オンラインで「居場所」や「友だち」は本当につくれる?画面越しでも関係が育つ学校の仕組みと選び方

居場所・つながり
オンラインで「居場所」や「友だち」は本当につくれる?画面越しでも関係が育つ学校の仕組みと選び方

オンラインフリースクールやオンラインスクールを調べているとき、最後に残る不安はたいてい同じところに行き着きます。「勉強はなんとかなるかもしれない。でも、画面越しで友だちなんてできるんだろうか」「結局、家でひとりぼっちのままなんじゃないか」——。この記事では、オンラインで関係が育つかどうかを「気持ち」や「相性」の話ではなく、その学びの場がどんな仕組みでできているかという観点から整理します。あわせて、見学や体験のときに「この子はここで友だちができそうか」を見極めるためのチェックリストもお渡しします。

居場所・つながり 執筆 にじいろ編集部 最終更新 2026.09.04

この記事の結論

  • こども家庭庁の指針では、その場が居場所かどうかを決めるのは「こども・若者本人」とされています。オンラインか対面かという形式そのものが、居場所かどうかを決めるわけではありません。
  • オンラインで関係が育つかどうかは、「同じメンバーと」「同じ時間に」「授業以外にも」居合わせる時間があるかどうかという仕組みの差で大きく変わります。
  • 1対1の家庭教師型や、動画・アプリで進める独学型は、学習の相性が良くても設計上そもそも同世代と出会う場面がありません。ここを混同すると期待がずれます。
  • 見学・体験では「授業の質」ではなく、子ども同士が直接話す場面が用意されているか/授業のあとに“ただ居ていい時間”があるかを見てください(→6章のチェックリスト10項目)。
  • ただし「オンラインなら友だちができます」と断定できる根拠はありません。合う子・合わない子がいることを前提に、体験で本人の反応を確かめるのがいちばん確実です。

「勉強より、友だち」——保護者がいちばん不安になるところ

学校に行きづらくなった子の家庭で、オンラインの学びを検討し始めると、多くの保護者が同じ順番で不安を通過します。最初は「勉強が遅れないか」。次に「進路はどうなるのか」。そして最後に残るのが、「この子に、友だちはできるのか」という問いです。

この不安には根拠があります。文部科学省の「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和7年10月29日公表)によれば、小・中学校の不登校児童生徒数は353,970人(小学校137,704人・中学校216,266人)で過去最多となりました。同じ調査では、学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けていない児童生徒が135,724人(38.3%)にのぼることも示されています。学校外の機関につながっている場合も、教育支援センターが32,240人、民間団体・民間施設が18,566人と、人数としては限られています。

つまり、多くの家庭にとって「学校の代わりに、同世代と過ごせる場所」は、探してもすぐには見つからないのが実情です。だからこそ地理的な制約を受けないオンラインが選択肢に入ってくるのですが、「画面の向こうの人は、本当に“友だち”になるのだろうか」という疑問が消えないまま検討が止まってしまう。この記事は、そこを一つずつほどいていくために書いています。

この記事で扱わないこと

学費の比較、学校の一覧、出席扱いの制度解説は、この記事では扱いません。それぞれフリースクールとは?費用・種類・出席扱いと全国の探し方で詳しく整理しています。この記事は「関係が育つかどうか」だけに絞ってお伝えします。

そもそも「居場所」とは何か|国の指針が示している考え方

「居場所」という言葉は日常的に使われますが、国の文書のなかでは、かなりはっきりした定義が置かれています。こども家庭庁が取りまとめ、令和5年12月22日に閣議決定された「こどもの居場所づくりに関する指針」です。

この指針では、居場所を特定の施設や建物として定義していません。「こども・若者が過ごす場所、時間、人との関係性全てが、こども・若者にとっての居場所になり得る」としたうえで、次のように明記しています。

こども家庭庁「こどもの居場所づくりに関する指針」より

「その場や対象を居場所と感じるかどうかは、こども・若者本人が決めることである」

ここは、オンラインを検討している家庭にとって、とても大きな意味を持ちます。おとなが「オンラインは居場所とは言えない」と決めることも、逆に「ここを居場所にしなさい」と指定することも、この指針の考え方からは外れるということだからです。指針は、居場所づくりを進めるうえで「居たい」「行きたい」「やってみたい」というこども・若者の視点に立つことの重要性も示しています。

