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不登校の学びに個別の教育課程を検討 文科省の審議まとめ、対象や支援の考え方を提示

2026 10/24
教育ニュース
2026年10月24日
AI生成イメージ。明るい学習支援室で教員と生徒が学習計画を話し合う場面に「不登校の学び 個別の教育課程を検討」の文字を重ねた教育ニュースのサムネイル。実在の人物・学校ではありません。

目次

  1. 今回公表されたのは制度案を含む審議まとめ
  2. 不登校の子ども向けに何を検討しているのか
  3. 対象は一律ではなく、個別の状態を踏まえる案
  4. 学び方と授業時数を柔軟にする考え方
  5. 「評価」より学びの過程を支える計画
  6. 家庭と学校にとっての意味
  7. すぐに使える制度と混同しないために
  8. これから確認したい論点
  9. まとめ
  10. 公式資料

発表日:2026年10月5日(審議まとめ)。発表主体:中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会。文部科学省は次期学習指導要領に向けた審議まとめを公表し、不登校の児童生徒に対し、校内外の教育支援センター等で個別の教育課程を編成・実施する仕組みを設ける方向を示しました。10月23日には関連する第22回会合の開催案内も公表され、10月30日に関係団体からのヒアリングが予定されています。現時点では審議段階の提案で、制度がすでに始まったわけではありません。

目次

今回公表されたのは制度案を含む審議まとめ

文部科学省は2026年10月5日、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会が取りまとめた「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」を公表しました。資料は、次の学習指導要領を検討するにあたっての基本的な方向性や各教科等の改善案を整理したものです。その中には、義務教育段階の不登校児童生徒を想定した「特別の教育課程」の創設案が含まれています。

10月23日には、文部科学省が教育課程企画特別部会の第22回会合の開催案内を公表しました。会議は10月30日に開かれる予定で、議題は「次期学習指導要領等に向けた関係団体からのヒアリング(4)」などです。この開催案内は、審議が続いていることを示す資料であり、個別の制度を決定した告示や法令改正ではありません。発表の順番を正確に見ると、10月5日の審議まとめで方向性が示され、10月30日の会合を含む今後の検討に進む段階です。

審議まとめには、学びの内容や授業時数を柔軟にする案、本人が学習計画づくりに関わること、教師が伴走して学びを振り返ること、学習の取り組みを本人の実情に沿って評価することなどが記されています。校内外の教育支援センターなどで行われている活動の実態を踏まえ、通常の教育課程だけでは対応が難しい場合の選択肢を考える内容です。

ここで最も重要な注意点は、審議まとめの文言を「全国で制度が始まった」「不登校の子どもは誰でも個別の教育課程を受けられる」と読み替えないことです。資料は中央教育審議会の検討結果をまとめた政策提案であり、対象範囲、実施主体、評価や運用の詳細、開始時期などは、今後の制度設計・改訂を通じて決まる可能性があります。現時点で個別の子どもが制度を使えるかを、この資料だけで判断することはできません。

次期学習指導要領に関する検討は、授業時間の柔軟化や高校の単位制、特別支援教育、特定分野に特異な才能のある児童生徒など、広いテーマを含んでいます。本記事では、その中でも不登校児童生徒への教育課程案に焦点を絞り、何が提案されているのか、どこまで決まっているのか、家庭や学校が今できることを整理します。

不登校の子ども向けに何を検討しているのか

審議まとめが課題として挙げるのは、校内教育支援センターや校外教育支援センターなどで学習活動が行われている一方、組織的・計画的な指導を続けるための仕組みや、取り組んだ学習を本人の努力として受け止める評価に課題があるという点です。たとえば、在籍学年より下の内容を学び直しても、通常の教育課程に沿った評価の枠では本人の学習状況を十分表しにくい、といった指摘が資料に整理されています。

