外国につながる子どもの不就学と進路の壁|「学校に行っていない」を放置しないために家庭と学校ができること

外国につながる子どもの教育
外国につながる子どもの不就学と進路の壁|「学校に行っていない」を放置しないために家庭と学校ができること

日本に住んでいるのに、どこの学校にも通っていない子どもがいます。文部科学省の調査では、学齢(がくれい/小学校・中学校に通う年齢)にあたる外国籍の子どものうち9,153人が「不就学の可能性がある」とされました(令和7年度調査)。手続きがわからない、日本語が不安、在留資格のことが心配——理由はさまざまです。この記事では、外国につながる子どもが「学校に行っていない」状態から、中学卒業後の進路(高校進学・定時制・通信制・夜間中学)につながるまでを、公的な一次情報にもとづいて順番に整理します。

学びの選択肢 執筆 にじいろ編集部 最終更新 2026.09.04

この記事の結論

  • 文部科学省の令和7年度調査では、学齢相当の外国籍の子ども177,726人のうち9,153人が「不就学の可能性がある」とされました。うち「不就学」と確認されたのは911人、「就学状況が確認できない」が8,013人です。
  • 外国籍の子どもには日本の就学義務は課されません。ただし国は「希望すれば日本人と同じように公立の小中学校で無償で受け入れる」という方針をとっています。「義務ではない」=「通えない」ではありません。
  • 学齢を過ぎてしまった場合でも、教育委員会の判断で公立中学校に受け入れられることがあり、夜間中学という道もあります。
  • 中学卒業後の進路は全日制だけではありません。定時制・通信制・高等専修学校など、働きながら・日本語を学びながら通える選択肢があります。
  • 公立高校入試で外国人生徒等のための特別定員枠を設けているのは20都道府県(文部科学省・令和6年度調査)。住んでいる都道府県によって条件がまったく違うため、中学2年生のうちに調べ始めるのが安全です。

「不就学」とは? 数字で見る、いまの日本

不就学(ふしゅうがく)とは、小学校・中学校に通う年齢(学齢)なのに、どの学校にも在籍していない状態のことです。日本に住む外国籍の子どもについて、文部科学省は毎年、全国の市区町村を通じて就学の状況を調べています。

最新の「外国人の子供の就学状況等調査(令和7年度)」(調査基準日 令和7年5月1日・令和8年5月25日公表)では、次のような結果が出ています。

外国人の子供の就学状況(文部科学省「外国人の子供の就学状況等調査(令和7年度)」より)
区分人数内容
学齢相当の外国人の子供177,726人
(過去最多)
住民基本台帳にもとづく、小学校・中学校に通う年齢の外国籍の子どもの数
義務教育諸学校に在籍150,786人(85.0%)公立・国立・私立の小学校・中学校など
外国人学校等に在籍11,949人(6.7%)ブラジル人学校、朝鮮学校、インターナショナルスクールなど
不就学の可能性があると考えられる子供9,153人前回(令和6年度)調査の8,432人から増加
 うち「不就学」911人どの学校にも通っていないことが確認された子ども
 うち「就学状況が確認できない」8,013人連絡がつかない、実態が把握できていない子ども

※「不就学の可能性があると考えられる子供」には、上記のほかに区分の異なるケースも含まれます。

ここで注目したいのは、「不就学」と確認された911人よりも、「就学状況が確認できない」8,013人のほうが圧倒的に多いという点です。つまり、統計に表れる「不就学」は氷山の一角で、行政も学校も、その子が今どこでどう過ごしているかをつかめていないケースが大部分を占めています。

数字が伝えていること

この調査結果を受けて、文部科学省は令和8年8月28日に「外国人児童生徒等の就学の促進について(通知)」を出し、就学に関する指針を改訂しました。市区町村の教育委員会に対し、住民基本台帳をもとに学齢簿に準じるものを作成して就学状況を把握すること、外国人が使う言語に配慮した就学案内を徹底すること、福祉部局と連携することなどを求めています。国は「見つからない子どもを探しにいく」方向に動いているということです。

外国籍の子どもに「就学義務」はある? 制度のほんとうのところ

ここは、いちばん誤解が多く、いちばん大切なところです。

法律上は「就学義務」は課されない

日本の学校教育法第17条は、保護者に対して子どもを小学校・中学校に通わせる義務(就学義務)を定めています。しかし文部科学省は、この第17条は外国籍の子どもの保護者には適用されないと明示しています(文部科学省「外国人の子等の就学に関する手続について」)。