言い換えれば、判断の基準は「オンラインか、対面か」ではありません。その子が「また行きたい」と思うかどうかです。体験に参加したあと、子どもが自分から次回の話をするかどうか。この記事の後半のチェックリストが最終的に見ようとしているのも、結局はそこです。

なお、文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)も、支援の視点として「『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」と述べています。国の側の考え方も、「学校に戻ること」だけを到達点にはしていません。

ベッドに並んで座り、ノートパソコンの画面に向かって手をふる2人の子ども

オンラインで関係が育つかは「仕組み」で決まる|4タイプ比較

「オンラインで友だちができるか」という問いには、実は一つの答えがありません。というのも、「オンラインの学び」と呼ばれているものの中身が、まったく別の設計になっているからです。ここを分けずに考えると、「オンラインはダメだった」「オンラインで救われた」という正反対の体験談が両方生まれることになります。

大きく分けると、次の4タイプになります。ポイントは、そもそも同世代の子と同じ時間に居合わせる設計になっているかどうかです。

オンラインの学びの4タイプと、関係が育つ余地の違い
タイプ同世代と居合わせる時間メンバーの固定授業以外の時間関係が育つ余地
①1対1の家庭教師型
(オンライン個別指導)
なし。大人(講師)と子どもの1対1講師は固定されることが多い基本的になし大人との信頼関係は育ちやすい。ただし同世代の友だちができる場面は構造上ない
②動画・アプリの独学型
(教材配信・AI教材)
なし。自分のペースで進めるなし(掲示板等がある場合も)学習の自由度は最も高い。関係づくりは目的に入っていないと理解して使う
③少人数のライブクラス型
(オンラインフリースクール等)
あり。決まった時間に同時参加固定クラスのことが多い学校によって差が大きい関係が育つ土台がある。ただし「授業だけ」だと関係は深まりにくい
④授業外の居場所がある型
(メタバース校舎・常設ルーム等)
あり。授業に加えて自由に集まれる固定+出入り自由の場が併存あり。朝の会・放課後・雑談など4タイプの中で関係が育つ余地はもっとも大きい。合う・合わないの個人差は残る

この表で伝えたいのは「④が一番いい」ということではなく、目的が違えば正解も違うということです。学習の遅れを取り戻したいだけなら①や②が最短ですし、勉強が目的なのに④を選んで「友だち付き合いが負担になった」というケースもあります。

逆に、家庭が本当に求めているのが「同世代とのつながり」なのに選んだのが①や②だった場合、どれだけ真面目に続けても、期待していたものは手に入りません。それは学校の質の問題ではなく、設計の問題です。まずは「うちが求めているのは、学習か、つながりか、その両方か」をはっきりさせるところから始めてください。

関係が育つオンラインに共通する5つの設計

③や④のタイプの中でも、関係が育ちやすい場とそうでない場があります。にじいろ編集部が学校の公開情報や説明会資料を確認していくなかで、繰り返し出てくる要素は次の5つでした。

1|人数が少なく、全員に順番が回ってくる

30人のオンライン授業で一度も発言しないまま1年が終わる、ということは実際に起こります。1クラスが5〜10人程度に抑えられていると、「今日は誰も自分に話しかけなかった」という日が構造的に生まれにくくなります。人数は、理念ではなく数字で確認できる数少ない指標です。

2|メンバーが毎回同じ(固定クラス)

関係は、繰り返し会うことで育ちます。毎回参加者が入れ替わる講座形式だと、初対面のやりとりが延々と繰り返されることになり、「顔と名前が一致する」段階にたどり着けません。クラスが固定か、担任のような役割の大人がいるかを確認してください。

3|授業以外に「ただ居ていい時間」がある

ここがもっとも見落とされがちです。振り返ってみると、学校で友だちができたのは授業中ではなく、休み時間・登下校・給食・放課後だったはずです。オンラインでも同じで、朝の会、雑談ルーム、放課後の時間、メタバース空間の常設スペースなど、「何もしなくていいけれど、人がいる時間」があるかどうかが分かれ目になります。

4|子ども同士が直接話す場面が設計されている

先生が一人ずつ指名して答えさせる形式は、見た目には対話的でも、実際にはすべてのやりとりが大人を経由している状態です。少人数のグループワーク、クラス会議、ペアでの活動など、子ども同士が直接やりとりする時間が組み込まれているかを見てください。

5|大人が「橋渡し」をする役割を持っている

初めて参加する子にとって、すでにできあがっている輪に入るのは対面よりむしろ難しいことがあります。「この子とこの子は同じゲームが好きだから」と大人がつないでくれるか。バディをつける、自己紹介の型を用意する、途中参加の子に声をかける——こうした仕掛けの有無で初期のハードルは大きく変わります。