この提案の目的は、学校に来ることを一律に求めることではありません。学校の外や校内の別の場所で行われている学習を、単なる在室や居場所の利用と区別しつつ、子どもの状態に合わせて教育活動として組み立て、本人の学びや成長を支える仕組みを検討することです。資料は、学びに向かいたい気持ちや、少しずつ続けている努力を受け止め、社会的自立を後押しする考え方を示しています。

制度案では、学習活動を大きく二つに整理しています。一つは、教科等の目標・内容に沿いながら柔軟に行う活動です。下学年の内容の学び直し、オンライン配信による在籍学級の授業への参加、本人の興味・関心を踏まえた学習などが例示されています。もう一つは、教科の枠組みだけでは扱いにくい、不登校児童生徒の実態に応じた教育活動です。個々の関心に基づく探究や体験、他者との関わりを育む活動、コミュニケーションや対人関係づくりを支える活動などが例として挙げられています。

こうした整理は、学びを教科の問題集だけに限らず、本人の状態や目的に応じて組み立てようとする方向を示しています。ただし、どの活動がどのように教育課程に位置付けられ、評価や記録にどう反映されるのかは、運用の手引きや制度の詳細が整わなければ確定しません。今後の資料で、学習目標、支援体制、教員の責任、活動場所の条件などを確認する必要があります。

また、審議まとめは、いわゆる「居場所としての機能」を活用した活動は、教育課程外の取り組みとして引き続き柔軟に実施する考え方にも触れています。すべての活動を授業や評価に置き換えるということではありません。安心して過ごすことや、休息をとることが必要な時期もあります。子どもの状態によっては、学習目標を設定したり、取り組みを評価したりすること自体が負担になる場合もあるため、活動の目的を分けて考える視点が重要です。

資料の前提にあるのは、在籍校とのつながりを切り離さずに支援を構成することです。特別の教育課程は、通常の教育課程と分断された別制度ではなく、学校での日常的な児童生徒理解や指導上の工夫と相互に関連するものとして検討されています。本人の状態や希望を踏まえ、必要に応じて校内外の複数の場を活用する考え方が示されていますが、実際の連携方法や情報共有のルールは今後の具体化が必要です。

対象は一律ではなく、個別の状態を踏まえる案

制度案は、校内外教育支援センターを利用するすべての児童生徒が自動的に対象になるとはしていません。審議まとめは、教育委員会や学校が、本人の状態や学びへの意欲、希望する支援などを踏まえて総合的に検討し、特別の教育課程を編成することが適切か判断する方向を示しています。すべての支援センターが必ず制度を実施するわけではなく、教育委員会が拠点となる学校を決める運用も考えられると記載されています。

対象となる学校段階については、現状の校内外教育支援センターの多くが小・中学生を対象としていることから、義務教育段階を想定する考えが記されています。高校段階には、学校設定科目、遠隔授業、通信教育による単位修得など、現行制度の中でも個別の学習支援に活用できる仕組みがあることを踏まえ、既存の教育課程を活用した対応を検討する内容です。ここも、提案資料の段階であり、高校生が支援を受けられないという意味でも、新たな制度の対象になるという決定でもありません。

審議まとめは、本人の欠席日数だけで対象を機械的に決めるのではなく、不登校に至った背景、生活や発達の状況、他者との関係、学習への興味・関心、本人が求める支援などを総合的に把握する必要性を示しています。休み始めの時期や回復期にある児童生徒を含め、状態に応じた伴走支援があれば学びに向かえる場合などを想定しています。一方で、休養を優先する時期には、学びよりも心身の回復を優先する必要があるとも読み取れる内容です。

この考え方は、「不登校なら個別教育課程が必要」「学習を続ける意思がないなら対象外」といった単純な二分法を避けようとしています。子どもの状態は変わり得るため、ある時点での出席状況だけから、適切な学び方を固定することは難しいという前提があります。本人にとって負担の少ない話し合い方を選び、保護者、学校、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど関係者の情報を必要に応じて用いながら、学習計画を検討する案が示されています。

