結論(早見):不登校でも、一定の要件を満たせば学校に行かなくても「出席扱い」にできる制度があります。判断するのは学校の校長で、フリースクールなどの民間施設や自宅でのICT学習も対象です。ただし、実際に取れているケースはまだ多くありません。タツロー校長は、出席認定が絶対に必要なのは一部の公立高校へ進む場合に限られると考えており、「いらない派」だと語ります。一方で、「自分は学校に通っている」という安心感のために取るのは賢い選択、とも話しています。
「学校に行かなくても、出席になる」——そう聞いて、驚かれた保護者の方も多いのではないでしょうか。
この「出席認定(出席扱い)」の制度は、国がすでに通知を出して整えている一方で、担任の先生や校長先生が詳しく知らないこともあり、現場にはまだ十分に浸透していません。フリースクールや通信教材の会社に聞いても「取れませんよ」と言われてしまい、結局、誰に相談すればよいのか分からない、という声もあります。
そこで本記事では、オルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の星野達郎(タツロー校長)が、出席認定の仕組み、取り方、そして「そもそも必要なのか」という論点までを、元公立小学校教員の視点から解説します。
【読む前にお伝えしたいこと】出席扱いの運用は、学校や自治体によって異なります。本記事は一般的な制度の説明と、タツロー校長の個人の見解をまとめたものです。実際に手続きを進める際は、在籍している学校や教育委員会に必ず確認してください。
全国900名以上の小中高生が学ぶオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の校長を務める傍ら、2つの教師団体を主宰。これまで累計1,200名以上の教員向けに研修を実施し、学校の中と外、両面から教育課題の解決に取り組む。
その独自の教育実践はNHKやテレビ朝日など多くのメディアで特集され、「青年版国民栄誉賞」や「内閣総理大臣奨励賞」を受賞するなど、各方面から高く評価されている。
確かな実績と熱い教育信念を持つ一方で、普段は生徒たちから気さくにいじられる「愛されキャラ」の校長として、日々子どもたちと本音で向き合っている。
不登校の「出席認定(出席扱い)」とは?指導要録の仕組み
出席認定を理解するカギは、通知表とは別に学校が保管している「指導要録」です。タツロー校長によると、指導要録には、在籍している学年・組、委員や部活動、そして出席日数などが記録されます。学校は、これを校長室の金庫などで保管しており、学年末のシーズンになると、先生が校長先生に鍵を借りて取り出し、記入するのだそうです。
タツロー校長「高校受験のときに先生が書く『調査書』は、この指導要録がもとになっています。学校に行っていなくても、出席認定がされると、指導要録に出席日数が記録されるんです。つまり、出席していることになる。調査書に書かれて高校に送られ、『ちゃんと出席してたんだね』と見てもらえる。そういう制度が、もう実は整っているんですよ。」
この考え方は、文部科学省の通知や、各地の教育委員会のガイドラインでも示されています。たとえば、学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けている場合や、自宅でICTなどを活用した学習を行った場合に、一定の要件を満たせば、校長が指導要録上「出席扱い」にできるとされています(参考:熊本市のガイドライン)。
出席認定(出席扱い)のポイント
指導要録(調査書のもと)
学校の校長
(自治体により教育委員会)
公的機関・民間施設・自宅ICT学習
対象は義務教育段階(小・中学校)の不登校児童生徒です。
国は「登校だけをゴールにしない」と明言している
タツロー校長は、前提として、国が不登校についてどう考えているかを知っておいてほしいと言います。
| 時期 | 国の動き |
|---|---|
| 2017年2月 | 教育機会確保法が施行。不登校の子どもが行う多様な学習活動の実情を踏まえ、一人ひとりの状況に応じた必要な支援を行うことが基本理念に |
| 2019年10月 | 文部科学省が「不登校児童生徒への支援の在り方について」を通知。学校外の施設で相談・指導を受けた日数を、一定の要件で出席扱いにできると整理 |
| 2023年3月 | 「COCOLOプラン」を決定。教育支援センターや自宅などで行った学習の成果を、成績に反映する方針を明記 |
| 2024年 | 学校教育法施行規則の改正と、成績評価に関する通知(8月)が出される |
つまり、国は「学校に来ること」だけを目標にはしていない、というのがこれらの流れです(参考:茅野市教育委員会のガイドライン、文部科学省「COCOLOプラン」)。自宅でのICT学習も、各地で、スタディサプリや進研ゼミのような教材を教育委員会のICT担当者などが中心になって認めていく形が整えられてきました。



