- インターナショナルスクールの種類ごとに、国語・日本語の授業があるかどうか
- 小学校の国語の標準授業時数(学年別)と、インターで不足しやすい量
- 幼児・小学校低学年・中高学年・中学以降で、日本語に何が起きやすいか
- 「話せなくなる」ことと「読み書きが遅れる」ことの違い
- 家庭で日本語を保つ方法と、1週間に確保できる時間の試算
- 日本の学校へ戻るとき・受験のときの影響と、確認すべきこと
- 「日本人の日本語力は低下している」という話の事実確認(PISA調査)
- 見学・体験で学校に聞く10のこと、オンラインという選択肢
結論:インターナショナルスクールで日本語はどうなるのか
まず、早見表で全体像をつかんでください。同じ「インターナショナルスクール」でも、法律上の位置づけが違うと、国語の扱いが変わります。
| 学校の種類 | 国語・日本語の授業 | 日本語で起きやすいこと |
|---|---|---|
| 一条校の国際系(学校教育法第1条の学校) | 学習指導要領にそった国語がある(教育課程の基準)。特例が認められる場合があるため、学校ごとに確認 | 英語の時間が長くなる分、学年が上がると漢字の定着に差が出ることがある |
| 各種学校・無認可の全日制インター | 学校による。国語がない学校も、日本語を外国語の一科目にする学校もある | 授業での日本語がほぼ無いと、読み書きが止まりやすい |
| 英語プリスクール(幼児) | 日本語での教科の授業は基本的にない(園による) | 家庭の言語環境の影響が大きい。小学校入学時に読み書きの準備が必要 |
| 地元の学校+放課後や週末の英語 | 国語は学校でふつうに受ける | 日本語の読み書きは保ちやすい。英語の量は少なめ |
この表は、制度の違いにもとづく編集部の整理です。「学校による」と書いた部分は、全国の傾向を示す公的なデータを確認できませんでした。
日本語が保たれるかは、この3つで決まります
学校名だけで判断せず、次の3つを順に確かめると、見通しが立ちます。
01
学校の種類
一条校か、各種学校・無認可か。国語が教育課程に入っているかどうかが最初の分かれ目です。
02
学校での時間
国語・日本語の授業が週に何コマあるか。読み書きの指導がどこまで含まれるかを聞きます。
03
家庭の時間
学校で足りない分を、家庭や外部の学びでどれだけ補えるか。戻る予定の有無も影響します。
三つの軸はにじいろ編集部の整理です。数値の基準ではありません。
インターナショナルスクールという言葉には、法律上の定義がありません。文部科学省の統計や制度の説明でも、学校の位置づけは「一条校」「各種学校」「無認可」といった区分で語られます。国語の扱いを知りたいときは、学校名の印象よりも、まずこの区分を確かめるのが近道です。学費や義務教育との関係は、学費の記事と義務教育の記事でくわしく整理しています。
日本語が保たれるかを決める、4つの比べる軸
「日本語を忘れる」という言葉は、実は4つの別々の力を一緒に指しています。話す・聞く力、読む力、書く力(漢字)、そして学習に使う言葉の力です。学校や家庭で足すべきものが変わるので、先に分けて考えます。
日本語の力を4つに分けて考える
どの力が落ちやすいかは、子どもの年齢と環境で違います。
4分類はにじいろ編集部の整理です。言語教育で日常会話と学習言語を分けて考えることがありますが、本記事では特定の研究の数値は引いていません。
学校を選ぶときは、次の表で「どの軸を学校に任せ、どの軸を家庭で補うか」を決めておくと、後の判断が楽になります。
学校のタイプ別に、日本語の4つの力はどう守られるか
| 全日制インター | 一条校の国際系 | 地元校+英語 | |
|---|---|---|---|
| 話す・聞く | △ | ○ | ○ |
| 読む | × | ○ | ○ |
| 書く(漢字) | × | ○ | ○ |
| 学習の言葉 | × | ○ | ○ |
| 英語に触れる量 | ○ | △ | △ |
○=学校だけで保ちやすい △=学校・家庭による ×=家庭や外部で補う前提。にじいろ編集部の整理で、個々の学校には当てはまらない場合があります。
