日本の法律には、子どもを何歳から留守番させてよいかを年齢で定めた規定はありません。児童福祉法にも児童虐待防止法にも、その線引きは書かれていません。
ただし児童虐待防止法は、児童虐待の定義のひとつに「児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置」を挙げています。見られているのは年齢ではなく、放置の程度と安全が確保されているかどうかです。だから「何歳から」ではなく「何を決めてから始めるか」で考えるほうが実際に役立ちます。
法律に年齢の線引きはありません
「小学◯年生から」という基準を探しても、日本の法令には見つかりません。アメリカのように州法で年齢を定めている国もありますが、日本にはその規定がないためです。
いっぽうで、まったく無関係というわけでもありません。児童虐待の防止等に関する法律 第2条第3号には、こう書かれています。
児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
留守番そのものがただちにこれに当たるわけではありません。共働き家庭で子どもが数時間ひとりで過ごすことは、日本中で日常的に起きています。条文が問題にしているのは「長時間の放置」であり、その程度です。
つまり判断の軸は年齢ではなく、こう置き換えられます。連絡が取れるか。困ったときに頼れる大人がいるか。危険なものが手の届くところにないか。
実際、どのくらいの子が留守番をしているのか

こども家庭庁が学童の待機になっている子の保護者1,865人に聞いた調査では、主な過ごし方の63.9%が「自宅で過ごしている(留守番)」でした。放課後子供教室6.4%、祖父母宅6.3%、児童館4.5%を大きく引き離しています。
約3人に2人が、放課後をひとりで家で過ごしています。特別なことではありません。
そして待機の学年で最も多いのは小学4年生の689人(複数回答)。学童に申し込んで利用できなかった子どもの34.2%が小4です。留守番が現実になるのは、多くの家庭で小4前後だということです。
保護者が心配していることは、だいたい同じです
同じ調査の自由記述で、多かった声を件数の多い順に並べます(こども家庭庁による分類)。
| 心配していること | 件数 |
|---|---|
| 夏休みなど長期休みは一人で家にいるのが不安 | 約100件 |
| 留守番中の事故や不審者が心配 | 約90件 |
| 大人の見守りがある施設が増えると安心 | 約60件 |
いちばん多いのは平日ではなく、長期休みです。平日の数時間は何とかなっても、朝から夕方まで1日8時間前後が40日続く夏休みは、別の問題になります。
始める前に決めておく7つのこと
年齢で決められない以上、決められるのは準備の中身です。子どもと一緒に、この7つを先に決めてください。
| 決めること | 具体的に |
|---|---|
| ①鍵の管理 | どこに入れるか。玄関前で出さない。首から下げて見せない |
| ②来客への対応 | 出ないのが基本。宅配も出ない、と決めておくほうが迷わない |
| ③電話への対応 | 知らない番号は出ない。「親は今いません」と言わない |
| ④火と刃物 | 使わせるかどうかを明確に。使わせないなら、食べるものを先に用意する |
| ⑤連絡手段 | いつ・誰に・どう連絡するか。「帰ったら1回」など回数まで決める |
| ⑥外出のルール | 出ていいのか、どこまでか、誰に伝えるか |
| ⑦緊急時の連絡先 | 親以外に頼れる大人を最低1人。紙に書いて見える場所に貼る |
コツは、いきなり3時間にしないことです。30分、1時間と短いところから始めて、そのつど「どうだった?」を聞く。うまくいった経験が積み上がってから延ばすほうが、結果的に早く安定します。

いちばんのリスクは「時間の長さ」です
条文が「長時間の放置」と書いているとおり、リスクは時間の長さに比例します。
平日の放課後は、16時に帰宅して親が19時に帰るとして3時間。1日3時間×週5日×年間40週で、およそ600時間になります。ここに夏休みが加わると、さらに増えます。
だからこそ「留守番できるかどうか」より「留守番の時間をどう短くするか・どう埋めるか」のほうが現実的な問いです。無料で使えるものから順に、放課後子供教室、児童館、図書館。そのうえで習い事や民間学童。
選択肢の全体像は小4の壁とは?学童に入れなくなった放課後をどうするかで、7つを費用と時間帯つきで比較しています。学童に落ちた直後にやることは学童に落ちたらどうするかにまとめました。
「ひとり」を「ひとりじゃない」に変える
それでも埋まらない時間は残ります。とくに送迎する人がいない家庭では、どこかへ通わせること自体が難しいからです。
そこで現実的になるのが、自宅にいたまま参加できるオンラインの放課後です。「オンライン学童」と呼ばれることもあります。