「学校に来ること自体を目標にはしないけれど、こういう新しい学び方も認めるから要件は整理するよ、という、いかにも文科省らしい言い方なんです。面白いですよね。」
出席扱いになる場所と、主な要件
出席扱いにできる学びの場は、大きく3つあります。細かな要件は自治体ごとに異なりますが、各地のガイドラインでは、おおむね次のような点が確認されています。
| 学びの場 | 主な確認ポイント(例) |
|---|---|
| 教育支援センターなどの公的機関 | 子どもの状態を、保護者・機関・学校・教育委員会で協議・確認して総合的に判断 |
| フリースクールなどの民間施設 | 指導内容・方法や指導体制があらかじめ明示されている/保護者などへ学習支援や進路の情報提供がある/学校が施設の状況を定期的に把握できる |
| 自宅でのICT学習 | 学習内容が在籍校の学びと関連づけられている/学習の状況を学校が把握できる |
要件の根っこにあるのは、保護者と学校の間に、十分な連携・協力関係があることです。たとえば、民間施設から月に1回程度、学校へ学習状況を報告したり、学校が定期的に家庭訪問や面談で状況を把握したりすることが求められる自治体もあります(参考:南あわじ市のガイドライン、山梨県のガイドライン)。
そして、最終的に出席扱いとするかどうかは、学校の校長が判断します。小さな自治体や、教育委員会の力が強い自治体では、教育委員会の判断になるところもあります。学校の校長が教育委員会にお伺いを立てて、「いいですよ」となるパターンも多いようです。保護者の方は、まず在籍校の担任の先生や校長先生に、相談してみてください。
自宅でのICT学習の考え方は、文部科学省のQ&Aにも掲載されています。フリースクールや公的な支援先の探し方は、フリースクールとは?費用・種類・出席扱いと全国の探し方、教育支援センター(適応指導教室)とは?対象・費用・出席扱いでくわしく解説しています。
制度はあっても、実際には取れていないケースも
制度が整っていても、現場での運用は、まだ追いついていないのが実情です。タツロー校長は、担任の先生や校長先生が制度そのものを知らず、「そんな制度はない」と言われてしまうケースがあると話します。



「私が把握している範囲では、フリースクールに通う子で出席認定を取れているのは、半分ぐらい。自宅でドリル的な学びをしている子では、ごくわずかです。ほとんどの場合、学校以外の学びは、まだまだ出席としては認められていない状況です。」
(これはタツロー校長が把握している実感に近い数字です。最新の状況は、文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」などの公的な統計でご確認ください。)
また、タツロー校長は、「もし自分が認める立場なら、居場所としてだけ提供されている場所や、ドリルを続けるだけの学びを、出席とは認めにくい」という、少し厳しい見方も話しています。日本国憲法に示された教育の目的は「人格の完成」にあり、タツロー校長はそれを「自分らしく誰かを幸せにすること」と捉えています。出席として認めるなら、その目的のためのカリキュラムがあるかが大切だ、という考え方です。もちろん、居場所として必要な子や、一時的に必要な場所があることも理解している、と補足しています。
そもそも出席認定は必要?タツロー校長は「いらない派」
ここまで制度を説明してきましたが、タツロー校長は「出席認定はいらない派」だと言います。NIJINアカデミーの保護者も、出席認定を希望する家庭と、特に必要ないという家庭が、半々ぐらいに分かれるそうです。
理由①:出席がなくても、道は閉じない
タツロー校長によると、日本の小中学校では、出席扱いにしていなくても、多くの場合で卒業は認められます。海外では出席が足りなければ進級できず、20歳の小学1年生がいる国もあるほどですが、日本では留年の制度が事実上ほとんど使われません。
高校入試についても、一例として、長野県教育委員会の資料には、評定がつかない教科があることや、不登校であることを理由に不合格になることはない、と明記されています(参考:長野県教育委員会「不登校児童生徒の学びのサポートガイド」)。自治体によって扱いは異なるため、志望する地域の入試要項は、必ず確認してください。
理由②:出席認定が必要なのは、一部の公立高校のみ