全日制インターでは、日本語の4つの力のうち、家庭の外で保てるものが少なくなります。ただし、国語の授業を設けている学校もあります。表は「国語が教育課程にない前提」の整理で、個々の学校の実態は、見学のときに確かめてください。

学校の種類で「国語」の扱いはこう違う
国語の扱いを分ける最大の軸は、学校が学校教育法第1条に定める「一条校」かどうかです。一条校は、日本の小学校・中学校・高校と同じ制度の学校で、教育課程の基準として学習指導要領が適用されます。一方、各種学校(学校教育法第134条)や、どちらにも当たらない無認可の学校には、国語を必ず置く法律上の決まりはありません。条文の逐語確認は今回していません。くわしくは文部科学省と各自治体の案内で確かめてください。
ここで大切なのは、「国語がない学校=悪い学校」ではないことです。海外の教育課程にそって、英語を中心に学ぶ学校では、日本語を別の科目として置く設計もあります。問題は、入学前にこの設計を知らないまま選び、小学校の高学年や中学で日本の学校へ戻るときに、読み書きの差に気づくことです。
国語の扱いは、3つの型に分かれます
学校の種類ごとに、国語・日本語の位置づけを並べました。
三つの型は、にじいろ編集部が制度から整理したものです。個々の学校の実態を示すものではありません。
義務教育との関係は、別の記事で整理しています。インターナショナルスクールは義務教育になる?では、就学義務を果たしたことになるかどうかと、住んでいる地域の教育委員会への相談の流れをまとめています。国語の扱いと合わせて読むと、「日本の学校へ戻れる道」が見えやすくなります。
一条校のインターでは、国語はどう教えられるのか
一条校の小学校には、教育課程の基準として学習指導要領が適用されます。学校教育法施行規則第52条にも、小学校の教育課程は文部科学大臣が公示する学習指導要領によると書かれています。学習指導要領の国語は、小学校では令和2年度(2020年度)、中学校では令和3年度(2021年度)から全面実施されました(文部科学省の学習指導要領のページより)。
小学校の国語は、時間数も多い教科です。文部科学省の資料に載っている現行基準では、小学校1年生の国語は年間306時間、2年生は315時間です。1年生の年間授業時数の中で、国語の比重が大きいことがわかります。
小学校の国語は、年間標準授業時数で見るとこう変わる
低学年ほど、国語に使う時間が長く設定されています。
出典:文部科学省の資料(学校教育法施行規則の別表第1にもとづく国語の年間標準授業時数、平成29年改訂)。単位時間は1コマ45分が基準。
これを1週間に直すと、おおむね小学1・2年で週9コマ、3・4年で週7コマ、5・6年で週5コマです。標準授業時数は年間35週(小学1年は34週)を基準にした計算で、編集部が割り算した目安です。
国語は、週5〜9コマある教科です
地元の小学校に通うと自然に入ってくる量を、1週間の時間割で見てみましょう。
1コマ45分。年間標準授業時数を35週(小1は34週)で割った編集部の概算で、実際の時間割は学校によって異なります。
インターナショナルスクールで国語の授業が週1〜2コマしかない、あるいはまったくない場合、この差が毎週積み重なります。たとえば小学2年生で週9コマの国語が、週1コマに減れば、年間では約280コマの差になります(315時間÷35週=週9コマとして、週1コマとの差を8コマ×35週で計算)。この計算は、あくまで制度上の標準と比べた目安です。
一条校の国際系では、授業の多くを英語で行う学校もあります。教育課程の特例(構造改革特区や、教育課程特例校の制度)を使い、国語や社会などの扱いを調整している場合があります。ただし、特例の内容は学校ごとに違い、今回、全国の一覧を公式に確認することはできませんでした。具体的な学校を検討するときは、募集要項と教育課程表で、「国語は週何コマか」「社会はどの言語で教えるか」を必ず聞いてください。
各種学校・無認可のインターには、日本語の授業があるのか
各種学校や無認可のインターでは、日本語の授業は学校ごとの設計です。確認できる範囲では、次の3つの型が考えられます。