5つを一言でまとめると

「少人数」「同じ顔ぶれ」「授業以外の時間」「子ども同士の直接のやりとり」「大人の橋渡し」。どれか一つでも欠けていることが説明会ではっきりしたら、その理由を質問してみる価値があります。

公的な取り組みも「オンラインの居場所」に動いている

「オンラインの居場所」は、民間だけの話ではありません。自治体の公教育でも、仮想空間を使った不登校支援がすでに動いています。

東京都教育委員会の「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム(VLP)事業」は、公式サイトで「不登校児童・生徒及び日本語指導が必要な児童・生徒に対して、オンライン上の仮想空間を活用して、新たな居場所や学びの場を自治体等に提供する取組」と説明されています。令和6年度は、継続8自治体(新宿区、墨田区、渋谷区、中野区、杉並区、八王子市、狛江市、多摩市)に新規20自治体が加わり、合計28自治体が参加しました。

注目したいのは、都が掲げる目的が「学習の提供」だけでなく、はっきりと「新たな居場所」と書かれている点です。仮想空間の中に子どもが集まれる場所をつくること自体が、公的な支援策として位置づけられているということになります。「メタバースの学校」は目新しく聞こえるかもしれませんが、不登校支援の文脈ではすでに一定の広がりを持った選択肢です。同種の取り組みがお住まいの自治体にあるかは、教育委員会・在籍校のスクールカウンセラー・教育支援センターにご確認ください。民間のサービスを探す前に自治体の窓口に「オンラインの居場所はありますか」と聞いてみるのは、費用の面でも現実的な一歩です。

自宅の机でノートパソコンに向かい、オンラインの授業に参加している小学生

見学・体験でここを見る|「友だちができそうか」チェックリスト10

ここからが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。説明会や体験に参加すると、どうしても「授業がわかりやすいか」「先生が優しいか」に目が向きます。けれど「友だちができるか」を見極めたいなら、見るべきポイントはまったく別です。

次の10項目を、体験の前に印刷するかスマートフォンに控えて持っていってください。すべてに丸がつく必要はありません。「うちの子にとって、どれが欠かせないか」を考えるための道具として使ってください。

体験・見学のときに確認したい10項目(「友だちができそうか」を見るためのチェックリスト)
#見るポイントそのまま使える質問例「育ちそう」なサイン
11クラスの人数「1クラスは何人ですか? 実際に参加している人数の平均も教えてください」定員だけでなく実参加人数を答えられる。5〜10人程度に収まっている
2メンバーは固定か「毎回同じメンバーですか? 担任のような役割の先生はいますか?」固定クラス+担当の大人がいる。名簿ではなく「関係」で運営されている
3授業以外に居ていい時間「授業のない時間に、子どもが自由に集まれる場所はありますか?」朝の会・放課後・常設のルームなど、何もしなくてよい時間が具体的に挙がる
4子ども同士が直接話す場面「子ども同士だけで話す時間は、1回の中でどのくらいありますか?」グループワークやクラス会議など、大人を介さないやりとりが設計されている
5参加のハードル「カメラやマイクをオフのまま参加してもいいですか? その子も輪に入れますか?」オフ参加を認めたうえで、チャットや別の方法で関われる仕組みがある
6初日の受け入れ方「初めて来た日は、どんな流れですか? 誰が声をかけてくれますか?」自己紹介の型、バディ役、先に声をかける子など、具体的な段取りが答えられる
7大人の橋渡し「子ども同士をつなぐために、先生はどんなことをしていますか?」「共通の好きなものでつなぐ」など、実際にやっている行動が語られる
8休んだあとの戻りやすさ「しばらく休んだ子は、どうやって戻ってきますか?」欠席が責められない。戻ってきたときの声のかけ方が決まっている
9トラブル時の対応「仲間はずれやチャットでのトラブルが起きたとき、どう対応しますか?」手順が明文化されている。「起きない」ではなく「起きたときにこうする」と答える
10体験後の本人の反応(子ども本人に)「また行ってみたい? 誰か名前を覚えた人いた?」本人が誰か一人の名前を口にする。「また行きたい」と自分から言う

