発達障害と偏食の関係とは?食べられるものが少ない子への対応

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「決まったメニューしか食べない」「特定の食感や色のものを強く拒否する」「給食が食べられず苦痛に感じている」——お子さんにこうした偏食の様子はありませんか。

発達障害のあるお子さんには、こうした強い偏食が見られることがあります。「わがまま」「好き嫌い」と誤解されがちですが、感覚過敏や新しいものへの不安といった特性が背景にあることが少なくありません。

本記事では、発達障害と偏食の関係、DSM-5における位置づけ、家庭や給食場面での対応、オンラインオルタナティブスクールNIJINアカデミーでの実際のサポート事例まで解説します。


料理教室で調理に取り組む子どものイメージ
目次

発達障害と偏食はなぜ関係するのか

発達障害のあるお子さんに見られる偏食の背景には、味・におい・食感といった感覚への過敏さ(感覚過敏)、初めての食べ物に対する強い不安、こだわりの特性などが関わっていると考えられています。単なる好き嫌いとは異なり、特定の食感や見た目のものをどうしても受け付けられないケースも少なくありません。

DSM-5には、極端な偏食によって栄養状態や体重に影響が出る状態として「回避・制限性食物摂取症(ARFID)」という診断名があり、発達特性のある子どもに一定の割合で見られることが知られています。厚生労働省の資料でも、偏食は本人のわがままではなく、感覚特性への配慮が必要な状態として位置づけられています。

偏食の背景にある感覚特性の例

偏食には「味が苦手」以外にも、さまざまな感覚特性が関わっていることがあります。

感覚のタイプ よく見られる様子の例 今日からできる工夫
食感ぬるぬる・ぶつぶつした食感を強く嫌がる、特定の硬さしか受け付けない。同じ食材でも切り方や調理法を変えて食感を調整する。
におい特定のにおいで気分が悪くなる、給食のにおいだけで食べられなくなる。強いにおいの食材は本人の様子を見ながら量や調理法を調整する。
見た目・色混ざった料理や特定の色の食材を強く拒否する。食材を混ぜずに盛り付ける、見た目をシンプルにする。
新規性への不安初めて見る料理は食べる前から拒否してしまう。無理に食べさせず、まずは「見る」「匂いを嗅ぐ」段階から慣れていく。

家庭でできる工夫への対策をもっと詳しく

  • 無理に食べさせようとせず、「一口だけ挑戦してみる」など本人のペースを尊重する。
  • 同じ食材でも切り方・味付け・調理法を変えて、食べられる形を一緒に探す。
  • 食べられるものが少なくても、栄養バランスは複数日・複数週間の単位で緩やかに考える。

給食・学校での工夫への対策をもっと詳しく

  • 苦手な食材や食感について、あらかじめ担任・栄養士の先生に共有しておく。
  • 「完食させる」ことを目標にせず、無理のない量への配慮を依頼する。
  • 必要に応じて、お弁当の持参など代替対応が可能か学校に相談する。

偏食が学校生活・学習に与える影響と対策

偏食は食事の場面だけでなく、学校生活全体のストレスや自己肯定感にも影響することがあります。

【影響1】給食の時間が苦痛で登校をためらうようになる

教室で過ごす子どものイメージ
  • 原因: 完食指導や周囲の視線が強いプレッシャーとなり、食事の時間そのものへの苦手意識が強まるため。
  • 対策:
    • 完食を求めず、食べられる量・ものへの配慮を学校に依頼する。
    • 給食が難しい日は、お弁当持参など代替方法を相談する。
    • 無理をさせず、本人のペースを最優先する。

【影響2】栄養の偏りから体調や集中力に影響が出る

自宅で過ごす子どものイメージ
  • 原因: 食べられるものが極端に少ないと、栄養バランスの偏りが体調や学習への集中力に影響することがあるため。
  • 対策:
    • 極端な偏食が続く場合は、小児科や栄養士に相談する。
    • サプリメントなど栄養補助の活用を医師と相談する選択肢もある。
    • 「食べられる範囲で工夫する」姿勢を家庭と学校で共有する。

偏食のある子への学びの取り組み

対面の給食指導が本人の大きな負担になっているお子さんもいます。NIJINでは、食事のプレッシャーを感じにくい学びの環境を提供しています。

事例1:給食のプレッシャーがない在宅中心の学習スタイル

自宅でオンライン授業を受ける子どものイメージ

オンラインフリースクールNIJINアカデミーでは、自宅で自分の食べ慣れたもので食事をとりながら学習に参加できます。給食の完食プレッシャーから解放され、食事へのストレスを軽減できます。

事例2:料理教室で「食べられるもの」を楽しく広げる取り組み

完成した料理を並べて拍手している小学生と先生のイメージ

NIJINアカデミーの体験活動の一つである料理教室では、無理に完食を求めず、自分で作る楽しさを通じて食への興味を広げる機会を提供しています。「作ってみたら少し食べられた」という成功体験を大切にしています。