そのため、外国籍の子どもがインターナショナルスクールや民族学校(ブラジル人学校・朝鮮学校など)に通うことも、制度上は問題ありません。

でも「通えない」わけではない——国の方針

一方で文部科学省は、外国人の子どもが公立の小学校・中学校への就学を希望する場合には、国際人権規約等も踏まえ、日本人の児童生徒と同様に無償で受け入れるという方針をはっきり示しています。授業料も教科書も無償で、就学援助の対象にもなります。

ここだけは覚えてほしいこと

「義務ではない」=「受け入れてもらえない」ではありません。手を挙げれば、公立の小中学校に無償で入れます。逆にいえば、誰も手を挙げなければ、そのまま何年も見過ごされてしまう——これが「不就学」が生まれる構造です。だからこそ、保護者・支援者・学校のだれかが最初の一歩を踏み出す必要があります。

学齢を過ぎてしまった場合は?

「気づいたら15歳を過ぎていた」というケースもあります。この場合も、道が閉ざされるわけではありません。文部科学省は、学齢を経過した外国人についても、各教育委員会の判断により、本人の学習歴や希望等を踏まえて公立の中学校で受け入れることが可能としています。また、夜間中学がある自治体では、その入学案内も行うこととされています(→7章)。

在留資格のことが心配なとき

在留資格(ざいりゅうしかく/日本に住むための資格)の状況を理由に、学校への相談をためらう家庭は少なくありません。ただし、就学の手続きと在留資格の審査は別のものです。文部科学省は、住民基本台帳の情報にもとづいて教育委員会が就学案内を通知することが適当としており、就学の機会の確保を優先する立場をとっています。不安が大きい場合は、いきなり学校に行くのではなく、自治体の多文化共生担当窓口や、外国人在留支援センター(FRESC)などの相談先を先に使うという順番でもかまいません。

「学校に行っていない」が続いてしまう5つの理由

にじいろに寄せられる相談や、公的資料から見えてくる「つまずきポイント」は、だいたい次の5つに整理できます。

1

就学案内が届かない・読めない

転入したばかりで住民登録のタイミングがずれた、案内は届いたけれど日本語だけで読めなかった、という理由で入学の手続きが止まってしまうケースです。改訂された国の指針でも、使用言語に配慮した就学案内の徹底が求められています。

2

日本語がわからないまま入学して、通えなくなった

いったん入学したものの、授業がまったくわからず、行き渋りから欠席が続き、そのまま在籍だけが残る——というパターンです。日本語支援の制度と、行き渋りが始まったときの動き方については、姉妹記事日本語がわからないまま日本の学校へで詳しく解説しています。

3

「どうせすぐ帰国するから」と先送りにしてしまう

滞在が短期の予定だったのに、結果的に数年になることは珍しくありません。その間の空白は、あとから取り戻すのが難しくなります。

4

年齢と学年が合わず、入りづらい

母国での学習歴と日本の学年が合わない、年齢が上がってから来日した、といった理由で「今さら入れない」と思ってしまうケース。実際には、学齢を過ぎていても教育委員会の判断で受け入れられる道があります。

5

相談していい場所がわからない

学校に在籍していない子どもは、担任も、スクールカウンセラーもいません。「どこに聞けばいいのか」がわからないまま時間だけが過ぎる——これが、統計上「就学状況が確認できない」8,013人の背景にあるものです。

教室で世界地図の前に立ち、話し合っている多様な国の子どもたち

いま学校に在籍していないとき、最初にすること

「もう何年も通っていない」「日本語も自信がない」という状態でも、順番どおりに進めれば道はあります。難しく考えず、次の順で動いてみてください。

① 住んでいる市区町村の「教育委員会 学務課」に連絡する

公立の小中学校への入学は、学校ではなく市区町村の教育委員会(学務課・学校教育課などの名前が多い)が窓口です。「子どもが学校に通っていません。入りたいです」と伝えるだけで大丈夫です。通訳が必要な場合は、その旨も伝えてください。多くの自治体で通訳や多言語の案内を用意しています。