ただし、何をもって「特別の教育課程が適切」とするかの詳細は、今後の手引きなどで整理される見込みです。資料には、本人や保護者との面談、支援スタッフとの連携、ケース会議などを含む柔軟な把握の仕方が示されていますが、全国一律の認定基準や申請書式、決定までの期間が完成しているわけではありません。現行の学校相談で、「この審議まとめの案があるから、うちの子も対象になる」と確約を求めることはできず、制度の運用が始まった後も、個別の状況に基づいた判断になると考えられます。

本人の意見を聞くことも大切な要素です。本人が計画づくりに関わる方法は、文章を自分で書くことだけではありません。口頭で話す、選択肢を見て選ぶ、保護者や支援者を通じて希望を伝える、本人が安心できるタイミングまで待つなど、状況に応じた方法があり得ます。意見表明を求めること自体が負担にならないよう、学校側が対話の方法を工夫する必要があります。

学び方と授業時数を柔軟にする考え方

審議まとめは、不登校児童生徒の学びに一律の授業時数をあてはめず、本人の状態や学習状況に応じて計画する方向を示しています。通常の標準授業時数を下回る時間を設定する可能性にも触れ、本人の様子や学びへの意欲、希望する支援、保護者の意向などを踏まえ、個別の指導計画を作成する段階で検討する案です。状態や取り組める時間が変化したときに、学習内容や時数を見直せる柔軟さも必要としています。

この案の意義は、一定の登校時間や授業数を達成できるかどうかだけで、学習の価値を評価しない方向にあります。短い時間に集中して学べる子ども、週に数回から活動を始める子ども、自宅でオンライン教材に取り組む子どもなど、学び方は異なり得ます。支援の計画を本人の状態と切り離して固定化するのではなく、できることや本人の負担を見ながら小さな段階を設計することが検討されています。

ただし、時数を少なく設定する案は、教科の学びを軽視してよいという意味ではありません。審議資料は、学習指導要領との整合性を保ち、可能な範囲で幅広い教科内容を取り扱うことや、本人の学びを学校教育として保障することにも触れています。何を学ぶか、どんな目標を持つか、どの方法で学ぶか、取り組みをどう振り返るかを計画に記し、必要に応じて見直すことが前提です。

学びの場所も一つに限定される想定ではありません。静かな空間で個別に学習・指導を行う方法と、他の不登校児童生徒や在籍学級の児童生徒と協働して学ぶ方法の双方があり得るとされています。オンライン配信で原籍級の授業に参加する、支援センターで教科の学び直しをする、興味に基づく体験的な活動を行うなど、本人の状況に合わせた組み合わせが例示されています。本人がどの環境なら安心して学びやすいかを聞き、活動の意味を理解できるようにすることが必要です。

一方、時間や場所の柔軟性を確保するには、学校側の体制が欠かせません。担任だけに計画づくりや連絡、評価の全てが集中すると、継続的な運用が難しくなる可能性があります。審議まとめは、教育委員会による体制整備、拠点校の設定、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の派遣支援、教職員や指導員への研修、実施事例をまとめる手引きの作成などを検討事項として挙げています。制度をつくるだけでなく、現場の実施負担を抑え、支援の質を保つ仕組みが重要です。

学校が柔軟な教育課程を組む場合には、本人がどのような支援を受けられるのか、利用の頻度や相談方法、保護者との情報共有、学習記録の扱いなども明確にする必要があります。本人の体調によって予定どおり学べない日がある場合に、どう計画を調整するか、評価や記録の説明をどう行うかなど、運用上の細部が安心感に影響します。具体的な運用基準は今後の制度設計を待つ必要がありますが、家庭が現在の学校と話し合うときにも、こうした点は整理しておく価値があります。