事例3:専門スタッフによる個別の「食事特性」サポート

スタッフが子どもを見守るイメージ

NIJINでは、偏食の背景にある感覚特性を事前にヒアリングし、無理に食べさせることはしません。本人のペースを尊重しながら、少しずつ食への安心感を育むサポートを行っています。

【場面別】学校や家庭で今日からできる合理的配慮の依頼

偏食は「わがまま」と誤解されやすい特性です。学校の先生と早めに情報を共有し、合理的配慮を依頼することが大切です。

✉️ 学校・給食担当への相談メモ例文
◯◯(お子さんの名前)の給食についてご相談がございます。 ◯◯には感覚特性による「強い偏食」があり、特定の食感やにおいのものをどうしても受け付けられない状態があります。 わがままや好き嫌いではなく、感覚処理の特性によるものですので、安心して学校生活を送るために以下の配慮をご検討いただけないでしょうか。 1. 完食を求めず、食べられる量・ものへの配慮をお願いしたいこと 2. 難しい場合、お弁当持参など代替方法についてのご相談 本人が無理なく学校生活を送れるよう、協力して対策を考えていけますと幸いです。

この記事の内容を確かめるための一次資料

発達特性の話は、ネット上に断定的な情報があふれています。診断や支援の枠組みは公的機関が定義しているものなので、判断に迷ったときは一次資料に戻るのがいちばん確実です。とくに支援級・通級の仕組みは自治体で運用が違うため、制度の原文を知っておくと学校との話が具体的になります。

下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害情報・支援センター」特性の定義と支援の基本。全国の支援センター一覧
文部科学省「特別支援教育」通級・支援級・支援学校の制度と対象の考え方
国立精神・神経医療研究センター医学的な情報と研究の一次情報
文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」小中の不登校353,970人。全国の最新の実数
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針
同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合)教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件
同 別記2(自宅でICT等を活用した学習)自宅学習を出席扱いにする7つの要件
文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件
文部科学省「COCOLOプラン」誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策
文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」全国1,045市区町村の公式相談窓口
教育機会確保法(e-Gov法令検索)第13条が「休養の必要性」を条文で認めている
こども家庭庁「子育て支援」子育て世帯が使える支援制度の全体像
国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料

学校に相談するときの進め方

1

① 支援の目標をすり合わせる

「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。

2

② 具体的な場所を挙げる

「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。

3

③ 出席扱いの要件を一緒に確認する

「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。

4

④ 決めたことを記録に残す

面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター全国1,045市区町村の窓口一覧

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先聞けること費用向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)出席の扱い、校内の別室、学習の進め方無料まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)学校外の公的な居場所、通所と出席扱い原則無料学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)体験活動中心の居場所、少人数の学び月1〜5万円程度興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン自宅から参加できる学び、出席扱いの実務スクールにより異なる外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)体の不調の背景、診断と治療保険診療睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル子ども本人・保護者どちらの相談も無料・24時間いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

発達障害と偏食に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 偏食は「わがまま」を直せば治りますか?

偏食は感覚過敏や不安といった特性が背景にあることが多く、しつけや我慢で直そうとすると、かえって食事へのストレスや拒否感を強めてしまうことがあります。無理強いせず、本人のペースを尊重することが大切です。

Q2. 栄養バランスが心配です。どう考えればよいですか?

1食・1日単位で完璧を目指すのではなく、複数日・複数週間の単位で緩やかにバランスを考えることをおすすめします。極端な偏りが心配な場合は、小児科や栄養士に相談してください。

Q3. 偏食がひどい場合、発達障害の診断が必要ですか?

強い偏食はASD(自閉スペクトラム症)などの特性の一つとして見られることがありますが、偏食があるからといって必ず発達障害の診断がつくわけではありません。気になる場合は小児科や専門機関にご相談ください。

Q4. 学校の給食担当には、どのように伝えればよいですか?

「偏食があります」とだけ伝えるより、「完食を求めないでほしい」「食べられないものの代替を相談したい」など、具体的な配慮内容をセットで伝えると、学校側も対応を検討しやすくなります。

Q5. 家庭でまず取り組める、手軽な工夫はありますか?

無理に食べさせず、「見る」「匂いを嗅ぐ」段階から少しずつ慣れていく方法がおすすめです。同じ食材でも切り方や調理法を変えて、食べられる形を一緒に探してみてください。

まとめ:偏食は「わがまま」ではなく感覚特性への理解から

発達障害に伴う偏食は、本人のわがままや好き嫌いの問題ではなく、感覚特性や不安が背景にあることが多い状態です。無理に食べさせるより、食べられる形を一緒に探す姿勢が、本人の負担を大きく減らします。

もし給食の時間が本人にとって大きな負担になっている場合は、オンラインでの学びの選択肢も検討してみてください。

【監修】佐藤 仁美(作業療法士)

児童発達支援・放課後等デイサービスで、発達に特性のある子どもへの支援に従事。現在はNIJINアカデミー東金校の教室長として、不登校の子どもたちの学びを支援している。
「子どもを変える」のではなく、「子どもが安心して過ごせる環境をつくること」を大切に、一人ひとりに寄り添った支援を実践している。

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