「整理すると、出席認定が必要になるのは、一部の公立高校に行く場合だけだと私は思っています。私立高校は出席日数をほとんど見ませんし、通信制高校も、オルタナティブスクールも、インターナショナルスクールも、海外進学も関係ありません。ただし、これは地域によって違うので、必ず調べてくださいね。」
さらに、タツロー校長は、今後は高校側が出席日数を見ない方向に動いていくのではないか、と予想しています。地方を中心に、不登校の子どものための枠を設けたり、調査書から出席日数の記載をなくしたりする動きが広がっていくのではないか、という見立てです。(これはタツロー校長の予想であり、実際の運用は自治体によって異なります。)
理由③:「出席していること」に、社会での価値は薄れている



「社会で働けば分かりますよね。民間企業で、出席していることを評価する人なんて、いないんです。評価されるのは、人とつながりながら、自分らしく誰かを幸せにしていけるか。その方法は本当に多様です。ペーパーテスト重視だったこれまでのやり方は、これから変わっていくと思っています。」
タツロー校長は、海外の教育機関に目を向けても、出席しているかどうかではなく、「その人が何をできるか」「自分らしさをどう突き詰めているか」が問われる場面が多いと語ります。評価のあり方については、偏差値で判断するのは古い?タツロー校長が語る「真の学力」もあわせてご覧ください。
それでも出席認定を取る価値:「学校に通っている」というマインド
では、出席認定にはまったく意味がないのかというと、そうではありません。保護者から、こんな声をよく聞くそうです。



