移ったあとが楽になります。
03
社会・理科の内容
日本の地理・歴史は、インターでは扱わないことが多い分野です。戻る可能性があるなら、早めに補います。
戻る可能性が少しでもあるなら、日本語の学習を止めないことがいちばんの備えです。
戻る時期ごとの注意点
日本の学校へ戻るときの難しさは、子どもの学年によって変わります。時期ごとに整理します。
いつ戻るかで準備が変わる
戻る可能性があるなら、時期を決めて逆算するのがいちばんの備えです。
学年の変わり目に合わせて戻ると、子どもの負担は小さくなります。日本の学校の4月に合わせるなら、インターナショナルスクールの学年の途中(3月)で退学することになります。そのとき、その学期の授業料が返金されるかどうかを、先に確かめておいてください。
学習の差を埋める——教科別の備え
日本の学校へ戻るときの学習の差は、教科によって大きさが違います。通っているあいだに少しずつ備えておくと、戻ったあとの負担が軽くなります。
| 教科 | 差が出やすい点 | 通っているあいだにできること |
|---|---|---|
| 国語 | 学年相応の漢字、説明文や物語文の読み取り、作文 | 毎日の読書。学年の漢字を、少しずつ書いて覚える |
| 算数・数学 | 単元の順番、日本語の用語(分母・約分・比例など)、文章題 | 日本の教科書や問題集を、学年に合わせて解いておく |
| 社会 | 日本の地理、歴史、公民 | 学習まんがや地図帳で、全体の流れに触れておく |
| 理科 | 用語の日本語での言い方 | 英語で学んだ内容を、日本語の用語と結びつける |
| 英語 | 日本の学校の英語は、文法の説明や和訳が中心 | 力は十分でも、文法用語や出題の形式に慣れておく |
日本の小学校では、6年間で1,026字の漢字を学びます。インターナショナルスクールの日本語の授業だけでは、この量に届かないことがあります。戻る時期が決まっているなら、その学年までに習う漢字を目標にして、逆算して進めてください。
意外に見落としやすいのが、英語です。英語で授業を受けてきた子どもは、聞く力・話す力は十分でも、日本の学校のテストで使われる文法用語や、日本語に訳す問題に戸惑うことがあります。得意な教科だからこそ、出題の形式に一度触れておくと安心です。
学習面だけでなく、学校生活の違いにも慣れが必要です。日本の学校には、給食の当番、掃除、朝の会、係の仕事など、インターナショナルスクールにはない習慣があります。戻る前に、どんな1日になるのかを子どもに話しておくと、初日の不安が小さくなります。

3つの想定ケースで考える
状況によって最初の一歩が変わる
01
小3で、公立小からインターへ移りたい
まず希望する学校に、空きと条件を聞きます。英語で学んだ経験がなければ、放課後やオンラインで準備をしてから出願する方法も考えます。
02
小6で、インターから公立中へ進みたい
一条校でない学校からの進学は、制度上の確認が必要です。できるだけ早く、教育委員会に相談します。
03
転勤で、別の地域のインターへ移る
転居先の学校に空きがあるかを先に確かめます。カリキュラムと学年の区切りが同じかどうかも確認します。
編集部が作成した想定例です。
どのケースでも、決める前に「相談する相手」に連絡することが出発点です。
ケースが違っても、順番は同じです。先に相談し、条件を確かめ、書類を用意し、最後に子どもと一緒に準備を進めます。思い立ってすぐ動けるものではないので、半年から1年の余裕を見ておいてください。
インターナショナルスクールから別のインターへ移る
転居などで、別のインターナショナルスクールへ移る場合もあります。このときの壁は、空きとカリキュラムの違いです。
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| カリキュラムは同じか | IB、ケンブリッジ(IGCSE・A-Level)、アメリカ式など、学校によって違います。高校段階では、途中で変えると履修のやり直しが必要になることがあります |
| 学年の区切りは同じか | 区切りの日が違うと、学年が変わることがあります |
| 成績と在籍の証明 | いまの学校に、英語での成績証明と在籍証明を頼みます |
| 入学時の費用 | 転校先でも、登録料や入学金があらためてかかります |
| 認定と資格 | 転校先が、大学入学資格の根拠になる認定を持っているか |
とくに高校段階の転校は注意が必要です。IBのディプロマ・プログラムは、最後の2年間を通して学ぶ課程です。その途中で学校を変えると、選んだ科目が転校先で開かれていないことがあります。高校段階で転居の可能性があるなら、入学の時点で学校に相談しておいてください。カリキュラムの違いはIGCSE・A-Level・IBの違いで解説しています。