② 多言語の公的資料を手元に置く

説明を受けるときに、母語の資料が手元にあると理解が段違いに進みます。次の2つは無料で使えます。

  • 文部科学省「外国人児童生徒のための就学ガイドブック」——英語・韓国朝鮮語・ベトナム語・フィリピノ語・中国語・ポルトガル語・スペイン語・ウクライナ語の8言語で、日本の学校制度と就学の手続きを説明しています。
  • 出入国在留管理庁「外国人生活支援ポータルサイト」/「生活・就労ガイドブック」——入国・在留手続、市区町村での手続、出産・子育て、教育、医療など、生活全般の情報が多言語(やさしい日本語を含む)でまとまっています。

また、学校から配られるお知らせ(保健だより、行事の案内など)の多言語版は、文部科学省の検索サイト「かすたねっと」で探せます。

③ 学校に入ったあとの日本語支援を、最初に確認する

入学が決まったら、その学校で「特別の教育課程」による日本語指導が受けられるか、日本語指導支援員・母語支援員がいるかを必ず聞いてください。文部科学省の令和7年度調査では、日本語指導が必要な児童生徒は84,759人と過去最多になっており、支援の仕組み自体は年々広がっています。

「相談しても大丈夫かな」と迷ったら

教育委員会は、就学の手続きを扱う部署です。子どもの学ぶ機会を確保することが仕事なので、「今まで通っていなかった」ことを責める場所ではありません。それでも直接連絡しづらいときは、自治体の国際交流協会、多文化共生センター、地域の日本語教室、支援NPOなどに先に相談し、間に入ってもらう方法もあります。

中学卒業後の進路——選択肢の全体像

外国につながる子どもにとって、次に大きな壁になるのが中学卒業後の進路です。文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和7年度)」では、次のような差が出ています。

  • 日本語指導が必要な中学生の高等学校等進学率は91.5%(全中学生は98.9%)
  • 日本語指導が必要な高校生等の大学等進学率は41.2%(全高校生等は75.0%)
  • 日本語指導が必要な高校生等の中途退学率は6.4%

中学から高校への段階でも差がありますが、より大きな差が出るのは「高校に入ったあと」だという点は覚えておいてください。だからこそ、「入れる高校」ではなく「続けられる進路」を選ぶという視点が重要になります。

そして、進路は全日制高校だけではありません。全体像を整理します。

中学卒業後の主な進路の選択肢
選択肢学び方卒業して得られるもの外国につながる子どもにとってのポイント
全日制高校平日の昼間に毎日通学。3年間高等学校の卒業資格入試の学力検査(5教科が中心)で日本語の力が問われる。外国人生徒等の特別枠がある都道府県も(→6章
定時制高校夜間や午前・午後など、時間帯を選んで通学。3〜4年高等学校の卒業資格働きながら通える。少人数のクラスが多く、日本語の力が育っている途中でも通いやすい場合がある
通信制高校レポート・スクーリング(面接指導)・試験で単位を積む。自宅学習が中心高等学校の卒業資格自分のペースで進められる一方、日本語での自学が中心になるためサポート体制の確認が必須
高等専修学校
(専修学校高等課程)
中学卒業者を対象とした職業教育中心の学校修了資格。文部科学大臣の指定を受けた3年制の課程を修了すれば大学入学資格も得られる実習が多く、日本語の座学が中心でないぶん手ごたえを持ちやすい子もいる。大学入学資格の有無は学校ごとに要確認
夜間中学中学校の夜間学級。中学校を終えていない人・学び直したい人が対象中学校の卒業資格外国籍の生徒が多く在籍。中学の学び直しから高校進学につなげられる(→7章

お金のことも早めに確認を

高校の授業料の負担を軽くする「高等学校等就学支援金」などの制度があります。対象になるか、どんな書類が必要かは、学校や自治体の窓口で早めに確認してください。奨学金や自治体独自の支援がある場合もあります。

高校入試の「特別枠」と配慮は、都道府県でちがう

ここが、外国につながる家庭にとってもっとも情報が届きにくい部分です。

公立高校の入学者選抜では、海外から来た生徒や外国人生徒を対象に、一般の受験生とは別の「特別定員枠(別枠選抜)」を設けている自治体があります。文部科学省の資料によれば、特別定員枠を設定しているのは20都道府県です(文部科学省「令和6年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査」/同「外国人児童生徒等教育の現状と課題」令和7年4月)。

特別枠以外にも、次のような配慮が行われている場合があります。

  • 学力検査の教科を減らす(例:5教科ではなく3教科、作文と面接のみ など)
  • 問題文にルビ(ふりがな)をふる
  • 辞書の持ち込みを認める
  • 検査時間を延長する

