自由研究のアンケートは、知りたいことを一つに絞り、答えやすい質問と数え方を先に決めると、小学生でも自分の調査としてまとめられます。
「友だちに聞いてみたいけれど、何を質問すればいいの?」「答えが集まったあと、どうすれば研究になるの?」と迷うこともあるでしょう。質問の数や回答する人を増やす前に、小さなアンケートを一つ作ってみませんか。
この記事では、好きな遊びを題材に、質問文、選択肢、配り方、集計、グラフまでを順番に紹介します。質問票は子どもと一緒に書き換えて使えます。集計に使う数字は、すべて説明のために作った架空の練習用データです。
1 自由研究のアンケートは知りたいことから決める
自分で聞いた答えが一次情報になる
本やウェブサイトで調べる方法に加えて、自分で質問を考え、人に答えてもらうのも調べ学習の一つです。自分で集めた回答は、その調査の「一次情報」になります。
たとえば「みんなは何をして遊ぶのが好きだろう」と考えたら、予想を書き、身近な人に同じ質問をして確かめられます。自分の予想と違う答えが出ても、調査の失敗ではありません。
ただし、自分で聞けば必ず正確になるわけでもありません。質問の言い方や、聞いた相手によって結果は変わります。「どのように集めた答えなのか」まで書くことが大切です。
広いテーマを答えられる問いにする
「遊びについて調べる」だけでは、質問が増えてしまいます。まずは、最後にどんな表を作りたいか考えましょう。
遊び
アンケートで確かめる問いの例
回答してくれた人は、どの遊びがいちばん好きか
本
アンケートで確かめる問いの例
回答してくれた人は、どんな種類の本を読んでみたいか
工作
アンケートで確かめる問いの例
次に作ってみたいものは何か
生き物
アンケートで確かめる問いの例
観察してみたい生き物は何か
埼玉県の子ども向け教材も、好きなことから題材を選び、まとめ方を考えながら質問を準備する流れを紹介しています。最初から立派なテーマを探すより、「これを聞いてみたい」という問いを一つ選びましょう。出典:埼玉県「自由研究のページ」
調査を始める前のミニワーク
- 私が知りたいのは「____」。
- そう思ったきっかけは「____」。
- 私の予想は「____」。
- 答えてもらう相手は「____」。
- 結果は「____の人数を比べる表」にする。
「だれに聞くか」も、この段階で決めます。家族に聞くなら家族の結果、友だちに聞くなら協力してくれた友だちの結果としてまとめる計画にします。
2 質問文は一つの質問で一つのことを聞く
質問を作るときは、短い言葉で、同じ意味に受け取れるかを確かめます。聞く側には当たり前の言葉でも、答える人が迷うことがあります。
答えを誘導する言い方を避ける
「外遊びは楽しいですよね?」と聞かれると、外遊びが苦手でも「はい」と答えたくなるかもしれません。調べたいのが相手の好みなら、質問する子の考えを先に入れないほうが答えやすくなります。
みんなが好きなおにごっこは楽しいですか
直し方の例
この中で、今いちばん好きな遊びはどれですか
本や工作が好きですか
直し方の例
本を読むことは好きですか。工作をすることは好きですか、と分ける
よく外で遊びますか
直し方の例
この7日間で、外で遊んだ日は何日ですか
いつもどんな遊びをしますか
直し方の例
この7日間にした遊びを、すべて選んでください
「本や工作が好きですか」は、二つのことを一度に聞いています。本は好きで工作は好きではない人が困るため、質問を分けます。
また、「よく」「たくさん」「ふつう」は、人によって意味が違います。回数を調べたいなら期間を決めると答えやすくなります。ただし、昔のことを細かく思い出してもらう質問は避け、無理なく覚えている範囲にしましょう。
好きなことと実際にしたことを混ぜない
「好きな遊び」と「昨日した遊び」は違う質問です。好きでも、天気や道具の都合でできなかったかもしれません。
好みを知りたいのか、実際の行動を知りたいのかを先に決めます。調査後に「おにごっこが好きな人が多いから、毎日外で遊んでいる」と結論づけることはできません。
子どもが質問を思いついたら、大人は完成形をすぐに渡すより、こんなふうに返してみてください。