転校の前に確認する手続きの順番
| 順番 | すること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 教育委員会に相談する | 学籍・学年の扱いを先に聞く。自治体で対応が違う |
| 2 | 転校先・編入先に空きと条件を確認する | 募集の時期と試験の内容を聞く |
| 3 | いまの学校に在学・成績の証明書を頼む | 発行に時間がかかることがある |
| 4 | 退学の時期と返金の条件を確認する | 学期単位でしか返金されない学校がある |
| 5 | 入学金・登録料の扱いを確認する | 多くは返金されない |
吹田市のように、インターナショナルスクールなどの非1条校の扱いを公式サイトに明記している自治体もあります。義務教育との関係はインターナショナルスクールと義務教育で詳しく解説しています。
動く前に確かめる10のこと
最後の項目を忘れないでください。転校は、子どもにとって友だちとの別れでもあります。
手続きは保護者が進めるものですが、転校するのは子ども本人です。決まってから伝えるのではなく、考えている段階から、年齢に合った言葉で話しておくと、気持ちの準備ができます。転校先の学校を一緒に見に行くことも、不安を小さくする助けになります。
編入・転校が難しいときの別の方法
- 一条校の国際系を選ぶ。日本の小中学校として在籍するので、公立学校や私立学校への転校・進学で学籍の問題が起きません
- 地元の学校に通いながら、放課後に英語を続ける。プリスクールの放課後クラスや英語学童を使います。鎌倉市や市川市には、小学生向けのクラスを持つ園があります
- オンラインのインターナショナルスクールを使う。転居しても続けられます。ただし対面の体験は少なく、卒業資格は出ません
不登校や行き渋りがきっかけで転校を考えている場合は、不登校でもインターナショナルスクールに入れる?も参考になります。
転校しなくても英語を続ける方法
| 一条校の国際系 | 放課後の英語 | オンライン | |
|---|---|---|---|
| 学籍の心配がない | ○ | ○ | ○ |
| 英語で学ぶ時間 | △ | △ | △ |
| 転居しても続けられる | × | × | ○ |
| 対面の体験 | ○ | ○ | × |
一条校の国際系=日本の学校として認可された国際系の学校/放課後の英語=地元の学校に通い、放課後クラスや英語学童を使う形/オンライン=地元の学校に在籍したまま、オンラインのインターナショナルスクールを使う形。○=当てはまる △=学校・コースによる ×=当てはまりにくい。
3つの方法に共通するのは、在籍する学校が一条校なので、学籍の問題が起きないことです。編入の枠が小さく、戻るときに制度の壁がある全日制のインターナショナルスクールに比べて、やり直しがききやすい形と言えます。その代わり、英語で過ごす時間は全日制より短くなります。
学校に行きづらいことがきっかけの場合
いまの学校に行きづらくなり、環境を変えるためにインターナショナルスクールへの編入を考える家庭もあります。少人数で、1人ひとりの違いを前提にした学校の雰囲気が、子どもに合うことはあります。
ただ、編入には英語の壁と、新しい友だち関係をつくる負担があります。学校に行きづらい理由が、集団のなかで過ごす疲れや、朝の通学にある場合は、学校を変えても同じ負担が続くことがあります。まず、何がつらいのかを本人から聞き、原因を分けて考えてください。
いまの学校に籍を置いたまま、別の場所で学ぶ方法もあります。フリースクールや、オンラインで学べる場です。通学の負担がなく、自分のペースで始められます。インターナショナルスクールへの編入だけが、環境を変える方法ではありません。くわしくは不登校でもインターナショナルスクールに入れる?で解説しています。
編入・転校についてのよくある誤解
| よくある誤解 | 実際は |
|---|---|
| 空きがあれば、いつでも入れる | 英語力や学年の言語のバランスも見られます |
| 区切りのよい時期なら、問題なく日本の学校に戻れる | 一条校でない学校からの進学は、制度上の確認が必要です |
| 途中から入れば、入学金はかからない | 編入でも入学時の費用がかかる学校が多くあります |
| 学年は日本の学校と同じになる | 区切りの日が違うため、学年が前後することがあります |
| インターから別のインターへは簡単に移れる | カリキュラムが違うと、とくに高校段階では履修に影響します |
編入も転校も、うまくいくかどうかは、動く前の確認で大きく変わります。入るときは学校に、戻るときは教育委員会に、まず連絡する。この順番さえ守れば、「知らなかった」で困る場面はかなり減らせます。

よくある質問
この記事の内容を確かめるための一次資料
- 文部科学省「就学事務Q&A 11. 学齢児童生徒をいわゆるインターナショナルスクールに通わせた場合の就学義務について」(ページ)
- Osaka International School of Kwansei Gakuin「Admissions」(ページ)
- AICJ INTERNATIONAL SCHOOL「大阪校 入学のご案内」(ページ)
- 湘南ホクレア学園「新入生募集要項」(ページ)
- LCA国際小学校「転・編入学」(ページ)
- 関西学院千里国際中等部・高等部「入試情報」(ページ)
- 吹田市「国立・私立小中学校等へ入学する場合の手続き」(ページ)
- NIJIN GLOBAL ACADEMY 公式サイト(ページ)