日本語の授業は、3つの型で設計されます
どの型かを知るだけで、家庭で足す量の見当がつきます。
三つの型は編集部の整理です。学校ごとの実際の運用は、各校の公式サイトと見学で確認してください。
日本語の授業があっても、その中身は「日本人の子ども向けの国語」とは限りません。外国語としての日本語(日本語を母語としない子ども向け)を想定した授業だと、漢字の配当や読解の量が、地元の小学校の国語より少なくなる場合があります。逆に、国語の授業を日本の教科書で行う学校もあります。授業名だけで判断せず、使う教科書と1コマの内容を聞くのが確実です。
日本語の授業の有無について、にじいろでは、地域別の記事を作るときに公式サイトを調べてきました。ただ、授業時数や教科書まで公開している学校は多くなく、公式ページから確認できない学校がほとんどでした。インターナショナルスクールの選び方でも、見学での質問を整理しています。

学年別の目安:いつ、日本語に何が起きやすいか
日本語の力が保たれるかどうかは、年齢によって「起きやすいこと」が変わります。以下は、編集部が整理した一般的な目安で、個人差が大きいものです。特定の調査結果にもとづく数字ではありません。
年齢によって、起きやすいことが変わります
「いつまでに何をするか」を考えるときの、整理の枠組みです。
年齢ごとの区分は、にじいろ編集部の整理です。発達や言語習得には個人差があり、この表の年齢で一律に判断できるものではありません。
どの学年でも共通するのは、「会話ができること」と「教科書が読めること」は別だという点です。家庭では日本語で会話していても、学校の教科書の言葉は別の言葉に感じる子もいます。会話に困らないからといって、読み書きが保たれているとは限りません。
漢字・読み書きが、いちばん先に止まりやすい理由
インターナショナルスクールに通う子どもの日本語で、最初に差が出やすいのは、話す力ではなく、書く力、特に漢字です。理由は単純で、漢字は「毎日使わないと忘れる」うえに、授業で教わらない限り、自然には増えないからです。
小学校では、学習指導要領の学年別漢字配当表にそって、学年ごとに習う漢字が決まっています。一般に、小学校6年間で学ぶ漢字は1,026字とされています(公式ページで字数そのものは今回確認できませんでした)。学習指導要領は、令和2年度から小学校で全面実施され、音訓の配当も見直されています(文部科学省の学習指導要領のページより)。さらに、日常の文章で使う目安として、文化庁の常用漢字表があります。2010年の改定で196字が加わりました(文化庁のページより)。
つまり、地元の小学校に通う子は、毎週の国語の授業と宿題、漢字ドリル、日記、連絡帳などで、漢字に触れる機会が自然に何度も来ます。インターナショナルスクールでは、この「何度も来る機会」が学校の中にないことが多く、家庭が意識して作る必要があります。
漢字が止まるまでのよくある流れ
国語の授業がないとき、起きやすい順番を整理しました。
編集部の整理で、全員に当てはまる流れではありません。
逆に言えば、止まりやすい場所がわかれば、対策も絞れます。毎日5〜10分でも「日本語で書く」「日本語を声に出して読む」時間を確保し、学年相当の漢字を少しずつ習うだけで、止まるのを防げる場合があります。具体的な方法は、後の章でまとめます。
もう1つ、見落としやすいのが「ひらがな・カタカナ」です。小学校入学前後にひらがなの読み書きを済ませておくと、その後の学習が楽になります。プリスクール(英語の幼児教室)に通っている幼児は、年長の時点で、日本語のひらがなを読めない場合もあります。プリスクールとインターナショナルスクールの違いも合わせてご覧ください。
「日本語を話せなくなる」のはなぜ起きるのか
「うちの子は、日本語を話さなくなった」という悩みは、よく聞かれます。ここでは、体験談ではなく、考えられる要因を整理します(特定の研究結果を引用するものではなく、編集部の整理です)。
話す力が落ちる3つのきっかけ
どれも、子どもの意思ではなく、環境の変化で起きます。
三つのきっかけは編集部の整理です。