いちばん怖いのは「条件に気づかないまま3年生になること」

特別枠や配慮には、たいてい「入国後○年以内」「日本の中学校に在籍した期間が○年以内」といった要件がついています。この年数は都道府県ごとにまったく違い、要件を1日でも過ぎると使えません。中学2年生のうちに、住んでいる都道府県の教育委員会(高校教育課など)の入学者選抜実施要項を確認してください。「◯◯県 公立高校入試 外国人生徒 特別枠」で検索すると、公式ページにたどりつけることが多いです。担任や進路指導の先生に、要項の該当ページを一緒に見てもらうのがいちばん確実です。

なお、こうした配慮は「学力を下げてもらう制度」ではありません。日本語という言語のハンデを取り除いて、その子の本当の力を測るための仕組みです。使えるものは、遠慮せずに使ってかまいません。

教室の机で教科書を広げ、集中して勉強している生徒

中学を出ていない・学び直したい人へ——夜間中学

夜間中学(やかんちゅうがく/公立中学校の夜間学級)は、さまざまな理由で義務教育を終えられなかった人や、いったん形だけ卒業したけれど学び直したい人が通える、公立の中学校です。授業は夕方から夜に行われ、卒業すれば中学校の卒業資格が得られます。ここから高校に進学する人も少なくありません。

そして夜間中学は、いま、外国につながる人の学びの場として大きな役割を果たしています。

夜間中学の在籍者は6割以上が外国籍

文部科学省「令和6年度夜間中学等に関する実態調査」(令和6年5月1日現在)によると、調査対象となった53校の在籍生徒数は1,969人。そのうち外国籍の生徒が1,256人(63.8%)を占めています。国籍別では中国、ネパール、フィリピン、韓国・朝鮮、ベトナムの順に多くなっています。

設置も広がっています。国は、すべての都道府県・指定都市に少なくとも1校の夜間中学が設置されるよう自治体に働きかけており、新しく開設する学校が毎年増えています。最新の設置状況は、文部科学省「夜間中学の設置・検討状況」のページで都道府県別に確認できます。

夜間中学を検討するときの確認ポイント

  • 住んでいる都道府県・近隣に夜間中学があるか(越境して通える場合もあります)
  • 入学の条件(年齢、日本語の力、住んでいる場所など)
  • 日本語学級・初期日本語指導があるか
  • 授業料(公立の夜間中学は授業料が無償です)
  • 卒業後の進路(高校進学の実績があるか)

「もう年齢的に遅い」と感じている場合こそ、まずは夜間中学の見学に行ってみてください。10代後半から70代以上まで、幅広い年齢の人が同じ教室で学んでいます。

学校の外にある学びの場という選択肢

学校に戻る準備が整うまでには、時間がかかることがあります。その「あいだの時間」を空白のままにしないために、学校の外にも学びの場があります。

地域の日本語教室・フリースクール

各地の国際交流協会やNPOが運営する日本語教室、地域のフリースクールは、学校に在籍していない子どもにとって最初の居場所になります。費用や仕組みについてはフリースクールとは?費用・種類・出席扱いと全国の探し方もあわせてご覧ください。

オンラインで日本語と「つながり」を取り戻す

学校から離れている期間が長いほど、失われやすいのが同世代とのつながりです。日本語は、教科書だけでは伸びません。話す相手がいて、話したいことがあってはじめて育ちます。

株式会社NIJINが2026年12月にパイロット開校を予定している「ともだちじゃぱん」は、年長〜高校3年生を対象にした子どもの日本語オンラインスクールです。年齢ではなく「今どのくらい話せるか」でクラスを分け、日本語ゼロ・ひらがなが読めない状態からでも参加できます。1クラス8名の少人数で、文法の暗記ではなく会話そのものを学びの中心に置いています。メタバース(仮想空間)の校舎があり、放課後も日本の同世代の子どもと過ごせるのが特徴です。まだ開校前で、料金は公表されていません(無料の学校案内で案内されます)。

日本の高校以外の進路も視野に入れるなら

同じくNIJINが2027年9月の開校を予定している「NIJIN GLOBAL ACADEMY(NGA)」は、6〜18歳を対象にしたオンライン・インターナショナルスクールです。入学試験・選考・英語要件はなく、日英バイリンガルのメンターが伴走します。学びの証明として、Cambridge IGCSE・A-Levelなどの国際資格と、コンピテンシー(人となり)の評価を組み合わせる設計です。