いちばん大事なのは10番です

1〜9はおとなが確認する項目ですが、最終的な判断材料は10番です。こども家庭庁の指針が言うとおり、そこが居場所かどうかを決めるのは本人だからです。体験の直後に感想を聞くと「ふつう」としか返ってこないこともあります。数日たってから、子どもが自分からその場の話題を出すかどうかを見てみてください。名前が出てくれば、関係は始まっています。

正直に書きます|オンラインでも関係が育ちにくいとき

ここまで「仕組みが整えば関係は育ちうる」という話をしてきましたが、「オンラインなら友だちができます」と断定できる根拠はありません。次のような場合には、期待どおりにいかないことがあります。検討の段階で知っておいたほうがフェアだと考え、そのまま書きます。

  • 画面越しのやりとり自体が消耗になる子。自分の顔が映ること、複数の視線が同時に集まることが苦手な場合、対面よりむしろ負担が大きくなることがあります。
  • 体を動かしながら関わるほうが自然な子。一緒に何かをする中で関係を築くタイプの子は、地域の活動と組み合わせる前提で考えたほうが現実的です。
  • 家の中に安心して過ごせる場所がないとき。オンラインの居場所は、参加する場所が家であることが前提です。家の外に物理的な居場所が必要な場合もあります。
  • 時差や生活リズムが合わないとき。海外にお住まいの場合、日本時間の朝の会に参加できないと、いちばん関係が育つ時間帯を逃してしまいます。
  • 回復の途中で、まだ人と関わる余力がないとき。学校から離れて間もない時期は、休むことそのものが必要な場合があります。急がないでください。

また、今の学校に在籍したまま、オンラインの場を併用するという考え方もあります。「辞める・辞めない」の二択にしないという意味で、「今の学校を辞めなくていい」ダブルスクールという選択肢もあわせてご覧ください。海外にお住まいで居場所探しに悩んでいる場合は、海外で子どもの居場所がない…のほうが状況に近いかもしれません。なお、在籍校での出席の扱いや学校との連携は学校ごと・自治体ごとに判断が異なるため、必ず在籍校の担任・スクールカウンセラーや教育委員会にご相談ください。

母親と子どもが並んでノートパソコンの画面をのぞきこみ、一緒に話している様子

関係が育つ仕組みを持つオンラインの例

ここまでお伝えした「5つの設計」を、実際にどう形にしているのか。イメージを持っていただくために、にじいろを運営する株式会社NIJINが準備している2つの学校を例に挙げます。どちらもまだ開校前で、この記事は特定の学校をおすすめするものではありません。「こういう設計の学校もある」という比較材料として読んでください。

ともだちじゃぱん|メタバース校舎で朝の会と放課後がある

海外に住む子ども向けの日本語オンラインスクールで、2026年12月にパイロット開校予定です。1クラス8名の少人数で、日本の現役の教員が担任を務めます。特徴は、授業のほかにメタバース(仮想空間)の校舎があり、朝の会や放課後の時間を日本の同世代の子と過ごせる設計になっている点です。この記事の言い方でいえば、4タイプのうち④「授業外の居場所がある型」にあたります。

公式サイトでは、成長のものさしを点数ではなく「ともだちが何人できたか」に置くと明記されています。橋渡し役になるのは、母体であるNIJINアカデミーで毎日学んでいる日本の同世代の子どもたちです。料金は定額(通い放題)ですが、具体的な金額は未公表で、無料の学校案内で案内されるとのことです。

NIJIN GLOBAL ACADEMY|心理的安全性を土台に置いたクラス設計

世界の同世代と学ぶオンライン・インターナショナルスクールで、2027年9月に開校予定です。1クラス8名で、カリキュラムの第1層に「心理的安全性の土台」を置き、クラス会議・全校ホームルーム・週3回のホーム体育・バイリンガルメンターの伴走といった、学習そのものではなく関係づくりのための時間を明示的に組み込んでいるのが特徴です。企業や自治体と組む社会共創PBLも週2回あり、共同作業を通した関わりが設計されています。

入学試験・選考・英語要件はなく、まず面談から始まる形です。ただし学費は未公表で、日本の「一条校」ではないため日本の高校卒業資格は発行されません。また、放課後サークルは有料オプションです。在籍校での出席扱いについては公式サイトに記載が確認できなかったため、必ず在籍校・教育委員会にご確認ください。オンラインのインターナショナルスクールを横に並べて比べたい場合は、不登校でも学べる?オンラインインターナショナルスクール比較もご覧ください。