「話せなくなった」と感じたときは、責めずに、理由を探ります。聞き取りはできても、話すのが億劫になっている子もいます。話そうとして語彙が足りず、英語に切り替えている場合もあります。叱ったり、「日本語で言いなさい」と繰り返したりすると、話すこと自体を避けるようになることがあります。
まず大人が、日本語で話しかける機会を増やします。「今日は何をしたの」と聞くよりも、「今日の給食は何だった」のように、答えやすい問いから始めます。返事が英語でも、日本語で言い直して返せば、子どもは自然に日本語に触れ続けられます。
また、話す力と読み書きの力は別に育つものです。日本語で会話ができていても、読み書きは別に支える必要があります。逆に、話すのは苦手でも、読み書きは保たれている子もいます。どちらが落ちているのかを分けて見ると、必要な対策がわかります。

家庭で日本語を保つ方法:1日15分から始める
学校で国語の時間が足りないとき、頼れるのは家庭です。ただし、毎日長い時間をとる必要はありません。続けられる小さな量を決めて、毎日続けるほうが、力が保たれます。以下は、編集部が整理した方法で、効果を保証するものではありません。
家庭で足せる日本語の時間を、足し算で見る
次の時間は、編集部が置いた仮定による試算です。実測値ではありません。
仮定はAが30分×7日、Bが15分×7日、Cが15分×3回、Dが120分。参考の国語は標準授業時数から編集部が換算。
試算から見えるのは、会話だけ(A)では、小学5・6年の国語の授業時間とほぼ同じで、読み書きの時間は含まれないということです。音読や読み聞かせを足すと(B)、読む量が増えます。漢字や日本語のドリル(C)まで加えると、書く練習の時間が入ります。D以降は、外部の力を借りる段階です。
日本語を保つ、5つのステップ
完璧を目指さず、順番に足していきます。
ステップはにじいろ編集部の整理です。
年齢別に見ると、足す内容は少しずつ変わります。
年齢別の、家庭の足し方
区分は編集部の整理です。
親の側の工夫として、よくあるのは次の3つです。1つ目は、「日本語の時間」を決めること。たとえば夕食の間は日本語で話す、という家庭のルールです。2つ目は、子どもの返事が英語でも、日本語で返して続けること。3つ目は、好きなことを日本語で触れさせること。動画、ゲーム、本、料理など、興味のあるものを日本語で体験すると、続きやすくなります。
逆に、避けたいのは、日本語の学習を「罰」や「宿題」にしてしまうことです。英語で一日がんばった後の15分は、子どもにとってとても重い時間です。楽しい、あるいは短い、という工夫が続けるコツです。
補習校・通信教材・オンライン指導:外部の力の使い方
家庭だけで足りないときは、外部の学びを組み合わせます。ここでは、海外の補習授業校の例と、国内で使える手段を整理します。
文部科学省の資料によると、海外には、土曜日や放課後などに日本の教科書を使って国語や算数・数学などを教える「補習授業校」があります。同じ資料では、補習授業校に通う子の多くが、現地校やインターナショナルスクールに通う日本人の子どもとされています。日本国内でも、同じ発想で外部の学びを足すことができます。
文部科学省の資料で見る、補習授業校
海外で、現地校やインターに通う子どもが日本語を学ぶための仕組みです。
01
229校
補習授業校の学校数(文部科学省の資料に記載された数)。
02
21,617人
在籍する児童生徒の数(同資料)。
03
国語・算数中心
土曜日や放課後などに、一部の教科(国語、算数・数学が中心)を日本の教科書で教える施設です。
出典:文部科学省の資料(令和3年6月)。数字は資料の記載時点のもので、最新の値は確認できませんでした。
国内で使える手段には、主に4つあります。それぞれに向き不向きがあります。
日本語を足す手段を、4つの視点で比べる
| 家庭学習 | 通信教材 | 国語の個別指導 | オンライン授業 | |
|---|---|---|---|---|
| 費用が軽い | ○ | ○ | △ | △ |
| 毎日のペースを作りやすい | △ | ○ | △ | ○ |