子ども「みんな、外遊びが好きか聞きたい」
大人「外遊びが好きかと、外で遊ぶ日が多いか、どっちを知りたい?」
子ども「まずは、どんな遊びが好きか知りたい」
調べることが一つ決まれば、聞かなくてよい質問も見えてきます。最初の調査は、集計までやり切れる少ない質問で十分です。
3 選択肢と回答ルールを先にそろえる
選択肢を選ぶ方式は、書く負担を減らし、人数を数えやすくします。ただし、選択肢にない答えを持つ人のことも考えましょう。
一つ選ぶのかいくつでも選べるのかを明記する
単一回答
質問文の例
いちばん好きな遊びを一つ選んでください
分かること
一つに絞ったときの好み
複数回答
質問文の例
やってみたい遊びをすべて選んでください
分かること
それぞれの遊びを選んだ人の数
「好きな遊びは何ですか」だけでは、一つ書く人と三つ書く人が出るかもしれません。「一つ」「すべて」「二つまで」など、選ぶ数を質問ごとに書きます。
複数回答では、一人がいくつも選ぶため、各項目の人数を足しても回答者数とは一致しません。あとで円グラフにしたいからと、集まった複数の答えから勝手に一つだけ残すのも避けましょう。
答えが入る場所を用意する
「おにごっこ・なわとび・おえかき・ボードゲーム」だけだと、別の遊びが好きな人には選べるものがありません。「その他」を加え、必要なら短く書ける欄を付けます。
また、「今は思いつかない」と「答えたくない」は別の答えです。無理にどれかを選ばせず、それぞれの欄を用意するか、空欄でもよいと伝えます。
複数回答で「今は思いつかない」「答えたくない」を設ける場合は、それを選ぶときにはほかを選ばない、と書いておくと数えやすくなります。
数で答える質問では、範囲の重なりにも注意します。「0〜2日・2〜4日」では、2日の人が迷います。「0日・1〜2日・3〜4日・5〜7日」のように、重ならず、答えが抜けない区切り方にします。
配る前の確認
- どれか一つには答えが入りそうか。
- 同じ答えが二つの選択肢に入りそうではないか。
- 選べる数は書いてあるか。
- 分からない人、答えたくない人の行き先はあるか。
選択肢は多ければよいわけではありません。似た項目が多すぎると選びにくいため、今回知りたいことに必要な数に絞ります。
4 そのまま使える小学生向けアンケート用紙
次の質問票は、遊びについて調べるためのオリジナル例です。二つの質問は、一つだけ選ぶ場合と、いくつでも選ぶ場合を練習できるようにしています。実際の自由研究では、知りたいことに合う質問だけを使って構いません。
コピーして書き換えられる質問票
あそびについてのアンケート
すきなあそびをしらべて、自由研究にまとめます。
なまえは書かなくてよいです。一人一回、こたえてください。こたえるかどうかは自由です。こたえたくないしつもんは、とばしてもかまいません。とちゅうでやめてもだいじょうぶです。
こたえは人数にまとめ、学校に出す自由研究で使います。だれが何をこたえたかは、のせません。
しつもん1 この中で、今いちばんすきなあそびはどれですか。一つだけ、□にチェックをつけてください。
□ そのほか〔あそびのなまえ:____〕
□ 今は思いつかない
□ こたえたくない
しつもん2 この中で、これからやってみたいあそびはどれですか。あてはまるものすべての□にチェックをつけてください。
□ そのほか〔あそびのなまえ:____〕
□ 今は思いつかない
□ こたえたくない
※「今は思いつかない」「こたえたくない」をえらぶときは、ほかの□にはチェックをつけません。
こたえてくれて、ありがとうございました。
使う前に合わせたいところ
提出先が学校でなければ、説明文の「学校に出す自由研究」を実際の使い道に直します。学校提出だけのつもりで集めた回答を、あとからそのままSNSへ載せないようにしましょう。
「ボードゲーム」などが伝わりにくければ、子どもたちが分かる言葉に変えます。絵を付ける場合は、ある選択肢だけ大きく描いたり、目立つ色にしたりせず、選び方に影響しにくい見せ方にします。
低学年なら、大人が同じ文を読み上げ、指差しで答えてもらう方法も使えます。そのときは「これが好きだよね」と補わず、指した答えをそのまま記録します。自由記述は必須にせず、書けることと好みを混同しないようにします。