「評価」より学びの過程を支える計画

審議まとめで特徴的なのは、個別の指導計画を、教師が作成して管理する書類だけでなく、本人が自分の学びを見通し、振り返るために共有する道具として位置付けていることです。計画には、授業時数や教育内容、目標、指導方法などの基本要素に加えて、「学びにおいて意識したい視点」、学習の振り返り、教師や指導員からのフィードバックなどを記載する考えが示されています。

たとえば、「毎日登校する」といった大きな目標だけではなく、本人が今できそうな小さな一歩を相談して決めることが考えられます。机に向かう時間、興味のあるテーマについて調べる、オンライン授業を短時間視聴する、安心できる支援員と学習内容を確認するなど、具体的な目標の形は本人によって異なります。達成できたかだけを記録するのではなく、なぜ取り組みやすかったのか、どんな支援が役立ったかを一緒に振り返ることが、次の学びの調整につながります。

「評価」という言葉に心理的な抵抗感を持つ子どももいることを踏まえ、審議資料は、日々の努力やできるようになったことを丁寧に捉え、本人を励ますフィードバックを重視しています。これは、点数や評定をなくすと決まったという意味ではありません。学校教育としての学習評価をどのように扱うか、通常の通知表とどう関係するか、進級・卒業の要件にどう結び付けるかなどは、制度の詳細を待つ必要があります。

学習評価は、本人に一方的な判定を伝えるためだけではなく、指導を見直すためにも用いられます。計画を作った後に、本人の状態や学習状況が変化したら、教材、時数、場所、活動内容を調整する。本人の振り返りを受けて、目標を少し変更する。関係者が同じ計画を共有し、支援の一貫性を保つ。こうした循環をつくることが提案の重要な部分です。

ただし、計画や振り返りが細かくなりすぎると、本人に「記録し続けなければならない」という負担を与えるおそれがあります。学びに向かえない時期に、課題を毎日提出させたり、登校や進捗を数値で管理したりすれば、制度の目的と逆の結果になる可能性もあります。審議まとめは本人の状態を踏まえた柔軟な設定を重視しています。実施の際には、計画を作ること自体が目標にならないよう、本人が必要とする支援に結び付いているかを確認することが大切です。

家庭にとっても、計画は学校に「何をしてもらうか」を要求する書面というより、本人の希望、家庭で見えている様子、学校が提供できる支援をすり合わせるための対話の手がかりになり得ます。本人の同意や安心を確かめながら、保護者が代理で伝える内容と本人自身が伝えたい内容を分けて整理すると、本人の意思を置き去りにしにくくなります。計画の共有範囲や保管方法については、個人情報の扱いも含めて学校に尋ねましょう。

家庭と学校にとっての意味

家庭にとって、この審議まとめは「学校に行けないと学びが途切れる」という見方だけでなく、本人の状態に合わせて学校内外で学ぶ方法を設計し、取り組みを受け止める仕組みを国が検討していることを知る手がかりになります。特に、学び直しやオンライン参加、体験活動など複数の活動を想定し、子どもの状態に応じて内容や時間を調整する考えは、学校との相談で具体的な選択肢を整理する際に役立つ視点です。

一方で、現時点でこの資料を根拠に、本人が制度の対象になると判断したり、学校に特定の対応を義務付けたりすることはできません。制度案が示す方向と、現在の学校で利用できる支援は分けて考える必要があります。現在も、校内教育支援センター、教育支援センター、オンライン学習、教育相談など、自治体や学校によって利用できる仕組みがあります。今必要な支援は、制度改訂を待つのではなく、在籍校や教育委員会に確認してください。

学校にとっては、個別の計画を作ることだけでなく、学習の場を確保し、本人と保護者が安心して相談できる窓口を設け、関係者間で必要な情報を共有することが求められます。担任、養護教諭、特別支援教育コーディネーター、支援センター職員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどが関わる場合、それぞれがどの役割を担うのかを明確にすることが重要です。本人への説明や同意なしに、必要以上の情報が広く共有されないよう配慮も必要です。