ただし、ここは正直にお伝えしておく必要があります。NGAは日本の「一条校」ではないため、日本の高校卒業資格は発行されません。国際資格を使って海外大学や帰国生入試などに出願する設計であり、学費も未公表、開校は2027年9月です。日本の高校卒業資格が必要な場合は、5章の定時制・通信制などと比較したうえで判断してください。オンラインのインターナショナルスクールの比較は不登校でも学べる?オンラインインターナショナルスクール比較にまとめています。

※在籍校がある場合、これらを利用したときの出席の扱いは在籍校の校長判断です。必ず在籍校・教育委員会に確認してください。

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学校・教育委員会に相談するときの伝え方

相談のとき、日本語で長い説明をする必要はありません。次の4つが伝われば十分です。やさしい日本語で、短い文に区切って話してください。

相談のときに伝えるとよい4つのこと(やさしい日本語の例)
伝えること言い方の例
①いまの状況「子どもは〇歳です。今、学校に 行っていません。〇年前に 日本に 来ました。」
②困っていること「日本語が わかりません。手続きが わかりません。」
③希望「学校に 入りたいです。」/「高校に 行きたいです。」
④助けてほしいこと「通訳を お願いできますか。」/「〇〇語の 紙は ありますか。」

母語の資料(4章の就学ガイドブック)を印刷して持っていくと、担当者も説明しやすくなります。また、子ども本人が日本語を嫌がっている段階であれば、子どもが日本語を嫌がる・やりたがらないときもあわせて読んでみてください。

支援者・学校の先生へ

もし身近に「学校に通っていないかもしれない」子どもがいるなら、いちばん効果があるのは「教育委員会に一緒に電話する」ことです。保護者にとって最大の壁は、制度そのものよりも「日本語で行政に連絡する」というハードルであることが少なくありません。国の指針でも、福祉部局との連携や、乳幼児健診・予防接種など複数の接点を通じた案内が有効とされています。

相談員と向かい合って話をしている保護者と子ども

よくある質問(FAQ)

外国籍の子どもは、日本の小学校・中学校に通わなければいけませんか?

法律上の就学義務(学校教育法第17条)は、外国籍の子どもの保護者には適用されません。そのためインターナショナルスクールや民族学校に通うことも可能です。ただし、公立の小中学校への就学を希望する場合は、国際人権規約等も踏まえ、日本人の児童生徒と同様に無償で受け入れる、というのが文部科学省の方針です。

いま日本にどれくらい「不就学」の子どもがいますか?

文部科学省「外国人の子供の就学状況等調査(令和7年度)」(令和7年5月1日現在)では、学齢相当の外国人の子供177,726人のうち、不就学の可能性があると考えられる子供は9,153人でした。内訳は「不就学」が911人、「就学状況が確認できない」が8,013人です。

学校に入りたいとき、どこに相談すればいいですか?

住んでいる市区町村の教育委員会(学務課・学校教育課など)が窓口です。学校に直接行く必要はありません。日本語に不安がある場合は、通訳をお願いしたいことを最初に伝えてください。自治体の国際交流協会、多文化共生センター、地域の日本語教室、支援NPOに先に相談して、間に入ってもらう方法もあります。

子どもが15歳を過ぎてしまいました。もう公立中学校には入れませんか?

入れる可能性があります。文部科学省は、学齢を経過した外国人についても、各教育委員会の判断により、本人の学習歴や希望等を踏まえて公立の中学校で受け入れることが可能としています。夜間中学がある自治体では、その入学案内も行うこととされています。まずは教育委員会に相談してください。

在留資格のことが心配で、学校に相談できません。

就学の手続きと在留資格の審査は別のものです。文部科学省は、住民基本台帳の情報にもとづいて教育委員会が就学案内を通知することが適当としており、就学の機会の確保を優先する立場をとっています。それでも不安が大きい場合は、自治体の多文化共生担当窓口や外国人在留支援センター(FRESC)など、教育委員会以外の相談先を先に使うこともできます。

外国人の子どもは高校に進学できますか?

できます。国籍にかかわらず、中学校を卒業(または同等と認められる)していれば、公立・私立の高校を受験できます。文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和7年度)」では、日本語指導が必要な中学生の高等学校等進学率は91.5%(全中学生は98.9%)でした。

高校入試に、外国人生徒のための特別な枠はありますか?