| 留守番との違い | 中身 |
|---|---|
| 大人が見ている | 画面越しに見守る大人がいる。何かあれば気づかれる |
| やることがある | ひとりで3時間を自分で組み立てる必要がなくなる |
| 参加したかが分かる | 記録が残るので、親が後から確認できる |
| 送迎がいらない | 家から出ないので、行き帰りの安全を心配しなくていい |
ただし正直に書いておくと、身体は家にひとりのままです。火の元や来客、体調不良への物理的な対応はできません。ひとりで留守番ができることが前提で、それが難しい年齢・状況なら、民間学童やファミリー・サポート・センターを先に検討してください。上の7つのルールも、変わらず必要です。
実際にどう過ごしているのかは、マイクラ好きの小学生向けオンラインサークルの記事で紹介しています。

よくある質問
小学生の留守番は何歳から法律で認められていますか?
年齢で線を引いた規定はありません。児童福祉法にも児童虐待防止法にも、何歳から留守番させてよいという条文はないため、家庭と子どもの状況に応じた判断になります。
留守番をさせるとネグレクトになりますか?
留守番そのものがただちにネグレクトになるわけではありません。ただし児童虐待防止法第2条第3号は「児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置」を児童虐待と定義しています。判断されるのは年齢ではなく、放置の程度と安全の確保です。
何時間までなら留守番させていいですか?
時間の上限を定めた規定はありません。ただし条文が問題にしているのは「長時間の放置」なので、短時間から始めて少しずつ延ばす、連絡が取れる状態にしておく、といった積み重ねが現実的です。
ひとりっ子だと留守番は難しいですか?
きょうだいがいれば安心とは限りません。年上の子に年下の面倒を任せることが負担になる場合もあります。人数より、連絡が取れるか・困ったときに頼れる大人がいるかで考えてください。
留守番中の連絡手段はどうすればいいですか?
キッズ携帯、見守りGPS、家族用のタブレットなど、家庭に合うもので構いません。大事なのは道具より、いつ・誰に・どう連絡するかを事前に決めておくことです。
見守りカメラは使ったほうがいいですか?
家庭の判断です。使う場合は、子ども本人に説明して納得を得たうえで設置してください。黙って監視する形になると、信頼関係のほうが損なわれます。
お昼ごはんはどうすればいいですか?
長期休みでいちばん困るところです。火を使わせない前提にすると、前日に用意しておく、レンジだけで済むものにする、といった形になります。火や刃物を使うかどうかは、家庭のルールとして明確に決めておいてください。
留守番中に何を心配している家庭が多いですか?
国のアンケートの自由記述では「夏休みなど長期休みは一人で家にいるのが不安」が約100件、「留守番中の事故や不審者が心配」が約90件と、上位に並んでいます。多くの家庭が同じことを心配しています。
留守番の時間をどう過ごさせればいいですか?
学童の待機になった子の63.9%が自宅で留守番をしていますが、ひとりで3時間を自分で組み立てるのは大人でも難しいことです。習い事や放課後子供教室で曜日を埋める、自宅から参加できるオンラインの活動を使うなど、時間の中身を用意しておくと負担が減ります。
まとめ
「何歳から」の答えは、法律にはありません。あるのは「長時間の放置」をネグレクトと定義した条文だけです。年齢ではなく、放置の程度と安全の確保が見られます。
だから決めるべきは年齢ではなく、7つのルールです。鍵、来客、電話、火と刃物、連絡手段、外出、緊急連絡先。そして短い時間から始めること。
そのうえで、留守番の時間そのものを短くする・中身をつくるほうに手を打ってください。放課後の3時間は、1年で約600時間あります。
この記事について
文:佐藤仁美(にじいろ編集部 記者)
法令はe-Gov法令検索から、統計はこども家庭庁の公表資料をもとに構成しました。留守番の可否は家庭と子どもの状況によって異なります。判断に迷う場合は、お住まいの市区町村の子育て相談窓口にご相談ください。
出典
- 児童虐待の防止等に関する法律(第2条第3号)/e-Gov法令検索
- 児童福祉法/e-Gov法令検索
- こども家庭庁「放課後のこどもの過ごし方に関する保護者アンケート(調査時点:令和7年7月1日・回答1,865件)結果」PDF
- こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和7年5月1日現在)」PDF