5 配る前に試して相手の安心を守る
一人に試してもらい質問を直す

配る前に家族などに試してもらい、「言葉で迷ったところはあった?」「選びたい答えはあった?」と聞きます。試し回答で質問を変えた場合、その回答は本番と分けておきます。
保護者は、誤字や答えにくさの確認を手伝いながら、テーマや予想まで決めてしまわないことが大切です。質問を直した理由を子どもが説明できれば、その過程も研究の記録になります。
匿名を基本に必要のないことは聞かない
好きな遊びを調べるだけなら、氏名、住所、電話番号、詳しい健康状態などは必要ありません。学校名や学年も、調べる目的に必要でなければ集めないようにします。
匿名でも、自由記述の中身や少人数の組み合わせから、だれの答えか分かることがあります。生の回答用紙を写真で公開したり、個人が分かる言葉をそのまま作品に載せたりしない配慮が必要です。
頼むときには、使い道と、参加しなくてもよいことを短く伝えます。断られた人に何度もお願いしたり、空欄を見つけて答えを迫ったりしません。
配る範囲は先生や保護者と確認する
学校で配る場合は、学校のルールに沿って先生へ相談します。家庭の外で聞く場合も、相手や場所、回収方法を保護者と確かめましょう。知らない人へ無差別に送ったり、子どもだけで連絡先を集めたりする必要はありません。
オンラインのアンケートを使う場合も考え方は同じです。保護者などと、氏名やメールアドレスが自動で集まる設定になっていないか、回答内容をだれが見られるかを確認します。方法が不安なら、紙で小さく始められます。
回答用紙は家族などと決めた場所に保管し、確認や提出に必要な期間を過ぎたら、学校の指示も確かめて片づけます。数字だけを残す場合も、個人を特定できるメモを一緒に残さないようにします。
6 集まった回答を表にして正しく数える
ここからの人数と回答は、すべて架空の練習用データです。実在の子どもや教室の調査結果ではありません。
単一回答は回収枚数との一致を確かめる

質問1の回答用紙が10枚集まり、次の答えだったとします。
「おにごっこ、おえかき、おにごっこ、なわとび、ボードゲーム、おにごっこ、おえかき、今は思いつかない、おにごっこ、空欄」
一枚ずつ見ながら、当てはまる項目に線を一本ずつ足します。5本ごとに「正」の字にすると、数え直しやすくなります。静岡県の教材でも、回答を「正」の字で数え、表にする方法が紹介されています。出典:統計センターしずおか「アンケートをとって、とうけいグラフをつくろう!」
練習用集計表 質問1・一つだけ選ぶ・回収10枚
| 選択肢・回答の状態 | 人数 |
|---|---|
| おにごっこ | 4人 |
| なわとび | 1人 |
| おえかき | 2人 |
| ボードゲーム | 1人 |
| その他 | 0人 |
| 今は思いつかない | 1人 |
| 答えたくない | 0人 |
| 無回答 | 1人 |
| 合計 | 10人 |
この例では、何かの選択肢を選んだ人は9人、無回答は1人です。「今は思いつかない」は選ばれた答えなので、無回答に移しません。空欄も「好きな遊びがない」とは決めつけず、無回答として残します。
もし「一つだけ」の質問に二つチェックがあったら、調査する側が好きなほうを残してはいけません。あらかじめ決めた扱いに従い、たとえば「複数選択のため集計対象外」と別に記録します。問題がある一問を除いても、ほかの質問まで全部捨てる必要はありません。
割合は何人を基準にしたかを書く
割合を出すときは、基準にする人数(分母)を先に決めます。質問1では、基準によって次のように数字が変わります。
- 回収した10枚を基準にすると、おにごっこは4÷10×100=40%。
- 選択肢を選んだ9人を基準にすると、おにごっこは4÷9×100=約44.4%。
どちらも計算できますが、同じ表の中で基準を混ぜてはいけません。「回収10枚を基準。無回答1枚を含む」などと書きます。割合がまだ難しければ、人数だけの表と棒グラフで十分伝わります。
複数回答は人の数と選ばれた数を分ける