あります。文部科学省の資料によれば、公立高校入試で外国人生徒等を対象とした特別定員枠を設定しているのは20都道府県です(令和6年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査)。ほかにも、学力検査の教科を減らす、問題文にルビをふる、辞書の持ち込みを認める、時間を延長するなどの配慮があります。ただし内容も要件(入国後何年以内かなど)も都道府県ごとに異なるため、必ず住んでいる都道府県の教育委員会の実施要項で確認してください。

全日制高校以外に、どんな進路がありますか?

定時制高校(夜間や午前・午後など時間帯を選んで通う)、通信制高校(レポートとスクーリングで単位を積む)があり、いずれも卒業すれば高等学校の卒業資格が得られます。ほかに、中学卒業者を対象とした職業教育中心の高等専修学校(専修学校高等課程)があり、文部科学大臣の指定を受けた3年制の課程を修了すれば大学入学資格も得られます。

夜間中学はどんな人が通っていますか? 外国籍でも入れますか?

入れます。文部科学省「令和6年度夜間中学等に関する実態調査」(令和6年5月1日現在)では、対象53校の在籍生徒1,969人のうち、外国籍の生徒が1,256人(63.8%)を占めていました。国籍別では中国、ネパール、フィリピン、韓国・朝鮮、ベトナムの順に多くなっています。公立の夜間中学は授業料が無償です。

日本語がまったくわからない状態でも、学校に入れますか?

入れます。多くの学校で「特別の教育課程」による日本語指導や、日本語指導支援員・母語支援員による支援が行われています。文部科学省の令和7年度調査では、日本語指導が必要な児童生徒は84,759人と過去最多でした。入学前に、その学校でどんな日本語支援が受けられるかを必ず確認してください。日本語支援の詳細は日本語がわからないまま日本の学校へで解説しています。

執筆|にじいろ編集部

「学校に合わない個性を応援する」教育情報サイト「にじいろ」の編集部。不登校・発達特性・オルタナティブな学びの選択肢について、公的機関や学校の公式情報など一次情報を確認しながら記事を作成しています。制度や統計は年度によって変わるため、必ず該当する自治体・学校の最新の公式情報をご確認ください。

この記事の内容を確かめるための一次資料

就学義務や入試の配慮は、誤解が生まれやすく、また自治体によって運用が違うテーマです。学校や教育委員会と話すときは、下記の一次資料を手元に置いて進めることをおすすめします。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
文部科学省「外国人の子供の就学状況等調査(令和7年度)」学齢相当の外国人の子供の数、不就学・就学状況が確認できない子どもの人数(令和7年5月1日現在)
文部科学省「外国人の子等の就学に関する手続について」就学義務と外国籍の子どもの関係、無償での受入れ方針、学齢超過者の受入れ
文部科学省「外国人児童生徒等の就学の促進について(通知)」(令和8年8月28日)改訂された就学促進の指針、市区町村教育委員会に求められる取組
文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和7年度)」日本語指導が必要な児童生徒数、中学生の高校等進学率・高校生等の大学等進学率・中途退学率
文部科学省「外国人児童生徒のための就学ガイドブック」日本の学校制度と就学の手続き(8言語の多言語版)
文部科学省「夜間中学の設置・検討状況」全国の公立夜間中学の設置状況(都道府県別)
文部科学省「令和6年度夜間中学等に関する実態調査」夜間中学の在籍生徒数と国籍別の内訳
文部科学省「高等専修学校とは」高等専修学校(専修学校高等課程)の位置づけと大学入学資格
文部科学省「かすたねっと」学校からのお知らせや教材の多言語版の検索
出入国在留管理庁「外国人生活支援ポータルサイト」生活・就労ガイドブック(教育の章を含む)、相談窓口、FRESCの案内

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本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の学校への入学や特定の手続きを推奨・保証するものではありません。就学の手続き、高校入試の特別枠・配慮の要件、夜間中学の設置状況、支援制度の内容は、自治体・学校・年度によって異なり、変更される場合があります。また、在留資格に関わる個別のご事情については、出入国在留管理庁の窓口や専門家にご相談ください。実際の手続きにあたっては、必ずお住まいの自治体の教育委員会および各学校の最新の公式情報をご確認ください。