チック症・トゥレット症とは?子どもの症状・原因・学校での対応を解説

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「まばたきを何度も繰り返す」「咳払いや鼻すすりが続く」「肩をすくめるような動きを繰り返す」——お子さんにこうした様子はありませんか。

本人の意思とは関係なく体が動いたり声が出たりする状態を「チック症」と呼び、運動チックと音声チックの両方が1年以上続く場合は「トゥレット症」と呼ばれます。「わざとやっている」「くせ」と誤解されやすい特性ですが、実際は本人にもコントロールが難しい神経学的な状態です。

本記事では、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)の診断基準や公的資料を踏まえ、チック症・トゥレット症の症状の特徴、家庭や学校での対応、オンラインオルタナティブスクールNIJINアカデミーでの実際のサポート事例まで解説します。


自宅でリラックスして過ごす子どものイメージ
目次

チック症・トゥレット症とは?DSM-5による診断基準

チック症とは、まばたき・首振り・肩すくめなどの「運動チック」や、咳払い・鼻すすり・発声などの「音声チック」が、本人の意思とは関係なく突発的に繰り返される状態です。DSM-5では、症状の種類や持続期間によって「暫定的チック症」「持続性(慢性)チック症」「トゥレット症」に分類されます。

トゥレット症は、複数の運動チックと1つ以上の音声チックが、18歳未満で発症し1年以上にわたって続く場合に診断されます。厚生労働省の資料でも、チックは本人の意思や性格の問題ではなく、脳の神経機能に関わる特性として位置づけられており、叱ることでは改善しないとされています。

チックの種類と具体的な症状の例

チックは「単純」なものから「複雑」なものまで幅があり、緊張・疲労・興奮した場面で強く出やすい傾向があります。

チックの種類 よく見られる症状の例 今日からできる対応
単純運動チックまばたき、首振り、肩すくめなど、短く単純な動きの繰り返し。指摘せず見守る。本人が疲れているときは休息を優先する。
複雑運動チック物に触れる、跳ねる、特定の動作を組み合わせた一連の動き。安全に動ける環境(周囲に物がないか等)を整える。
単純音声チック咳払い、鼻すすり、「ん」などの短い発声の繰り返し。「うるさい」と注意せず、体調不良ではないことを周囲に伝えておく。
複雑音声チック単語や特定のフレーズを繰り返す発声。本人が気にしすぎないよう、さりげない対応を心がける。

家庭でできる対応への対策をもっと詳しく

  • チックを指摘したり止めさせようとしたりせず、さりげなく見守る。
  • 緊張・疲労・興奮するとチックが増える傾向があるため、生活リズムを整え休息の時間を確保する。
  • 本人が気にしている場合は「体の癖みたいなもので、わざとじゃないんだよね」と伝え、安心させる。

学校生活での対応への対策をもっと詳しく

  • 授業中のチックについて、あらかじめ担任の先生や周囲の子どもたちに「わざとではない」ことを共有しておく。
  • テストや発表など緊張する場面ではチックが増えやすいことを想定し、時間や環境に配慮してもらう。
  • からかいやいじめにつながらないよう、学級全体への理解を広める機会を学校に相談する。

チック症・トゥレット症が学校生活・学習に与える影響と対策

チック症のあるお子さんは、症状そのものより「周囲の目」を気にすることによる二次的なストレスが学習や登校の負担になっていることがあります。

【影響1】授業中や発表の場面でチックが増えてしまう

教室で過ごす子どものイメージ
  • 原因: 人前での発表や注目を浴びる場面は緊張が高まりやすく、チックが強く出やすいため。
  • 対策:
    • 発表は事前に準備する時間を多めに確保してもらう。
    • チックが出た際に本人が気にしすぎないよう、あらかじめクラスに理解を広めておく。
    • 疲れているときは無理に発表を求めない配慮をお願いする。

【影響2】友達にからかわれることを気にして登校をためらう

子どもの様子を見守る保護者のイメージ
  • 原因: チックは本人の意思でコントロールできないにもかかわらず、周囲から誤解されからかいの対象になりやすいため。
  • 対策:
    • 学校側にいじめ・からかいへの対応方針を確認しておく。
    • 本人が安心して過ごせる居場所(保健室や相談室)を確保する。
    • 無理に学校に行かせるのではなく、本人のペースを尊重する。

チック症・トゥレット症のある子への学びの取り組み

対面の教室では、チックへの周囲の視線を気にして学習に集中できないお子さんも少なくありません。NIJINでは、チックを気にせず学べる教育環境を提供しています。

事例1:カメラ・マイクのON/OFF自由化で人目を気にせず参加

自宅でオンライン授業を受ける子どものイメージ

オンラインフリースクールNIJINアカデミーでは、授業中のカメラON/OFFを生徒自身が選択できます。チックの症状が気になるときはカメラをオフにするなど、自分のペースで安心して授業に参加できます。

事例2:メタバースキャンパス「NIJIN CITY」でアバターを通じた交流

メタバース空間「NIJIN CITY」のイメージ

バーチャル空間NIJIN CITYでは、アバターを通じて他者と繋がることができます。実際の見た目や動きを気にすることなく、安心してコミュニケーションに参加できます。

