吃音(きつおん)とは?子どもの症状・原因・話しやすくなる関わり方

kitsuon イメージ

「『あ、あ、あのね』と同じ音を繰り返す」「言葉がなかなか出てこず詰まってしまう」「話す前に言葉が出てこなくて黙り込んでしまう」——お子さんにこうした話し方の様子はありませんか。

これは「吃音(きつおん)」と呼ばれる、話し言葉の流暢さに関わる特性かもしれません。「緊張しているだけ」「気にしすぎ」と誤解されやすいですが、実際は本人の意思ではコントロールしにくい発話の特性です。

本記事では、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)における位置づけや公的資料を踏まえ、吃音の症状の特徴、家庭や学校での関わり方、オンラインオルタナティブスクールNIJINアカデミーでの実際のサポート事例まで解説します。


自宅でリラックスして過ごす子どものイメージ
目次

吃音とは?DSM-5による診断基準と発症の傾向

吃音とは、話そうとする言葉が滑らかに出てこない状態を指し、「あ、あ、あのね」のように音を繰り返す「連発」、「あーーのね」のように音を引き伸ばす「伸発」、言葉が出てこず間が空く「難発(ブロック)」などの症状があります。DSM-5では「小児期発症流暢症(吃音)」として、コミュニケーション症群に分類されています。

吃音は多くの場合、2〜5歳ごろの言葉の発達が急速に進む時期に始まるとされ、成長とともに自然に軽快するケースも少なくありません。厚生労働省の資料でも、吃音は本人の性格や育て方の問題ではなく、発話に関わる脳の働きの特性として位置づけられており、無理に話し方を矯正しようとすることは推奨されていません。

吃音の症状のタイプと具体例

吃音の症状は緊張・急いでいる場面で強く出やすく、リラックスした場面では目立たないこともあります。

症状のタイプ 具体的な様子の例 今日からできる関わり方
連発「か、か、から」のように音や単語の一部を繰り返す。最後まで話を遮らず、ゆっくり待つ。
伸発「かーーらす」のように音を引き伸ばす。話し方を真似したり指摘したりしない。
難発(ブロック)言葉が出てこず、詰まって間が空く。「ゆっくりでいいよ」と焦らせない雰囲気をつくる。
随伴症状話す際に体をこわばらせる、まばたきを強くするなど。本人が話しやすい姿勢や場所を一緒に探す。

家庭でできる関わり方への対策をもっと詳しく

  • 話し終わるまで遮らず、急かさずゆっくり待つ。
  • 「ゆっくり話して」「深呼吸して」など話し方を指示せず、内容に注目して聞く。
  • 家族自身がゆっくりとした話し方のモデルを見せることで、話しやすい雰囲気をつくる。

学校生活での関わり方への対策をもっと詳しく

  • 音読や発表など、話す場面が多い授業について事前に担任の先生と相談しておく。
  • からかいにつながらないよう、周囲の子どもたちへの理解を広める機会を検討する。
  • 本人が「今日は話したくない」と感じる日には、無理に発言を求めない配慮をお願いする。

吃音が学校生活・学習に与える影響と対策

吃音のあるお子さんは、話すこと自体への苦手意識から、発表や音読を避けたいと感じることがあります。

【影響1】音読や発表の場面で強い不安を感じる

教室で過ごす子どものイメージ
  • 原因: 人前で話すことへの緊張が吃音の症状を強めやすく、失敗経験が積み重なると発言そのものを避けたくなるため。
  • 対策:
    • 発表は事前に個別で練習する時間を用意してもらう。
    • 全員の前での音読の代わりに、事前録音やプリント提出などの代替方法を相談する。
    • 無理に発言を求めず、本人のペースを尊重してもらう。

【影響2】からかわれることを気にして発言を控えるようになる

子どもの様子を見守る保護者のイメージ
  • 原因: 話し方を真似されたりからかわれたりする経験が、本人の自信や発言意欲を大きく損なうため。
  • 対策:
    • 学校側にいじめ・からかいへの対応方針を確認しておく。
    • クラス全体への理解を広める機会を学校に相談する。
    • 家庭では話す内容そのものに注目し、話し方を評価しない姿勢を貫く。

吃音のある子への学びの取り組み

対面の教室では、発言や音読の場面で吃音を意識しすぎてしまい、学習参加そのものが負担になるお子さんもいます。NIJINでは、話すことへのプレッシャーを減らした学びの環境を提供しています。

事例1:チャットや文字でも参加できる授業スタイル

自宅でオンライン授業を受ける子どものイメージ

オンラインフリースクールNIJINアカデミーでは、音声だけでなくチャット機能でも発言・質問ができます。話すことへの緊張を感じる場面でも、自分に合った方法で授業に参加できます。

事例2:メタバースキャンパス「NIJIN CITY」でのマイペースな交流

メタバース空間「NIJIN CITY」のイメージ

バーチャル空間NIJIN CITYでは、アバターを通じて他者と繋がることができます。対面のような即座の反応を求められるプレッシャーが少なく、自分のペースでコミュニケーションを取ることができます。