学校外の教育支援センターなどに通う場合でも、在籍校との関係をどう保つかは家庭にとって大切な点です。学習の進み具合や本人の希望をどのように共有するのか、支援センターで行った学習を学校がどう扱うのか、授業参加や評価について誰が説明するのかを、関係機関と確認します。今回の審議まとめは、その連携の仕組みを検討する方向を示していますが、個別のセンターの運営や出席扱いを保証するものではありません。

「学校に戻ること」だけを唯一の成功と考えないことも重要です。資料は、社会的自立や本人の学びを支える方向を掲げています。学びの場所が変わること、学校に再び通うこと、オンラインを併用すること、進路を見直すことなど、本人の状況に応じた道筋はさまざまです。個別の教育課程案も、登校日数を増やすための道具に限定せず、本人が学びに向かう経験を積み重ね、必要な力を育てるための仕組みとして検討されるべきです。

学校での相談がうまく進まないと感じた場合、家庭は要望を一度にまとめる必要はありません。「今、本人が負担に感じていること」「比較的安心してできること」「学校に確認したいこと」を分け、相談の場を設けられるか尋ねる方法があります。本人が同席するかどうか、話し合う時間や人数、記録の取り方を事前に相談することもできます。教育委員会の教育相談窓口や自治体の支援センターに問い合わせれば、地域で利用できる支援の案内を得られる場合があります。

すぐに使える制度と混同しないために

政策資料では、「案」「提案」「決定」「施行」が異なる段階を指します。今回の審議まとめは、中央教育審議会の教育課程部会が次期学習指導要領に向けて整理した審議内容です。文部科学省が告示や法令を改正して新しい制度を施行したという発表ではありません。第22回会合の開催案内も、10月30日に関係団体から話を聞く予定を示す資料であり、会合の結論そのものではありません。

制度の実施に必要な詳細としては、対象となる学校段階や子どもの状態、計画を作成する責任者、教育委員会や学校の役割、学習評価、授業時数の設定、支援センターでの指導体制、研修や財政支援、保護者への説明などが考えられます。審議まとめには方向性が示されていても、具体の要件や申請手続き、開始日、全国での実施体制が確定しているわけではありません。今後の政策決定や制度文書の公表を追う必要があります。

また、提案された制度が実現した場合でも、全員に同じ学び方を適用するものではないと資料には記されています。すべての支援センターで実施するわけではなく、対象となるかどうかも本人の状況に応じて判断する想定です。したがって、「制度ができれば不登校の子どもは全員、個別の教育課程を受けられる」「この制度で必ず出席扱いになる」「学習評価が必ず改善する」といった説明は、資料の内容を超えています。

制度案は、不登校の背景や本人の状態の多様性を考慮しようとしていますが、実際にうまく機能するかは実施体制によります。支援センターの職員配置や専門性、学校との連携、地域差、本人が選べる学習の場、支援にかかる負担などが結果に影響する可能性があります。制度の実施後には、利用者数だけでなく、本人が望む活動にアクセスできたか、計画が柔軟に見直されたか、学習への負担が増えていないかなどを点検する必要があります。

過去の不登校対策や教育支援の経験がある地域でも、新たな制度案を導入するには調整が必要です。現在のセンター活動が教育課程の一部として運用されているか、居場所や相談を中心にしているかは、施設ごとに異なります。既存の支援を新制度の基準に合わせることで、本人にとって安心できる活動が狭まらないようにする配慮も欠かせません。制度の効率だけでなく、休息や人との関係づくりを含む支援の価値も保たれるか、現場の実例を確認したいところです。

これから確認したい論点

まず、制度の対象をどう判断するかです。資料は、欠席日数だけでなく本人の状態や希望、学びへの意欲、生活状況などを総合的に把握する考えを示しています。実際の運用では、本人の意見をどのような方法で聞くか、休養を優先する状態をどう尊重するか、保護者の希望と本人の希望が異なる場合にどう対話するかが問われます。画一的なチェックリストだけで決めるのではなく、本人の安心と意思を中心にした判断方法が必要です。