| 声かけ・添削がある | × | △ | ○ | ○ |
| 親の手間が少ない | × | △ | ○ | ○ |
○=向いている △=内容による ×=向いていない。にじいろ編集部の一般的な整理で、個々のサービスの評価ではありません。特定のサービス名は挙げていません。
どれを選ぶかは、子どもの年齢と家庭の状況によります。小学校低学年は、毎日の短い習慣を作りやすい通信教材や家庭学習が中心になります。高学年や中学以降は、添削や質問に答えてくれる人がいる個別指導が合うこともあります。いずれも、体験や資料請求で、内容と相性を確かめてください。
国語の力は、国語の勉強だけでなく、読書量や会話の質にも左右されます。外部の教室に通わせる前に、図書館で日本語の本を借りる、家族で日本語の番組を観るといった、お金のかからない方法から試すのも現実的です。
日本の学校へ戻るとき・受験のときに、日本語はどう影響するか
インターナショナルスクールから日本の学校へ移るとき、いちばん影響が出やすいのは国語です。他の教科は、日本語での説明や問題文が読めないと、国語以外でも点が取りにくくなります。そのため、戻る可能性が少しでもあるなら、早めに準備を始めるのが現実的です。
編入の手続きや学年の合わせ方は、インターナショナルスクールから日本の学校へ編入・転校できる?で整理しています。日本の学校の授業についていけるか不安なときは、帰国した子が日本の学校で困るときも参考になります。
戻る・受けるときに、国語が問われる場面
どの場面で国語が必要になるかを、整理しました。
場面ごとの整理は編集部によるものです。出願条件・試験科目は年度と学校ごとに変わるため、必ず最新の募集要項で確認してください。
卒業後の進路は、インターナショナルスクール卒業後の進路でくわしく書いています。そこで見えてくるのは、海外の大学へ進む道、日本の大学へ進む道、それぞれで日本語の必要度が違うということです。
戻る可能性があるなら、いつ何をするか
「戻るかもしれない」と思った時点で、段階を踏んで準備します。
流れは編集部の整理です。日本語指導の有無は自治体と学校によります。
教育委員会に相談するとき、「インターナショナルスクールに通っていた」「日本語はこのくらい」と、できるだけ具体的に伝えると、学年の決め方や支援の話がしやすくなります。学校によっては、日本語指導の担当者がつく場合もあります。ただし、支援の有無と内容は、自治体と学校によって違います。今回、全国の状況を公式に確認することはできませんでした。

「日本人の日本語力は低下している?」と、よくある誤解
「日本人の日本語力が落ちている」という話を耳にして、不安になる方もいます。ここでは、公的な調査で確かめられる範囲を整理します。
国際的な学力調査(OECDのPISA調査)の2022年の結果では、日本の15歳の読解力の平均得点は516点で、OECD平均の476点を上回りました。OECD加盟国中2位です。2018年調査の504点から、有意に上昇したと報告されています(文部科学省の資料より)。
PISA2022の読解力(平均得点)
日本の15歳は、OECD平均を上回りました。
出典:文部科学省の資料(PISA2022の結果)。グラフの棒は600点を満点とした相対的な長さで、順位はOECD加盟国中の値です。
もちろん、PISAの読解力は、日本語力のすべてを測るものではありません。語彙、漢字、作文、話す力など、日本語力にはさまざまな側面があります。ただ、「日本人全体の日本語力が下がっている」という一般論は、少なくともこの調査からは確かめられません。文化庁の「国語に関する世論調査」など、別の調査もありますが、今回、内容を確認することができませんでした。
大切なのは、社会全体の話ではなく、目の前の子どもの話です。「全体の平均」と、「うちの子の日本語」は別のものとして考えます。そのうえで、よくある誤解を整理しておきます。
よくある4つの誤解
誤解と実際は、にじいろ編集部の整理です。個人差があります。
一方で、「日本語を保つために、英語を犠牲にする」必要もありません。2つの言語を伸ばす家庭は多く、時間の使い方を工夫することで両立を目指せます。大切なのは、どちらか一方に偏らないように、定期的に確認することです。
