学童の選考基準は市町村ごとに定められていて、国は統一基準を示していません。つまり「自営業だから不利」「パートだと入れない」といった話も、お住まいの自治体の点数表を見るまでは分からないということです。就労証明書はその点数の土台になる書類なので、書き方ひとつで結果が変わることがあります。
そのうえで、全国に共通して言えることが1つだけあります。優先的な取扱いを定めている833市町村のうち、672市町村(80.7%)が「低学年」を優先対象として明文で定めていることです。高学年が押し出されるのは、運用の空気ではなくルールです。
学童の選考はこう決まる
| 決めているのは | 市町村(国に統一基準はない)。利用決定を市町村のみで行うのが985市町村(60.3%) |
|---|---|
| 申し込み先 | 市町村のみ510(31.2%)/クラブのみ525(32.1%)/両方598(36.6%)と自治体でばらばら |
| 選考のしくみ | 就労時間・日数などを点数化するのが一般的。点数表は自治体ごと |
| 優先的な取扱い | 833市町村(51.0%)が設定。最多は低学年 672市町村(80.7%) |
| 対象学年 | 1,633市町村のうち1,568(96.0%)が小6まで。ただし定員超過時は低学年が優先 |
ここで押さえておきたいのは、「学童の選考基準」という全国共通のものは存在しないということです。保育園の入所基準と同じで、点数の付け方も加点条件も市町村が独自に決めています。
全国で唯一はっきりしているのは「低学年が優先」ということ

国の調査で全国的に把握されているのは、点数表そのものではなく「優先的な取扱いをどんな事由に設けているか」までです。その結果が上のグラフです。
最も多いのが「低学年の児童など、発達の程度の観点から配慮が必要と考えられる児童」で672市町村(80.7%)。ひとり親家庭659市町村(79.1%)を上回ります。
つまり定員を超えたときに高学年から外れていくのは、明文化されたルールの結果だということです。実際、学童に申し込んで利用できなかった子どもは全国で1万6,330人。そのうち小学4年生が5,589人で全体の34.2%を占めます(2025年5月1日時点)。
この構造については小4の壁とは?学童に入れなくなった放課後をどうするかで詳しく書いています。

就労証明書で見られている4つのこと
書類の名前は自治体によって「就労証明書」「就労状況申告書」「勤務証明書」などと違いますが、見られている中身はおおむね共通しています。
| 見られるところ | 注意したいこと |
|---|---|
| ①就労時間 | 1日何時間かで点数が変わる。休憩時間を含めるかどうかが自治体で違う |
| ②就労日数 | 週何日か、月何日か。シフト制なら平均で書くのか最低保証で書くのかを確認 |
| ③就労場所 | 通勤時間を加算する自治体がある。自宅が職場だと加算がつかないことがある |
| ④雇用形態・継続性 | 正社員/パート/自営の別。育休明けや求職中は別枠になることが多い |
この4つはどれも「書き方」で数字が動きます。たとえば休憩1時間を含めて8時間と書くか、実働7時間と書くかで点数帯が変わる自治体があります。記入前に窓口へ確認するだけで結果が変わることがあるので、面倒でも聞いてください。
自営業・フリーランスが不利になりやすい3つの理由
くり返しになりますが、「自営業は不利」と全国的に決まっているわけではありません。ただし、構造的に説明しにくくなる場面はあります。
| 理由 | 中身 |
|---|---|
| ①証明する第三者がいない | 会社員は勤務先が証明してくれる。自営業は自分で自分の就労を証明することになるため、裏づけ書類の添付を求められやすい |
| ②就労時間が一定でない | 繁忙期と閑散期で変わる働き方は、点数表の「週◯日・1日◯時間」に落とし込みにくい |
| ③自宅が職場になりやすい | 通勤時間の加算がつかない。さらに「家にいるなら見られるのでは」と受け取られることがある |
③はとくに切実です。在宅で働いている家庭の悩みそのものなので、別の記事で改めて扱います。
自営業・フリーランスの書き方