次に、どこで誰が指導するかです。校内教育支援センター、校外教育支援センター、在籍学級、オンラインなど、複数の場が関わる場合に、指導の一貫性をどう保つか、計画を誰が管理するか、日常的に本人と関わる職員を誰が支えるかが重要です。計画を共有するためにクラウドを用いる場合には、情報のアクセス権限、保存期間、本人や保護者への説明、誤送信時の対応なども検討が必要です。

評価のあり方も大きな論点です。学びの過程や本人の努力を受け止めることは重要ですが、評価方法が曖昧だと、学校や地域によって記録の内容が大きく異なる可能性があります。一方で、全国で同じ形式を過度に求めると、本人の状況に応じた柔軟さを失うおそれがあります。学習指導要領との整合性を確保しながら、本人が意味を感じられる振り返りや、教員が次の支援を考えるための評価をどう両立するかが問われます。

支援の公平性も見逃せません。制度の利用が拠点校や一部の自治体に限られる場合、居住地によって選択肢に差が生じる可能性があります。移動が難しい家庭、支援センターが遠い地域、言語や障害に応じた配慮が必要な子ども、家庭が学校と連絡を取ること自体に困難を抱えるケースなど、利用の障壁は多様です。制度の案内が必要な家庭に届くか、相談先や移動・オンライン環境が確保されるかを確認する必要があります。

最後に、制度の効果を何で測るのかという問題があります。登校日数が増えたかだけを成果にすると、本人の休息や自己決定、安心感、学びの継続、将来の選択肢といった重要な側面が見えにくくなる可能性があります。反対に、本人が満足しているかだけで教育内容を点検しないのも十分ではありません。本人の希望、学習の実態、学校とのつながり、支援体制、学習機会へのアクセスを複数の視点から確かめることが求められます。

家庭が今できることは、審議まとめを読んで制度開始を待つだけではなく、現在利用できる支援を確認し、本人が困っていることや希望する学び方を無理のない形で学校に伝えることです。たとえば、学習内容より先に生活リズムや安心できる居場所を整えたいのか、短時間の学習から始めたいのか、オンラインや別室を試したいのか、本人の意向を確かめながら相談できます。本人が答えられないときは、判断を急がず、負担の少ない情報共有を続ける方法もあります。

まとめ

文部科学省は10月5日、次期学習指導要領に向けた審議まとめを公表し、不登校児童生徒が校内外の教育支援センター等で学ぶ際、個別の教育課程を編成・実施する仕組みを設ける方向を示しました。学び直し、オンライン参加、興味に応じた探究や体験、本人の状態に合わせた授業時数、本人も関わる学習計画と振り返りなどが検討内容に含まれます。

ただし、これは審議会の提案段階であり、制度開始や対象者、利用手続き、出席扱い、評価方法が決まったわけではありません。支援センター利用者全員が対象になる想定でもなく、義務教育段階を中心にしつつ、高校段階は現行制度の活用も検討されています。本人の状態や意思を尊重し、休養が必要な時期には学習を急がないことも大切です。

保護者や学校関係者は、文部科学省の審議まとめで制度案の原文を確認し、現在必要な支援については在籍校や自治体の教育相談窓口に相談してください。話し合いでは、本人が安心できる場所、取り組めそうな学び、負担になること、計画を見直す方法を具体的に共有すると、制度の検討段階に左右されず、今の支援につなげやすくなります。10月30日の会合後は、資料や議事録が公表されたかを公式ページで確認し、提案と決定事項を分けて受け止めましょう。

公式資料

  • 文部科学省「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」2026年10月5日
  • 文部科学省「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」第1・2部PDF
  • 文部科学省「教育課程企画特別部会(第22回)の開催について」2026年10月23日
  • 文部科学省「教育課程企画特別部会」開催状況
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