見学・体験で学校に聞く、日本語についての10のこと
国語や日本語の扱いは、パンフレットに詳しく書かれていないことが多い項目です。見学や体験のときに、次の10項目を聞いておくと、入学後のギャップを減らせます。
見学で聞く、日本語の10の質問
メモして持っていくと便利です。
質問の内容は、にじいろ編集部の整理です。
回答があいまいなときは、「資料で見せてもらえますか」と頼みます。教育課程表や時間割を見せてもらえる学校は、設計が明確なことが多いです。逆に、「日本語は家庭でやってください」とだけ言われる場合は、その前提で家庭の計画を立てる必要があります。
見学での質問のしかた全般は、インターナショナルスクールの選び方にまとめています。メリットとデメリットを整理したインターナショナルスクールのメリット・デメリットも、あわせてご覧ください。
NIJIN GLOBAL ACADEMYという選択肢:オンラインで学ぶインター
日本語を保ちたい、でも英語の環境も欲しい。そう考えたときの選択肢の1つに、オンラインのインターナショナルスクールがあります。にじいろを編集している株式会社NIJINが運営する「NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)」は、その1つです。ここでは、公式サイトに書かれていることだけを整理し、確認できなかった点と弱点も正直にお伝えします。
NGAの基本情報(公式サイトより)
2026年10月7日時点で、公式サイトで確認できた内容です。
01
6〜18歳
対象年齢。授業は英語および日本語で行うと記載されています。
02
1クラス8名
少人数制。毎日のライブ対話型授業が中心で、週2回の社会共創プロジェクトがあります。
03
2027年9月開校予定
完全オンラインで、校舎はありません。無料体験クラスは毎月開催予定と記載されています。
出典:NIJIN GLOBAL ACADEMY公式サイト。開校時期や内容は変更される場合があります。
公式サイトによると、授業は英語と日本語のバイリンガル対応で、CEFRのレベル別の選択式授業があります。Cambridge IGCSEやA-Levelにも任意で対応します。入学試験や選抜はなく、平日毎日の対話が入学のプロセスとされています。フルスクール型と、放課後と土曜に学ぶダブルスクール型を選べると記載されています。
NGAを、日本語の視点で見ると
内容は公式サイトの記載にもとづきます。記載のない点は推測せず、体験クラスなどで直接確認してください。
とくに大切なのは、国語の扱いです。NGAは日本の学習指導要領にそった学校ではなく(日本の高卒資格は発行されません)、国語を日本の学校と同じ量で教える学校だとは、公式サイトからは読み取れません。日本の学校へ戻る可能性が高い、あるいは国語を日本の学校の水準で保ちたい場合は、地元の学校の国語や家庭学習、外部の指導と組み合わせる前提で考えるのが安全です。
逆に、日本の学校に通いづらい、あるいは通える範囲にインターがないという家庭にとっては、自宅から参加できることが利点になります。日本語を保つ工夫を家庭で続けながら、英語での授業を受ける、という設計も考えられます。体験クラスでは、日本語での説明の範囲や、ご家庭の日本語の状況に合わせた参加のしかたを、遠慮なく聞いてみてください。
よくある質問
この記事の内容を確かめるための一次資料
事実として書いた内容の出典です。学習指導要領や法令の全文は公式サイトで確認してください。法令の条文(学校教育法第1条・第134条、学校教育法施行規則第52条)は、本記事では条文そのものを開いて確認できていません。
この記事で確認できなかったこと:各インターナショナルスクールの国語・日本語の授業時数、教育課程の特例を使っている一条校の一覧、小学校の漢字の総字数の公式表記、中学校の国語の標準授業時数、補習授業校の最新の数、文化庁「国語に関する世論調査」の内容、NGAの日本語・国語の授業の扱いと学費、各自治体の日本語指導の実施状況です。