事例3:専門スタッフによる特性理解のサポート

スタッフが子どもを見守るイメージ

NIJINでは、チックを含む特性を事前にヒアリングし、無理に一律のやり方を強制しません。安心できる環境の中で、「自分らしく居られる」と感じられる経験を積み重ねられます。

【場面別】学校や家庭で今日からできる合理的配慮の依頼

チックは周囲の理解が得られるかどうかで本人の負担が大きく変わります。事前に担任の先生と情報を共有し、合理的配慮を依頼することが大切です。

✉️ 学校・担任への相談メモ例文
◯◯(お子さんの名前)の学校生活についてご相談がございます。 ◯◯には「チック症」の特性があり、まばたきや咳払いなどの動作・発声が本人の意思とは関係なく出てしまう状態があります。 わざとやっているわけではなく、脳の神経機能に関わる特性ですので、学校生活を安心して送るために以下の配慮をご検討いただけないでしょうか。 1. チックについてクラスメイトへの理解を広めていただくこと(本人・家族の意向を確認のうえ) 2. 発表やテストなど緊張しやすい場面での時間・環境の配慮 本人が安心して学校生活を送れるよう、協力して対策を考えていけますと幸いです。

この記事の内容を確かめるための一次資料

発達特性の話は、ネット上に断定的な情報があふれています。診断や支援の枠組みは公的機関が定義しているものなので、判断に迷ったときは一次資料に戻るのがいちばん確実です。とくに支援級・通級の仕組みは自治体で運用が違うため、制度の原文を知っておくと学校との話が具体的になります。

下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害情報・支援センター」特性の定義と支援の基本。全国の支援センター一覧
文部科学省「特別支援教育」通級・支援級・支援学校の制度と対象の考え方
国立精神・神経医療研究センター医学的な情報と研究の一次情報
文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」小中の不登校353,970人。全国の最新の実数
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針
同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合)教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件
同 別記2(自宅でICT等を活用した学習)自宅学習を出席扱いにする7つの要件
文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件
文部科学省「COCOLOプラン」誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策
文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」全国1,045市区町村の公式相談窓口
教育機会確保法(e-Gov法令検索)第13条が「休養の必要性」を条文で認めている
こども家庭庁「子育て支援」子育て世帯が使える支援制度の全体像
国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料

学校に相談するときの進め方

1

① 支援の目標をすり合わせる

「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。

2

② 具体的な場所を挙げる

「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。

3

③ 出席扱いの要件を一緒に確認する

「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。

4

④ 決めたことを記録に残す

面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター全国1,045市区町村の窓口一覧

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先聞けること費用向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)出席の扱い、校内の別室、学習の進め方無料まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)学校外の公的な居場所、通所と出席扱い原則無料学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)体験活動中心の居場所、少人数の学び月1〜5万円程度興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン自宅から参加できる学び、出席扱いの実務スクールにより異なる外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)体の不調の背景、診断と治療保険診療睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル子ども本人・保護者どちらの相談も無料・24時間いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

チック症・トゥレット症に関するよくある質問(FAQ)

Q1. チックは叱ればやめさせられますか?

チックは本人の意思でコントロールできるものではなく、叱ることは逆にストレスを増やしチックを悪化させる可能性があります。指摘せず見守ることが基本的な対応です。

Q2. チック症は成長とともに治りますか?

多くの一過性のチックは自然に軽快することがありますが、トゥレット症のように長期間続くケースもあります。経過は個人差が大きいため、気になる場合は専門医に相談することをおすすめします。

Q3. トゥレット症は発達障害の一種ですか?

トゥレット症はDSM-5において神経発達症群に分類されており、ADHDやASDを併存することも珍しくありません。ただし独立した診断名であり、必ずしも他の発達障害を伴うわけではありません。

Q4. 学校の先生には、どのように伝えればよいですか?

「チック症があります」とだけ伝えるより、「わざとではないこと」「指摘せず見守ってほしいこと」を具体的に伝えると、学校側も対応を検討しやすくなります。必要に応じて主治医の意見書を活用する方法もあります。

Q5. 家庭でまず取り組める対応はありますか?

チックを指摘せず見守ること、疲労やストレスを減らす生活リズムを整えることが基本です。本人が気にしている場合は、体の癖であり悪いことではないと安心させる声かけも大切です。

まとめ:チック症は「くせ」ではなく神経学的な特性

チック症・トゥレット症は、本人の意思や性格の問題ではなく、脳の神経機能に関わる特性です。指摘せず見守り、周囲の理解を広げることが、本人の負担を大きく減らします。

もし既存の教室環境で周囲の目が気になり学習に集中できない場合は、オンラインやメタバース空間を活用した多様な学びの選択肢を体験してみてください。

【監修】佐藤 仁美(作業療法士)

児童発達支援・放課後等デイサービスで、発達に特性のある子どもへの支援に従事。現在はNIJINアカデミー東金校の教室長として、不登校の子どもたちの学びを支援している。
「子どもを変える」のではなく、「子どもが安心して過ごせる環境をつくること」を大切に、一人ひとりに寄り添った支援を実践している。

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