次は質問2だけを使った、別の練習です。5人全員が回答したとします。番号は説明用で、実在の人とは結びついていません。
練習用の回答 質問2・あてはまるものすべて
| 回答番号 | 選んだもの |
|---|---|
| 1 | おにごっこ、なわとび |
| 2 | おにごっこ、ボードゲーム |
| 3 | おえかき、ボードゲーム |
| 4 | ボードゲーム |
| 5 | 今は思いつかない |
おにごっこは2人、なわとびは1人、おえかきは1人、ボードゲームは3人、今は思いつかないは1人です。選ばれた項目の数を足すと8になりますが、回答した人は5人です。
ボードゲームを選んだ人の割合は、3÷5×100=60%。「選ばれた項目の合計8」を分母にした3÷8では、回答した人のうち何%かは表せません。
各項目の割合を足すと160%になります。複数回答なので、100%を超えても数え間違いとは限りません。表やグラフには「回答者5人・複数回答」と添えましょう。
自由記述は元の答えを残して分類する
「その他」に「折り紙」「おりがみ」と書かれていたら、同じ遊びとしてまとめられます。一方、「おにごっこ」と「かくれんぼ」を、予想に合わせて勝手に一つにまとめないようにします。
まとめる場合は、元の答えを確認できるように保管し、「表記が違う同じ遊びは一つにまとめた」など、分類のルールをメモします。判断に迷う答えは、そのまま別の項目にしても構いません。
7 グラフと考察で分かった範囲を伝える
初めてなら人数を比べる棒グラフが使いやすい
項目ごとの人数の違い
向いているグラフ
棒グラフ
気をつけること
人数の目盛りを0から始め、同じ間隔にする
少人数の答えを一人ずつ見せる
向いているグラフ
絵グラフ
気をつけること
絵一つが何人かを決め、大きさをそろえる
全体に占める割合
向いているグラフ
円グラフ・帯グラフ
気をつけること
単一回答など、全体が100%になるデータに使う
複数回答の「人の割合」は、一人がいくつもの項目に入るため、円グラフには向きません。棒グラフなら、各項目を選んだ人数をそのまま比べられます。
好きな遊びの種類を線で結ぶ必要はありません。折れ線グラフは、日ごとの変化など、時間の流れに沿った変化を見せたいときに使います。
グラフには題名、人数や割合の単位、回答者数、単一回答か複数回答かを書きます。0人の項目や無回答を省略する場合も、その扱いが分かる注記を残しましょう。
少人数の結果を全員の答えに広げない
家族だけに聞いた結果は、家族の年齢や暮らし方の影響を受けます。外遊びをしている友だちだけに聞けば、外遊びが好きな人が多く集まるかもしれません。こうした相手の偏りも、調査の条件です。
先ほどの単一回答の例から、「小学生にはおにごっこがいちばん人気」とは言えません。書けるのは、「今回集まった10枚では、おにごっこが4人で最も多かった」という範囲です。人数が少ないときは、割合だけより「4人」と併記したほうが結果をつかみやすくなります。
また、選んだ理由を聞いていなければ、「運動が好きだから選んだ」とは断定できません。自分の考えを書く場合は、「私は〜かもしれないと考えた。理由は今回聞いていないので、次に確かめたい」と分けます。
まとめは結果と考えを分けて書く
自由研究の用紙には、次の順番で並べると、調べた過程が伝わります。
- 調べようと思ったきっかけと予想
- いつ、どんな人に、どの方法で聞いたか
- 依頼した人数、回収数、質問ごとの回答数
- 実際に使った質問と選択肢
- 集計表とグラフ
- 分かったこと、まだ分からないこと、次に調べたいこと
埼玉県の教材も、自分で調べた場合は調査の時期、対象、人数などを作品に示すよう案内しています。提出や公開の範囲に合わせ、個人が分かる詳しい情報は載せず、調査条件を説明しましょう。出典:埼玉県「自由研究のページ」
親子で最後に確認したいのは、「予想どおりだったか」だけではありません。「質問をどう直したか」「空欄をどう数えたか」「この結果から言えないことは何か」も、子ども自身が考えた大切な部分です。
まずは好きなことを一つ選び、質問を一つ書いて、だれかに試してもらうところから始めてみてください。自分で聞き、数え、確かめた過程が、その子の自由研究になります。