必要書類は自治体ごとに違うので、まず募集要項の「自営業の方」の欄を読むのが先です。そのうえで、一般に求められやすいものを挙げておきます。
- 開業届の写し(個人事業の開業・廃業等届出書)
- 確定申告書の写し(直近のもの。事業の実在と継続性の裏づけになる)
- 業務委託契約書・注文書の写し(契約先がある場合)
- 就労実績のわかるもの(請求書、報酬の振込記録など)
書くときのコツは3つです。
| ①平均ではなく実態を書く | 「週◯日・1日◯時間」を、直近3か月の実績から計算して書く。根拠を聞かれたら答えられる数字にしておく |
|---|---|
| ②作業場所を正確に書く | 自宅のみか、取材・訪問・現場作業があるか。外に出る仕事が含まれるなら、それは書く |
| ③子どもを見られない時間を書く | 「自宅で働いている=子どもを見られる」と受け取られないよう、来客・打ち合わせ・締切など手が離せない時間帯を具体的に書く |
点数表は取り寄せられます
結局のところ、自分の点数を知るには自治体の点数表を見るしかありません。多くの自治体は募集要項やホームページで公開しています。見当たらなければ担当課に聞いてください。
聞くときは、この3つをセットで確認すると早いです。
- 点数表そのもの(基準点と加点・減点の一覧)
- 就労時間の数え方(休憩を含めるか、通勤時間を加算するか)
- 自営業の場合に必要な添付書類
加点条件の見落としは実際によくあります。国の調査でも、優先的な取扱いを設けている自治体は833市町村あり、ひとり親家庭659、社会的養護が必要な場合460、児童が障害を有する場合394、生活保護世帯360、きょうだいの同一クラブ利用希望247と、事由は多岐にわたります。自分が当てはまるものがないか、一度確認してみてください。
落ちたときにやること
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 待機のまま申し込みを続ける。5月1日16,330人→10月1日7,363人と、年度途中で半分以下に減ります |
| 2 | 点数の内訳を開示してもらい、申告漏れや加点条件の見落としがないか確認する |
| 3 | 放課後子供教室・児童館など、学童以外の居場所を自治体に聞く(待機児童のいる377市町村のうち205市町村が用意) |
| 4 | 民間学童、ファミリー・サポート・センター |
| 5 | 送迎が回らないなら、自宅から参加できるもの |
送迎が回らないなら、オンライン学童という選択肢もあります
自営業やフリーランスは時間の融通が利くと思われがちですが、締切前や打ち合わせ中は、会社員以上に動けません。そして送迎は、その時間に必ず発生します。
学童も民間学童も習い事も、共通して「誰かが連れて行く」必要があります。送迎そのものが発生しないのは、自宅が会場になるものだけです。

| できること | 中身 |
|---|---|
| 送迎がゼロになる | 自宅が会場なので、連れて行く人がいらない |
| 週1回から使える | 曜日を全部埋めなくていい。放課後子供教室や習い事と組み合わせやすい |
| 学年で分けられない | 学年ではなく興味でグループが分かれるので、高学年が嫌がる「低学年と一緒が恥ずかしい」が起きにくい |
| 参加したかどうかが見える | 児童館や図書館と違い、記録が残り、大人が画面越しに見守っている |
ただし正直に書いておくと、身体は家にひとりのままです。火の元や来客、体調不良への物理的な対応はできません。ひとりで留守番ができることが前提で、それが難しい年齢・状況なら、民間学童やファミリー・サポート・センターを先に検討してください。
実際にどう過ごしているのかは、マイクラ好きの小学生向けオンラインサークルの記事で紹介しています。働き方の制度がいつまで使えるのかは、時短勤務はいつまで使えるのかの記事にまとめました。

よくある質問
学童の就労証明書は毎年出す必要がありますか?
多くの自治体で、年度ごとの申し込みに合わせて毎年提出を求めています。ただし様式も提出時期も市町村ごとに違うため、お住まいの自治体の募集要項で確認してください。
就労証明書に書く勤務時間は、どう数えればいいですか?