事例3:専門スタッフによる特性理解のサポート

スタッフが子どもを見守るイメージ

NIJINでは、吃音を含む特性を事前にヒアリングし、話し方を評価したり急かしたりしません。「話す内容」に注目してもらえる安心感の中で、発言への自信を積み重ねられます。

【場面別】学校や家庭で今日からできる合理的配慮の依頼

吃音は「待ってもらえる」環境かどうかで本人の負担が大きく変わります。事前に担任の先生と情報を共有し、合理的配慮を依頼することが大切です。

✉️ 学校・担任への相談メモ例文
◯◯(お子さんの名前)の学校生活についてご相談がございます。 ◯◯には「吃音」の特性があり、言葉がなかなか出てこなかったり、同じ音を繰り返してしまったりする状態があります。 わざとやっているわけではなく、発話に関わる特性ですので、学校生活を安心して送るために以下の配慮をご検討いただけないでしょうか。 1. 発言や音読の際、急かさずゆっくり最後まで聞いていただくこと 2. 音読・発表の代替方法(事前録音、プリント提出など)のご検討 本人が安心して学校生活を送れるよう、協力して対策を考えていけますと幸いです。

この記事の内容を確かめるための一次資料

発達特性の話は、ネット上に断定的な情報があふれています。診断や支援の枠組みは公的機関が定義しているものなので、判断に迷ったときは一次資料に戻るのがいちばん確実です。とくに支援級・通級の仕組みは自治体で運用が違うため、制度の原文を知っておくと学校との話が具体的になります。

下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害情報・支援センター」特性の定義と支援の基本。全国の支援センター一覧
文部科学省「特別支援教育」通級・支援級・支援学校の制度と対象の考え方
国立精神・神経医療研究センター医学的な情報と研究の一次情報
文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」小中の不登校353,970人。全国の最新の実数
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針
同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合)教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件
同 別記2(自宅でICT等を活用した学習)自宅学習を出席扱いにする7つの要件
文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件
文部科学省「COCOLOプラン」誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策
文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」全国1,045市区町村の公式相談窓口
教育機会確保法(e-Gov法令検索)第13条が「休養の必要性」を条文で認めている
こども家庭庁「子育て支援」子育て世帯が使える支援制度の全体像
国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料

学校に相談するときの進め方

1

① 支援の目標をすり合わせる

「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。

2

② 具体的な場所を挙げる

「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。

3

③ 出席扱いの要件を一緒に確認する

「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。

4

④ 決めたことを記録に残す

面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター全国1,045市区町村の窓口一覧

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先聞けること費用向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)出席の扱い、校内の別室、学習の進め方無料まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)学校外の公的な居場所、通所と出席扱い原則無料学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)体験活動中心の居場所、少人数の学び月1〜5万円程度興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン自宅から参加できる学び、出席扱いの実務スクールにより異なる外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)体の不調の背景、診断と治療保険診療睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル子ども本人・保護者どちらの相談も無料・24時間いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

吃音に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 吃音は自然に治りますか?

幼児期に始まる吃音の多くは成長とともに自然に軽快するとされていますが、学齢期以降も続くケースもあります。心配な場合は、言語聴覚士など専門家への相談をおすすめします。

Q2. 「ゆっくり話して」と声をかけるのは逆効果ですか?

話し方を指摘したり指示したりすることは、本人が話すこと自体に意識を向けすぎてしまい、かえって緊張を高める場合があります。話し方より内容に注目して聞く姿勢が大切です。

Q3. 吃音は発達障害の一種ですか?

DSM-5では吃音は「小児期発症流暢症」としてコミュニケーション症群に分類されており、ADHDやASDとは異なる診断名です。ただし他の発達特性を併せ持つこともあります。

Q4. 学校の先生には、どのように伝えればよいですか?

「吃音があります」とだけ伝えるより、「急かさずに待ってほしい」「音読の代替方法を検討してほしい」など、具体的な配慮内容をセットで伝えると、学校側も対応を検討しやすくなります。

Q5. 家庭でまず取り組める対応はありますか?

話を最後まで遮らずに聞くこと、話し方を指摘しないことが基本です。家族がゆっくりとした話し方のモデルを見せることも、話しやすい雰囲気づくりに役立ちます。

まとめ:吃音は「待つこと」で本人の負担が大きく変わる

吃音は、本人の性格や緊張の問題ではなく、発話に関わる特性です。話し方を指摘せず、最後まで待って聞く姿勢が、本人の負担を大きく減らします。

もし既存の教室環境で発言のプレッシャーが強く学習に集中できない場合は、オンラインやメタバース空間を活用した多様な学びの選択肢を体験してみてください。

【監修】佐藤 仁美(作業療法士)

児童発達支援・放課後等デイサービスで、発達に特性のある子どもへの支援に従事。現在はNIJINアカデミー東金校の教室長として、不登校の子どもたちの学びを支援している。
「子どもを変える」のではなく、「子どもが安心して過ごせる環境をつくること」を大切に、一人ひとりに寄り添った支援を実践している。

目次