「『うちの子は、不登校じゃなくて、NIJINアカデミーという学校に通っているんだ』『欠席したことになっていなくて、出席しているんだ』と話す保護者の方は、たくさんいます。制度としては、出席を取らなくても道は閉ざされません。でも、『私は学校に通っているんだ』という自信やマインドを持つために、出席認定を取る。それは、とても賢いなと思います。」
つまり、出席認定は、進路のために「必要か」というよりも、お子さんの自己肯定感を支えるために「取るかどうか」を考えるのがよい、というのがタツロー校長の整理です。
出席認定を取るための一般的な流れ
出席認定を希望する場合の、一般的な流れを整理します。(以下は、各地のガイドラインを参考に、本メディアでまとめたものです。自治体によって手順は異なります。)
- 在籍校に相談する:担任の先生、または校長先生に、出席扱いを希望していることを伝える
- 利用する場の情報を共有する:フリースクールなどの学び方・指導体制・費用などを、学校に説明できるように準備する
- 学校と施設が連携する:学校が施設を訪問したり、施設から学習状況の報告(月1回程度が目安)を送ったりして、状況を把握する
- 校長が判断する:要件を満たしていれば、指導要録上の出席扱いになる
ただし、不登校の保護者と学校の関係がうまくいっていないことも少なくありません。タツロー校長は、そうした保護者を応援したい一方で、「関係がこじれているなら、無理に取る必要はないのでは」とも話します。
NIJINアカデミーの出席認定が取れやすい理由
NIJINアカデミーは、「どうして出席認定率が高いのですか」とよく質問されます。タツロー校長が挙げる理由は、次の3つです。
- 学びの記録が自動で届く:学びのアプリのポートフォリオに、毎月の取り組み、授業、頑張ったこと、作品などがレポートとしてまとまり、自動的に送られる。保護者と学校の連携が難しい場合でも、頑張りが伝わりやすい
- 教師団体が母体:日本最大級の教師の学び場「授業てらす」から生まれ、対話的な授業にこだわっていることが、学校側の信頼につながっている
- 対話と子どもの姿を見てもらう:実際に見学に来た先生方から、「コミュニケーションが半端ない」と言われることが多く、「NIJINさんなら大丈夫」と納得してもらえる
NIJINアカデミーの学びや雰囲気は、公式サイトや、近くの教室を探せる教室検索ページでご覧いただけます。出席扱いについて気になる方は、無料のオンライン相談もご利用ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 不登校でも、学校に行かずに出席扱いになりますか? A. 一定の要件を満たせば、校長の判断で、指導要録上の出席扱いにできます。フリースクールなどの民間施設、教育支援センター、自宅でのICT学習が対象になります。
Q2. 出席認定は誰が決めるのですか? A. 基本的には学校の校長が判断します。小さな自治体など、教育委員会が判断するところもあります。まずは在籍校の担任の先生や校長先生に相談してください。
Q3. 指導要録とは何ですか? A. 通知表とは別に、学校が保管している公的な記録です。学年・組、出席日数、各教科の評価などが記録され、高校受験の調査書のもとにもなります。
Q4. フリースクールに通っていれば、必ず出席扱いになりますか? A. いいえ。要件を満たしているかどうかを学校が判断するため、必ず出席扱いになるとは限りません。実際に取れていないケースも少なくありません。
Q5. 自宅でのICT学習でも出席扱いになりますか? A. 要件を満たせば対象になります。ただし、どの教材を認めるかなどは、教育委員会や学校の判断によります。詳しくは文部科学省のQ&Aも参考にしてください。
Q6. 出席扱いにならないと、高校受験で不利になりますか? A. 自治体や学校によって異なります。たとえば長野県の資料には、不登校を理由に不合格になることはないと示されています。志望する地域の入試要項を、必ず確認してください。
Q7. 出席認定は取ったほうがいいですか? A. タツロー校長は「いらない派」ですが、「学校に通っているというマインドを持つために取る」のも賢い選択だと話しています。進路のためというより、お子さんの自己肯定感にどう影響するかを目安に、ご家庭で判断してみてください。
Q8. 学校と保護者の関係がうまくいっていない場合は? A. 要件の一つが「保護者と学校の連携」のため、難しい場合もあります。無理に取らなくても、道が閉じるわけではありません。まずは教育支援センターなどの公的な支援先も含めて、相談できる先を探してみてください。
まとめ:出席よりも、「自分らしく誰かを幸せにする」力を
不登校でも、要件を満たせば、学校に行かなくても出席扱いにできる制度があります。ただ、実際には取れていないケースも多く、必要かどうかはご家庭の考え方によって分かれます。
- 制度を知る:指導要録上の出席扱いは、校長の判断でできる。担任や校長が知らない場合もある
- 必要かを考える:進路で必要になるのは、一部の公立高校の場合が中心。地域差があるので、入試要項は必ず確認する
- 目的は自己肯定感:「学校に通っている」という安心感のために取るのも、賢い選択



「これからは、出席しているかどうかではなく、人とつながりながら、自分らしく誰かを幸せにしていくことが価値になります。10年後に見たら、そうなっていると思います。だから、あまり出席にこだわらなくていいと思います。ただ、出席しているということが、その子の自己肯定感につながるなら、それはそれでいいんじゃないかな、と思っています。」
あわせて読みたい
▶ 動画でより深く:YouTube(フル解説)
さらに、星野達郎校長が今回のテーマを動画でより熱く、詳細に解説しています。
指導要録の仕組みや、スタッフとのやりとりなど、記事では紹介しきれない内容はぜひ動画でご視聴ください!


体験説明会から3日以内の入会で無料授業特典付き!
満席日も多数。お早めのご予約がおすすめです。
▼NIJINアカデミーについて詳しく知りたい方はこちら▼