この2校を例に出した理由

おすすめするためではなく、6章のチェックリストを実際の学校に当てはめるとどう見えるかを示すためです。同じ観点で、検討中のほかの学校にも同じ質問をぶつけてみてください。答えの具体性そのものが、いちばんの判断材料になります。

NIJIN GLOBAL ACADEMY NIJIN GLOBAL ACADEMY|6〜18歳

8名クラスだから、全員に順番が回ってくる

世界の同世代と学ぶオンライン・インターナショナルスクール。心理的安全性を土台に、クラス会議・ホームルーム・社会共創PBLで関係を育てます。入学試験・英語要件なし。2027年9月開校予定。

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TOMODACHI JAPAN|にほんごで、ともだちになる。

授業のあとも、居場所がある学校

8人の少人数クラスに加えて、メタバース(仮想空間)の校舎で朝の会や放課後を日本の同世代と過ごせます。成長のものさしは点数ではなく「ともだちが何人できたか」。2026年12月パイロット開校予定。

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家庭でできること|親は「橋」にはなれても「友だち」にはなれない

最後に、家庭の側でできることを整理します。前提として、保護者がどれだけがんばっても、保護者自身が子どもの「同世代の友だち」になることはできません。できるのは、出会いが起こりやすい環境を用意することと、起こりかけた関係を邪魔しないことです。

1

体験は「1回」で判断しない

初回はほぼ全員が緊張します。関係は繰り返し会うことで育つので、可能であれば2〜3回参加してから判断してください。1回目の「楽しくなかった」は、その場の評価というより、初対面の評価であることが多いです。

2

感想を求めすぎない

「どうだった?」「友だちできた?」と毎回聞かれると、参加そのものが親への報告義務になってしまいます。聞きたくなる気持ちは自然ですが、子どもが自分から話し出すまで待つほうが、結果的に長く続きます。

3

通信環境と「参加できる場所」を整える

音が途切れる、家族の話し声が入る——こうした物理的な理由で会話から抜けてしまうことは実際によくあります。イヤホンと、家の中で落ち着いて話せる場所を確保するだけで、参加のしやすさは変わります。

4

オンライン以外の接点も、細くていいので残す

図書館、習い事、地域のイベント、親戚の子——細い線を複数持っておくと、どこかが合わなかったときの落差が小さくなります。こども家庭庁の指針も、居場所は一つに限らないという前提に立っています。

5

在籍校・自治体の窓口とつながっておく

在籍校の担任やスクールカウンセラー、教育支援センター、教育委員会は、地域のオンラインの居場所(東京都のVLPのような取り組みを含む)を把握していることがあります。民間だけを探すより選択肢が広がります。

そして、いちばん覚えておいていただきたいのは、関係が育つのに必要なのは「たくさんの友だち」ではなく「一人」だということです。名前を覚えている子が一人いて、その子がいるから今日も画面をひらく。焦らず、その一人が現れるのを待つ時間を、どうか許してあげてください。

よくある質問(FAQ)

オンラインスクールで、本当に友だちはできますか?

「できます」と断定できる根拠のあるデータはありません。ただし、少人数・固定メンバー・授業以外に集まれる時間があるといった条件がそろっている場では、関係が育つ土台があります。逆に1対1の個別指導や動画・アプリ中心の学習は、設計上そもそも同世代と出会う場面がないため、そこに友だちづくりを期待すると期待外れになります。まずは「どんな仕組みか」を確認してください。

そもそも「居場所」とは、どう考えればいいですか?

こども家庭庁「こどもの居場所づくりに関する指針」(令和5年12月22日閣議決定)は、こども・若者が過ごす場所・時間・人との関係性のすべてが居場所になり得るとしたうえで、「その場や対象を居場所と感じるかどうかは、こども・若者本人が決めることである」と明記しています。おとなが「オンラインは居場所とは言えない」と決めることも、逆に居場所を指定することも、この考え方からは外れます。

メタバースの学校というのは、特別なものですか?

不登校支援の文脈では、すでに公的な取り組みとして広がっています。東京都教育委員会の「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム(VLP)事業」は、仮想空間を活用して「新たな居場所や学びの場」を提供する取組と説明されており、令和6年度は都内28自治体(継続8+新規20)が参加しています。お住まいの自治体に同様の取り組みがあるかは、教育委員会や在籍校にご確認ください。

カメラをオフにしたままでも参加できますか?