就労時間を点数化している自治体が多く、休憩時間を含めるか、通勤時間を加算するかも自治体で異なります。数え方ひとつで点数が変わることがあるので、記入前に窓口で確認するのが確実です。
夫婦それぞれ就労証明書が必要ですか?
共働きの場合、両方の就労状況で点数を出す自治体がほとんどです。片方だけの提出では審査できないため、二人分そろえて出すのが原則です。
パート勤務でも学童に申し込めますか?
申し込めます。ただし就労時間や日数で点数がつくため、フルタイムより点数が低くなる自治体が多くなります。募集要項の点数表で、自分の勤務条件が何点になるかを確認してください。
自営業・フリーランスでも学童に申し込めますか?
申し込めます。就労証明書は自分で作成し、事業の実態がわかる書類(開業届の写し、確定申告書の写しなど)の添付を求められることがあります。必要書類は自治体で異なります。
自営業だと点数で不利になりますか?
全国共通の答えはありません。学童の選考基準は市町村ごとに定められていて、国は統一基準を示していないからです。自治体によっては就労場所や就労時間の確認方法が違うため、募集要項の点数表を取り寄せて自分の条件で計算するのが唯一の確実な方法です。
学童の点数表は見せてもらえますか?
多くの自治体が募集要項やホームページで公開しています。見当たらない場合も、担当課に問い合わせれば選考基準を説明してもらえます。加点条件の見落としが見つかることがあります。
低学年が優先されるのは本当ですか?
はい。国の調査では、利用に係る優先的な取扱いを定めている833市町村のうち672市町村(80.7%)が「低学年の児童など、発達の程度の観点から配慮が必要と考えられる児童」を対象に挙げています。現場の慣習ではなく、多くの自治体が明文で定めていることです。
落ちたらどうすればいいですか?
まず待機として申し込みを続けてください。令和7年の調査では、5月1日時点で16,330人だった待機児童が10月1日時点では7,363人まで減っています。あわせて放課後子供教室や児童館など、学童以外の居場所を自治体に確認してください。
まとめ
学童の選考基準に全国共通のものはありません。点数の付け方も、加点条件も、必要書類も市町村ごと。だから「自営業は不利らしい」といった一般論を集めるより、自分の自治体の点数表を1枚取り寄せるほうが早いです。
そのうえで、全国的にはっきりしているのは「低学年が優先される」ということだけです。優先的な取扱いを定める833市町村のうち672市町村(80.7%)が、それを明文で定めています。
就労証明書は、その点数の土台になる1枚です。就労時間の数え方、作業場所、手が離せない時間帯——書き方で結果が変わります。提出前に一度、窓口で確認してください。
放課後の問題ではなく、「学校そのもの」がつらそうなときは
ここまでは学童の選考と就労証明書の話でした。ただ、学童に入れるかどうか以前に、子ども自身が「学校に行きたくない」と言い始めることがあります。申請の準備を進めながらでかまいませんので、その可能性も頭の片隅に置いておいてください。
そのときに知っておいてほしいのは、学校に行かない時間を「何もしない時間」にしなくていいということです。NIJINアカデミーは、メタバース上の校舎に毎朝集まるオンラインのフリースクールで、全国どこからでも自宅から参加できます。顔や声を出さずに参加することもでき、在籍している学校での出席扱いについても相談できます。保護者が働いている家庭でも続けやすいのは、送迎がいらないためです。
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お子さんが朝つらそうにしているときの見分け方は、行き渋りのサインと初期対応にまとめています。ひとりで抱えられないときは、文部科学省の24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310・24時間/年中無休)にもかけられます。
この記事について
文:佐藤仁美(にじいろ編集部 記者)
こども家庭庁の公表資料をもとに構成しました。学童保育の選考基準・必要書類・様式は市町村ごとに異なります。実際の申し込みにあたっては、お住まいの市区町村の募集要項を必ずご確認ください。
出典
- こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和7年5月1日現在)」(2025年12月23日公表)PDF
- こども家庭庁「令和8年度 放課後児童クラブの実施状況(速報値)」(2026年7月14日公表)PDF
- こども家庭庁「放課後児童健全育成事業について」