学校によります。関係づくりという観点では、カメラオフを認めているかどうかだけでなく、オフのままでも輪に入れる仕組みがあるかが重要です。チャットでの発言が拾われるか、リアクションで参加できるか、少しずつ話せるようになる段取りがあるか。体験のときにそのまま質問してみてください。

人数は何人くらいのクラスがいいですか?

一律の正解はありませんが、5〜10人程度だと「一度も自分の番が回ってこない日」が構造的に生まれにくくなります。確認するときは定員ではなく、実際に参加している平均人数を聞いてください。定員8名でも実参加が3名の日が続くのと、8名そろうのとでは、関係の育ち方が変わります。

体験に行っても、子どもが「ふつう」としか言いません。どう判断すればいいですか?

直後の感想はあてになりにくいものです。数日たってから、子どもが自分からその場の話題を出すか、誰か一人の名前を口にするかを見てみてください。名前が出てくれば、関係は始まっています。こども家庭庁の指針が言う「行きたい」「やってみたい」という気持ちが出てくるかどうかが、いちばんの判断材料です。

海外に住んでいます。時差があっても参加できますか?

学校によります。確認したいのは「授業に参加できるか」だけでなく、朝の会や放課後など、関係がいちばん育つ時間帯に参加できるかです。授業だけ時差調整で受けられても、雑談の時間に居合わせられないと関係は深まりにくくなります。参加可能な時間帯にどんな活動があるかを、具体的に聞いてみてください。

今の学校に在籍したまま、オンラインの居場所だけ使うことはできますか?

多くの場合、在籍したまま併用することは可能です。「辞めるか続けるか」の二択にしないという考え方についてはダブルスクールという選択肢で詳しく整理しています。ただし在籍校での出席の扱いや学校との連携は、学校ごと・自治体ごとに判断が異なるため、必ず担任・スクールカウンセラーや教育委員会にご相談ください。

オンラインが合わない子もいますか?

います。画面越しのやりとり自体が消耗になる子、体を動かしながら関わるほうが自然な子、家の中に落ち着いて過ごせる場所がない場合などは、オンラインだけでは難しいことがあります。また、学校から離れて間もない時期は、人と関わること自体に余力がないこともあります。急がず、地域の場も含めて複数の選択肢を並べておくことをおすすめします。

フリースクールとオンラインスクール、居場所としてはどちらがいいですか?

どちらが上ということはなく、通える距離にあるか、本人が外に出られる状態か、同世代と会いたいと思っているかによって変わります。文部科学省の令和6年度調査では、不登校の小中学生353,970人のうち、学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けていない児童生徒が135,724人(38.3%)と報告されています。まずは自治体の教育支援センターや在籍校に相談したうえで、通いの場とオンラインの両方を比べてみてください。費用や種類はフリースクールとは?費用・種類・出席扱いと全国の探し方で整理しています。

執筆|にじいろ編集部

「学校に合わない個性を応援する」教育情報サイト「にじいろ」の編集部。不登校・発達特性・オルタナティブな学びの選択肢について、公的機関や学校の公式情報など一次情報を確認しながら記事を作成しています。制度や支援の内容は変更されることがあるため、必ず該当する自治体・学校の最新の公式情報をご確認ください。

この記事の内容を確かめるための一次資料

「居場所」や不登校の支援については、事実と体験談が混ざって語られやすいテーマです。学校や自治体と話すときは、下記の一次資料を手元に置いて確認しながら進めることをおすすめします。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
こども家庭庁「こども・若者の居場所づくり」/「こどもの居場所づくりに関する指針」(令和5年12月22日閣議決定)居場所の考え方。「その場や対象を居場所と感じるかどうかは、こども・若者本人が決めることである」という原則、「居たい」「行きたい」「やってみたい」という視点
文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和7年10月29日公表)小・中学校の不登校児童生徒数353,970人、相談・指導等を受けていない児童生徒135,724人(38.3%)、相談先の内訳
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)「学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す」という支援の基本的な考え方
東京都教育委員会「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム事業」仮想空間を活用して「新たな居場所や学びの場」を提供する公的な取り組みの目的、対象、令和6年度の参加自治体(28自治体)

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本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の学校への入学を推奨するものではありません。学校の内容・料金・開校時期は変更される場合があります。また、在籍校での出席の取扱いや支援の内容は、学校・自治体・年度によって異なります。実際の検討にあたっては、必ず在籍校、お住まいの自治体の教育委員会、および各学校の公式情報を最新のものでご確認ください。お子さんの心身の状態について心配がある場合は、スクールカウンセラーや医療機関など専門機関にご相談ください。